頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

135 / 137
第132話 ハチロク対SW20 後編

拓海と小柏のバトルが中盤に入った頃、小柏が此処で行動を起こした。

 

小柏のSW20はコーナーを90度に曲げた際に、アクセルを踏み、そのまま直進して、コーナーの段差を飛び越えて行った。

SW20は一度は空を舞い、着地する際に火花が飛び、そのままハチロクの前に出る。

 

それを見た拓海は舌打ちをし、小柏を追いかけ続けた。

 

小柏は後ろを見ながら逃げる。

 

「(悪く思うなよ、“インベタの更にイン”は“空中に描くライン”だ。高低差の大きいいろは坂のヘアピンカーブ、だからこそ実現可能な掟破りの地元走りだ!!)この勝負勝った!!!」

 

そう言って小柏はまた更にインベタの更にイン…、ショートカットを使い、ハチロクとの差を広げさせる。

拓海はそれに必死に追いかける。

 

「(クッ!負ける! このままじゃ負ける!!)」

 

そう思いながら拓海は必死に追いかけて行った。

 

 

 

 

そんな中で、スタート地点にいる走一はエンペラーの所に行き、エンペラーのメンバーにその状況を問う。

 

「すまない、さっきハチロクが抜かれたって聞いたけど、どの様に抜かれたか分かる?」

 

「あ?そりゃあ、SWがインベタに更にインをして行って、高低差の大きい道を飛び越えて行ったんだよ。その事には俺達もビックリだよな?」

 

「ああ~、そんな事が出来るなんてな、いろは坂を走っている俺達も驚いたよ」

 

っとそう言っては走一は驚き、それを聞いては礼を言った後に、彩音達の所に戻って来る。

 

それに彩音が問う。

 

「どうだった?」

 

「…どうもSW20はコーナーをショートカットして、拓海を抜いたらしい。しかもこのいろは坂の高低差の大きい段差を飛び越えてな」

 

それを聞いた道郎と廉一郎、真美と凛に亜里沙と沙耶、賢一郎と舞人、理央と美央が驚きの表情をする。

 

「何だって!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

「そんな事をしたら足回りが一発で駄目になる! 相手はそれを承知でやってるのか!?」

 

道郎と凛、賢一郎がそれを問いながら驚き、それに走一は頷きながら言う。

 

「ああ、それだけの覚悟でやっているとなると、このバトル…相当キツイな」

 

 

 

 

そして琢磨達が居る場所で、涼介がPCを使ってデータを取っていて、それを啓介が問う。

 

「予想はどうだ兄貴?」

 

「残りのヘアピンの数は11、勝負は…まだ分からない」

 

「どう言う意味だ…涼介?」

 

京一はその事を聞いては問いかけ、それを琢磨が変わりに答える。

 

「京一、お前の言う通りの展開になったな。だが…相手は仕掛けを早く出し過ぎてしまった…」

 

「??」

 

「分からないか京一。早すぎる仕掛けは…相手を精神的なダメージから、立ち直る余裕を与える」

 

琢磨と涼介の言葉を聞いて、京一はようやく気付き始めた。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして37コーナー、その場所でもショートカットをするSW20、それを追いかけるハチロク。

 

拓海は必死に食らいつきながら対策を模索していた。

 

「(このままじゃ、差が開く一方だ!)」

 

必死に追いつき、SW20の背後に追いつくハチロク。それを見た小柏は舌打ちする。

 

「チッ!(なんて奴だ。よし!もう一丁いくか!)」

 

小柏はそう言ってショートカット使って飛び、それに見た拓海は…。

 

「いっけぇぇぇ!!!」

 

ハチロクも同じようにアクセルを踏んでは進み、同じようにショートカットしては飛ぶ、それを後ろを見た小柏は驚きの表情を出す。

 

そして着地してSW20を追いかける。

 

「(なんて奴だ!! 一発でジャンプをクリアしていきやがった!! まるで峠センスの塊見たな奴だ! だが俺を一度前に出したらノーチャンスだ! 俺はこのままゴールまで突っ走る!!!)」

 

そう思いながら小柏は必死に逃げ、拓海は追いかけ続けるのだった。

 

 

 

場所が変わって群馬、ある店の焼き鳥店、真美の実家である【焼き鳥屋 林】で【大原貸し切り】と書かれていた札があり、そこに文太と祐一、そして泰三達が夫婦そろって食べに来ていたのだ。

