『私はアルセウス。ポケトリアの創造主だよ。
で、こっちが』
『俺はパルキア。空間を司っている。
そこにいる翔哉を違う国から保護したのは俺だ』
アルセウス様はそう話して続けていく。
『今回、そっちに翔哉を送ったのは伝わってる通り、ウチと玄界で友好関係樹立、ならびにお互いが持つ近界の国々の情報共有をしたいということ、後は翔哉の身の安全確保だね』
アルセウス様は話を続けていく。
『私たちのトリガー技術は遅れていてね。
戦力としては今のところは大丈夫だけど、今のままだと限界は近い。
少しでも味方を作っておいて、安全を確保しておくことは重要でしょ?』
アルセウス様はそうボーダーの人達に話していく。
そんなアルセウス様に「本部最高司令の城戸だ」と顔に大きな傷が入った人が話していく。
「この友好協定、なぜ我々に申し込んでいる?
ただ友好関係を結びたいだけなら他の近界の国でもよかろう。
我々よりもトリガー技術が発展している国は多くあるはずだ」
その言葉にアルセウス様は『そうだね…』と話していく。
『単純にうちの技術者の出身がそっちだからではダメかな?
特に技術がどれだけ発展しているかどうかは関係ない。
ただ、うちのトリガー開発者の国とは仲良くしておくほうが、後々面倒くさいことにはならないかなって」
そう話すアルセウス様に、忍田さんは「もし、の話だ」と前提を置いて話し始める。
「我々がその協定を拒んだ場合、どうなる?」
それに返したのはパルキアさんである。
『そうなれば、そっちにいる翔哉を引き上げさせるしか無いな。
正直、翔哉がいた方が開発室もスムーズに動けるだろうし』
『でも、君たちはそうはさせないとするだろ?』とアルセウス様は続ける。
『今回、翔哉に持たせたトリガーは、どれだけ離れていても玄界とポケトリアを繋ぐトリガー。
高性能な代わりにトリオン消費は大きくて、翔哉のトリオンほぼ全てをつかわかればいけないんだ。
ただ翔哉にトリオンを使わせていくだけで、翔哉はポケトリアに帰れなくなる』
『そうなれば、こっちも本気を出す。
ポケトリアの全勢力を持って玄界を制圧して、翔哉を奪還する。
お前らもそんな戦いにはしたくねえだろ?』
パルキアさんもそう話していく。
「…迅、今の話は本当か?」
そう城戸さんが話すと迅さんは「ええ」と肯定する。
「少なくとも2年前の侵攻は超えてボーダー内からも多数の死者が出る。
最悪の場合、この三門の町が焦土になる。
ボーダーも、全壊するだろうね」
未来が視える迅さんがそう話すってことはかなり力を入れて攻めてくるんだろう。
そしてアルセウス様は続けていく。
『もちろん、協定を結んでくれればそんなことはしないし、君たちがポケトリアにきた時のトリオン供給も思う存分することが出来る。
そして我々のトリガーを解析することで、君たちのトリガーをさらに発展させることができる。
何より、この協定は友好協定であり立場は対等。
我々も君たちから要請があればできる限りのことはさせてもらう。
それでも結ばないっていう理由にはならないかな?』
アルセウス様は改めてボーダーの人たちにそう問いかけていく。
「…確かに、そちらの話す通りだ。
ただ、我々としては対等という名の従属協定に見えてしまう。
それはそちらも分かるはずだ」
確かに、城戸さんの言うことは正しい。
名目上対等…と謳っていても、その実際は従属関係と同じ…ということは数多い。
アルセウス様は『まあそこは否定しないよ』と話したうえで続けていく。
『…なら、ここまで話せばいいかい?
…我々ポケトリアは玄界にあるであろう母トリガーや冠トリガーに手を出すつもりは一切ないし、そもそも興味がない。
場所やその詳細も私たちに知らせなくて結構だよ」
…母トリガーと冠トリガーはその国のトリガー規模を表しているトリガーである。
それに興味がないといえば…、もう大丈夫だろう。
このアルセウス様の言葉を聞いて、城戸さんは少し黙った後に「…分かった」と呟く。
「…ポケトリアと玄界のトリガー組織の間での友好関係並びにトリガー技術の相互供与…、それに同意する」
城戸さんがそう話すと、アルセウス様は『協定成立だね』と返してくる。
そのうえで城戸さんは「…それと、こちらから一つ条件を提示させてもらう」と続ける。
「何?私たちでできることなら、やらせてもらうよ」
アルセウス様の言葉に城戸さんは話していく。
「…今回こちらに来てもらった敷谷翔哉を、以後しばらくの間我々ボーダーの監視下に置かせてもらう。
大丈夫だろうか?」
城戸さんの言葉を受けて、俺から「え…?」と声が漏れる。
おそらく、半分捕虜みたいなものだろうが、この玄界とポケトリアを仲介するという任務終了後、俺をこの玄界に留め置く理由になる。
これからしばらくの間三門の町に居れるなら、それに越したことはない。
『大丈夫だよ。…ただ月に1回あるかないかのレベルで定期報告を兼ねて戻ってきてもらいたいけど、それぐらいならいいかな』
城戸さんは「構わない」と話す。
『それじゃ、詳しい契約の話は我々がそちらに向かった時に。
…翔哉、詳しい時間の伝達よろしくな』
「ええ、分かりました」
パルキアさんの言葉に俺がそう話した後、俺のモーフィントリガーから映し出されていたホログラムは消え去った。