頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

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第130話 ハチロク対SW20 前編

いろは坂の頂上、ガソリンスタンドの前で、数台の車が止まっていて。道路の真ん中にハチロクとSW20が止まっていた。

 

ワンビア達は路肩に止めていて、その近くにはS15、更にエンペラーのメンバーのランエボが止まっていた。

小柏はSW20から降りて来て、拓海と向き合う。

 

「よく来たな。コースの下見はいいのか?」

 

「もうして来た。早めに着いたから一回りして来た」

 

それを聞いた小柏は頷きながら言う。

 

「だったらルール説明だ。スタートは同時、ゴールは三つ目の橋を抜けた先、先にぶっちぎった方が勝ちだ。それでいいな?」

 

拓海はそれを聞いて頷く。

 

「よし、なら始めよう」

 

小柏はそう言ってSW20に乗ろうとしたが、咄嗟にハチロクの方を見る。

 

白黒のパンダトレノ、フロントにはフォグランプが付いていて、ドアパネルには『藤原豆腐店』と書いてある、それを見た小柏は思わず冷汗を流す。

 

「(この色…、間違いない…このハチロク。この前秋名ですれ違ったパンダトレノだ。と言う事は…、ステアリングを握っていたのは、親父を負かした男…藤原文太、そしてこいつがその息子!)」

 

っとその事に小柏はこの間秋名を上った際に、この車とすれ違ったのだ。

 

 

 

──────

 

 

 

小柏は秋名を上って家に帰っていた時、丁度文太もハチロクで秋名の下りを降りていた。

 

そして丁度その時すれ違った時に、小柏は顔に大量の冷汗を流し、文太はタバコを吹かしながら口角を上げる。

 

「フゥー…(なかなか、良い腕だ)」

 

小柏はすれ違った車に何か心底感じていた。

 

「何だ今の…? すれ違っただけでビリッ!と来やがった…! 何だか分かんねぇけど、すげぇや!!」

 

 

 

──────

 

 

 

 

っとその事に思い出しながらハチロクと拓海の方を見る。

 

「(スタンドで会った時は分からなかったが、今は感じる…、こいつは速い!痺れて来たぜ…やるっきゃない!!)」

 

そう思いながら小柏はSW20に乗り込む、その様子を見ている走一達、そしてダニエルが走一の所にやって来る。

 

「よう、この日を待っていた」

 

「どうも、俺もですよ。拓海達の後ですが、俺もアンタとバトル出来るのがうずうずしてたまりませんよ」

 

「ああ、俺もだ」

 

そう言って走一達はその様子を見守る。

 

同時に別の頂上で、エンペラーのメンバーが京一に報告する。

 

「京一さん!清次!もうすぐスタートらしいですよ!」

 

「分かった」

 

「…ん?」

 

清次がそう言った時に、京一はある方を見ると、数台の車がやって来た。

先頭はZS130、次にFC、FD、ハチロクカスタムがやって来て、それにより琢磨達が降りてくる。

 

「涼介…それに琢磨」

 

京一がそれに呟き、琢磨と涼介が横に並ぶ。

 

「久しぶりだな京一」

 

「面白いバトルが見られると、情報が入ったのでやって来た」

 

「…フッ、勝手にしろ」

 

それに京一は口角を上げる様に言い、それと同時に風が強まる。それに蓮華は少しばかり寒く感じる。

 

「う~~…! この季節になると寒くなって来たねぇ…」

 

「…確かに、風がキツイな…今夜は」

 

涼介がその事に同意する中、京一は枯れ葉を拾いながら言う。

 

「…ヤバいかも知れないな。きっと枯れて散った落ち葉が路肩に大量に降り積もっている。土壇場での一発勝負を左右する気まぐれな切り札になるのは、案外この葉っぱかも知れない…」

 

「気まぐれな落ち葉…か」

 

そう琢磨が呟くのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして走一太のいる頂上、スタートの時間が迫ってくる中で、拓海の所に池谷がやって来る。

 

「拓海、どうなんだ?」

 

「あまり期待しないでくださいね?」

 

「ええっ!? 作戦はないのか!?親父さん何か言ってなかったか!?」

 

池谷は拓海の返答に驚き、作戦はあるのかと聞く、だが拓海から帰って来た返答は…。

 

「言って事は、言ってたんだけど…チンプンカンプンで…」

 

「ええ~!?」

 

「おいおい勘弁してくれよ…!」

 