 

女性陣は女性陣で楽しく話しをしている中、祐一が文太の話しを聞いて驚く。

 

「絶対に防げない走行ラインだと!?」

 

「…ああ」

 

文太は熱燗を飲みながらそれに頷く。

 

「どうしてそれを拓海に教えてなかったんだよ?」

 

「確かにな。どうしてそれを息子に教えなかったんだい?」

 

それをカウンターの前で焼き鳥を焼いている店主【林 守助】が問う、実は彼も元走り屋で、引退した後焼き鳥屋を始めたのだ。

 

最初は客が少なかったが、腕を上げていくと、徐々に客が増えて行って、繁盛した店へとなった。

たまに大原財閥が貸し切りを頼むため、良い感じの店となっている。

 

話しを戻して、文太は熱燗をお猪口に入れながら言う。

 

「いろは坂の下りは下がって行くと、最後に橋とトンネルがあるだろう?」

 

「ああ」

 

「勝負掛けるなら、その最後のポイントしかないぞって拓海に言ったんだ。そこに差し掛かる時、絶対にお前は後ろにいる筈だって、アイツピーンっと来ない顔をしてたけどな…今頃意味わかってるかな」

 

「文太。拓海君に抜き方のアドバイスは?」

 

智晴がその事を問うと、それに文太が言う。

 

「一応言ったがな…。もし俺の言っている事を理解していたなら…、抜き返す可能性は…50%ぐらいだ」

 

「何だよ~、たったの50%しかないのかよ。少ねぇな…」

 

「まあ当然だよな。全力で逃げる相手が居るんだから。泰三、お前はどう思ってる?」

 

守助はそれを問うと、泰三はビールを飲みながら言う。

 

「ぷはぁ…、俺は…文太と同じだ」

 

泰三も同じ意見だった。

 

そして小柏の家、健は池を見ながら夜空を見上げながら笑みを浮かべる。

 

「(フフフ…文太。今度はお前が悔しがる番だぜ)」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

再びいろは坂、拓海は後ろを見ながら、小柏の驚異的なドライビングセンスとSW20の旋回性能に驚いていた。

 

「(メチャメチャ上手い!! 抜けれて後ろから見ると、それがよく分かる! 直線の速さは同じくらいだけど、恐ろしくコーナーが速い! 付いていくだけで目一杯なのに…抜き返せるチャンス何て…、こりゃ親父の言った通り負けるな……っ!! そう言えばあの時、なんて言ったっけ親父!?)」

 

すると拓海の頭に文太が言った言葉を思い出す。

 

 

それは出発する前、文太から拓海にアドバイスを送っていた時だった。

 

『拓海、仕掛けるポイントはラストの橋の区間だ、その時相手は絶対にお前の前に居るからな』

 

『そんなの分からないだろう?』

 

『分かるんだよそれが、っまこれからが重要だ、黙って聞いてろ。この時期のいろは坂は道路脇のしげみが枯れ始める。それがお前のチャンスだ』

 

『え?』

 

『一個目の橋で鼻面をねじ込んでしまえば、二つ目の入り口は狭いけどギリギリを通す、お前の技術なら並んでいける。もつれて三つ目に飛び込めば…後は運だ。精々頑張って来い』

 

そう言って文太は自宅に入って行き、それに拓海は意味がさっぱり分からなかった。

 

 

 

そして今現在、拓海は今その状況に立っている事に、ようやく理解出来たのだ。

 

「(親父は小柏があのジャンプで来ることまで読んでいたのか…。だけど、肝心のその先が分かんねぇ、しげみが枯れ始める頃だって…?どうしろってんだよ!?)」

 

拓海はそれに焦りつつも小柏を追いかけ続け、小柏はもう勝ち誇っていた。

 

「(あと一つ、次が最後のヘアピンカーブだ!この先の中高セクションに入れば、もう手も足も出ねぇだろう!! 良い気分だぜ親父!何もかも作戦通りだ!!)」

 

小柏がそれに勝ち酔っている中で、拓海が最後のヘアピンを曲がる際に、ある光景に気づく。

 

「(ん? 道路脇のしげみが枯れて、アスファルトの段差が見える…? っ!!そうか!!あれをやれって言うのか親父!?)」

 

その事にようやく謎が解けた拓海は一つ目の橋を入る最後のコーナーに入る際、アスファルトの段差に向けて…。

 

