走一達が通う学校、その屋上では走一達が集まっていて、走一達は車の事で話し合っていた。
その中で真美は少しばかり不機嫌そうな表情をしながら黙り込んでいて、それを見ていた走一達が問う。
「おいおい真美、もういい加減その不機嫌さをなんとかしろよ」
「なによ玄、あんたは黙っててよ。それに皆はあの茂木の事を何も知らないくせに」
「ちょっと真美、やめてよ…一応私は知ってるわよ。茂木さんの事は」
真美が愚痴を言おうとした際、凛が少々慌てながら茂木の事を言う。
これはまだ走一達や拓海は知らない事だが、実は茂木は他の男性とホテル街で援助交際をしていて、月に3回会っているとの事だった。
拓海にこれが知れたら、もし拓海に知れたら拓海は完全にキレて、茂木を完全に遠ざける。
走一達はそれにはただ、見つめる事しか出来なかった。
「…それにしても啓介さんが負けたハチロクか。どう言う事だろうな」
「ああそれな。俺も気になってしょうがない、一体どう言う事なんだろう」
「僕はあまり分からないけど、ハチロクって10前に発売された車なんだよね?」
廉一郎の言葉に走一は頷く。
「ああ、当時はスポーツカーとしてかなり人気があった車で、モータースポーツに大活躍して様々なタイトルを奪取していったって言う歴史もある。その時の代表的な車だって言う事は間違いなかった。
でもはやり年数が過ぎて、ハチロクは徐々に人気は落ち、ボロだって言う奴が居るのも無理はない。まあハチロクファンからはかなり愛されているな、特にイツキの場合がいい例だ」
「しかしイツキは何時からハチロク好きになってたんだ?まさか幼い頃からハチロクが好きって事はないよな?」
「いやあり得るかも知れねーぞ! あいつの事だからよ!」
イツキの事に道郎が玄がその事を言うと同時に、別の場所にいたイツキが大きなくしゃみをする。
「ハックシュ!!!?」
それを見て拓海は振り向く。
「どうしたイツキ?」
「いや、誰かが俺の事を噂してたのかな?この俺が超イケてる男だって言う事に!クゥーーーーッ!!」
イツキの意味が分からない事に拓海はただ呆れる他なかった。
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「ふーん…なる程な」
そして場所が分かって、藤原豆腐店では池谷が文太に秋名山で起きた事を話し、それを聞いた文太は煙草を吹かしながら呟く。
「確か赤城の連中は上手い奴等ばかりいたな。まさかそんな奴等がお前の所のチームと対戦するとは。だがその話ならば断わるぜ今更俺みたいなオヤジが出ても場違いなもんだろう、それはお前等若者同士でどうにかしなきゃいけね」
「はい…勿論です、だから俺に…秋名の下りの攻め方を教えてくれませんか? コンマ一秒でも良いんです!」
「……折角だが、それも無理な注文だな」
文太の言葉を聞いた池谷は衝撃が走った。
「ドラテクってのは2,3日でどうにかなるってもんじゃねえ、どうすれば車が思い通りに動いてくれるかをとことん考え、とことん走り込むしかない。俺も現役で走っていた頃は夢の中でさえも秋名を攻めたぜ」
「っ…」
「寝ても覚めても考える事と言えば走りの事だけだったよ。それでちょっとでも思いつく事があれば夜中でも布団から飛び出して峠で試した、常識では考えられない様な素っ頓狂な事も試したな。
10個思いついたアイデアの内9個は使い物にならなかったが、それでも懲りずに走り続けたよ。ドラテクってのはそう言うもんだ、教えられて身に付くもんじゃねぇ、自分で身に付けるもんなんだ、帰んな、力になれず悪かったな」
ドラテクの事を聞かされてた池谷は心の中ではかなり悔しい思いをする。しかし池谷は…。
「…俺は諦めませんよ藤原さん、また来ます。俺は秋名で育った走り屋だから…レッドサンズが秋名の走り屋全ての馬鹿にしているのが見えて、一番ムカつくんですよ。
秋名にだって本当は実力のある走り屋がいると事あいつ等に見せて付けたいんです!だから俺は…また来ます!」
そう言って池谷はS13に乗り込んで走り出し、それを文太はそれをただ見送るのだった。
その後、夜になって秋名山で走り込む池谷は必死に考えていた。
「(とことん走り込む…やっちゃいるけど、タイムはちっとも縮まらない…何故だ! くそっ!いくら考えても分からない…!分からないからヒントが欲しいんじゃないか!!)」
池谷は次のコーナーに差し掛かろうとした時に、対向車線から別の車がやって来た事に気付いた。
「(っ!対向車!? しまった!反応が遅れた!)」
だが時すでに遅し、ブレーキを踏んでもかわせない事に気付く池谷。
