ゼーレンヴァイス   作:朽木 堕葉

16 / 61
     3

 三人は、うまく逃走していた。

 ここでは場所が悪い、とアズランドの指示のもとで。

「あれはきっと、レフトだった。でも、どうして一人だけで……」

 (いぶか)るリザをよそに、

「まったく……前回もそうだったが、いきなり現れてむちゃくちゃやってくれるよ」

 通路を走りながら、アズランドがぼやいた。

「どこまで行くんすかっ?」

 ロウェルはちらと後ろを確認しながら訊く。光る翼から虹を振り零して低空飛行で迫るレフトに「うへぇ」となった。ちょっと、カッコイイな。なんて思ったりもしながら。

「アレだ! 左の部屋!」

 アズランドが叫び、左折した三人は広々とした空間に抜けた。

 数瞬遅れて、レフトが進入するなりアズランドが大声を響かせる。

「ロウェル! 入り口をぶっ壊してくれっ」

 言われる前に、レフトの頭上を飛び越えて、ロウェルは跳躍(ちょうやく)している。すでに入り口の真上にいた。

 左腕の杭打ち機は遺憾なく破壊力を発揮し、壁を崩落させた。意外と分厚い壁で、そのぶん見事に、入り口を塞いだ。

 これで、敵が駆けつけてきたしても、立ち入るには手間取るはずだ。満足して、左腕の杭打ち機を引き絞る。

「なんだ、ここ」

 積み重なった壁の残骸の上から、ロウェルはあたりを見た。

 天井にいくつも設置された電球で、地下とは思えないほどに明るい。それによって、光沢を帯びた黒々とした部品のようなものが、点在しているのがよくわかった。まるで巨大な腕や脚のように思えた。

