頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

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第99話 拓海の初めての敗北 走一の決意

ハチロクとワンビアのボンネットから煙が出る様子に、走一と拓海はただ唖然としていたが、走一はゆっくりとボンネットに手を触れる。じわじわと来る熱に走一は感じた。

 

エンジンブロー…、エンジンが限界を超えてしまったのだと。

 

走一はエンジンを無理にし過ぎた事にちょっとばかり後悔していた。

するとそこにエボⅢが来て、京一は助手席の窓を開けて、二台を見る。

 

「…レースの世界ならエンジンブローは負けなんだがな…。初めに言った通り俺はバトルしたつもりはないからな…。現実ってものがよくわかっただろ…。その車はもう寿命だぜ」

 

「…」

 

拓海は京一からの言葉を聞いているか聞いていないかの狭間に立っていて、走一は京一の方を見る。

 

「完全にエンジンが終わってるだろう…。いい機会だからハチロクは潰したらどうだ?」

 

「…アンタ、ちょっとは」

 

「俺は事実を言っているだけだ。いくらコーナーが速く曲がるテクニックがあっても、速い車と遅い車の差は歴然としている…。俺と競い合えるだけの車に乗り換えるまで勝負は預けておくぜ」

 

「笑わせてくれるよ」

 

っとその言葉に走一達は振り向くと、いつの間にか来ていた零士がR34から降りて来て、京一の方を見ながら言う。

 

「お前と互角に渡り合えるって、十分に渡り合えてるじゃねぇか。それに俺に抜かされ…追いつけなかった奴が偉そうに言うなよ」

 

「何!?」

 

「お前は遅すぎる。そんなんで琢磨さんとバトルしようだなんて、100万年も早すぎるね」

 

「くっ!!」

 

零士に言われ放題に言われた京一はそのまま走り去って行き、零士は鼻で笑っては走一達のワンビアとハチロクを見る。

 

「…エンジン、イッちまった様だな。大丈夫か?」

 

「…ああ、こいつは…解体場から見つけて、それを1年間かけてレストアして来て、走り出せたんだ。こいつのエンジンは…レストアしたつもりだったが、どうやら見落としがあった様だ…」

 

「いや違うね」

 

すると零士がその事を否定して、それに走一が振り向く。

 

「こいつは見る限り、お前はワンビアの限界を超えたんだ。丁度いい機会だから、新しいエンジンを探したらどうだ?」

 

「新しいエンジン…?」

 

「ああ、そいつはまだバリバリ動ける。そっちのハチロクもだ、エンジン変えたらまた走ろうぜ。そん時までは腕をもっと磨いた方がいい、俺からしたらまだまだ成長途中の様だしな」

 

そう言い残し、零士はR34に乗ってその場から去って行った。

 

走一と拓海はその場にただ立ち尽くす事しかなかった。

 

 

そして彩音達が居る場所に京一が戻って来た。

 

「何かあったのか?」

 

「こんなもんさハチロク相手に…。余興みたいなもんだからさ…」

 

「余興?それにしては余裕がなかったようだが?」

 

涼介の言葉に京一は首を横に振る。

 

「いやァ…余興にもなんねえな。これからって時にエンジンブローでハチロクはお釈迦だ。それにワンビアもな」

 

「「!?」」

 

「ええっ!?」

 

「エンジンブロー!?」

 

「馬鹿野郎が…!!」

 

走一のワンビアと拓海のハチロクがエンジンブローを起こしては走れなくなった事に涼介とは勿論の事、彩音達を含む全員が驚愕するのだった。

そして彩音が亜里沙の方を向く。

 

「亜里沙ちゃん!お願い!!」

 

「うん!こっち!」

 

亜里沙は直ぐにロードスターの所に行き、彩音を助手席に乗せる。

道郎たちもすぐに動き、自分達の車に乗り込み、すぐに走一と拓海のに向かった。

 

勿論春樹も同じように向かった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして沙耶と瑠華の所では、突如大きな音が聞こえたのを耳にした。

 

「今の何…?」

 

「もしかしたら…あの音」

 

っとそう言っていると道郎達の車が続々と下って行くのを、沙耶と瑠華は見て、沙耶は動く。

 

「あ…」

 

瑠華がそれを言おうとした時にはもう沙耶はスイスポに乗って、道郎達の後を追いかけて行った。

 

その様子に瑠華は少しばかり考えたが、ちょっとだけ気になったのか、自分のアルトに乗って、沙耶を追いかけて行った。

 

 

 

またして、涼介達の所では…。

 

「メインイベントは週末まで取っておこう…。楽しみにしておくよ」

 

「こっちもだ、そっちの万全をしっかりとってな」

 

