いろは坂の頂上、ガソリンスタンドの前で、数台の車が止まっていて。道路の真ん中にハチロクとSW20が止まっていた。
ワンビア達は路肩に止めていて、その近くにはS15、更にエンペラーのメンバーのランエボが止まっていた。
小柏はSW20から降りて来て、拓海と向き合う。
「よく来たな。コースの下見はいいのか?」
「もうして来た。早めに着いたから一回りして来た」
それを聞いた小柏は頷きながら言う。
「だったらルール説明だ。スタートは同時、ゴールは三つ目の橋を抜けた先、先にぶっちぎった方が勝ちだ。それでいいな?」
拓海はそれを聞いて頷く。
「よし、なら始めよう」
小柏はそう言ってSW20に乗ろうとしたが、咄嗟にハチロクの方を見る。
白黒のパンダトレノ、フロントにはフォグランプが付いていて、ドアパネルには『藤原豆腐店』と書いてある、それを見た小柏は思わず冷汗を流す。
「(この色…、間違いない…このハチロク。この前秋名ですれ違ったパンダトレノだ。と言う事は…、ステアリングを握っていたのは、親父を負かした男…藤原文太、そしてこいつがその息子!)」
っとその事に小柏はこの間秋名を上った際に、この車とすれ違ったのだ。
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小柏は秋名を上って家に帰っていた時、丁度文太もハチロクで秋名の下りを降りていた。
そして丁度その時すれ違った時に、小柏は顔に大量の冷汗を流し、文太はタバコを吹かしながら口角を上げる。
「フゥー…(なかなか、良い腕だ)」
小柏はすれ違った車に何か心底感じていた。
「何だ今の…? すれ違っただけでビリッ!と来やがった…! 何だか分かんねぇけど、すげぇや!!」
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っとその事に思い出しながらハチロクと拓海の方を見る。
「(スタンドで会った時は分からなかったが、今は感じる…、こいつは速い!痺れて来たぜ…やるっきゃない!!)」
そう思いながら小柏はSW20に乗り込む、その様子を見ている走一達、そしてダニエルが走一の所にやって来る。
「よう、この日を待っていた」
「どうも、俺もですよ。拓海達の後ですが、俺もアンタとバトル出来るのがうずうずしてたまりませんよ」
「ああ、俺もだ」
そう言って走一達はその様子を見守る。
同時に別の頂上で、エンペラーのメンバーが京一に報告する。
「京一さん!清次!もうすぐスタートらしいですよ!」
「分かった」
「…ん?」
清次がそう言った時に、京一はある方を見ると、数台の車がやって来た。
先頭はZS130、次にFC、FD、ハチロクカスタムがやって来て、それにより琢磨達が降りてくる。
「涼介…それに琢磨」
京一がそれに呟き、琢磨と涼介が横に並ぶ。
「久しぶりだな京一」
「面白いバトルが見られると、情報が入ったのでやって来た」
「…フッ、勝手にしろ」
それに京一は口角を上げる様に言い、それと同時に風が強まる。それに蓮華は少しばかり寒く感じる。
「う~~…! この季節になると寒くなって来たねぇ…」
「…確かに、風がキツイな…今夜は」
涼介がその事に同意する中、京一は枯れ葉を拾いながら言う。
「…ヤバいかも知れないな。きっと枯れて散った落ち葉が路肩に大量に降り積もっている。土壇場での一発勝負を左右する気まぐれな切り札になるのは、案外この葉っぱかも知れない…」
「気まぐれな落ち葉…か」
そう琢磨が呟くのだった。
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そして走一太のいる頂上、スタートの時間が迫ってくる中で、拓海の所に池谷がやって来る。
「拓海、どうなんだ?」
「あまり期待しないでくださいね?」
「ええっ!? 作戦はないのか!?親父さん何か言ってなかったか!?」
池谷は拓海の返答に驚き、作戦はあるのかと聞く、だが拓海から帰って来た返答は…。