「(不味い!かわせない! イン側に逃げてくれ!!)」
対向車はすぐにイン側に回避し、何とか衝突は逃れた。それをホッとする池谷だったが逆に今度はガードレールが目の前に迫って来る。
「う!うわあああああああああああああああああああ!!!!!!」
そして池谷のS13はそのままガードレールへと激突してしまった…。
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翌日、拓海とイツキがバイトしているGSに走一達のワンビア達が入って来る。
「いらっしゃいませー…って何だ、走一達か」
「おいおいお客に対して失礼だなお前」
イツキの適当な接客に走一は思わず愚痴る。
「だってハイオクしか入れないお前たちだし、後すぐに帰るだろう?」
「何時までもいる訳じゃないから当たり前じゃん」
「まあまあ、早くガソリン入れて行こう?」
「ああ、って事で拓海、ハイオク満タン」
「はい」
普通に接客をする拓海は走一達の車にハイオクを入れ始める。するともう一台車がやってくる。
それは健二の180SXだった。
そして健二から衝撃的な言葉が出て来る。
「ええぇーーっ!! 池谷先輩が事故った!?」
「「「「っ!?」」」」
「「「「えっ!?」」」」
イツキの大声を聞いた走一達は思わず振り向いて駆け寄り、拓海も走一達のハイオクを入れ終わると同時に駆け寄る。
「何時ですかぁ!?」
「昨日の夜、秋名の下りでガードレールに…」
「それで、池谷先輩の怪我は?」
走一が池谷の容態を問い、それを健二は言う。
「バケットシートの4点式シートベルトで身体を固定してたから酷くはない、軽いむち打ち程度だ…。ただ精神的なかなり参ってる様だ、車の方もかなりいっちゃってるらしい」
「じゃあどうするんですか!?土曜日の交流戦!?」
「…絶望的だよな、兎に角池谷の代役立てないと…」
健二は少しばかり落ち込んだ様子に走一達と拓海達はただ何も言えずにいた。
そして場所は変わり野田修理工場。ここに池谷のS13が運ばれている。
池谷はその修理工場にやって来て、スタッフが池谷の方を見て驚く。
「あ、池谷さん! いいですか?出歩いて」
「ええ…ああ、俺の車は?」
「奥の工場です、今社長が見てくれています」
「え?社長さんが…?」
池谷はその事に首を傾げながらも、奥の工場へと足を運び、工場の方をに行くとS13の所にこの野田修理工場の社長【野田
和真は一通り見た後、胸ポケットから煙草を取り出し、ライターを取り出して火を付けて煙草を吸う。
「ふぅー…」
「あ、あの…」
「ん?おお~…この車のオーナーかい?」
「はい、池谷って言います」
「池谷…、祐一がやっているスタンドの所かい?」
っとそれを聞いた池谷は目を開く。
「え?店長を知ってるんですか?」
「ああ、俺もあいつと同じように元走り屋でな、あいつ等と一緒によく走りに行ったもんだ…。まあ俺の事はいいとして、兄ちゃん…あんた相当焦ってるな」
和真の鋭い言葉を聞いて、池谷は思わず心に痛みが走る。
「このぶつけた様子を見ると、まだ車を持ってざっと3年、ただ滑らせて走るのが好きな奴の走りだな。だが本気で走った経験は一度もないと見た、それで焦って車をガードレールにぶつけた…違うかい?」
「…はい、その通りです。俺は別の峠の走り屋達…、赤城の連中が俺達秋名の走り屋を馬鹿にしてくるのがムカついてしょうがなくて、でも向こうの方がドラテクはかなりあって…それで…俺は」
「対向車との衝突を避ける為、ガードレールに衝突…か。兄ちゃんの気持ちは分からなくはねぇ、だが時に敗北を受け入れ、そこから成長するってのもある」
「なっ!それじゃあ駄目なんです! 俺は秋名の走り屋として意地になっても走れる奴がいるって見せつけたいんです!」
っと言った途端首を抑える池谷、それを見た和真は何とも言えない雰囲気になり、池谷の方を見る。
「兄ちゃん、お前さんが意地になっても解決しねえぞ」
「分かってます…、だからこれからある人の所に行く予定です」
「ある人…?」
「藤原って人の所です。その人に言ってあるお願いをするんです、それじゃあ」
そう言って池谷は原付バイクに乗って修理工場を後にし、それを見た和真は呟く。
「藤原…、まさか文太の所か? あいつも貧乏くじを引くな~。そうだ…あいつにもちょっと連絡しておくか」
和真はそう言うと同時に携帯を取り出し、ある場所へと連絡をするのであった。
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