「(ここしかない!ラストチャンス!!!)」

 

拓海はタイヤをアスファルトの段差に引っかける様に落とし、それを利用するかのように加速していく。

そう…文太は拓海に【溝落とし】をする様にアドバイスをしたのだ。

 

それにより加速していくハチロク、それに小柏が気付く。

 

「っ!?何だ…この加速は!?」

 

加速していくハチロクは溝落としを解除して、SW20と並んでサイド・バイ・サイドとなった。

 

小柏はそれに驚きを隠せないでいた。

 

「(一体何が起こりやがったんだ…? クソッたれが!!)」

 

シフトアップをする小柏は何とか前に出ようとするが、拓海もアクセルを踏んではそれを前に行かせない様に加速する。

 

そして二つ目の橋で、エンペラーのメンバーが実況する。

 

「来た!」

 

「どっちが頭だ?」

 

そして二台同時に来た事に驚きを隠せないでいたエンペラーのメンバー。

 

「うわっ!!二台並んで来た!!」

 

「ひぃ!!ちっとでもラインを外せば、両方ともコンクリートの壁に突っ込むぞ!?」

 

二つ目の橋が迫り、拓海も小柏もそれにより極限状態になって鋭くなり、そのまま二つ目の橋に突入して行き、そのまま並んで進んでいく、出口辺りで弾み、互いの車がジャンプして行き、その先を見た拓海と小柏は思わず息を呑む。

 

その先に降り積もった落ち葉があり、それに小柏のSW20が載ってしまってスピンしてしまう。

ハチロクに当たる寸前だったが、それを間一髪で回避して、スピンした小柏は唖然とした後に一息する…。

 

「(負けた…。地元の俺が、落ち葉にやられるとはな…。しかし、凄い奴だ…、藤原拓海…)」

 

 

 

 

そしてその連絡が琢磨達の所に届く。

 

「ハチロクが勝った…!! 小柏の奴、ゴール寸前でスピンしたそうだ…!!」

 

「…そうか」

 

清次がそれを報告し、それに納得する京一。

 

「やった!拓海君が勝った!」

 

「ああ、残るは朝倉だな」

 

その事に喜ぶ蓮華と次のバトルに呟く啓介、涼介と琢磨はそれをジッと待っていた。

 

 

スタート地点、勝負の結果が知らされた。

 

「ああ、分かった。ハチロクが勝った! 小柏の奴負けたそうだぜ」

 

っとそれを聞いた彩音達が喜ぶ。

 

「やった!拓海君が勝った!!」

 

「やったね拓海君!!」

 

「抜かれた時はヒヤッとしたよ!」

 

彩音達が喜ぶ中、走一はダニエルの方を見て、ダニエルもS15のエンジンをスタートさせて、準備を始め、走一もワンビアのエンジンをスタートをさせて、準備を始めてた。

 

 

いろは坂の分岐点、拓海と小柏はそこに止めて、互いに下りては見る。

 

「上手く避けてくれて礼を言うぜ…。お陰でどこもぶつけずに済んだ…」

 

小柏はSWを見ながら言う。

 

「これは親父の車だから、出来ればへこまずに返したかった」

 

「俺も同じですよ」

 

拓海がそう言うと、小柏はハチロクを見ながら言う。

 

「前に一度、その車に秋名ですれ違ったことがある。俺、その瞬間に思ったんだ。これは敵わない相手かもしれないって…。お前の親父さんと、勝負するわけでもないのにな…」

 

「……」

 

「それぐらい強烈な印象だったよ…。ま、結果的に負けたわけだから…予感が正しかったって事だろう。地元で負けたのはショックだけど…、いい体験させてもらった…。凄いよ…お前と、お前の親父は…」

 

小柏はそう言ってSWの運転席のドアを開けて、その際にもう一度拓海の方を見て言う。

 

「またどっかで会おう…。腕磨いとくわ…じゃあな」

 

小柏は拓海とまたリベンジを果たすかのように言って、その場を去って行った。拓海はそれを見届けた後、ハチロクに乗り込んで、再びスタート地点へと戻って行くのであった。

 

 

 

そして次は走一とダニエルのバトルが始まるのであった。

 

 

 




バトルは拓海の勝利、そして次回はいよいよ走一とダニエルのバトルです。

感想と誤字、よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。