秋名湖
そこにハチロクにドアのもたれながら座る拓海の姿があった、拓海はある事を考えていた。
拓海が考えていた事、それは以前京一に負けた事を考えてた事。
『エンジンブローは負けなんだがな…』
京一とバトルをしていた時に、エンジンが限界を超えてブロー、それによりタイヤはストップし、エンジンルームから白い煙が上がった…。
しかしその時は走一と零士のバトルもそうだった。走一もバトルの際にエンジンブローをし、同じように零士に敗北した…。
その事に拓海は一瞬目を見開き、拓海はある決意をし、ある人に連絡する前に走一に連絡をする為、電話ボックスの所に行く。
「…走一、行きたい所があるから、一緒に来てくれるか? …ありがとう、じゃあまた」
そして走一に連絡した後、次にある人物へと連絡する。
高橋家の豪邸、その部屋で涼介がある資料を作成をしていると、携帯に一本の電話が入る。
その電話に涼介が出る。
「はい」
「もしもし、あの…昨日の事とはちょっと別の事で…、あの…聞きたい事があるんですが」
その電話の開いては拓海だった。
拓海が涼介の電話番号を何故知っているのか、それは涼介がガソリンスタンドに寄った際に、電話番号を渡したのだ。
それのお陰で、涼介に電話が出来たのだ。
話しを戻して、拓海からの話しに涼介は聞く。
「エンペラーのチームリーダー? 須藤京一の事か」
「はいその…、須藤って人は何処へ行けば会えるか、分かりますか?」
「…京一は俺の古い知り合いだ。連絡を取ろうと思えばいつでも取れるけど」
拓海は京一の居場所が何処に居るかを涼介に問う。
「…実は俺、チャンスがあれば、もう一度その人と走ろうと思って…」
「そうか、何処でやる気だ?」
「向こうの地元に行こうと思って…」
その話しを聞いた涼介は拓海に教える。
「京一のホームコースは、日光の【いろは坂】だ。向こうでやるなら、半端じゃなく手強い相手だ」
「ありがとうございます。それじゃあ俺…走一と向かうので」
「ん?朝倉と一緒に向かうのか?」
「はい。走一と一緒の方が何故か安心するので。それでは」
そう言って拓海は電話を切り、ハチロクの方に向かうと、走一のワンビアがやって来て、拓海は振り向く。
ワンビアから降りて来た走一と彩音は拓海の方に行く。
「待たせたな」
「いや、こっちも今終わらせた所だったから」
「終わらせた?何を?」
「涼介さんに、いろは坂の場所を聞いたんだ」
っとその事に走一は思わず驚く。
「いろは坂!? 栃木の日光に向かうつもりだったのか!」
「ああ、走一もちょっと付いてくれるかな? 俺…場所は聞いても何処なのかさっぱりで…」
拓海のいつも通りの感じにため息を吐く走一。
「…分かったよ。今から向かうとしよう」
「ああ」
「じゃあ行きましょう」
「え?彩音も行くの?」
拓海は彩音も同席する事に驚き、それに少しばかり頬を膨らます彩音。
「何?私だっていろは坂がどんな所が見たいもん! そんな事言ってないで早く行こう!」
その事に彩音はワンビアの助手席に向かい、それに拓海は走一の方を見る。走一は若干諦めムードになりながら拓海を見る。
「一度決めた彩音は止まらんさ。それじゃあ行こう」
「ああ…」
そう言って走一達は京一が居るいろは坂へと向かう事となった。
そして涼介はパソコンで走一と拓海のデータを表示し、それに口角を若干上げる。
「(見かけに寄らず、負けん気が強いな。あえて不利な敵地に向かう発想が気に入った。そいつは速くなるためには、絶対必要な資質なんだ)」
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いろは坂へ向かう道、ワンビアを先頭にハチロクが付いて行く際、彩音が地図を見ながら言う。
「ねえ、いろは坂ってなんか一本道の様な図になってるんだけど、どうして同じ道路が二本あるの?」
「…それは向こうに着けば、分かるさ」
走一はそう言って、拓海と一緒にいろは坂へと向かう。
そして走一の家に一本の電話が来て、それに恵子が出る。
「はい、朝倉です」
『もしもし、遠藤と言うものです。走一君の知り合いでして』
電話の相手は慎太郎で、それを聞いた恵子は思わず微笑みを見せる。
「まあ~いつもあの子と仲良くしていただきありがとうございます」
『いえいえ、走一君は今居りますでしょうか?』
「いえ、あの子はまだ帰ってきてないでよ」
恵子の言葉を聞いた慎太郎は耳を疑う。
『車で出かけたんですか? 一体何処に行ったか分かりますか?』
「いえ、そこまでは…もしかしたら朝帰りになるかも知れませんね」
『え? そこは親は何か気になるんじゃ…』
「まあ~あの子も18歳ですから、もし何かあった時はきちんと向き合う覚悟はありますから♪」
っとそれを聞いた慎太郎は思わず言葉が止まって考え込む。
「(えーっと…、そう言う問題じゃないと思うのですが。…言うの止めておこう)」
そう感じる慎太郎であった。
また別の所、涼介と啓介の自宅とはまた別の豪邸…とまでは言えないが、それでも豪邸に近い家でもある。そこに【如月】と書かれていた札がある。
そう、そこは琢磨達が住む自宅だった。
その自室で琢磨がある資料を見ていて、その時チャイムが鳴る。
琢磨はそれに立ち上がり、玄関の所に行き、ドアを開ける。
「はい…」
「…久しぶり、琢磨」
「水樹」
そこに居たのは、琢磨の恋人である【村上 水樹】であった。彼女は琢磨が以前プロレーサーであった事も知って、恋人を続けていたが、いつの間にかプロを辞めた琢磨に会いに来たのだ。
「いきなりだな水樹」
「いきなりじゃない、連絡ぐらいしてよ」
「すまん。まあ入れ…」
そう言って家の中に水樹を入れる琢磨、そして水樹はソファに座って言う。
「以前小次郎さんに言った事、覚えてる?“いつでもいいからZを見せに来てね”って、それなのに見せに来ないなんて…」
「すまない、俺もちょっとばかり用事があったんだ」
「それ、新しいチームの事でしょ?」
っとその事を聞いた琢磨は思わず顔を上げる。
「…知っていたのか?水樹」
「噂になってるの、高橋涼介君と貴方が新しいチームを作るって。貴方達結構有名人だって事自覚ある?」
「そうか…噂が早いな」
「もう、このくそ真面目さん。…それで琢磨、新しいチームはどうなの?貴方を破ったその朝倉君、入ってくれるの?」
水樹がその事を問いかけると、琢磨は口角をゆっくりと上げながら言う。
「勿論だ、彼の目は入る決意をしている。だが入る前に何かやるべきことがあると俺は感じたんだ」
「やるべき事? それ何?」
「それは…何かを試す事…かな」
そう言って琢磨はベランダに出て、夜の空を見ながらそう感じる琢磨だった。
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