拓海がバイトしているガソリンスタンド、そのスタンドで池谷達が朝から大はしゃぎしていた。
「いやー!朝から色んな奴に同じ事聞かれたか分かんねぇよ! “昨日のハチロクは何者だ!”って」
「俺も随分聞かれたな~、あの高橋啓介を負かしたんだ。噂になるのも当然と言っちゃ当然だよなー」
「そう言えばこんな噂も広まってますよー! “あのワンビア達も馬鹿速い!!”って!」
「ああ、それも聞かれたよ。俺調子に乗って…“あのハチロク達はスピードスターズの秘密兵器だ!”って吹かしまくったからな~。何とかして拓海と走一達をスピードスターズに入れないと、後々恥かくぞ…」
池谷達はその事を呟くながら語ると、イツキがある事を言う。
「先輩!!その事なら俺に任せて下さいよ! なんたって俺は拓海とマブダチですからね~!言う事聞かせますよ!」
「本当だろうなイツキ…、話しの分かる走一達は理解出来るが、拓海はどんな反応を見せるか分からないぞ?」
「それは…【プップー!】おっ?」
イツキ達はクラクションの音を聞いて振り向くと、スタンドに玄と廉一郎のセリカとNSXがやって来て、玄と廉一郎に真美と友梨佳が降りて来る。
「オッス!!」
「こんにちは」
「おおーお前等!丁度お前等の話しをしていた所だったんだ」
「おっ!俺の話しって何だ!? 俺のこの筋肉の話しをしてるのなら喜んで聞くぜ!!」
「違うでしょうが!!」
バコン!!
真美がハンマーを持って、玄の頭をどついた。
それを見た廉一郎と友梨佳は苦笑いしながら見ていて、池谷達は廉一郎に言う。
「廉一郎!頼む! 走一や道郎にも言うが、俺達のスピードスターズに入ってくれ!俺達昨日の事で秘密兵器だって事を吹かしまくったから、入れないと後々恥かく事になるんだ…」
「え?先輩達のチームにですか? 別に構いませんけど…。ねえ?玄」
「おうよ!! 俺達は別にチームに入っても何も問題ないぜ?」
「良し!!取り合えず2人確保!!!」
池谷達はガッツポーズを取りながら喜び、その後池谷がイツキに言う。
「イツキ!走一達は次回に聞くが、拓海の事は大丈夫なんだろうな?」
「勿論ですよ!あいつの弱点も色々握っている事だし…。ぐへへへへへ…!」
「もし拓海君に変な事したら承知しないわよ!!?」
っと真美がハンマーを持ちながらイツキの方に構え、それにイツキは驚きながら怯える。
「ひえええええ~~~!!それだけは勘弁して~!!!」
「まあまあ…」
廉一郎が真美を止めながらイツキはある事を言う。
「あっ!拓海が入ったら俺も入れて下さいね!? スピードスターズに!」
「拓海は入ってくれるなら、絶対にイツキも入れてやるよ。なあ?」
「あ、ああ」
池谷が健二とイツキの加入の事を承諾し、それを聞いたイツキは喜ぶ。
「ぐふふふ…!!ラッキー!!交渉成立~!!」
「良かったですわね」
「うん…そうだね」
廉一郎と友梨佳が言う中で健二がイツキに問う。
「けどお前…車どうするんだ?」
「よくぞ聞いてくれました!!俺はもう決心しました!!」
「「おおー遂に金が溜まったか?」」
「親父に保証人になって貰って!ぱあーっとローンでハチロク買いますよ~!!!」
イツキの発言に池谷達はズッコケそうになったが…。
「お馬鹿ーー!!!」
バコン!!!