「けっ、余裕こいていられるのも今のうちだぜ。高橋涼介! 如月琢磨! お前等をぶちのめして群馬エリアは俺達エンペラーが完全に制覇してやるぜ!!」

 

京一はエボⅢに乗りながらも涼介と琢磨に勝利宣言を言い。エボⅢを全開に飛ばしては赤城を後にするのだった。

その様子に琢磨は少しばかり眉を曲げる。

 

「…京一の奴、かなりイラついていたな」

 

「誰にだ?」

 

「零士だ。アイツにどうやらちぎられた事にきてる様だ」

 

「…プライドの強さが、アイツを追い詰めてる…か」

 

そう涼介は呟きながら、去って行った京一を見て、琢磨はタバコを取り出しながら、口にくわえて火をつけるのだった。

 

 

 

そしてまた、走一と拓海の所では彩音達が先ほど到着して、走一と拓海のワンビアとハチロクがエンジンブローをしているのを見て、改めて驚愕する。

 

「走一…!」

 

「俺は…大丈夫だ。ただ拓海の方は…」

 

走一は拓海の方を振り向き、拓海はハチロクに乗っては、ただ茫然として落ち込んでいた。

その様子に見に来た沙耶と瑠華は少しばかり言葉を積もらせる。

 

っと真美が沙耶の方を見て気づく。

 

「あれ沙耶? 貴女来てたの?」

 

「え?うん…、まあね。それよりも朝倉君と藤原君の…大丈夫なの?」

 

「ああ、俺達は平気だ。今道郎が親に頼んでキャリアカーを手配してくれている最中だ」

 

走一はそう言って道郎の方を見ると、道郎は少しばかり首を傾げた状態で携帯を切る。

 

それに凛は問う。

 

「どうしたの?」

 

「いや、さっき父さんからもう向かってるって聞いて…」

 

「え?」

 

道郎の言葉に凛を含め、走一達はそれに思わず向く。すると下から二台のキャリアカーがやって来て、走一達はその運転席を見ると、そこには文太と泰三がいたのだ。

 

「よう」

 

「来たぞ」

 

「「お、親父/父さん!?」」

 

走一と拓海は文太と泰三が来た事に驚き、勿論彩音達もそれには驚きを隠せなかった。

 

そして文太と泰三はハチロクとワンビアのボンネットを開けて、中の様子を見る。

拓海は少し気まずそうな様子で文太をチラチラと見て、走一は泰三の方を見ながら言う。

 

「…父さん、ワンビアのエンジンだけど」

 

「分かってるよ…。取り合えず車を荷台に載せるぞ」

 

「お前もだ拓海、手伝え」

 

「あ、ああ…」

 

「俺達も手伝います」

 

玄達がその事を言い、それに文太と泰三は頷き、ハチロクとワンビアは各キャリアカーのウインチに接続されて、それに引っ張られ、荷台に固定される。

 

「よーし、お前等の手伝ってくれてありがとよ。じゃあ気を付けて帰れ…ん?」

 

文太は瑠華の方に気づき、アルトを見てみて問う。

 

「おい嬢ちゃん。君…篠原の娘かい?」

 

「え?どうしてお父さんの事を…?」

 

「いや、どうもあいつの嫁さんの若い頃に似ていてな…、もしやって思ったんだ」

 

「ん?そう言えばそうだな…」

 

っと泰三もその事に気づいて、それに走一達が問う。

 

「父さん…、知ってるのか?」

 

「ああ、篠原はお前が以前抜かれたSA22Cのドライバーで、彼女はその娘さんだよ」

 

『『『ええ~~~!!?』』』

 

っとその事に走一達は驚きを隠せず。それに瑠華は納得した様子で見る。

 

「そっか…、お父さんが…。この度はお父さんが余計な事してごめんなさい」

 

「い、いやいや…、そんな事は…」

 

「そんな風にされては、対応に困る…」

 

そう慌てる走一と春樹、沙耶もその事に驚きつつ瑠華を見る。

 

「それじゃあ俺は拓海を連れて帰る。お前等も気を付けて帰るんだぞ?」

 

「俺も走一を連れて帰る。彩音ちゃんも一緒に乗りな。送ってくよ」

 

「あ、はい…」

 

走一と彩音は泰三のキャリアカーに乗り込み、二台のキャリアカーは赤城山から退却していく。

それを春樹達は見届け、春樹達もその場から退却するのだった。

 

 

そして泰三が運転するキャリアカーの中で、走一はある決意をする。

 

「(…決めた。新しいエンジンを探す。そして必ず園崎にリベンジをかます!じゃないと俺の気持ちが晴れないし、気持ちよくなれない…)」

 

そう走一が決心をし、その様子を彩音がただ心配そうに見つめるのであった…。

 

 

 

 

 




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