頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

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第10話 対策と昔話

ガソリンスタンドの営業時間終了後、祐一は電気を落として店を閉じようとした時、スタンドにとある一台がやって来る。

 

その車はクラクションを何度も鳴らし、祐一はそれを聞いて出て来る。

 

「なんだよ、今日はもう閉店だぞ」

 

「固い事言うなって、ハイオク満タンだ」

 

「生意気だな、ハチロクの癖にハイオクだと?」

 

ハチロクを運転して来た文太が言って、祐一はそれを聞いて文太の方を見ながら言うと同時だった。

 

 

 

バオォォォォン!!

 

 

 

っと途轍もない爆音がし、それに文太と祐一が振り向くと、スタンドに別の車がもう一台入って来た。

そのエンジン音は重く力強いエンジン、2JZツインターボのエンジン音で、スープラが入って来る。

 

そしてそのスープラがハチロクの後ろに止まり、そのスープラから泰三が降りて来る。

 

「よう祐一、久しぶりだな。まさか文太までいるとは思わなかったな」

 

「げっ、泰三かよ…」

 

「ようお前か泰三、珍しいなお前が此処に来るなんて…」

 

祐一が泰三を出迎えると同時にスープラから降りて来る泰三、そして文太の方を見る。

 

「おうおう、相変わらずのぶっきらぼうな顔だ。逆に安心だ」

 

「何が安心だ。昔と変わらずなのはどっちだよ」

 

「全く、どっちもじゃねぇか」

 

そんな会話をした後、文太たちはその場で煙草を吸い始め、文太が言葉を語る。

 

「てめぇだろう祐一、あの池谷って奴に変な噂を吹き込みやがったのは」

 

「ああ、別に嘘言ったつもりないが、それがどうした?」

 

「今日も来たんだよ。頭に包帯巻いて、首にギブスをつけてな…」

 

その事を思い出しながら文太は語り出す。

 

 

 

────

 

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──

 

 

 

昼間の藤原豆腐店、そこに一台の原付バイクがやって来て、店に入って行く。

 

「すいませーん。厚揚げ下さい」

 

「はいよー、まいど…ん?」

 

文太が顔を出すと、そこには頭に包帯と首にギブスを付けた池谷が来ていた。

 

「事故ったのか?」

 

「ええ…まあ」

 

「交流戦まで残り無いんだろう? どうするんだ」

 

「そこで藤原さんにお願いがあるんです」

 

「お願い?」

 

池谷の頼みごとに首を傾げる文太、池谷はそのまま文太にこう言う。

 

「明後日の交流戦…俺の代わりに走ってくれませんか!?」

 

「え?」

 

予想外の事に驚く文太、池谷は必死にお願いした事によって、痛めた首に激痛が走った。

 

 

グリッ!!

 

 

「ぐっ!?いたたたたた…!!首が!」

 

「大丈夫か?」

 

「え、ええ…それよりも藤原さん。どうかお願いします!」

 

「おいおい…昨日言ったつもりだが。俺みたいなオヤジが出ても仕方ねぇだろう」

 

文太の言い分はほぼ正しい、これはスピードスターズとレッドサンズの交流戦、更に部外者である文太が出るのは間違いの事である。

しかし池谷は引き下がるつもりはなく、更に言い続ける。

 

「それは分かっています! ですが今走れるメンバーではやはり、どうしてもレッドサンズには勝てないんですよ! それに貴方は一度、高橋啓介を()()()()()()んです!!」

 

「(…ん?)」

 

池谷の言葉に文太は思わず引っかかってしまう、啓介を負かしたのはそれは文太ではなかった。別の人物である。

当時文太は家で豆腐の仕込みをしていて、ハチロクには乗っていないのだ。

 

「お願いします!藤原さん!俺…藤原さんが出てくれるまで何度でも着ますからね!!」

 

そう言って厚揚げを買って行った後、池谷は店を後にし、文太は少しばかり呆れかえるのであった。

 

 

 

────

 

───

 

──

 

 

 

