玄界に帰ってきた少年は少々特殊なようで… 改   作:W297

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パルキア①

 

 …自らのことを「空間の神」と自称するこのパルキアさん。

 

 しかし、嘘は言っていないと思う。

 

 なぜならば、納得せざるを得ない行動をしているからだ。

 

 俺をこの場所へと拉致したあの力、今この場所がレフォースからどれだけ離れているかはわからないがそれが出来るやつなんて見たことない。

 

 しかも(ゲート)というよりかは大きな裂け目を発生させてレフォースへとやってきた。信じるには値するだろう。

 

「…あの、ここは…」

 

「ポケトリアのシント宮殿ってとこだ。

 

 俺たちの家でもあり、最高決定機関でもあるな」

 

 パルキアさんはそう話した後、俺に続けてくる。

 

「それで、お前の名前は?後、お前がいた国も知りたいんだが…」

 

「俺は敷谷翔哉って言います。

 

 俺がいたのはレフォースって言う国ですね」

 

 俺は素直に答える。

 

 …下手に答えたら命は無いと思った方が良い。

 

 ここは回り込むより、正攻法で行った方がいいだろう。

 

「よし、翔哉。

 

 お前ってトリガー技術者なんだよな?」

 

 俺はその言葉に「はい」と答える。

 

「一応は周りの人に教えてもらったんで。

 

 自分は戦闘用トリガーを持ててないですけど、レフォースのトリガーならある程度は伝えられるかと」

 

「…持ててないって何かあったのか?

 

 そもそもお前のトリオン…だったか?

 

 それがどうやらそこそこ高いみたいだけどよ」

 

 パルキアさんはそう話してくるが、俺はそれはそうなんですが…と続ける。

 

「…俺は技術者なんでね、戦闘用トリガーは戦場に供給されてるんですよ。

 

 一応非常用のトリガーは持たせてもらってますけど、トリオン体に換装する以外になにもないトリガーですし」

 

 俺はそう話した後、俺の両手に装着されている手錠に目を向ける。

 

「…それと、一応捕虜なんですよね俺。

 

 割と自由はありますが、そこの懸念もあってトリオン供給役としてトリガー開発室で世話になってるんです」

 

 俺がそう話していくと、パルキアさんは「なるほどな…」と返してくる。

 

 少し黙り込んだ後、パルキアさんは改めて「じゃあよ」と話してくる。

 

「翔哉、取引をしないか?もちろんお互いに得するやつだけどよ」

 

「取引…ですか?」

 

 そう俺が返すと、パルキアさんは「ああ」と話して続けてくる。

 

「お前はレフォースのトリガー情報を俺たちポケトリア側に渡す。

 

 その代わり俺たちはお前の手錠の解除、身の安全の確保、そしてお前を出身の国へと送り届ける」

 

 「悪い提案ではないだろ?」とパルキアさんは付け足す。

 

 確かに悪い提案ではない。それに俺の安全確保をしてくれて三門の町へと送り届けてもらえるなら、レフォースでいるより明らかに良い。

 

 …ただ、一つだけ聞いておきたいことがある。

 

「パルキアさん、一つ良いですか?

 

 この提案は俺にとって魅力的過ぎます。

 

 そこまでして何故俺という人材を欲しがっているのですか?

 

 トリガー技術者なら俺よりもすごい技術を持っている人がいるはずです。

 

 なのに、わざわざ見ず知らずの捕虜である自分にここまでしてくれるのか…、正直裏があるように見えます」

 

 俺がそう話すと、パルキアさんは笑いながら「裏なんてねーよ」と返してくる。

 

「…ただ神の気まぐれってやつだ。

 

 うちとしてトリガー技術者が必須なのは確かだし、あんまりウチとしても真っ向から戦争はしたくねえからな。

 

 お前はレフォースの国民じゃなくて捕虜、向こう側からの反発も最低限に抑えることができるんだよ。

 

 捕虜かつ技術者、そんな激レアな人材を放っておきたくはねえよ」

 

 パルキアさんの言葉に嘘は無いみたいだ。

 

 …まあ、それなら少しでも可能性が高い方にかけてみても良いかもしれない。

 

 どうせ、レフォースのままだと何もできないだろうしな。

 

「…分かりました、パルキアさん。

 

 この命、あなたに預けることにします」

 

「そう言ってもらえて良かったよ」

 

 パルキアさんは俺にそう話してくる。

 

「これからしばらくの間、ウチのトリガー技術者として頼むぜ」

 

「もちろんです。俺の全力をここに使わせてもらいますよ」

 

 俺とパルキアさんはそう固い握手をする。

 

「…じゃ、どうするんだ?このままこっちにいるのも良いが…」

 

「それなら一度レフォースに戻ることは可能ですか?

 

 流石に機材がないことには俺も何もできないので…」

 

「ああ、それぐらいなら大丈夫だぜ」

 

 パルキアさんがそう言うと、俺の前に立ち「少し離れてろ」と言うので俺は何歩か後ろに下がる。

 

 

 

 

「…あくう、せつだん!

 

 そらよッ!」

 

 

 

 パルキアさんがそう叫びながら腕を振り払うと、前の空間がザンッ!と斬り裂かれる。

 

「ほらよ、行ってこい!」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

 俺はパルキアさんにそう返して、レフォースへと戻っていった。

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