「…最低目標、これでクリアだな」
俺は4011と表示された自分のポイントを見てそう呟く。
「…とりあえず風間さんのところに行ってくるか」
俺はそう呟いてブースを出ていく。
…何かざわついている声が俺の耳に聞こえてきたが、気にせずに俺は歩いていく。
そんな中、俺を呼び止める声があった。
「…翔哉、ちょっといいか?」
その声は俺はため息をつく。
「…太刀川さん、戦いたいんでしょうけど無理っすよ。
さすがにハウンド一本でアンタと戦えるほどじゃないんで」
俺を呼び止めたのはA級太刀川隊の隊長にして個人ポイント1位の太刀川慶。
…一言で表すなら、バトルジャンキーという言葉が似合う頭脳のキャパをすべて戦闘に回した男。
この人も太刀川隊に入り浸っているうちに関係が深くなった。
…なお、コマンダートリガーと戦ってみたいと何度も言われるのだが、風間さん・忍田さんの2人からまだやめておけと通達されている。
「いいじゃねえか別に。
なんならこっちは弧月一本旋空なしポイント移動無しで勝負で良いぜ?」
「嫌ですよ、それでも多分勝てないですし…。
練度の差がどれだけあると思ってんですか?」
俺はそう話すが太刀川さんは「それなら実戦で上げていけばいいだろ?」と話してくる。
「…なあなあ10本でいいからやろうぜ、翔哉。
ダメか?」
「…いや、ダメも何も今日はレポート終わるまでランク戦禁止って風間さんから聞いたんですけど…」
俺がそう聞くと「息抜きだよ息抜き」と太刀川さんは話してくる。
「ずっと勉強してると気分が落ちてくるだろ?
休憩しっかりとらねえと、効率さがってくるからいいじゃねえか」
そう全く悪びれない太刀川さんに俺は聞いていく。
「…それで、何分くらい休憩してるんですか?」
「…何分だろうなー、まあ気にしなくてもいい…だろ…」
ランク戦ルームにある時計を見ながらそう話す太刀川さんの体から一気に冷や汗が出ていく。
「…ほお、俺が席を外している間に逃げ出してからもう1時間以上経つのだが、俺はいつまで待てばいいんだ?」
…俺の後ろから聞こえてくるこの冷徹な声は。
「…あ、あの…、これはその…」
「何だ、言い訳でもするつもりか?
折角これからの大学生活で必要になる必修科目について教えてやっていたのだが、敷谷とのランク戦はそれ以上に重要なことなのか?」
…うん、振り向かないでも声の主が分かる、風間さんだ。
「…風間さん、俺Bに上がれたんで。
最初の約束、しっかり守りましたよ」
俺が振り向いて風間さんにそう話すと「…約束は守って当たり前だ」と風間さんは続けていく。
「敷谷、宇佐美に話してトリガーセットについて相談してこい。
俺の隊に必要なトリガーであれば何を入れても構わん」
「了解です、風間さんはこれからどうするんです?」
俺がそう聞くと風間さんは「決まっている」と返してくる。
「…この間に逃げようとしているバカにお灸を据えなければならん。
本部長の前に突き出した後俺も隊室に戻ると伝えてくれ」
そう話した風間さんは俺と話している間にその場を離れようとしていた太刀川さんの鳩尾に鉄拳を入れた。
太刀川さんは「ガハッ…!」という声と共にその場に崩れ落ちる。
気絶した太刀川さんを引き摺る風間さんを見送った俺は風間隊の隊室へと歩いて行った。