文太の話を聞いた後、それに対し泰三は何とも言えない感じになっていた。

 

「はぁ…、和真の聞いていた通りか」

 

「あ?和真だって?」

 

「和真がどうかしたか?」

 

泰三の言葉に文太と祐一が振り向いて聞いて来て、泰三は煙草を地面に捨てて、火を消しながら言う。

 

「実は昼間な、和真から連絡が来たんだよ。“文太がちょっとばかし貧乏くじを引いてしまったってな、話を聞いてやってくれ”って言われたんだ。恐らくの池谷がだろうな」

 

「和真がか…? あ、そう言えば池谷の車は和真の修理工場に運ばれたんだったな」

 

「なる程な…、まあ話は戻すが、自分の代わりに走ってくれだってよ。ああいう奴は嫌いじゃないがな」

 

「嫌いじゃなかったら代わりに走ってやったらどうだ? 池谷は気の良い奴だぞ」

 

祐一が文太にそう言うが、文太はぶっきらぼうそうな表情をする。

 

「やだね、ガキの喧嘩に大人が首突っ込む様なもんだろう。俺の主義じゃねえ」

 

「中身はガキだろうが」

 

「むっ」

 

泰三の言う言葉に文太は思わずムスッとする。それを見た祐一は若干笑いを堪えながらもある事を言う。

 

「だったらガキの喧嘩に()()を出せばいいだけじゃねえか」

 

「ん?拓海の事を言ってるのか?」

 

「そうだ、かなりの腕前になってるんだろう」

 

「…祐一、まさかこいつ」

 

その会話を聞いた泰三は祐一に問いかけた。

 

「ああ、そうだ。実はこの前よう電話してな、驚いたもんだよ」

 

祐一は文太に電話した事を思い出しながら語り出した。

 

 

 

────

 

───

 

──

 

 

 

それはスピードスターズとレッドサンズが顔合わせした日の事、店の営業終了後、文太がビールを飲んでいた時に電話がかかって来た。

文太はそれに出る為電話に出る。

 

「はい藤原豆腐店」

 

『よう文太』

 

「何だ祐一か…」

 

『何だとはなんだ、久しぶりに電話したのに冷てぇじゃねえか』

 

電話の相手は祐一、その人物に文太は呆れて、祐一はただそっけない態度に文句を言う。

 

「それで、今日は何の用だよ?」

 

『おいおい…まあいいや、昨日秋名山でお前を見かけたぞ。合図したのに無視しやがって』

 

「ああ~それね、それは俺じゃねえよ」

 

『何言ってる、あれは明らかにお前のハチロクだったぞ?』

 

祐一は昨日、ホテル街でとある用事があった為、秋名山を上っていた時だった、下って来るハチロクを見てヘッドライトで合図を送った、しかし合図を送った筈が無視され、それに祐一は苦笑いしつつもそれを見送った。

しかし今日電話した所、文太じゃない事に違和感を覚えた祐一、持っている缶コーヒーを飲みながら文太の言い分のを聞く。

 

「まあその…、俺の車だが、運転してたのは俺じゃねえ。今秋名湖のホテルに豆腐を配達しているのは息子の拓海だ」

 

『っ!!?ブホッ!! な!何だと!?何時からなんだ!?』

 

「5年前からだ…」

 

『5年前って!!中学1年の時からか!?』

 

文太の衝撃的な事実に驚きを隠せない祐一、息子の拓海を5年前から配達をさせていたのだからだ。それも中学生の時から。

 

『お前一体何を考えてる!? 無免許運転だとバレたらどうするつもりだったんだ!?』

 

「バレやしないよ、朝早いし田舎だしな…。まあたまにヒヤヒヤする事もあったがな、今はもう免許とらせたらか時効だ!」

 

『馬鹿野郎…!』

 

その文太の言い分には祐一は呆れる他なかった。

 

 

 

────

 

───

 

──

 

 

 

 

「ぷはははははははは!!! こりゃ傑作だなおい!!」

 

「笑い事じゃねえよ泰三!?」

 

