逃げ出した虫けらの頭   作:ナチュラル7l72

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偉大な知能

一つ破壊されれば蔓延る生物総てが知るであろう警告を飛ばし

 

二つ破壊されれば地表の生命の首を一部締めあげる。

 

それでも三つが破壊されるならば、愚か者の命をもって償わせる。それが私達の役目だった。

 

 

Ooooooo...

 

 

大量の私達が頭となり胴となり尾となる。全てが私、私が全て。

 

地中から地表へ這いあがったばかりの私達に矮小な人間は彼らの技術の一部である剣をこちらに向け切りつけてくる。だが彼らの持つちっぽけな刃が胴に当たった所で傷どころかささくれにすらなっていない。戦いになっているか怪しいが戦の場は地下深くのエボンストーンの渓谷。地の利すらも私達にある状況でこのゴミが勝てる道理があるわけがなく。

私達の頭突き一撃で内臓ごとぶち抜かれ人間の腹に穴が開く。そのままべしゃりと壁の染みとなり私達の配下であるソウルイーターの餌となった人間を見届けた私達は数十年余りは上に行くことは無いだろうと確信しながら地下へと潜っていった。

その人間が私達が再び牙を向けてきたのは2日後のことだった。

 

 

 

「   …   」

 

 

二戦目。地上にはまだ愚か者があの男以外にまだ私を呼び起こす愚者がいたのかと思いきやなんと一昨日私達を目覚めさせたのと同じ、壁の染みとなっていたはずの男だった。

だがその装備は少し異なっておりタングステンで固められていた防具はプラチナに変わり手に持つ武器も人間の神秘の一端である杖に変化している。先に赤く光る宝石が埋め込まれたその杖からは人間の体内のマナを消費することで炎を放つようだ。次々と私たちの体を燃やし少しずつ体が炭化していくのを感じていく。

 

だが結局人は人。羽も生えていなければ足も大して速くない。所詮地を這うゴミの一人。人間の攻撃は巨体な私達の体を着実に破壊していくがそれもごく一部。万が一にも倒されるなんてことはあり得ない。唯一の懸念であるなぜ前回殺したのにも関わらず生きているのか、という疑問はまったく不明で解消されないが結局のところまた殺せば問題なし。

 

頭である私達に撃ち込まれる炎は中々痛かったが構わずバイルスピットを胴体から放出し衰弱した所を頭から突撃するだけでまたも彼の肉体は肉片となった。私達が彼を片付けた辺りでわらわら顔を出し始めたソウルイーター共がもりもり砕かれた生々しい肉を食べていく。今度こそ必ず死んだことを確認した私達は再び地中に帰っていった。私達にも仕事があるのだ。そう何度も呼ばないでほしいものだと思いながら巨体を震わせ土をかき分けていく。

その人間とまたも相まみえたのは3日後の事だった。

 

 

 

 

 

 

(またこいつかよ!何回私達を叩き起こすんだ愚物めぇ…!)

 

 

けろりとした様子で三回目の戦闘。だが今回が今までとは違いオーブを破壊することなく私達を儀式によって召喚したようだ。そのため私達が出現した場所は渓谷ではなく不浄の地の上だった。そしてその上空には木の足場で作られたバトルフィールド。

いやこれは"バトル"フィールドではない。なんなら戦い場ですらないかもしれない。あの人間は地を這う私達を見下ろしその足場の上から彼らの技術の集合である銃を乱射していた。バレルがサメの様な形のその銃はダメージは杖より低いものの連射性に優れDPSは確実に勝っていた。

そして私達は地を這うワーム。遥か上空で遠距離攻撃を仕掛けてくる人間相手になすすべなく体を破壊されていっていた。もちろん上空に向かって大量のバイルスピットを発射し撃ち抜こうと苦心したがあの人間はいつの間にか足裏に装着されたスペクターブーツによって空を駆け地を走る。その機動性と銃弾の弾幕によって大半が砕かれ避けられる。

 

 

(負ける…?私達が…?)

 

 

ぐしゃり、べしゃりとどんどん私達の胴部が潰れていく。大量の私達が動かない腐った肉に変わっていく。試しに4、5体に分裂して各自特攻を仕掛けてみたが結局のところあの上空に届かなければ意味が無い。全て銃弾に撃ち落とされ次々に力なく地に落ちていく。

 

そして最後に残った私は長所である圧倒的なまでの巨躯はなくなりその大きさは配下のソウルイーターと同程度までに落ち込んでいた。他にできる事と言えば高速で地に潜る事のみ。

人間はようやく足場から降り不浄の大地に足を付ける。片手には怪しく光るLight's Baneを携えている。そしてそれを構え、前まで私達が簡単に踏みつぶしていた時では信じられない程の速さで走りこんできていた。

 

初めての死の感覚。地中の不浄なるものを食い尽くす事を宿命として担っているが故に腐っている私の背筋が凍る。

 

(死んじゃう…?この()が…?)

 

恐怖で私は狂ってしまったのだろう。何がなんだかわからなくなり私は反射的に地中に潜り、そしてそのままぐんぐんと地下へと潜っていく。侵入者を殺す役目を忘れて、己が命を優先し逃げ出す。本来なら考えすらしないであろうその行動に自分でも戸惑いながらも死にたくないという欲求に従い無我夢中で五里霧中の中、私は逃げ続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ~~~??嘘だろ?!後HPミリのところでデスポーンされたんだが??ふざけんなよクソが!!自分で地中に潜ってセルフデスポは意味不明だろッ!」

 

「運よく動画とってたしこの理不尽さを掲示板にでも貼っといてみるか…。ワンチャンよくあることなんかもしれないしな」

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