頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

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お待たせしました。最新話です。


第112話 ハチロクへの欠如

走一と小太郎が話しをし、小太郎が挑戦を叩きつけた丁度その頃、拓海達はと言うと、ちょっとだけ修羅場となっていた。それは拓海と渉が少しばかり口論になりかけたのだ。

それは拓海の新しいエンジンがパワー不足と語る拓海に渉がキレた。それは拓海のエンジンがグループAのTRDエンジンである事に気づいた渉が、拓海がふざけてると思われ、それに拓海がキレそうになる。

 

しかしそれを和美が止めて、渉が去って行き、拓海も去って行ってしまう。

 

残ったイツキと和美はどうすればいいか分からず、その場で話し合うしかなかった。

 

 

そして渉は秋名山の頂上でハチロクターボのボンネットの上で寝転がっていた。

 

「(くそ…和美のビンタが効いたな…。まさかあそこまでとはな…)」

 

そう思っている中で、拓海のハチロクが来て、その場に止まった。

それには渉は見て、拓海も渉を見てはハチロクから降りる。

 

「…何故止まったんだ? そのまま素通りすれば追っかけようとは思わない。そのまま止まったんじゃ、さっきの続きがしたくなって来たぜ」

 

「…俺はアンタには感心ないけど、一つだけどうしても気になる事があるんだ。こいつのエンジンが本当に凄いエンジンなのか知りたい。走一達はエンジンを一度見てくれたけど、その後は何も言わずだったんだ」

 

「…おまえ、本気で言ってるのか? 車の持ち主が知らないって…、大体どっから調達したんだよ?こんなもの」

 

「親父がどっかから持って来て載せ替えたんだ。それしか…俺は知らなくて」

 

拓海の言葉に渉は思わず聞く。

 

「親父さんが? そうか…お前の親父レース関係の仕事をしてるのか」

 

「いや、豆腐屋だけど」

 

っと拓海の言葉に渉は思わずズッコケそうになった。

 

「(何で豆腐屋がこんなエンジンを持っているんだ? 金を出しても手に入れられるエンジンじゃない筈なのに…)…まあいい、俺もそのエンジンには興味があるからな、俺を助手席に乗せて入って見てくれないか? そのエンジンを自分の身体で感じて見たいんだ」

 

その言葉に拓海も頷き、渉を助手席に乗せて、ハチロクを走らせるのであった。

 

 

 

 

そしてどこかの居酒屋、そこに海斗と陽毬、夏夜子と神楽坂、慎太郎と英太の六人がそこで食事をしていた。勿論お酒は頼まず。

 

「う~~~!お兄ちゃん! どうしてそんな女と~~!!」

 

「あははははは…、夏夜子ちゃん。まだ根に持ってる…」

 

陽毬は夏夜子のしぶとさに苦笑いする。それには海斗はため息を吐き、神楽坂はそれに申し訳なさそうに頭を下げる。。

 

一方慎太郎はちょっとばかし考え事をしていて、それに英太は問う。

 

「どうした?さっきから考え事をしてるみたいだけど?」

 

「いや、走一君と拓海君のエンジンの事を考えていたんだ。亜里沙から聞いた際、拓海君のエンジンは自然吸気の凄いエンジンだって言ってたから、それは安心したんだけど、走一君のはレース用のコンプリートエンジンだそうだ。あれを何処で手に入れたかは知らないけど、ターボなんてまた…」

 

「それは走一君の走りにどうしても必要なんじゃないか? 俺も彼の走りは知っているから、それはどうしようもないと思うな…」

 

「でもターボとスーチャ―はどうしても「はいはい分かったって、お前は何時も過給機は邪道だって言うは分かったっての」っ!英太!」

 

慎太郎はその事を言う英太に少しばかり睨み、それに笑いながら言う英太。

 

「でもさ慎太郎、それ間違ってプロの人等に言うんじゃねぇぞ? それを聞いたら“お前は限界を感じた走りをしてねぇな?”って言ってる様なもんだからな? 間違いなく」

 

「そうだな…俺のNSXも一応限界を感じる位の走りはしていたんだけど、なかなかなぁ…」

 

「それはそうだけど…」

 

どうしても慎太郎は過給機の事を認めるつもりはない様子、その事に海斗と英太が呆れていると…。

 

「なあ~どうするんだよ文太」

 

「「「「「「??」」」」」」

 

突然カウンターから声がして、海斗達は振り向くと、そこには文太と泰三、そして和真達が座って酒を飲んでいた。

文太と泰三がビールを飲みながら語る。

 

「ん?ああ…、予定では一ヵ月くらいかかると思ってたんだがな…、馴らしとしてはもう十分に来ているんだがな…」

 

「まあ走一も良い感じになって来たのは言うまでもないが」

 

「発注した物はもう届いてるんだぞ? もうそろそろ拓海のハチロク、いいんじゃないのか?」

 

「そうなんだがな…、なんかこう拓海からのインパクトが弱いって言うか…」

 

「文太。君の言いたい事は分かるよ。拓海君が自身である物に気づく事が」

 

っと智晴の言葉に文太は頭を親指でかき、またビールを飲んで言う。

 

「…ぷはぁ、まあな…テクで乗りこなそうとしている熱心に走り込んでいるのは良いんだが…もうそろそろ気が付いて良い頃なんかじゃないかな?」

 

「無理があるだろう。アイツは走一と違って、メカに関しては無知だ。誰かからのアドバイスがないと、一生気付かない」

 

「……」

 