「言って事は、言ってたんだけど…チンプンカンプンで…」
「ええ~!?」
「おいおい勘弁してくれよ…!」
池谷と健二が呆れながらその事を言う、拓海のいつもの様子にもう何とも言えず、拓海はいつも通りハンドルを握る。
「もう、ガムシャラに行くだけですよ!」
「拓海君、ガムシャラって言うけど、慎重にね? いろは坂の道、見た所落ち葉がかなり降り積もってる様だから、そこに乗らない様にしてね?乗ったら一発で滑る可能性もあるんだから」
「拓海!勝てよ!!俺お前がぶっちぎるって信じてるからな!!」
凛が道路の状況を伝え、イツキが激励の言葉を言い、その事に拓海が頷く。
そしてカウントダウンが始まった。
カウントは池谷が行う。
「カウント行くぞ!! 5!4!3!2!1!GOーーー!!!」
すると同時にハチロクとSW20がスタートダッシュを決めて、走り出しては飛び出し、それにより皆は興奮していた。
「うおぉおお!!すげぇ!!ハチロクが飛び出して行った!!」
「速いぞ!!拓海ー!!!」
「中々じゃないか」
「ああ、こっちも走りたくなるぜ!」
イツキと健二が興奮する中、理央と美央がその走りを冷静に分析しながら見ていた。
それは池谷も同様だった。
「(すげぇ…スタートダッシュはミッドシップが有利なのに、やっぱりハチロクの新しいエンジンはすげぇ…!!)」
その様子を走一はただジッと見つめていて、ダニエルもその様子を見ていた。
走り出したハチロクとSW20は互いに並びながらも、ハチロクが前に出始めて、それに小柏は感じる。
「(速い。確かにこいつはまともなハチロクじゃない…。2.0Lの3Sよりもパワーがある、バトルが始まる前、相手を先行させてから追い抜かすのがKO勝ちだと親父が言ってた…、上等だ。俺にしたって望むところだ、この速いハチロクを…後ろからぶち抜いて見せる!!!)」
そう思いながらコーナーをドリフトして行くハチロクに、速いコーナースピードで曲がって行く。
そしてその状況を琢磨達が居る所にも連絡が行く。
「そうか…了解、スタートからハチロクが先行してます!」
その事を知った清次は鼻で笑った。
「ヘッ、小柏の奴口ほどじゃねぇな。京一さえ捉えきれなかったハチロクなんだ。先行させたらノンターボのSWじゃどうにもならねぇ」
「…どうかな」
っと京一がそれを否定し、その事に琢磨達は振り向く。
「俺はゴール直前のカウンターに絶対的な自信を持っていた。そこに油断がなかったとは言い切れない」
「だから…?」
清次がそれを問い返すと、京一はこう言う。
「あえてえげつないやり方を避け、ガラにもなくクリーンな走りで行こうとした。そのプライドが墓穴を掘った。トコトンえげつなく走れば、小柏にも勝機はある」
「ん?どう言う事だ?」
啓介がその事を問うと、京一はいろは坂の方を見ながら言う。
「一言言えば
その事を聞いた啓介を除く琢磨達は若干目を細め、涼介はノートPCでデータ分析しながら走る車のデータを取っていた。
そして京一は続けて言う。
「カート上がりの小柏は左足ブレーキを使う、右足はアクセルを踏んだまま左足でブレーキを踏んでフロントに荷重を移し、アンダーステアを消す。そうする事でアクセル全開のまま突っ込んでいける」
「FFに有効な技はミッドシップにも出来るから、それが強いのよね~」
っと蓮華がそう語る。
そして走一達が居る場所で、彩音が走一に問う。
「ねえ走一、拓海君大丈夫かな?」
「俺も思うよ。今回ばかりは拓海がちょっと心配だ…」
健二がそう言うと、走一は口を開く。
「拓海はあまり難しい事が口に出す事が難しいですからね。それにあいつの事だ、あいつは必ず土壇場で勝利を掴む…俺はそう思うんだよな…」
「走一君は、拓海君を信用してるね?」
沙耶がそう言って、それに走一は頷く。
「ああ、アイツは抜かされても、土壇場で抜き返す。それが藤原拓海だ」
そう語る走一であった。
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