ハチロクに乗ってやって来た拓海に走一達は勿論の事、池谷達は衝撃を隠せなかった。
だが走一は何かに気付き、池谷も何かに気付いて拓海に任せた。
それでもスピードスターズの面々は心配な様子で仕方なかった。
「本当に大丈夫なのか?池谷、相手は国産最速のコーナリングマシン。ハチロクなんかじゃ勝負にならねぇよ…」
「…今は信じるしかない」
池谷達が心配する中で、走一達は集まって話していた。
「え?拓海君が只者じゃない?」
「ああ、FDの横に並ばせる時、俺はすぐに気づいた。拓海…運転の際に全く無駄がない動きだった、いきなり免許取った人の運転じゃない」
「俺もそう思った、動かす際に全く乱れてないんだ。あいつ一体何処であんな運転を?」
走一達はそう考える中で、真美がある事を言う。
「…もしかして拓海君、走り慣れてるのかな?」
「…そうかも知れない。よし、こうなったら!」
走一はそう言った後、ワンビアの方に向かい、それを見て彩音達は問う。
「走一?」
「近くで見る。その方が拓海の運転が分かる筈だ」
「よーし!それなら俺も行くぞ!」
「俺も!」
「僕も行くよ! 後これ!」
廉一郎が走一達にある物を渡す、それは最新型の無線機だ。
それを見て走一達は首を傾げる。
「これはまた凄い無線機だな…?」
「僕の大原財閥と友梨佳の柳原財閥が作った無線機だよ。それを使えば運転しながらも普通に会話する事が出来るよ」
「よし、それじゃあ行こう。もうすぐ始まる」
そう言って走一達はワンビア達に乗り込み、その際史浩がカウントを始める。
「カウントを始めます!5!4!3!2!1!ゴーッ!!!」
史浩の合図と同時にハチロクとFDがスタートし、先にFDが前に出始める。拓海はそれを冷静に見ながらもスピードを上げて、FDはすぐに見えなくなった。
その様子にギャラリーは興奮していた。
「やっぱり速いぜ!高橋啓介のFD!」
「350馬力は伊達じゃないぜ!シフトタイミングもばっちしだ!」
「勝負になんねぇよ、ハチロクのスタートダッシュなんて、まるで止まっている様にしか見えなかったぜ」
「拓海…」
池谷はその事で心配するかなだった。
キャアアアアアアッ!!!
突如別のスキール音が聞こえ、皆がそっちの方を向くと、ワンビアとセリカ、FTOとNSXが飛び出して行って、ハチロクとFDの後を追いかけて行く。
その様子に皆が動揺する。
「なんだ?ワンビア達が飛び出して行ったぞ?」
「どうしてだ?これはスピードスターズレッドサンズとのバトルだろ?」
走一達の行動には池谷達も同様を隠しきれなかった。
「走一…!」
「あいつ!一体何する気だよ!?」
皆が動揺する中、涼介のみは冷静になりながらハチロクとワンビア達の方を見ていた。
「(あの5台…特にハチロクのスタートダッシュを見る限り、せいせい150馬力か…啓介のモンスターとは程遠い、ワンビア達の方は…ワンビアが260馬力、セリカが350馬力、FTOが180馬力、NSXが280馬力だな。
ワンビア達はチューニングしてるから分かるとして、NSXのみはメーカー出荷当時のままだろうな…それなのに対しシフトタイミングがかなり合っている。
対してハチロクのシフトポイントが早いのは、ラリー用のクロスミッションを組んでいるからだ、あれなら秋名のタイトなヘアピンに2速はぴったり合う。だからと言って啓介のFDがあのハチロクに負ける理由が見つからない。
モンスターなのはハチロクじゃなくて、
そう涼介が思っている中、ハチロクを追いかける走一達はすぐにハチロクの後ろに追いついた。
「追いついたぞ。こっからは拓海の運転をしっかりと見るぞ!」
『おうよ!』
