「…失礼しまーす」
俺と風間さんと宇佐美が話している中、隊室の扉が開かれ、2人の少年が入ってくる。
「ただいま到着しました…、あれ風間さん、宇佐美先輩、お客さんですか?」
入ってきたのは髪が長いやつと、短髪でもう1人よりは大きいやつ。
…さすがにこいつらは俺より年下だよな?
「…敷谷、この2人がウチに入る予定の訓練生だ。
卑屈そうなのが菊地原、まじめそうなのが歌川だ」
風間さんがそう2人を紹介すると、菊地原と呼ばれた方はダルそうに返していく。
「えー、なんですかその紹介…。
どーも、菊地原でーす」
「…初めまして、歌川遼です。これからよろしくお願いしますね」
菊地原に対して、歌川は「キッチリ」という言葉が似合う話し方である。
「…それで、風間さん。
こいつ、誰なんですか?」
菊地原がそう話すと、風間さんは「ウチの新しいメンバーだ」と話し、「敷谷」と促してくるので俺は話していく。
「初めましてだな、俺は敷谷翔哉。
Bに上がり次第風間隊に入ることになった。
…まあ、状況としてはお前らと同じだな。
これからよろしくな」
俺がそう話すと菊地原は「えー…」という言葉と共に風間さんに話していく。
「風間さん、なんでこんなやつ入れるんですか?
歌川もそう思うでしょ?」
「いや…、風間さん何か理由があるんですよね?」
歌川がそう話すと「そうだ」と風間さんは返答する。
「単刀直入に言わせてもらうぞ。
…コイツは近界人だ」
その風間さん言葉を聞いて、2人は身構える。
「…風間さん、本当なんですか…?」
歌川の言葉に「俺がこの状況で嘘をつく必要があるか?」と聞くと歌川は「いえ…」と続ける。
「…本当だよ、歌川。
この人も風間さんも宇佐美先輩も、心音変わってないもん。
嘘ついてるなら多少変わるはずだけど、3人とも平常なままだし」
菊地原は歌川にそう話していく。
「…敷谷、伝え忘れていたな。
菊地原は強化聴覚のサイドエフェクトを持っている。
多少の心音の変化なら聞き分けられるぐらいに聴力が高いぞ」
「…どーも」
…そういう副作用もあるのか。
そういうことなら、結構な武器になる。
「ま、近界人って言ってもほぼ三門市民だよ、俺は。
2年前…に近界に攫われて、そっちで近界のこととか、トリガーについてのことを学んできたんだ。
…一応、向こうの人間ってことになってて、こっちに来たのは友好関係を結びたかったから。
今の俺は形として向こうがボーダーを裏切らないようにするための捕虜って位置付けにはなるけど」
「…今回、忍田本部長の命令でコイツの監視も兼ねて俺が面倒を見ることになった。
文句を言いたいのなら忍田本部長に言え、いいな?」
風間さんがそう言い放つと、歌川は「分かりました」と爽やかな顔で返してくる。
菊地原はしぶしぶという顔だ。
「そういうことでしたら、歓迎しますよ。
ともに強くなりましょうね、敷谷先輩」
「はいはい、分かりましたよ…。
精々僕たちの脚を引っ張らないでくださいね?」
「…ああ、できる限りはやくお前らに追いつけるように頑張るよ」
俺は苦笑いしながらそう話していく。
そして、一呼吸置いた後、風間さんは話していく。
「…これからのウチの方針だが、敷谷が入ってもやることは変わらない。
菊地原と歌川の2人はさっさとBに上がって2月からのランク戦に備えろ。
ランク戦が始まるまであと2週間、もう時間は無いぞ。
もう今日にでもBに上がれるぐらいにポイントは溜まっているはずだ」
「了解です」
「分かってますよ」
歌川と菊地原の2人は風間さんにそう返す。
「敷谷、お前の正式入隊日は5月だ。そこから1週間以内にBに上がれ、いいな?」
「ええ、それまでには必ず」
俺は風間さんにそう返した。