 そして、はっとなった。

「そっか。こんなとこで造ってたのか」

 奥のほうで何体も寝ている巨大な物体が、あの黒鋼(くろがね)ゴーレムだとようやく気づいたのだ。

「そう。だからここが、地下でもっとも広い部屋なわけさ。まっ、見取り図からそう、当たりを付けていたんだけど。ドンピシャだったな」

 アズランドが答えた。「さて」とつづけ、手早く抜剣(ばっけん)し、

「今回はべつに、アンタとやり合うつもりはないんだけど」

 左手を伸ばしていった。片手剣(ショートソード)の切っ先が向かう先に、レフトが浮いている。

 果たして、無感情な声でレフトは応じた。

「あの方の邪魔をする者は排除する」

「まぁ、そう来るよね」

 呆れ混じりにアズランドは笑う。目つきはどこか好戦的だった。

「やめてっ。アタシはお姉ちゃんに逢いたいだけなの。器になんて、なってほしくないの……!」

 睨み合うアズランドとレフトのあいだに、リザが割って入り、訴えた。

「リザ……」

 ロウェルの目に(せつ)としたリザの顔が映り、自然と力んでいた。

「それが叛逆(はんぎゃく)行為であるとわからぬほど、愚かだったのか。リザーヴ(予備)よ」

 ライトは至って粛々(しゅくしゅく)と返答するばかりだ。

「どうして⁉ あなただって、兄弟がいるでしょう? アタシの気持ち、わかってくれないの?」

 必死に説得しようとするリザの顔が悲痛に染まる。レフトの眉がぴくりとなった。

「我々は、兄弟などではない。あの方に使命を与えられた同一存在。ただ、それだけだ」

 声音がかすかに変わった。それはきっと、無意識に表れた怒気。ロウェルにも、それはなんとなく感じ取れた。

右腕(・・)は使い物にならなくなり、処分された」

 言い終わるや、レフトの周囲が虹の瞬きを広げてゆく。

 並行して、両腕に結晶が生え出し、杭を(かたど)っていった。

 ロウェルは眩しそうに目を細め、それを警戒した。

 実際のところ、なんだかよくわかっていなかった。とんでもない能力であるということ。これでロウェルにとっては、十分な認識だった。

 それよりも今は、両腕の美しい杭に、少し対抗意識に似たものをぶつけていた。

 と、増大する杭結晶が、レフトの黒衣を引き裂いた。

 胸元の妖精宝珠(スプライトジェム)が露わになる。その大きさは、リザの胸にあるものと大差がなかった。

「あなたまでそんなに……」

 リザが愕然とそれを見た。

「右腕の妖精宝珠(スプライトジェム)は左腕たる私に引き継がれ……集約されている。優位であるなどと思うな、リザーヴ(予備)よ」

 リザは激しく、頭を振った。

「そんなこと思ってない! そんなにくっつけちゃったら、あなたもお姉ちゃんみたいに……」

我々(・・)は、あの方の両腕だ。ジェニュイン=ヴェッセル(本物の器)のように狂乱に至ろうと――その果てに処断されようと構わぬ。すべては意のままに」

 口を挟まずにはいられなくなり、ロウェルが怒鳴った。

「アンタたちにとって、アイツはそんなに大事な人なのか! そんな、道具みたいに扱われて……」

 レフトは振り返らず、言った。

「いちばん話が通じない愚か者は、貴様のようだな」

「なっ……」ロウェルが言い返す前に、レフトがまくし立てる。

「それが我々の存在理由だと、言っただろう。私は、あのお方によって生み出された。手となり足となり、あのお方の声に従い動く」

「無駄だよ、ロウェル。リザたちと違って、最初から人間らしい心を削ぎ落として造り出されたんだろう」

 アズランドの口ぶりは穏やかだが、含みが滲んでいた。

「人間風情に我々を……あの方のお考えを、推し量れるものか」

「わかるわけないさ。死んだ人間が蘇ると本気で信じている――夢想家(むそうか)の頭の中身なんてね」

「あの方が、どれほどの偉業を成し遂げてこられたと思っている?」

「その偉業の裏側で、いったい何人が犠牲になってきたんだ?」

 アズランドは押し殺した声音で言い返し、右手で腰から拳銃を抜いた。

 片手剣と拳銃を両手にそれぞれ握りしめ、構えていった。弓を引き絞るような動作で。

 そのときだった。

 突如として、部屋の奥のほうから軋み音が響き――ロウェルが「やべっ」と目を見開く。

 黒鋼のゴーレムが、稼働し始めていた。

 横目でアズランドもたしかめて、歯噛みした。なんて厄介な、というふうに。

 完全に組み上げられた個体は、ぜんぶで五体いた。

「ロウェル、アレは任せていいかな。壊し慣れているだろうし。そっちのほうが、やりやすいだろう?」

「ゴーレム退治専門みたいに言わないでくださいよ……」

 ロウェルはちょっとだけ、愚痴る。それから、パン! と両頬を叩くと、

「まっ、やりますけど‼」

 大声量で宣言した。右手を掲げ、呼びかける。熱い眼差しを杭打ち機に注いだ。

「出番だぜ、爆噴杭打(エクリクスィ)

 今度は下げたままでいる左腕の杭打ち機へ、

不屈杭打(エテルノ)もいけるなっ!」

 同様に掛け声を送った。

「それ、名前があったのか」

 苦笑して、アズランドがぼそりとつぶやく。ロウェルの耳には届かなかった。

 そのとき既に、ロウェルは前方へ大きく跳んでいたからであったし、レフトの頭上を通過する際、アズランドが牽制に発砲していた。

 目前に黒鋼ゴーレムが迫り、ロウェルは右腕を振りかぶった。

 ゴーレムも、寝起きは人間と一緒なのだろうか。緩慢に動き、精結晶(スピリットクリスタル)のある眼を、片腕で守ろうとした。

 互いの金属の腕をぶつけあう格好になり、カキンと鳴った。  

 鳴りやむ前に、右腕の杭打ち機――爆噴杭打(エクリクスィ)が炸裂する。火炎の唸りを上げ、ねじ込まれた杭が腕をもぎ取り、鋭利な先端が精結晶を粉微塵に変えていった。

「よしっ」

 反動で宙を押し戻されながら、ロウェルはガッツポーズをする。

「負けてられないな」

 早くも一体を撃破したロウェルを、アズランドが頼もしげに見遣る。そして表情を引き締め、視線を移した。

 相対するリザとレフトへ。

 

