零士と京一とのバトルを終えてから一夜明け、走一は学校に行こうとした、しかし自宅のガレージにはワンビアの姿が無かった。
あの後泰三がワンビアを何処かに持って行ってしまい、それを走一はただ茫然と見ていただけであった。
「(…ワンビア、すまなかったな。新しいエンジンを探すまで暫く休んでくれ…)」
走一はそう心の中で思いながら学校に行こうとすると、電柱の所に彩音が居て、走一は彩音を見る。
「彩音、どうしたんだ?」
「うん…ちょっと走一の事が心配で、あれから落ち込んでないかな…って」
「その事なら大丈夫だ。俺はその事には結構慣れてるからな、心配ないよ」
彩音はその事を聞いて、少しばかりホッとし、一緒に学校へと向かう事とした。
そして学校に到着したと同時に玄達が走一の所にやって来る。
「走一!」
「おう皆、朝から集まってどうした?」
「集まってって…、昨日あんなことがあったのに、走一君はいつも通りなのね…」
真美がその事に言うと、凛と亜里沙も同じように頷く。
その様子に走一は言う。
「皆、俺はカート時代に負けの経験はしているんだ。知っているだろう?」
「でもそれはそれで、カートじゃなく車両でのは初めてでしょ?」
「いいや、同じだよ。俺はカートと車両とは似てると思ってるから、だからもうこの話しはお終い!」
そう言って走一は先に行き、それに彩音達は顔を合わせながら後を追いかける。
「さて…、問題のエンジンをどうするかだ。今のSRエンジンは何処でも手に入る代物だと思うけど、そう簡単に手に入るものじゃない」
「え?そうなの?」
「ああ、エンジンは単体だけで数千万もするからな。今の俺の金じゃ無理だ…」
走一は頭を悩ませながら歩いていると、下駄箱の所に拓海が居て、走一達は拓海の所に行く。
「よう」
「ん?おう…」
「気分は?」
「……なんか、大事な家族が居なくなったって感じ」
拓海の言葉に走一達は少しばかり言葉を積もらせる。拓海は走一と違って、負けたのは初めてで、大事なハチロクが居なくなったことに少しばかり寂しさを感じていた。
拓海にとっては初めての挫折、この挫折をどう乗り切るかは、拓海次第である。
走一達はその事を考えると、やはり言葉を積もる。
するとそこにイツキがやって来た。
「おっす!今朝も快調に寝ぼけてんな拓海~!」
「イツキ、お前の方こそ朝からハイテンション過ぎるぞ。何浮かれてんだよ…」
「決まってんだろー。いよいよ今日だぜ、レッドサンズとエンペラーの交流戦! しかも如月琢磨も走るからこれは見なきゃいけないだろう~!」
「……」
イツキがレッドサンズとエンペラーとの交流戦が待ち遠しいと思うばかりのハイテンションで、その事に拓海は黙り込んでしまう。
っとその事に走一達が…。
「お、おいイツキ、お前少しは落ち着けって」
「これが落ち着けるかよ! くぅ~~~!!!早く夜にならねぇかな~!?」
バコーン!!!
「あでぇー…(涙目)」
真美のドデカいハンマーを受けたイツキはそのまま倒れ込み、イツキを睨み付ける。
「全くアンタって奴は!」
「何か、真美のハンマーを見るの…すっごく久しぶりな感じ」
っと凛がその事に呟くのは言うまでも無く、それを友梨佳はすくすくと笑っている。
その様子に走一達はため息を吐くのも仕方なかったのであった。
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そしてガソリンスタンドの方では…。
「何だとーっ!?拓海と走一が負けた?」
「ええ」
「アイツ…、拓海は昨日やっぱり赤城に行ったらしいんですよ。走一の方はバトルがあるからいいんですけど、噂によると…バトルの途中で、拓海と走一のハチロクとワンビアが止まったらしいんですよ…」
池谷と健二の説明を聞いた祐一は驚き、それをさらに聞いて目を開く。
「止まった? 故障か?それともハチロクとワンビアのエンジンが壊れたのか??」
「それが俺達もよくわかんないんですよ、店長の方は何か聞いてませんか?」
「いや、俺は何も聞いてないぞ? そうだ!文太なら何か知っている筈だ」
祐一はそう言って携帯を取り、文太に連絡する。しかし文太は留守で電話に出ず、それに祐一は苛立って切る。
「くそ!文太は留守だ! あっ!泰三なら何か知っているかもしれない!泰三に連絡してみよう」
そう言って次は泰三に連絡し、携帯を掛ける。
するとではのは泰三ではなく、恵子が電話に出る。
『はい?』
「あれ?恵子ちゃん?何で恵子ちゃんが泰三の携帯に?」
『今主人は手が離せないから私が電話に出ているんです。どうかしましたか?』
「ああ、どうも走一のワンビアがバトルの最中に止まったって聞いたから、恵子ちゃんは何か知っているか?泰三から」
そう祐一が問うも、恵子はその事に首を傾げながら言う。
『さあ…その事は私も詳しくは、でもあまり他人に聞くのではなく、祐一さんご自身で確かめに行った方が早いのでは? その方が良いと思います』
「そ、そうか…。ありがとう恵子ちゃん…」
そん事に祐一は電話を切り、それに池谷達は問う。
「店長?どうだったんです?」
「詳しくは分からないから、ご自身で確かめに行った方が良いとさ…。恵子ちゃんも何気に教えてくれない所もあるからな…、その所は旦那に似ているよ…」
祐一がそう池谷達が言うと同時に、ガソリンスタンドに三台の車が入ってくる。
池谷達が振り向くと、入って来たのは啓介のFDと、雅人のHCR32、そして慎太郎のM3であった。
「おい、高橋啓介じゃんかよ…」
そう健二が言うと、啓介達が車から降りて来て、啓介が池谷達にある質問をする。
「藤原拓海は?」
「あいつ…今日は休みですけど…」
「そうか…。出来れば直接話がしたかったけど…あいつに伝えといてくれないか。昨日のバトルは無効だ。俺は認めてない。あんなおかしなバトルはバトルじゃない。世間の奴らはどう思ってるか知らねえが…、俺は藤原拓海が負けたと思っちゃいないんだ。それともう一つ、仇は必ず取ってやるからな。クソ生意気なエンペラーの鼻っ柱俺達がへし折ってやるぜ。じゃあな」
啓介はそう言い残し、去ろうとするが。池谷がそれを言う。
「わかった…、必ず伝えるよ。今夜のバトル頑張ってくれよ。俺達も応援に行くからな」
啓介はその事に頷き、FDに乗っては走り去って行く。
そして残った雅人と慎太郎は池谷達の方を向く。
「走一は今は学校か?」
「ああ…、アイツに何か?」
「ああ、エンジンがブローしたって聞いて、どんな様子か見に来た。もしエンジンを載せ替えるのだったら、手伝うつもりだったが…」
「いない様じゃ仕方ないよな。でも走一君には出来たらNAのエンジンに載せて貰いたいと俺の願いでもあるけどな…」
慎太郎の言葉に、雅人は少しばかり困った様子で言う。
「おいおい、それはアイツの考え次第だって言ってるだろう? そう言う事だから失礼する。今夜赤城に行くつもりなんだろう? 赤城で会おう」
「分かった。じゃあな」
雅人達はHCR32とM3に乗り込み、ガソリンスタンドから去って行き、それを池谷達は見送ったのだった。
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