頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

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第118話 群馬最速コンビVS埼玉最速コンビ 中編

ハイパワーシルエイティを追いかけるワンビア、ハチロクターボの背後を追うハチロク、四台の車は狭い正丸峠を走る中で、走一は小太郎の乗るハイパワーシルエイティの走りに少しばかり衝撃を受ける。

 

「(なんて走りをするんだ…あいつ! ホイールスピンをしながらあんな状態で走ると、タイヤが一気にもっていかれるのに、それを平然としてやがる…! 相当乗りこなしていると見るな…)」

 

そう感じる走一だったが、その時、ハイパワーシルエイティが突如横に避け、前方に土砂が現れ、それに走一は驚きながら避けて、思わず土砂に乗り上げ仕舞う。

 

「おいおい!!何だよここ!?」

 

走一が驚く声に拓海も聞こえ、それに気を取られると、ハチロクターボも横に避けて、土砂が目の前に現れては驚き、走一に続き乗り上げてしまう。

 

「くっ!何んなんだこれ!?」

 

拓海も走一と同じように口をこぼす様な感じになり、そのままハチロクターボを追いかけるのだった。

 

 

 

そして正丸峠 反対側入り口

 

 

 

そこには健二の180SX、真子のシルエイティが止まっていて、池谷達がそこに居た。

 

「本当に此処なんだな?健二」

 

「あ、ああ…多分な」

 

「絶対ここよ! 正丸峠は狭い道路で有名で、バイクの走り屋達が来るって話しよ」

 

健二が少し自信なさげに言うが、沙雪が強気発言でここで間違いないと断言し、それに池谷がただ黙る。

 

すると真子がスキール音を聞いて、池谷に言う。

 

「浩一郎さん!来ました!!」

 

「「「っ!!」」」

 

それに皆が振り向くと、先頭にハイパワーシルエイティ、ワンビア、ハチロクターボ、そしてハチロクがやって来て、折り返し地点になった際に、ハチロクターボとハイパワーシルエイティがハザードを点滅させ、それに走一と拓海が気付いて、全員そのば180度ターンをして止まる。

 

ハチロクターボとハイパワーシルエイティが合図を送り、それにより先行は拓海、渉、走一、小太郎の順で走り出していく。

その様子を見ていた池谷達、そしてコーナーを曲がる際にケツを振るハチロクターボと、リアを若干滑らせながらも保つハイパワーシルエイティの走りに池谷達は目を奪われる。

 

「すげぇ…ドッカンターボ!」

 

「アクセル全開だと、まるで滅茶苦茶だな。僅かな路面のギャップを拾って、明後日の方向を向きやがる」

 

「それにシルエイティの方はホイールスピンをしながらも、路面を捉えては曲がって行く…、あたし等が乗るシルエイティとは大違いだわ」

 

「でもツボにハマると恐ろしく速い! まるでセオリーを無視した様な、拓海と走一…いや、拓海には初めてのタイプだ」

 

「走一君はその様な人とあると?」

 

健二の言葉に真子が問うと、それに池谷が言う。

 

「ああ、走一は今まで常識外れの奴と何度もバトルをしているからな、走一は慣れていると思うが、それでも今回の相手はちょっと違うぜ…!」

 

そう言う池谷は走一と拓海のバトルの行方を見守る。

 

そして2本目に突入したバトル、後ろから追いかける渉と小太郎が走一と拓海の走りを見る。

 

「(さーて第二ラウンド突入! 後ろからじっくり見させて貰うぜ。群馬エリア負けなしと言われた実力をな!)」

 

「(俺達は相手が強い奴ほど燃える方でな! ここでへばるなよ!!)」

 

走一達が先行し、滑る路面に苦戦しながらも進む、さらに先ほど通った土砂に若干乗りながらも、走一と拓海は苦痛の表情を出す。

 

「くっ!走りにくい!何なんだここは!?」

 

「土砂ぐらい整備しておけよな!」

 

それそれ愚痴を言いながらも走って行く走一と拓海、それを追いかける渉と小太郎。

 

2本目を待つ涼介達、その中で涼介と琢磨が呟く。

 

「今の時点では、藤原と朝倉に不利な材料ばかりが揃っている…。今まで体験したことのないトリッキーなコースに、リズムを崩されるレビンの変速ドライブと荒々しいトリッキードライブのシルエイティ。だが特に、それ以上に藤原自身が感じているのは、Newマシンを完全に自分の物にできない焦り…。こいつは目に見えない強敵だ!」