 

「ごめんね。力を貸して……」

 許しを請うように、リザが囁いた。

 胸に両手を当て、祈るような所作。無色透明だった胸の妖精珠玉(スプライトジェム)が、七色に煌めくのに併せて、背に花開いた結晶が、同質の色合いの光の翼を放出していった。

 最後に、両手の甲から槍の穂先(ほさき)のように、結晶が伸びた。

 その様子をまざまざと眺め、アズランドは感嘆した。

「綺麗なものだな」

「え?」

 リザがやや目を丸くして、不思議そうにこちらを向いた。よく聞こえなかったという感じに。

 アズランドは戸惑った。神秘的な光景に、我知らず、そう表現してしまった。あれだけ憎んでいた力だというのに。理由には、見当が付いていた。

 知り、理解し、受け入れることが出来たからだ。それとも、この子だから、なのだろうか。

「何事も見方次第だなって。そう、思っただけだよ」

 あまり深く考えている場合でもなく、泣きっ面を見られたときのように、悪戯(いたずら)っぽい笑みで誤魔化すと、リザの横に並び立った。

「その力は使わないほうがいい――と言えれば、多少は格好もついたんだが。とてもじゃないが、やつは俺の手には余る。主戦力はリザ……キミだ」

 果敢な面構えで告げた。拳銃と片手剣(ショートソード)を構え直し、言い足す。

「バックアップは任せてくれ」

「ありがとう、アズ。その言葉だけで、すっごく勇気をもらえる……」

 顔をくしゃっとさせて、リザは嬉しそうに微笑んだ。

 と、進み出たアズランドの姿に、レフトの目の色が、かすかに変化した。

「ただの人間風情が……粋がるな」

「人間だから、ときには粋がってみたくなるのさ」

 アズランドは軽口で応じた。

「我が半身を斬り裂いた報い……その味で味わうことだ」

「なんだ。あるじゃないか。そういう、人間的な動機も」

 おや、と意外そうに、アズランドは唇を曲げた。

「戯言も、そこまでだ」

 レフトが目を細め、アズランドを見据える。

 直後、レフトが妖精宝珠の力をさらに解き放った。背で翼を描く虹が四枚へ数を増し、アズランド目掛けて肉薄する。

 

 

 爆噴杭打(エクリクスィ)が後部から爆炎を吹いた。

 一撃粉砕(いちげきふんさい)

 騎士の武装を()して戦闘形態となっていた黒鋼ゴーレムの頭部を、難なくぶち抜いた。

 宙へ投げ出されたロウェルは、顔をしかめる。二度つづけて、火薬式杭打ち機を使用したのは初めてで、予想より右腕が痺れていた。

 それでも受け身をきちんとこなせた。

 降りかかってきた黒鋼ゴーレムの拳に、左腕の杭打ち機、不屈杭打(エテルノ)で迎え撃つ。けたたましい衝突音と地鳴りを巻き起こした。不屈杭打(エテルノ)の杭を打ち出して黒鋼ゴーレムの腕を弾き飛ばす。

 残りの個体の追撃をかいくぐり、ロウェルは、ゴーレムの部品の陰で態勢を整えた。

 不屈杭打(エテルノ)を引き絞り、バネを押しとどめる。

 爆噴杭打(エクリクスィ)の使用済み薬莢を排出し、腰の小鞄(バッグ)から新たに装填し、脇の棒を押し上げる。

「これでよし、と」

 どちらも終えた瞬間、部品が巻き上げられた。黒鋼ゴーレムの一撃によって。

 一瞬はやく跳び退いていたロウェルが、自分を見失ってきょろきょろする黒鋼ゴーレムたちを眺めた。

 まだ三体もいるのか。ため息をつく。

 それから、ニカッと笑った。

 壊し甲斐があるじゃん。負けん気が湧いてきた。

「またとない腕試しだなー」

 ようやく黒鋼ゴーレムたちが自分を発見した。それらに向けて、

「うっしゃっ! 根比べといこうぜ!」

 意気揚々(いきようよう)と話しかけるや、ロウェルは挑みかかっていった。

 