和真からの言葉に文太は黙り込む、それには泰三が文太に言う。

 

「文太、そろそろ答えを言ってやったらどうだ。あの子はあの子なりに走り込んでいるのは知ってる、走一もそうだ。自分で気づかせるのはまた違うぞ?」

 

「そうなんだが…「あの!!」ん?」

 

突如声を掛けられ、それに振り向く文太達。声を掛けて来たのは海斗達で、慎太郎が前に出る。

 

「あの!もしかして走一君のお父さん…なのですか!? ワンビアに乗った走一君の!」

 

「ん? ああ~…もしかして君がM3に乗っているドライバーか」

 

っとその事に気づく泰三だった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして秋名山では、拓海が渉をハチロクの助手席に乗せて、秋名のダウンヒルを行っていた。

 

助手席に座る渉は拓海の走りとハチロクの何かを探っていた。

 

「(妙なフィーリングだ、シフトすると加速がもたつく、レブリミット付近ではかなりパワーが出てるのに、シフトアップの直前でパワーバンドを外すのか? これじゃ欠陥エンジンだぜ…ドガンと来るターボのフィーリングと比べるとかったるい、何故だ?こいつのポテンシャルはこんなものじゃない筈…)っ!」

 

すると渉が次のコーナーに差し掛かった際、鋭い突っ込みと鋭さに思わずアシストグリップを握りしめる。

 

それに拓海は気にせず、シフトダウンをしてコーナーを曲がる、多少揺れはあるものの、拓海の繊細なドラテクがそれを何とかコントロールしている。

 

「冗談だろう…!?」

 

それには渉が思わず声が漏れ、それに気にせずに拓海は走り続け、そしてシフトアップすると渉がまた感じた。

 

「(まただ…!何故?)」

 

それに渉は拓海の方を見て、そしてある事に気づいたのだ。

 

「(っ!! そうか!そう言う事だったのか…!!)」

 

 

 

拓海のハチロクが頂上に戻り、車を止めては渉が一息ついた後に言う。

 

「ふぅ…、教えてやろうか。パワーが出ない理由を、馬鹿馬鹿しいくらい基本的な事だ。それだよ、お前の目の前にある“タコメーター”さ」

 

「タコメーター…?」

 

渉の言葉に思わずタコメーターを見る拓海。

 

「そのタコメーターじゃ駄目なんだ。全然上が足りてねーんだよ。このエンジンは回転数上げてパワーを絞り出す高回転型エンジンなんだ、自然吸気のレース用エンジンってものはそう言う物なんだよ。その証拠に引っ張って行くとシフトアップする直前にグワっとパワーが出てくるだろう?もっと回してやらないと駄目なんだ、一番おいしい所が封印されて使いないでいる。俺の予想が正しければ、このエンジンは一万回転以上は軽く分回る筈だ!」

 

「っ!!!」

 

その言葉に拓海に大きな衝撃が走る。

 

「7千回転のちょっとしかないノーマルメーターでは話にならないんだよ、それこそ宝の持ち腐れだ!」

 

「……」

 

渉の言葉に拓海は言葉が出ないでいた。

 

そして拓海達はハチロクから降りて、ハチロクのボンネットを開けて、TRDエンジンを見る。

 

「これは元々ハチロクに載っているエンジンじゃない、呼び名は同じ4AGだが、二世代先のAE101に搭載されていた、5バルブヘッド新型がベースだ。“VVT”って名前の低回転と高回転でバルブタイミングを切り替えるメカが付いていた筈なんだが、そいつを潔く取っ払っている所を見ても、こちは間違いなく超高回転型ユニットだ」

 

「(…超、高回転型)」

 

渉の言葉に拓海はエンジンを見つめる事しか出来なかった、走一達がこのエンジンを見た際に何も言わなかったのは、恐らく拓海にどう聞いても、それに分からずじまいだったからだ。

 

そして渉はボンネットを閉じて拓海に言う。

 

「さっき助手席に乗って見て、不思議に思った事があった。レース用エンジンを載せている割には、インパネの回りがいかにも寂しすぎる、最低でも水温計と油圧計の追加は必要だ。恐らくこの車を仕上げた人間は、よーく車を熟知した人間だろう、足回りもブレーキもバランスよく強化され、ボディもしっかりしている。なのに何故メーター類が取り付けていないのか、考えられる答えは1つだ。何らかの理由があって、意図的にパワーを封印してあるのさ!」

 

「パワーを封印…?」

 

「見事に単純で確実な方法だ。上手い走り屋程オーバーレブしないからな。タコメーターを付け替えない限り、レッドゾーンを回す事は考えられない」

 

そう言って渉は自身のハチロクターボの所に向かいながらこういう。

 

「今までハチロク乗り気に仲間意識を持つ事はあっても、敵意を持ったことは無かった。こんな事は初めての事だ、俺は今…お前に絶対負けたくないって思っている! いくら車を運転する技術が凄くても、お前には走り屋としての大事な物が“ぽっかり”と欠けている!!」

 

「っ!!」

 

「お前だけには絶対負けられない!! 近い内に必ず決着をつける!!俺の相棒と一緒にワンビアを蹴散らしてな!!」

 

「ええっ!?」

 

その言葉を聞いて拓海は驚き、渉はそのままハチロクターボに乗り込んで、秋名山を下って去って行くのであった。

 

「大事なものが…ぽっかりと欠けている」

 

その言葉に、拓海はただ茫然とするしか、なかったのであった。

 

 

 

 




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