 

「それだけじゃない、走一君自身はまだ気づいてないようだが、この峠にワンビアのセッティングやパワーがマッチしてない。それは柳田のシルエイティも同じ事だが、奴はそれを自らコントロールするかのように動かしている。これはかつてない程の試練でもある!」

 

涼介と琢磨がその事に呟きながら、走一と拓海が見えない敵と予想以上の相手に手こずっていた。

 

「(路面の状態が悪過ぎる…。車が暴れる!!路肩から50センチぐらいは全く使えない…。うっかりタイヤを乗せたらめちゃ滑る…!!)」

 

「(同時に立ち上がりで外のガードレールに寄せたら、ドカンと行くだろう…。狭いぜ!…この道路は見た目以上に狭い幅しか使えない!正丸峠…高難易度のコースだぜ!!)」

 

 

そして同時刻、それぞれ家の外でタバコを吸う文太と泰三。

 

「(拓海。足回りのセッティングって奴は…、馬力とのバランスで変わっていく…。エンジンを載せ替えてからお前が思い通りにコーナリングできないと言い続けてきたのは当然なんだ、そいつはそういう風にセッティングされていたのさ…。回転を上げることによってワンランク速いレベルで曲がりのコントロールができるんだ!)」

 

「(走一、ワンビアの本来の馬力は高ければいいって訳じゃない。エンジンとバランスでその足が路面に伝わるかどうかで変わって行く。お前は徐々にそのエンジンを使いこなせて来ているだろうが、まだお前はその領域に達していない。エンジンの性能を引き出すには、限界ギリギリの状態で、その車の走りをする必要があるんだ!)」

 

「「((気付けよ拓海/走一…、そいつの本当の封印を解放してやれ!))」」

 

違う場所に居ながらも、文太と泰三はまるで息の合った言葉で遠い場所でバトルをしている走一と拓海に語るが、それが伝わったのか、走一と拓海が臨界点に近いメーターで走ると、それが思った以上に載れたのか、何かに気づいた。

 

「(…?何だ今の、気のせいか?)」

 

「(っ!これは…!)」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

西秩父駅

 

 

走一達がバトルをしている頃、イツキと彩音達、玄達が和美と一緒に走一達が帰ってくるのを待っていて、その間イツキが和美に飲み物を買う為に缶コーヒーを買った。

 

イツキが和美の為にコーヒーを渡す。

 

「ありがとうイツキ君」

 

イツキは和美の隣に座り、缶コーヒーを開けた時だった。

 

「あのね、イツキ君」

 

「何?」

 

「あたしね…決めたの。もう群馬には戻らない…と思う。だから多分、今日でイツキ君とお別れになっちゃうと思う…」

 

「!?」

 

その事を聞いたイツキは思わず缶コーヒーを落としてしまう程衝撃を受け。その事に彩音達と玄達が見る。

 

「この前の事で…うちの親がカンカンになってるんだって…。あ、でもそれは関係ないの…。車の中で考えてたんだけど…。やっぱり自分の進む道は自分で決めなきゃダメなんだって…。自分で決めたからこそ…。誰がなんと言おうと、自分が正しかったって言えるんだって…」

 

「……」

 

その言葉を聞いたイツキは言葉が出て来れず、ただその事に唖然とするしかなく、彩音達もその話しを聞いていた。

 

「前に就職した時も、今度のアルバイトの時も、自分で決めたわけじゃないの…。だから、今度は自分で仕事を見つける。小さな目標も見つけたしね」

 

「目標…?」

 

イツキは和美が言った事を聞き、それに和美は缶コーヒーを一口飲んだ後に言う。

 

「イツキ君みたいに自分でお金を貯めて免許を取るんだ。自分自身で歩く…第一歩としてね」

 

そう言って和美は立ち上がっては少し歩み、それにイツキは見る。

 

「環境が違えばどうにかなるなんて考えてたのは甘えてたけど…。助手席は卒業して運転席に座って自分でハンドルを握りたい。誰かの助けを借りなくても自分の意志で走っていけるよ」

 

「か、和美ちゃん…」

 

「だからあたし、群馬には戻らない。住み込みじゃあ…免許なんて取れないからね」

 

