スタートしたハチロク対エボⅢ、その後ろを走一のワンビアが追いかけては、後ろを観戦する。
先行するハチロクの様子を後ろから見るエボⅢに乗る京一は見る。
「(ほう、少しは速くなっている様だな。朝倉が言っていたTRDエンジンの換装によるメカチューン独特の加速、よくそのエンジンを手に入れた物だな。だがいくらチューニングした所で、所詮ハチロク! こっちは350馬力だ!!!)」
京一はギアを上げながら加速してハチロクを追いかけ、拓海はそれに気にせずに加速していく。
その様子を後ろから見る走一と彩音、彩音は2人の様子を見て問う。
「ねえ走一、こんな狭い道路で曲がる事が出来るの? いろは坂の道は一方通行でしょ?」
「確かにそうだが、一方通行だからと言って曲がれないことは無い。行きの際に俺は言ったがここはエンペラーがドラテクを磨くのに最適な場所だ、それに曲がる際に4WDはサイドブレーキを引いて曲がるんだ。FRの様にフットブレーキだけでは曲がれないからな」
そう言っていると、コーナーに差し掛かり、ハチロクが華麗に曲がって行き、その後ろをエボⅢがサイドブレーキを引いてドリフトをして行きながら曲がる。
ワンビアもその後ろをドリフトして曲がり、二台の後ろに付く。
曲がって行く際にエボⅢのミスファイアリングシステムが作動し、エキゾーストからバックファイヤーが噴き出る。
その影響でターボラグを解消させ、立ち上がりを有利にさせた。
だが京一はその際何かを感じていた。
ハチロクがコーナーを異常な速さで曲がって行き、更にコーナーを進んでいく際に突き放していく様子だった。
それには京一は何かに気づく。
「(っ!?何だ!?)」
京一はハチロクの走りに違和感を感じていた。以前とは違う走りに気づき、それに若干苛立ちを覚える。だがそれと同時にハチロクの苛立ちだけじゃなく、別の苛立ちも湧き上がってくる。
その様子に後ろから走っている走一がそれに感じた。
「(ん?何だ…? 須藤さんからの走りに何か異様な感じがする。拓海との走りに苛立っているのは違う…。まるで別の何かにだ…)」
「どうしたの走一?」
すると彩音が走一の様子を見て問いかけて来て、それに走一は若干考えた後に言う。
「……須藤さん、
「え?」
「拓海の走りにもそうだけど、別の何かだ…。これは…一体」
走一は京一の走りに違和感を感じながらも、拓海と京一を追いかけ、その様子を見守る。
いろは坂の急な勾配をもろともしない走りをするハチロクとエボⅢ、ワンビアもその後ろを走って追いかける。
何本か走って行く中で、京一はハチロクのTRDエンジンに若干驚きを感じていた。
「(相当な高回転型のエンジンだな…TRDエンジンなら当然か。小賢しい…!その程度の細工で俺のミスファイアリングシステムに対抗できると思っているのか!)」
京一はそう思いながらハチロクを追いかけ、ハチロクは先行を突っ走る。
エボⅢから出てくるミスファイアリングシステムのバックファイヤーが唸り、いろは坂をこだましていく。
「(どんな奴が来ても此処では俺は負けられない。赤城で涼介、そして琢磨がそうであった様に…ここでは、俺がエンペラーだ! 狙った獲物は逃さねぇ!!)」
拓海のハチロクは240馬力のNA。京一のエボⅢは350馬力のターボのミスファイアリングシステム。その二台がこのいろは坂を全開で下って行く様子はまさに弾丸。
同時にその後ろを付いて行く走一のワンビアは340馬力のターボのコンプリートエンジン。
その走りに堂々と付いていけるワンビア。
そして拓海はバックミラー見て、エボⅢが付いて来る事に若干冷や汗を流す。
「(ピッタシくっ付いて来る! ともかく…行ける所まで行くしかない!)」
「(もうすぐこの勾配も終わる。ハチロクもそこで失速だ…、俺のカウンターアタックからは…逃げられない!)」
京一が勝利への確信を突く中で、走一がいろは坂の勾配が終わる事を感じていた。
「もうすぐこの勾配も終わってしまう…、こっからだな。拓海の厳しい所は」
「え?どう言う事?」
彩音はその事を聞いて振り向き、走一は感じている事を言う。
「元々下りはパワーの出力が低くなり、非力なハチロクが有利な場面が多いんだが、勾配が無くなると、その平地での路面ではパワーが必要となってくる。いくら高回転型のTRDエンジンでも4WDと300馬力以上のあるエボⅢが本領を発揮するんだ。だから拓海にとってここからが厳しくなるんだ」
「そんな…!」
その事を聞いた彩音は驚いた様子で前を見る。
そして走って行く中で、京一はこの峠の事を思う。
「(このコースの最大の落とし穴は、いやと言うほど続く低速セクションに鳴り切った感覚が、すぐには高速サイドに対応出来ない事だ。熟練した走り屋程このトラップにはまる。それはテクニックとは別な人間の本能的な感覚だからだ。高速サイドに一発に切り替えれる奴はいない…、たった例外な奴等を除いてはな。赤城の白い彗星…高橋涼介! そして白きZ使い…如月琢磨! あの2人だけは…化け物だ!!)」
そう感じる京一は拓海を追いかけ続ける。
そして拓海はコーナーを超えていく中で、一つ目の橋が見えて来て、それに気づく。
「(橋!? もう直ぐゴールなのか!?)」
