ハイパワーシルエイティを先頭にワンビア、ハチロクターボ、そしてハチロクが進んでい行き、埼玉の正丸峠入り口に入る。
その時ハイパワーシルエイティとハチロクターボのハザードが点灯し、それに走一と拓海が見る。
「(っ!ハザード!)」
「(ここからか!)」
「(行くぜ、一本目から大事な車潰すんじゃねぞ!)」
「(バトル開始だ!!)」
そして小太郎はアクセルを踏み、スピードを上げて登って行き、ワンビアもそれに追いかける。
少し遅れてハチロクターボも上り、ハチロクはと言うと…。
「(上りか…)」
「どうだ拓海!付いて来れそうか!?」
インカムを付けている走一は拓海にそう聞くと、拓海は答える。
「今上げる!」
そう言って拓海はアクセルを踏んで、タコメーターの回転域を上げる、そして一万回転に回した所で、TRDエンジンの真のパワーが発揮されて、渉のハチロクターボにピタリと張り付く。
それに拓海は驚く。
「これは!?」
その様子を後ろから見ていた渉は口角を上げる。
「俺の言った通りだったろうが、良いエンジンだ。上りでも俺に付いて来れるんだからな、こっちも遠慮はしねぇぞ!!」
そう言って走らせる渉。それと変わり小太郎は後ろから付いて来るワンビアを見る。
「いいね~、結構上がるじゃねぇか。そっちのエンジンも軽く300馬力以上は超えてる! 俺のシルエイティの馬力は378馬力だ!負けられねぇぜ!!!」
小太郎は体内のアドレナリンを上げながらも走らせていき、走一は逃げるハイパワーシルエイティのケツを追いかけるのだった。
狭い正丸峠のコーナーをクリアしていく四台。トリッキーなコーナーとうねる路面でスリップする舗装、それを諸共しない四台は進んでいく。
「(俺がハチロクに拘るのは、古い車だからって理由を逆手に取り、相手を追い詰めるのが快感だからだ、だが今回ばかりはそれは通用しない、同じハチロク同士、絶対に負けられない!!)」
「(俺はシルエイティに拘りを持っている訳じゃない。最初は180SXを買う為だったんだが、こいつのエンジンの秘められた可能性を引き出す為に、俺はこいつ…シルエイティを選んだ!! そして相手はその逆のワンビア、絶対に負けられねぇ!!!)」
渉と小太郎が内心に語りながら後ろを見る、ハチロクとワンビアから出るオーラが2人には見えた。
「(今までどんな相手よりも、息苦しいプレッシャーを感じるぜ!!)」
「(お前等から発するオーラを、俺達は見えるぜ!!)」
ハチロクとワンビアの発するに対抗するハチロクターボとハイパワーシルエイティ、互いが追いつかれない事や、追い抜かれない事を意識しながら、両者達は激しいバトルを繰り広げる。
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正丸峠 頂上
「それよりも啓介さん、いいんですかこんな所で?」
「他にギャラリー決め込む場所もねぇだろう、こう狭くっちゃな」
そこでは涼介や琢磨、啓介達がハチロクとワンビア、ハチロクターボとハイパワーシルエイティが来るのを待っていた。
だがそこに居るのは涼介達だけじゃなった。
「まさか君達も来ていたとはな」
琢磨が先に到着していた春樹達の方を見て言い、春樹もその事を言う。
因みに春樹達は勇夫のインプレッサに乗せて来ていた。
「俺は走一と拓海が勝つ事を前提として、応援に来ただけにすぎません。ただこの狭い峠は車じゃなくバイクが適してますね」
「そうだな…」
そう語ると、スキール音が聞こえて来て、それに涼介達は振り向く。
「来た!」
「走一君達が来る!」
沙耶と絢美が見る中で、先頭にハイパワーシルエイティとワンビア、後ろにハチロクターボとハチロクがやって来て、涼介達の前を通り過ぎていく。
その中で渉はアクセルを踏み、エンジンから湧き出るパワーに酔いしれては、溢れる感情を爆発させる。
「っしゃあー!!来た来た―ッ!!」
小太郎はアクセルを踏み、直6のRB25ターボのパワーを爆発させ、若干ホイールスピンを起こしながらも、それを僅かながらアクセルワークで抑える小太郎。
「くぅ~~~!!!この緊張感!!たまらねぇぜ!!!」
渉と同じように酔いしれる様に感情を爆発させ、四台は通り過ぎて行った。
それを見た啓介は呟く。
「時代遅れのドッカンターボか…」
「4A-Gにターボは載せるは別に可笑しくはないが、あのパワーだと大体280馬力ぐらいは出てるな…」
「完全に足回りが潰れるな」
「私の様なハチロクに、足回りをアップグレードしたら、あのレビンもすっごく安定するよ」
啓介の言葉に雅人、海斗、蓮華の三人が呟く中で、賢太が啓介に問う。