いきなり笑い出した泰三に祐一は思わず怒鳴る、文太は耳をほじくりながらもそれらを聞き流していた。

 

「はぁ~、んまあ文太の考えそうな事だ。しかしまあお前も()()()()をやっていたとはな」

 

「ん?同じこと…?」

 

「ああ、実は俺も息子の走一にも車の運転をさせていた時があったんだ」

 

「な!何!?」

 

泰三の一言を聞いて祐一はまたしても驚きを隠せないでいた。

 

「お前もかよ泰三!?何時からだ!?」

 

「ああ2年前だな、とは言っても走らせたのは俺が経営しているカートのサーキット場だけどな。あの場所は大勢のカートを走らせる為、広めに作っていたから車1台や2台分は十分走れる。

それに距離を少し長めにしてあるから、あいつのドラテクを高めるにはかなりの経験値を稼げるしな」

 

「だからと言ってな、お前奥さんの恵子ちゃんにバレたらどうするんだ?」

 

「ん?女房はとっくに知ってるぞ? むしろ笑いながら見てたしな」

 

「な……」

 

その事を知った祐一はもう開いた口が塞がらなかった、聞いていた文太はこっそり笑っていた。

祐一はもう聞いても無駄と判断したのか、話しを元に戻すのだった。

 

「全く…。まあ話しを戻すが拓海はかなりの腕前なんだろう?文太」

 

「まだまだだけどな…、秋名の下りならどんな奴が来ても負けないくらいにはなったがな。まあ俺には負けるがな」

 

「へっ、すぐ負けん気を出す」

 

「逆に言えば、文太には十分通用するレベルに達してるって事だろう?」

 

「うるせぇ泰三」

 

泰三の言葉に文太は文句を言う。その言葉を聞いた祐一は泰三に問う。

 

「拓海がそれならお前の走一はどうなんだ? どれ程の腕前なんだ?」

 

「かなりの腕前になったがな、まあ流石に文太の息子には及ばないが、どんな奴が来ても負けないくらいの腕前だ」

 

「なる程な…」

 

「まあ家の奴は一体誰に似たのか頑固な所があってな、走れって言っても素直に走るような奴じゃないんだよなー。まああの池谷って奴の頭の包帯に免じて、作戦を考えてやるか…」

 

文太はそう言って煙草を消して、その場を去ろうとした際に泰三が止める。

 

「待て文太」

 

「ん?どうした」

 

「今度祐一や和真たちと一緒に飲みに行こうぜ、勿論俺の奢りだ」

 

「おおいいぞ、それじゃあまた今度な」

 

そう言って文太はハチロクに乗ってスタンドから去って行った。

それを見送った泰三と祐一は再び話し込む。

 

「なあ泰三、さっきの話だが。走一はどんな車を使ったんだ?」

 

「ん?俺の車だ。そこのスープラ、ただあのスープラはな…元々走一の為に用意した車なんだ」

 

「なんだって? どうしてその車をやらなかったんだ?」

 

「どうもあいつがバイトしている解体工場でワンビアを見つけてな、それに惚れ込んで買ってはレストアしたんだとさ。まあ一度死んだ車に魂を入れ込むのは悪くねえさ」

 

「ははは、まあ走一がそうしたかったのなら、良いんじゃないか?」

 

「まあな、じゃあ俺も帰るわ祐一、じゃあな」

 

そう言って泰三もその場から立ち去って、自宅へと帰って行った。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

同時刻、走一は玄達と一緒に秋名山を攻めていた。

 

池谷が出れなくなってしまったスピードスターズに暗雲が立ち誇る中、走一はもしもの為、啓介とバトルする為に念入りに秋名を攻めていた。

 

「(池谷先輩が出れなくなってしまった以上、1週間早めて俺が走る事にするしかない。しかも足回りがまだ届いてない状態だが、それでも行く以外方法はない!)」

 

そう思いながら走一は秋名を攻め、玄達も走一の後を付いて行くのであった。

 

 

 




アンケートですが、そろそろ終了して決定にします。ありがとうございました。
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