池谷と健二が呆れながらその事を言う、拓海のいつもの様子にもう何とも言えず、拓海はいつも通りハンドルを握る。

 

「もう、ガムシャラに行くだけですよ!」

 

「拓海君、ガムシャラって言うけど、慎重にね? いろは坂の道、見た所落ち葉がかなり降り積もってる様だから、そこに乗らない様にしてね?乗ったら一発で滑る可能性もあるんだから」

 

「拓海!勝てよ!!俺お前がぶっちぎるって信じてるからな!!」

 

凛が道路の状況を伝え、イツキが激励の言葉を言い、その事に拓海が頷く。

 

そしてカウントダウンが始まった。

カウントは池谷が行う。

 

「カウント行くぞ!! 5!4!3!2!1!GOーーー!!!」

 

すると同時にハチロクとSW20がスタートダッシュを決めて、走り出しては飛び出し、それにより皆は興奮していた。

 

「うおぉおお!!すげぇ!!ハチロクが飛び出して行った!!」

 

「速いぞ!!拓海ー!!!」

 

「中々じゃないか」

 

「ああ、こっちも走りたくなるぜ!」

 

イツキと健二が興奮する中、理央と美央がその走りを冷静に分析しながら見ていた。

 

それは池谷も同様だった。

 

「(すげぇ…スタートダッシュはミッドシップが有利なのに、やっぱりハチロクの新しいエンジンはすげぇ…!!)」

 

その様子を走一はただジッと見つめていて、ダニエルもその様子を見ていた。

 

 

走り出したハチロクとSW20は互いに並びながらも、ハチロクが前に出始めて、それに小柏は感じる。

 

「(速い。確かにこいつはまともなハチロクじゃない…。2.0Lの3Sよりもパワーがある、バトルが始まる前、相手を先行させてから追い抜かすのがKO勝ちだと親父が言ってた…、上等だ。俺にしたって望むところだ、この速いハチロクを…後ろからぶち抜いて見せる!!!)」

 

そう思いながらコーナーをドリフトして行くハチロクに、速いコーナースピードで曲がって行く。

 

そしてその状況を琢磨達が居る所にも連絡が行く。

 

「そうか…了解、スタートからハチロクが先行してます!」

 

その事を知った清次は鼻で笑った。

 

「ヘッ、小柏の奴口ほどじゃねぇな。京一さえ捉えきれなかったハチロクなんだ。先行させたらノンターボのSWじゃどうにもならねぇ」

 

「…どうかな」

 

っと京一がそれを否定し、その事に琢磨達は振り向く。

 

「俺はゴール直前のカウンターに絶対的な自信を持っていた。そこに油断がなかったとは言い切れない」

 

「だから…?」

 

清次がそれを問い返すと、京一はこう言う。

 

「あえてえげつないやり方を避け、ガラにもなくクリーンな走りで行こうとした。そのプライドが墓穴を掘った。トコトンえげつなく走れば、小柏にも勝機はある」

 

「ん?どう言う事だ?」

 

啓介がその事を問うと、京一はいろは坂の方を見ながら言う。

 

「一言言えばラ(・)イ(・)ン(・)だ、先行する車をぶち抜く為のライン取りが、このいろは坂にはある!」

 

その事を聞いた啓介を除く琢磨達は若干目を細め、涼介はノートPCでデータ分析しながら走る車のデータを取っていた。

 

そして京一は続けて言う。

 

「カート上がりの小柏は左足ブレーキを使う、右足はアクセルを踏んだまま左足でブレーキを踏んでフロントに荷重を移し、アンダーステアを消す。そうする事でアクセル全開のまま突っ込んでいける」

 

「FFに有効な技はミッドシップにも出来るから、それが強いのよね~」

 

っと蓮華がそう語る。

 

 

そして走一達が居る場所で、彩音が走一に問う。

 

「ねえ走一、拓海君大丈夫かな?」

 

「俺も思うよ。今回ばかりは拓海がちょっと心配だ…」

 

健二がそう言うと、走一は口を開く。

 

「拓海はあまり難しい事が口に出す事が難しいですからね。それにあいつの事だ、あいつは必ず土壇場で勝利を掴む…俺はそう思うんだよな…」

 

「走一君は、拓海君を信用してるね?」

 

沙耶がそう言って、それに走一は頷く。

 

「ああ、アイツは抜かされても、土壇場で抜き返す。それが藤原拓海だ」

 

そう語る走一であった。

 

 

 

 





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