『それじゃ、試しにあっちの的に向かって撃ってみよっか~』
部屋の中にゆるふわとした声が響く。
「ありがと、柚宇さん。
敷谷さん、とりあえず自分の思うようにやってみてください。
俺は万が一に備えてフルガードしてますけど、トリオン多いんでそこらの奴には破られることないと思うんで」
「了解した」
俺はそう答えて、右手の手のひらを天井に向ける。
「…ハウンド」
その言葉と同時に、俺の右手の上にはキンッという音と共に大きなトリオンキューブが浮かび上がる。
「…試しに」
そう話した俺はトリオンキューブの縦と横に切れ目を入れるようにして、トリオンキューブを8分割した。
「…せーのっ!」
その言葉と同時に、トリオンキューブは少し膨らんだ後、そのあとすぐに一点に集中し、ターゲットの頭部に当たる。
「…出水、撃ったらこうなるんだけどよ、何か分かるか?」
俺がそう話すと、出水は「あー…」と呟き、改めて俺に聞いてくる。
「敷谷さん、ハウンドの誘導性能を常にMAXにしてませんか?」
その言葉に俺は「まあな」と呟く。
「ハウンドって相手を追尾するんだろ?
それなら基本MAXにしとかないとダメだろ」
俺がそう話すと、出水は「ちょっと違うんすよね…」と続ける。
「ハウンドって追尾性能の緩急が重要なんですよ。
最初は追尾機能なし、その後に追尾機能を高くして、最後に追尾機能を弱くすることで程よく散らせることが出来るんです。
常に追尾性能MAXだとああなって集中シールドで防げるぐらいしか火力でないんですよね」
俺は出水の言葉に「なるほどな…」と返していく。
「そういえばハウンドの追尾性能とか威力とかって上げられないのか?」
「それなんすよね…。ハウンドやバイパーの威力を強化できれば結構バグると思うんですけど…。
今、いろいろと考えてるところです」
…なるほどな。
「…とりあえず、やってみましょうか」
出水はそう言って展開していたシールドを解除し、攻撃態勢に入る。
「…バイパー!」
出水がそう話すと、構えた両手からトリオンキューブが展開される。
「今からバイパーでとにかくフルアタックしまくるんで、敷谷さんはひたすら撃ち落とし続けてください。
適度に散らしていくんで、すべて撃ち落とせるようになったならハウンドの使い方はマスターしたって言ってもいいと思いますよ。
ハチの巣になりながら、そっちもひたすら撃ち続けてくださいね」
「…できる限り、ハチの巣にならないように頑張るよ」
俺は出水に若干諦めながらそう返した。