 

 アズランドは瞠目(どうもく)した。

 リザが険しい形相で腕を交え、目の前にいた。手の甲の結晶が十字架を成して、レフトが鋭く突き出した杭結晶を受け止めている。

 妖精宝珠(スプライトジェム)由来の煌びやかな魔力の反発音と、爪で金属を引っ掻くような耳障りな音がひっきりなしに鳴るなか、アズランドが一歩踏み込んだ。

「すまない、リザ。けど、これで――」

 レフトの横腹(よこはら)に目を屹度(きっと)させ、斬撃を放つ体勢になる。片手剣(ショートソード)剣身(けんしん)は青白い光を帯びていた。

 自身の魔力をたっぷり付与した斬撃。

 決定打にはならずとも、期待はあった。展開されている虹の膜ごと浅く脇腹を斬り、手傷を負わせるくらいの。前回の交戦時から、そう判断した。

 が、その思惑は大きく裏切られた。

 ぶわっ、とレフトの魔力が瞬間的に膨れ上がった。

 アズランドは仰け反り、片手剣は弾かれ手を離れ――宙を高く舞っていった。

 間近でレフトの魔力の変動を感じ取り、ゾッとする。前とは桁違いだ……。

 魔術の才を有するか否かは、他者が呪文(スペル)を詠唱するなどで、魔力を増減させたときに明らかになる場合が多い。違和感や悪寒に似たものとして、それを感じ取るのだ。殊更(ことさら)、アズランドは敏感なほうだった。