「あでぇ~~~!」
イツキの発音に真美のお約束ハンマーを貰ってしまったイツキは涙目になる。
それを見た池谷達は苦笑いしながら若干引いた。
そしてイツキは頭にたんこぶを残しながら語り始める。
「ゴホン!拓海がパンダトレノのなら、俺は赤か黒のレビン探して!何時か秋名最速のハチロクコンビと呼ばれる様になりますよ…!!ぐふふふふ…くぅ~~~~~~~~っ!!!」
「絶対無理っぽいね」
「ですわね。腕前がありませんから」
「だああ~~!!」
真美と友梨佳の言葉を聞いたイツキは思わずズッコケた。友梨佳の容赦ない言葉にかなり響いている。
すると池谷がイツキにこう言った。
「イツキ、拓海のハチロク…あれはまともなハチロクじゃないぜ?」
「そうだよな…、なんせ350馬力のFDより速かったんだもんなー。よっぽど凄いチューンしてあるんだろうな~」
「…多分それはないと思います」
廉一郎の言葉に池谷達は振り向く。
「「なんでだ?」」
「走一が言うには、恐らく足回りを重点的にチューニングされているって聞いてます。車は足だけでも速くなるっていつも言ってますから」
「おうそうだな? カートの時もそんな事言ってたな?」
「ま、マジか…?」
「エンジンいじってなくて、足だけ…?」
その事を考えるだけでも池谷と健二は想像出来ない様子、いつも彼等は足はタイヤだけ見て、エンジンだけを見る所がある場合があるからだ。
「…でもそれだけでも想像しちまうな。いっそ拓海のハチロクの助手席に乗って、レッドゾーンまでのエキゾースト音を聞いて見たいぜ…」
「おお!それいいな!」
「俺も乗って見てぇ!」
っと馬鹿げた妄想を頭の中に思い浮かべる様子に、真美は呆れながら見ていた。
「…馬鹿ね、拓海君の腕前があれ程だったら、絶対怯えるに違いないのに」
「まあまあ…、でも真美の言っている事も分かる気がする。本当の速さを知る者が分かる…あの速さを」
そう廉一郎がその事を呟くのであった。
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そして夜、秋名山では白いFC…高橋涼介が秋名山を上っていた。
涼介はFCをドリフト走行で華麗に滑らせながらコーナーを曲がって行き、華麗に立ち上がって行く。
FCのロータリーサウンドが聞こえた他の走り屋達が振り向く。
「あっ!あの白いFC!」
「高橋涼介だ。遂に出て来たぞ…レッドサンズの№1が!」
「何しに来たんだ?」
「弟の敵討ちだろう。それ以外考えられるか?」
「昨日の今日でもう出て来るなんて、ハチロクに負けたのがよほど腹に据えかねてるのかな?」
っと走り屋達が語っていると、別のエキゾースト音…RB26の音が聞こえ、その方を向く。
すると黒のR32が上って来て、それを走り屋達の前を通り過ぎて行った。
「見かけないR32だな?」
「黒のR32…何だがゾッとする様な存在感がある…」
「誰だあいつ?」
そう言っていると、またしても別のエキゾースト音が聞こえ、走り屋達はまたそっちの方を見る。
すると白のフェアレディZ S130が鋭いエキゾースト音をを響かせながら走って行き、それを走り屋達は見る。
「白のフェアレディZ…?」
「何だあのフェアレディZは? ここら辺では見かけない奴だ」
「でも…なんだか高橋涼介と同じ存在感を感じる…」
「え?!そんな馬鹿な…!」
そう言っているのも無理はない、そのフェアレディZに乗っているのはあの如月琢磨なのだ。
そして涼介はそのまま上って行く中で、速い車が一台来るのを感じ取り、バックミラーで見る。
「(ん? ストレートで速い車が一台追って来る…。ちょっと待って見るか)」
涼介はアクセルを緩めて待っていると、黒のR32がヘッドライトを消して合図をして来る。
「(R32GT-R! どれ程のものか…試してみるか!)」
そう思いながら涼介はシフトを3速にしてアクセルを上げ、速度を上げるの見たR32のドライバー…中里毅は笑みを浮かべる。
「そう来るか…そう来なくちゃな!」
中里はそう言ってアクセルを踏み、ヘッドライトを付けてFCを追いかける。
FCがドリフトでコーナーを攻める中でR32はグリップ走行でコーナーを攻めていく。
立ち上がりは4WDのパワーが勝り、R32がFCに堂々と付いて行っている。