『拓海がどんなドラテクをするのか、お手並み拝見だ!』
『同時に事故した際にすぐ対処出来るよう、こっちも手配はする準備はしてるよ!』
走一達がそう話す中で、拓海はただドアに肘を置いてただ走らせていた。
そんな中啓介は闘争心丸出しでバックミラーを見ている。
「(遠慮はしねぇぜ、ストレートでちぎるのは不本意だが、これはタイムアタックだからな…。あのハチロクが2度とバックミラーに映る事はねぇぜ!!)」
そう思いながら第一コーナーをドリフトで抜けていくFD、大してハチロクが第一コーナーに差し掛かった。
すると拓海は突如表情を変え、最初にブレーキを踏み、そしてヒール&トゥーを使ってシフトダウンさせて、そして猛スピードで第一コーナーを華麗に抜けていく、しかもガードレールから5㎝も離れていない様子だった。
第一コーナーを抜けるとアクセルを踏み、シフトアップして加速していく。
それを見た走一達は思わず唖然としてしまう。
「な、何だあれ…?」
『おい見たかよ今の!?』
『動きに無駄が全くない…、それも理想のラインで抜けて行った!』
『あれが拓海なの…? 僕達の知っている拓海なのかな?』
走一達はそう思いながらも、第一コーナーを華麗なドリフトで抜けていく。
同時に第一コーナーで見ていたレッドサンズのメンバーがそれをすぐに報告する。
「こ!こちら第一コーナー!すげーぜハチロクのライン! ガードレールから5㎝も離れてなかったぞ!あんなスピードで曲がる奴、今まで見た事ねぇ!それにワンビア達も華麗に抜けて行った!!」
その通信を頂上に居る史浩の無線機が聞いて、少々困惑していた。
そして同時にFDが順調にコーナーを抜けて行き、啓介がそれを鼻で笑いながらバックミラーを一目見るとすぐにまたバックミラーを見る。
「ん?」
何とすぐ後ろからハチロクが追いかけて来て、それに少しばかり動揺を隠せない啓介。
「(差が詰まってる?奴の車が近づいている…?! いやあり得ねぇ…そんなバカな事がある筈がね!)」
そう思いながらスピードを上げるFD、何とか引き離そうとするも、すぐに次のコーナーが目の前に来て、それに啓介は舌打ちをする。
啓介は減速しながらシフトダウンさせ、ドリフトで抜けていく。
大して拓海はすぐにドリフトでコーナーに入り、それも縁石に近づける様に走りながら抜けて行き、FDとの差を詰める。
それを見た走一達もすぐにドリフトでコーナーに突入し、最短距離でコーナーを抜けていく。
彩音達や玄達が拓海の規格外のドライビングテクニックに驚く中、走一はそれをじっくりと見ていた。
「(…拓海、一体何処でその
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そして頂上、池谷達はイツキ達に拓海の父親の事を話していた。
「マジっすか!?拓海の親父が昔そんな凄い走り屋だったなんて!! でも俺…知ってますけど、ぶっきら棒な豆腐屋の親父っすよ?!」
「間違いない。店長の話しじゃ下りだけなら今でも秋名最速らしい、そんな親父さんが代わりに拓海を寄こしたって言うのは…」
「先輩、俺…信じられないっスよ! だってあいつ…拓海は、ハチロクも知らなかったんすよ!?」
イツキは池谷の話を聞いても信じられない顔をしていた。それもその筈、普段ボーっとしている拓海が途轍もないドライビングテクニックを身に付けている事に信じられないからだ。
そして今、ハチロクはFDに追いつき始めていた。
コーナーを華麗に抜けて、FDをコーナーで徐々に追い詰めていたからだ。
その様子をレッドサンズのメンバーがすぐに報告する。