「消えろ、人間」

 レフトが目だけ動かし、アズランドを見る。胸元の妖精宝珠の瞬きを強くさせた。

「やめてっ」

 リザがハッとして、叫ぶ。

 リザのほうからも、妖精宝珠を介して魔力が寄り集まるのをアズランドは感じた。彼女の虹の膜が、厚くなる。

 瞬間、並々ならぬ魔力をレフトが放出した。

 咄嗟に床を踏みしめるくらいのことをしたが、まるで意味をなさなかった。たちまち、衝撃波にアズランドは吹き飛ばされ、背中から勢いよく壁に叩きつけられてしまった。

 呻き声を漏らし、アズランドは背を壁に擦りつけながら、座り込んだ。力なく、頭が垂れ下がる。

「アズ⁉」

 遠くからリザの声が聞こえた。ひどく、慌てているようだった。時おり、泣き言のようなものが、アズランドの耳を打った。

「なにがバックアップは任せろ、だよ……」

 自嘲じみた声が、アズランドの口をついて出ていた。うっすら目を開け、ゆっくり顔を上げていく。

 交戦の最中(さなか)にあるリザが視界に入る。

 両腕の杭結晶を巧みに操るレフトに、リザは防戦一方だった。手の甲に咲いた結晶で、どうにか受け流すのがやっとだ。

 妖精宝珠による魔力による勝負ならともかく、得物を用いての戦闘は、明らかにレフトに軍配が上がるのが見て取れる。

 それでも、と苦笑いをして、アズランドはレフトを(なじ)った。

「ロウェルに比べれば……単調な攻め手だ」

 そのとき、ロウェルの杭打ち機の炸裂音がした。見遣れば、黒鋼ゴーレムはあと一体を残すばかりとなっている。

「さすがロウェル。あんなのを容易く……」

 アズランドの感心の声が、途絶えた。ジャケットの内側に手を差し入れていた。

 ややもたつきながら、懐から取りだしたものを、手のひらに乗せた。

 黒光りする円錐状(えんすいじょう)の弾丸。

 あの黒鋼ゴーレムと同じ材質で加工された代物だった。おそらく、軍用なのだろう。街中(まちなか)で売買されてはいないのだから。

 アズランドがこれを手にしている理由は簡単だ。

 黒衣の仮面の連中の一人が所持していたものを、くすねていたからである。ロウェルがあらかた叩き伏せた、あのときに。

 アズランドは、手放さずにいられた右手の拳銃に目を落とした。

「三十八口径。人間相手なら、十分なんだがなあ」

 弾倉を開き、次弾の位置に円錐状の弾丸を装填し、

「試してみるさ」

 ガチリと閉じた。

「この材質なら――目一杯、魔力を注ぎ込んでも耐え得るはずだ」

 思い切るように撃鉄を上げ、アズランドは右手に握る銃を突き出す。そして、弾倉近くに左手を添えていった。

 長いこと、そうしていた。

 リザとレフトの激闘(げきとう)を真顔で見据えつづけた。リザが押され、苦戦を強いられようとも。

 やがて、つうっとアズランドの額から頬にかけて汗が伝った。

「まだだ……まだ、届かないはずだ」

 アズランドは集中していた。

 左手を通して、弾倉の内側にある円錐状の弾丸へ魔力を流し込むことに。弾丸に魔力を以てして、外殻(がいかく)を形成するために。

 それは針に糸を通すような精密な作業だ。少しでも誤れば、誘爆を招き、両手を失いかねない。

 硬く。厚く。鋭く。

 あの虹の守護を穿つためだけの、魔力が必要なんだ。胸中で、言い聞かせたとき、気が遠のく感覚が生じた。魔力の消耗が原因だと、アズランドはすぐに察した。

 限界と断ずると、次の段階へ移す。

「一発だ。たったそれだけで、仕留め切るなら――」

 拳銃の後部の窪みとして存在する照星(しょうせい)と、前部に備わった突起部位である照門(しょうもん) を、標的であるライトに重ね、アズランドは照準を絞ってゆく。その頭部に。

 滲んだ汗が、顎先から滴り落ちていった。

 と、そこでリザが妖精宝珠の能力を強く開放した。あわや、レフトの杭で貫かれそうになったところを、やぶれかぶれという具合に。

 ()しものレフトも、退いてよろめいた。

 ここだ! アズランドは目を見開く。狙い定めて、引き金を引いた。

 決定打となるはずの放れた弾丸は、虹の膜を突き破り、思いのほか素早く応戦の構えをとったレフトの胸に直撃した。妖精宝珠に、半ばめり込んで止まっていた。

「くそっ」

 アズランドは舌打ちした。

 レフトがゆっくりと、アズランドのほうへ振り返った。

「貴様……まだ――」

 レフトの憤りを、鈴の音のようなものが奪った。妖精宝珠が割れた音だった。

 その刹那。

 レフトの全身が、様々な色で光り輝いた。いや、光そのものに変容(へんよう)していた。

 アズランドとリザが唖然と見守るなか、光が散り散りになった。

 無数の妖精(スプライト)となって。

「妖精宝珠が砕けた影響なのか?」

 宙を仰いで、判然としない口ぶりでアズランドは言った。

「これが砕けるとああなっちゃうの……?」

 リザが蒼然となって、近くに寄って来た妖精たちに目を向ける。庇うように押さえ込んでいた胸の妖精宝珠は、次第に光を失っていった。

「おわっ⁉ 妖精ってこんな地下にもいるもんなんすか?」

 駆け寄ってきたロウェルが、仰天した。すべてのゴーレムを壊し終えたらしい。

「いや、これは……」

 壁に左手をつきながら、アズランドは立ち上がる。その直後、拳銃の銃身が半ばからへし折れ、二つに分かれた。

 共々、むちゃしたもんだな。苦笑すると、右手から拳銃だったものを離した。

「なんだ、このありさまは」

 不意に声がした。レフトと同じ声が。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。