「ねえ啓介さん、藤原のトレノも秋山のレビンも、朝倉のワンビアも柳田のシルエイティも、ヘッドライトとテールランプのデザイン、フロントマスクが違うだけで基本的には同じ車ですよね? なのに何であんな走りが違うんですか?」
「っ、それは…、そう言う事は兄貴に聞いてくれ。俺は頭で分かっちゃいても、言葉にするのは苦手だからな」
「結局言えてないと一緒だぞ」
「う!うるせぇ!」
雅人の言葉に思わず反論する啓介、それを聞いた涼介と琢磨は微笑みながら言う。
「フフフ、賢太の言う通り、トレノとレビンは双子、ワンビアとシルエイティは姉妹の様なものだ」
「だがあの四台は、チューニングアプローチが異なる為、全く別の車に生まれ変わっているんだ」
その言葉に啓介達は見る。
「タービンなどの過給機を使わないチューニングを【メカチューン】と呼ぶ、藤原のトレノがそれだ。アクセルを踏む動きにダイレクトにエンジンの回転が付いて来る、応答性の良さが最大のメリットだ。限界に近いスピードでコーナーに進入した後でもメカチューンならそこからの微調整が可能で、更に追い込んでいける。だからターボチューンに比べ思い切った進入が可能だ。藤原のトレノ…メカチューンは突っ込みに強い!」
涼介がそう説明した後に琢磨が渉のハチロクターボの事を説明する。
「それに対し、秋山のレビンはターボチューンだ、ターボはコーナーの突っ込みとコーナリングの切れ味にはメカチューンに一歩譲るとして、排気ガスから回すタービンの吸入による圧縮によってパワーを増し、直線の加速の鋭さでそれを凌駕する。ターボチューンは立ち上がりに強い!」
「へぇー、じゃあレビンのふらつくあれは何ですか?」
沙耶がそれを聞くと、涼介がそれに答える。
「ターボラグの大きいドッカンターボって奴は、一度ブースト圧を落ち込ませると立ち上がるまでがかったるい。その為、あいつはコーナーの出口でマシンが振られてもアクセルを戻さずカウンターだけで抑え込んでいるんだ。恐らくあのレビンの車体を揺らす走りは、クセのあるマシンを乗りこなす為に自己流で身につけたテクニックだろう」
その説明を聞いた沙耶と絢美は感心する中、慎太郎はその事に呟く。
「ターボなんて、エンジンに負担を掛ける事をどうして…」
「言った所変わる訳じゃないよ?」
陽毬が慎太郎の事に言い、それに慎太郎は。
「でもターボはエンジンの寿命を縮める諸刃の剣だ!」
「それもあいつ等が決める事だ」
それを雅人が言い、それに言葉を積もらせる慎太郎。
すると絢美がある事を問う。
「あの、走一君のワンビアと柳田さんのシルエイティは直4と直6ですよね、その違いってどうなんですか?」
その事に琢磨が答える。
「直列4気筒は軽量で部品点数が少ないとの事で、コスト重視に見られるのが点だ。それと同時に軽快でやや荒々しい振動もするが、摩耗が少ない所が1つだ。対して直列6気筒は燃焼サイクル間の時間が短く、ストロークも短い上にバランスが優れている。だが部品点数が多い為か、エンジンの重量は増加し、100㎏近い重量がエンジンルームの重さを現す。4気筒は軽量でバランスが優れていて、6気筒は安定とフィーリングに優れている」
「は、はぁ…。あ、でもあのシルエイティのホイールスピンはどうなんで?」
賢太がその事に圧巻するも、ハイパワーシルエイティのホイールスピンに疑問が残る。それを琢磨が続ける。
「柳田のシルエイティは、RB25エンジンでターボも備えれている為か、そのパワーのダイレクトが路面を捉えきれず、ホイールスピンを起こしているのだろう。その為、アイツは繊細なアクセルワークで、ホイールスピンを調整しながら何とか路面に捉えさせているんだ。あのマシンも秋山のレビン同様に、癖のあるマシンを乗りこなす為に身に着けた自己流の技術なのだろうな」
「(兄貴と同じ事言いやがる…)分かったか賢太、峠の走りは奥が深いんだよ」
「はい、流石涼介さんです」
「何言ってやがる。口で説明出来なかった癖によ」
「美味しい所だけ持って行くなよな」
「ぐぅ…」
賢太に言う啓介に対し、雅人と海斗がそれに愚痴を飛ばし、言葉を積もらせる啓介。
その様子に陽毬たちは何とも言えない感じになっていた。
そして春樹達の所に沙耶と絢美が近寄る。
「走一君と拓海君、勝てるかな?」
「あいつ等は勝つさ、勝って貰わないと…、俺の立場が無いからな」
そう呟く春樹。
そしてバトルは一本目の中盤を超えるのであった。
ワンビアとシルエイティのエンジン説明、難しかった…。
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