「な!何だあのハチロク!! すごいスピードでケツを流しながら突っ込んで、そのまますげぇ速さで抜けてったぞ!!いつ吹っ飛んでも可笑しくね!見ている方がゾッとするぜ!!」
頂上で聞いていた史浩達はそれ聞いて信じられない表情をしていて、涼介はそれに少しばかり考える素振りをする。
それと同時に走一達のワンビア達もコーナーを抜けながらその光景を見て、彩音は思わず走一に問いかける。
「走一…拓海君凄いよ、あんなテクニックを持っていたなんて。でもどうして拓海君はカーブであんなに差を詰められるの?」
「彩音、それは拓海がコーナーで差を詰められるのは、拓海が突っ込みで啓介さんのFDに勝っているからだ、だからコーナーで差を詰められるんだ。俺もそれを見て今驚いてるよ…」
走一は彩音にそう言った後、ドリフトでコーナーを攻める。
一方啓介はと言うと、かなり焦りを感じていた、1.6Lのハチロクにあっさり追いつかれた事に動揺を隠せないからだ。
「(っ!追いつかれた!?何がどうなってるんだ!気が変になりそうだぜ!!)」
そう思いながらもドリフトをして行き、拓海もハチロクをドリフトをしながら抜けていく。
走一達もワンビア達をドリフト、セリカはドリフトとグリップの中間、FTOは左足ブレーキを使いながら走り、NSXも左足ブレーキを使って荷重をフロントに移してアンダーステアを消してグリップ走行で抜けていく。
その様子をスケートリンク前のストレートにいるレッドサンズのメンバーが報告する。
「こちらスケートリンク前のストレート!今6台が通過した!! 啓介が煽られるぞ!?秋名のハチロクはめちゃ速い!!嘘だろう…啓介のFDがあそこまで追い回される事なんてなかった!!」
っとその報告を頂上で聞いた史浩の無線機を当然イツキ達は聞いて、思わず笑みが出て来て、そして若干涙目になる。
「……あはは」
「おお~っ、と、鳥肌立った…!」
池谷は鳥肌が立って興奮が抑えきれなかった、そして次の報告を聞く。
『後のワンビア達もすげぇぜ! ハチロクの後ろに付いて回ってる! あんなに速いなんて驚くぜ! 後啓介はストレートで突き放したけど、この先ヘアピンが続くから、ちょっとヤバいかもしれないぞ!?』
その無線の報告を聞いた史浩達は思わず生唾を飲む、同時に涼介が史浩達の所にやって来て、史浩が涼介の方を見る。
「涼介、聞いたか?」
「ああ、誤算だったぜ…秋名にこれ程の凄腕が、まさか
涼介が言った言葉、それは拓海だけじゃなく走一達も含まれる言葉だった。
そして啓介はかなり焦っていた、ノンターボのハチロクが此処まで速いと思いもしなかったからだ。
「(直線では俺が速いんだ!それなのに追いつかれるって事は、コーナーワークで負けてるって事か!パワーのない車に追い回されるなんて、走り屋としては最大の屈辱だ!!そんな事…死んでも認めたくねえぜ!クソッたれ!!)」
「(前より隙がなくなってる…、セカンドの立ち上がりは互角だけ伸びが違う、ちょっとでも直線が長いとドバっと差が開く…。たくぅ…うちのクソ親父もあの車を抜かねぇと勝ったと認めないだろうな…。
…仕方ねぇ
拓海がそう考えている中で、その後ろを走一達が会話していた。
『すげぇぜ拓海!!あんなに速いなんてな!!』
『FDをあそこまで追い回すなんて、テクニックだけじゃないぞあれ』
『うん、足回りがかなりチューニングされてる! でなきゃあそこまで攻める事なんて出来ないよ!』
「ああ…!(…なんだか拓海から何か伝わるものを感じる、この先の5連続ヘアピンで何かする気だ。これは絶対に見ないとな)」
そう思いながら走一達は拓海を追いかけ、このバトルの行方を見届けるのだった。