その様子に涼介は全く動じずに見ていて、中里はR32のパワーに笑みを浮かべていた。
「付いて行けるぜ高橋涼介に! やはりこのGT-Rは無敵だぜ!」
中里がそう言った時、後ろからヘッドライトの光が差し光、それに中里は思わずバックミラー見る。
するとすぐ後ろに白のフェアレディZ S130がすぐ後ろにいて、それには中里は驚きを隠せなかった。
「なっ!すぐ後ろに別の車が!?いつの間に!?」
中里が驚く中で、フェアレディZは車線を変更して、すぐR32を追い越し、FCを抜き去って行く。
同時にそれを見た涼介は思わず目を向く。
「っ!?(フェアレディZ S130!?まさか…!)」
そして秋名山頂上、FCとR32が頂上に着くと、そこには先ほど居たフェアレディZが止まっていて、FCがその後ろに止まり、R32も道に止まる。
するとフェアレディZから1人の男性が降りて来て、涼介と中里は降りて来てみる。
その男性はミディアムヘアーのセンターパートで、身長は186㎝とかなり高い方であった。
彼は涼介の方を見ると、煙草を取り出しながら言う。
「久しぶりだな…涼介」
「如月琢磨…お前だったか」
「(っ!?高橋涼介を知っている!? それに如月琢磨…!? まさかレースの世界で有名なあの如月琢磨なのか!?)」
中里がそう思うのも無理はない、琢磨は走り屋と同時にプロのレースドライバーでもあり、いくつものタイトルを獲得している人物なのだ。
「何故お前が此処に…?」
「俺の事はいい、それよりも彼の方を優先した方がいいんじゃないか?」
琢磨は放置されている中里の方を見ながら言い、それを聞いた中里は思わず涼介を見る。
涼介はそれを聞いて中里を向く。
「…俺は高橋涼介、レッドサンズのリーダーだ」
「知ってるよ。俺は中里毅。ナイトキッズって言う妙義山のチームにいる」
「ナイトキッズの中里毅…、あの妙義山最速の下りの走り屋か?」
「光栄だな。スーパスターの高橋涼介に名前を知られているのは」
「でも俺の知っている中里は…、確か
中里はそれを聞いて思わず笑みを浮かべるが、涼介の一言に思わず目が行く。
だが涼介はそれを笑って言う。
「フフッ、まあいいさ…その妙義の走り屋が秋名で何してるんだ?」
「おいおい、人の事は言えねえだろう? 自分だって赤城のもんだろうが。お互い同じ目的で来たんじゃねえのか?俺は昨日のバトルで見たハチロク…、あいつに会いたくてな」
「なる程。32使いが…ハチロクに噛みつこうって言う訳か…、380馬力にチューンした32で?」
「っ!?何!!」
琢磨の一言に中里は驚き、涼介は中里から琢磨の方を向く。
「やはりお前も気付いていたのか…」
「ああ、後ろから見て分かった。直線でのエキゾーストとパワーを見たらな。ただここで下りのバトルをするのだったら、恐らく…いや、十中八九ハチロクに軍配が上がって勝つ」
「何!? おいてめぇ!俺のR32が下りで負けるって言うのか!?」
「…それはキミがよく分かっている筈だ。その32が抱える
「っ!!」
琢磨の言葉に中里は思わず口が止まる。それと同時に涼介が止めの言葉を差す。
「フッ、どちらにせよ、あのハチロクをやれるのはこの俺だけだ」
「何!! 言ってくれるじゃねぇか!!弟が負けたハチロクがこの俺にも勝てないと言うのなら証明してやるぜ!! この群馬には妙義の中里が最速だって事をな!!この俺がハチロクに勝って見下した事を後悔させてやる!!」
そう言ってキレた中里はR32に乗り込み、その場を去って行くのだった。
琢磨はその様子を見ていて、涼介は琢磨の方を見る。
「さて…琢磨。お前が此処にいる理由を聞こうか? お前もあのハチロクが目的か?」
「…いや、俺の目的は…ワンビアだ」
「何?」
涼介は琢磨の言った事に耳を疑い、琢磨は煙草を吸いながら言う。
「昨日見たワンビア…。俺はそいつに興味を引いた…、彼はどんな走りをするか、少し気になってな」
「…なら今度の土曜、俺の弟の啓介がそいつとバトルをする。その時結果がどうなるか…」
「へぇ…なら見届けさせて貰おう。今度の土曜…楽しみだな」
そう言って煙草を携帯灰皿にしまう琢磨はフェアレディZに乗り込み、その場を去って行き、涼介はそれを後ろで見届けるのであった。