「お、俺…」

 

イツキは何かを語ろうとするも、震えては言葉が出ず、何を言えばいいか思いつかなかった。そして同時にこれはイツキにとっての初めての重い失恋…、しかしこれはただの失恋ではない。

 

沙織の時とは違う何かの思い、そんな思いがイツキの心を揺さぶり、何を語ればいいのかを思い浮かばせることが出来なかったのだった。

 

その様子を見ていた彩音達と玄達。その中で真美はイツキの様子を見ては何とも言えなった。

 

「…言わないの?」

 

「え?」

 

亜里沙がその事を真美に言い、それに顔を横に振る。

 

「今言った所で、逆効果になるだけよ…。イツキ君には…特に」

 

そう呟く真美であった。

 

 

 

 

そして舞台は正丸峠に戻る。

 

スキール音が聞こえて来て、それに涼介達と春樹達が見る。

 

「2本目が来たぜ!」

 

それと同時にハチロクが先行し、ハチロクターボ、ワンビア、ハイパワーシルエイティが進み、涼介達や春樹達の前を通り過ぎていく。

 

すると春樹達が何かに気づく。

 

「あれ?走一もそうだが、拓海も…」

 

「ああ、なんかノレてるって言うか…」

 

春樹達の言葉に涼介と琢磨が笑みを浮かばせる。

 

「どうやら…分かって来たようだな」

 

「いよいよ、本番はここからだな…」

 

『『『え?』』』

 

その言葉に啓介達が振り向き、涼介と琢磨が過ぎ去ったワンビアとハチロクを見る。

 

「いよいよ、ハチロクが目覚める時だ!」

 

「同時に、ワンビアの進化が発揮される時でもある!」

 

その言葉に蓮華と雅人、海斗は気付き、後から沙耶と絢美も気づくのであった。

 

 

そして下りに走って行く四台。その中で、走一と拓海が違和感が嘘じゃないと気づく。

 

「気のせいじゃない…。()りやすい!」

 

「…そう言う事か!」

 

走一と拓海がハチロクとワンビアが自分の思う通りの動きが出来て、更に限界に近い動きで攻めると、徐々に自身の車の事が伝わってくる。

 

「(昨日まではあんなにてこずっていたのに…。回転を上げてパワーを上げていったからか、コントロールできる…。俺の走りができる!!よしっ、行けるかも!!)」

 

「(そうか…、そう言う事か!!SRコンプリートエンジンは限界に近い程その意味が伝わって来るのか。よっしゃ!こっから俺の反撃するパターンだぜ!)」

 

そう言ってハチロクとワンビアから発するオーラが更に増し、それに感じた渉と小太郎は思わず目を開く。

 

「(二本目は高みの見物を決め込むつもりだったが…。とんでもねえぜ!!この走りにくいコースに驚くべき早さで対応していく…!!初めてここを走る奴のスピードじゃない!!)」

 

「(これはまさに天才の領域だ!! 痺れまくるぜ、世の中には凄え奴等がいる!!負けねーぜ。地元のメンツにかけても、互いのコンビの名にかけても、タフなバトルになるぜこいつは!!)」

 

そう感じつつ渉と小太郎はハチロクとワンビアの背後を追いかけ、走一と拓海はシフトアップする準備をし。拓海はメーター一万一千回転になった際にあげては加速し、走一もギアをアップしてはターボの力で加速する。

それに負けまいと渉と小太郎はアクセルを踏み、走一と同じようにターボで加速していく。

 

「(峠で一番速い奴がカッコイイんだ。イケてるぜお前!!見るものを強引に納得させるそのキレっぷり…。これレビンでとことん本気になれる!!こんな新鮮な刺激が欲しかったんだ。俺は最高にラッキーだぜ!!)」

 

「(渉からはお前等が一番速いって思ってるだろうな、それについては俺も同意だぜ! これだけ魅了される走りをされては誰だってそう思う! シルエイティを選んでよかったぜ!こんなタフなバトルに慣れるなんてな!!最高だぜ!!)」

 

今までにないアドレナリンに感じつつも、それに興奮する渉と小太郎、走一と拓海は折り返し地点に到着してはターンをし、3本目に入って突入するのであった。

 

 

 




活動報告にとある案件があります、どうぞ見て下さい。

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