「迅!
貴様何しに来た!?」
三輪はそう言って声が聞こえてきた方向に向けて叫ぶ。
「何しにって…、仲裁かな。
このまま戦ってると、お前らどころか、ボーダー自体がなくなる可能性あるから」
迅と呼ばれた青年はそう話していく。
「ボーダー自体がなくなる…ですか!?」
陽介がそう話すと、迅は「ああ」と首を縦に振る。
「そこにいる人型近界人、どうやら向こうでもなかなかの地位の奴みたいでね。
そいつを殺したりでもしたら、乗り込まれてきて三門の街ごと更地になる。
…最悪の未来だとな」
迅はそう言って俺に近づいてくる。
「敷谷翔哉。
今ウチで大規模侵攻で攫われた人間の名簿と照らし合わせてる。
多分もうすぐ見つかるよ」
俺にそう話した後、迅は三輪と陽介に話していく。
「ここからコイツは俺が見る。
城戸さんや他の上層部からの許可ももらってる。
引いてくれないか?」
「…ちっ!
三輪がそう言うと同時に、三輪の体は光の筋となりさっきと同じように四角い大きな建物へと飛んでいく。
「…なあ、あれどういう仕組みなんです?」
「緊急脱出、トリオン体を破壊されると自動的にボーダー本部基地へ飛ばされるようになってるんだ」
へえ…、できることならウチのトリガーに追加したいな…。
俺がそう話すと、陽介は俺の元へと駆け寄ってくる。
「いやー、強いっすね」
「まあな。俺も近界でいろいろ特訓したんだ。
お前もなかなか強かったぜ?」
俺がそう話すと、陽介は「あざっす!」と返してきて、そのまま続けていく。
「…秀次のやつ、近界人にお姉さんを殺されたらしくて。
それ以降近界人全体を憎んでるんです。
別に悪い奴じゃないんですけど…」
…やっぱり、そうだったか。
「ああ、あの戦い方から裏側には何かあるとは思ったよ。
俺もお前らからしたら近界人に変わりはねえ。
そう思われることも仕方ねえよ」
俺がそう返していく。。
「…それじゃ、俺はこの辺で!
また戦うことあるなら、そん時にまた戦りましょうね!」
そう言って陽介は離れていく。
「…それで、そっちの国とウチで協定結びたいんでしょ?」
「ああ、そうっすね…。
っていうか俺そういうこと何か言いましたっけ?」
俺がそう話すと、迅さんは「いや、聞いてないよ」と続ける。
「俺には未来が視えるんだ。
目の前の人間の少し先の未来が」
…副作用。こっちにもいたのか。
「…未来を視て、お前を下手に扱うととんでもないことになりそうだったからこうさせてもらったんだ。
少なくとも、お前を殺すことでお前の国の奴らが大挙して攻めてきて、三門市すべてが更地になるっていう最悪の未来は回避できたよ」
迅さんはそうふうっと胸をなでおろす。
「とりあえず、ウチのトップ層と話をする連絡はつけてる。
内容はそこで話してほしい」
「分かりました。
…着装、解除」
そして俺はコマンダートリガーを一時的に解除する。
「…ウチとしても余計な戦いはしたくないですし、話し合いで済むならそっちでお願いします」
「ああ。…お、今お前の戸籍情報の確認取れたってよ。
多分そのあたりの調整も大丈夫なはずになってくるはずだ」
「ありがとうございます」
…俺はそう返して迅さんの後ろをついていき、ボーダー本部と呼ばれる黒く大きな四角形の建物へと歩いて行った。