「(一つ目の橋、急勾配セクションは此処で終わる! ここからが本物のパワーが必要なのだ! 見せてやるぜ、須藤京一流、勝利の方程式を!)」
京一は勝利への動きをし始め、一つ目の橋を渡るハチロクとエボⅢ、そしてワンビア。
その際にエボⅢがハチロクのリアバンパーに徐々に近寄る。勾配が無くなった事によりエボⅢの本来の馬力が発揮され、それにより徐々に距離が迫って来ている。
ワンビアもそれを追いかけ、彩音がそれを見る。
「大変!追いつかれてる!!」
「やはり高速サイドに入ったら、いくら拓海でも拙いな!」
そして二つ目の橋が見えて、それを通るハチロクとエボⅢ、そしてワンビア。
「(二つ目、橋の上からカタパルトのように打ち出される高速コーナーの右、低速セクションに慣らされた感覚には心臓が飛び出すほど恐ろしい!!視覚的な錯覚で道路が狭まっていく!!外へは寄せ切れない…!!鼻面さえ…、ちょいとねじ込んでしまえば…!!)」
エボⅢが左から入り込んできて、横に並ぼうとする。
それは三つ目の橋に入れ替わる場所があり、京一はそれを狙っていたのだ。
「この勝負…貰った!!」
そう意気込む京一、ハチロクとエボⅢが並んで進んでいき、三つ目の橋が見えて来た。
「(三つ目の橋!)」
「(橋の上でインとアウトが入れ替わる!!俺にとってはいつも通りのフィニッシュだ!!並んだ時点で何もかも終わっているんだ!!)」
そう意気込みながら進む京一に対し、あるラインを見て拓海は確信する。
「(見えた!行くか?!いや! いっけーーー!!!)」
すると拓海がある行動を見せ始める、それは橋の上で左に曲がろうとした際、並走したまま、オーバースピードで外側から突っ込んできたのだ。それに走一達は驚く。
「拓海!!!」
「拓海君!!」
「何ぃ!!バカか死にてぇか!?オーバースピードだ!曲がりっこねぇ!」
走一と彩音が叫び、京一は曲がらないと叫んだにもかかわらず、拓海は確信と、ハチロクを信じていた。
「曲がる!曲がってくれ!!俺のハチロク!!!!」
拓海が車内で叫び響いた次の瞬間。ハチロクがそれに答えてくれるかのようにイン側に強引に入り込み。それには流石の京一も驚きを隠せなかった。
勿論この事には走一と彩音も衝撃を隠せない。
「くぅ!!行けるか!?」
京一が何としても前に出ようとする。
そして道路が狭くなる所に差し掛かり、それに京一は諦めてはアクセルを抜いて、スピードを落としては拓海に前を譲ったのだった。
前を譲った事で、ハチロクが橋を通過し、ハチロクの勝利となった。
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そして走一達は車を止めては京一と向き合い、京一は拓海の方を見る。
「今日のバトルは、3つ目の橋に入る切り替えしの左が全てだった…。普通のハチロクならあれは曲がれない…。と言うよりも、普通の神経ならあんな突っ込みはしない…。確信はあったのか?」
「俺…見えてくるんですよ…。あの時も自分の車のタイヤがこれから通っていく
「(そう言えば拓海、何時もそうだったな。いつも行けるっと思った際には行って、それで勝っているんだからな)」
走一は拓海が何時もその様な感じで突っ込んで行っている事に思い、それを聞いた京一はそれにハチロクを見る。
「そうか…。不思議な車だなそれは。誰にでも乗れる車じゃないが…、認めてやる…。いい車だ」
「そうですか」
「俺の負けだ、機会があったらまた会おう「あ!ちょっといいですか?」どうした?」
京一が去ろうとした時、走一が京一を呼び止め、それに京一は振り向く。
走一はある事を京一に問う。
「あの…須藤さん。貴方…イラついてませんか? 拓海以外に」
「え?」
拓海は走一の言葉に驚き、京一は走一の言葉を聞きながら見て、走一は問う。
「後ろから走っていて、貴方の走りにイラつきが見えたんです。どうもその事に引っ掛かって…」
その事を聞いた京一は少しばかり思っていた事を言う。
「……実は昨日、赤いS15に下りで負けてしまった」
「「「え!?」」」
京一の言葉に走一達は驚きの声を出てしまう。京一は夜空を見ながら言う。
「その赤いS15は、驚く程のタイヤの使い方とライン取り、そしてドリフトも一級品と見た。まるで赤城で走り去って行った園崎零士を思わせる様な走りだった…」
「零士と…!?」
その言葉に走一が驚き、それに京一は走一の方を見る。
「アイツは速い走り屋を探してはバトルを仕掛けている。もしお前等がバトルをするなら、気を付けろよ…アイツは速い!」
そう言って京一はエボⅢに乗り込み、そのまま走り去って行った。
その様子を走一達は見届ける…。
「零士と思わせる…赤いS15」
「凄い話だけど…、今日のバトル…引き分けかな? 俺としては…」
走一と拓海がそう呟く中、彩音のみが腕をさすりながら言う。
「ねえ、そろそろ帰ろう? 寒くなって来ちゃったよ~」
「あ、そうだったな。帰ろうか」
「うん」
そう言って走一達はワンビアとハチロクに乗り込み、群馬へと帰って行った…。
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