頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

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第19話 池谷 恐怖を知る

夜、走一達は秋名山で池谷が拓海のハチロクの助手席でドライビングを体験する事になった為、秋名山で集まっていた。

池谷はハチロクの助手席に座っていて、何故かウキウキモードになっていた。

 

「す、すげぇ緊張して来たぜ。遊園地のジェットコースターに乗る前みてぇた!」

 

「くっそー良いな。羨ましいぜ池谷」

 

外では羨ましそうに健二たちが見ていたが、一方走一達は走一のワンビアの方を見ている。

 

走一のワンビアの足回りは完全にアップグレードされて、ホイールもちんけなホイールから軽量と剛性の強いアルミホイールへと変更された。

そして走一は拓海の方を向いて言う。

 

「拓海、お前は先に行っててくれ。こっちはお前が戻ってから行く」

 

「分かった。行きますよ、池谷先輩」

 

「おう!頼むぜ拓海! 全開で頼むぞ!!」

 

『『『ん?全開??』』』

 

池谷の言葉に走一達は思わず振り向き、ハチロクが走り出した。

 

「シッシッ!!お前等下がってろ!」

 

からかう様に池谷は手を振り、イツキと健二は走り去るハチロクのエキゾーストを聞いていた。

 

「しっかし良い音するなー…」

 

「たまんねぇよ、ターボじゃぜってぇ出ねぇ音だもんな…」

 

イツキと健二が感心する中で、走一達は若干心配するような表情をしていた。

それに気付いたイツキが走一達に問う。

 

「おい如何したんだよ?」

 

「池谷先輩…、今全開って言ったか?」

 

「ああ…言った」

 

「って事は…」

 

走一達はそう言った後、互いの顔を見て、そして両手を合わせる。

 

『『『『『南無…』』』』』

 

「おい!何だそれ!? 一体どう言う事だよ!?」

 

走一達の行動にイツキは分からずに声を上げる、そしてハチロクが第一コーナーにやって来て、そこにこっそりと来ていた祐一がギャラリーしていて、草むらに隠れて見る。

助手席に座る池谷は顔が真剣な表情をしていた。

 

「(さあ…いよいよ最初のコーナーだ。俺と何処が違うか、じっくりと見極めて技を盗んでやるぞ!)」

 

池谷がそう思う中で、コーナーに突入していく拓海。

 

「ん?おい…拓海!ブレーキ!!うわああああああああ!!!!!」

 

しかも躊躇なくノンブレーキで第一コーナーに突っ込み、それを見た池谷の表情が徐々に崩れる。

だが池谷の予想していたのとは全く違い、拓海はノンブレーキで第一コーナーを余裕でクリアする。

 

それを見た池谷は驚きを隠せないでいた。

 

「(なぜだ!?なぜこんな状態でもコントロール出来る!? どうなってんだ!?車か!?こいつは…!?)」

 

第一コーナーを抜けた後、その草むらで見ていた祐一が出て来る。

 

「…すげぇ」

 

そしてハチロクは徐々にスピードを上げて行き、池谷が悲鳴を上げる中、ハチロクのスピードメーターの警告音であるキンコンが鳴り響く。

 

「(げっ!こんな所でキンコンなってやがる…! って事は軽く100キロを超えてるって事か!?おいちょっと待て!!すぐ次のコーナーだぞ!?)」

 

池谷がそう思うな中で、もう次のコーナーがやって来る。

 

「う!!うわあああああああああああああああ!!!!!!」

 

ハチロクはドリフトをし、コーナーを抜ける最中、ガードレールに近づくにつれて、池谷側では崖が見えて、それに池谷が悲鳴を上げるばかり、それを見た拓海は一瞬笑みを浮かばせ、そのままリアバンパーをガードレールに少しだけ接触させる。

 

それにより池谷は思わず唖然とし、その横を見ると。拓海は片肘を付けながら運転する様が最後に描かれ、徐々に池谷の意識が薄れて行った…。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

秋名山の頂上で、走一のワンビアがスタンバイしていた時に、ハチロクが戻って来たのが見えた。

イツキ達は首を傾げていた。

 

「あれ?もう帰って来たぞハチロク…」

 

「どうしたかな? 麓まで行ったにしちゃあ早すぎる」

 

「…やっぱりか」

 

「え?」

 

走一の言葉にイツキが振り向くが、ハチロクが止まってハザードを点滅し、イツキと健二が駆け寄って、運転席側から助手席に目を向ける。

 

「「…うええええええっ!!?」」

 

突然声を荒げるイツキと健二、助手席にいる池谷が失神した状態で座っていて、よだれを垂らしていた。

 

「…失神してる」

 

「安らかな寝顔だ…」

 

イツキと健二がそう言う中、道郎がやってきて言う。

 

「いきなり全開ドライブをすると、大抵の人はそうなりますよ。増してや走り屋だからと言って、全開ドライブをした事がない池谷先輩が耐えれない事は、最初から分かってましたからね」

 

「え、ええええ~~…!?」

 

道郎の言葉に健二はあり得ない表情をし、凛は拓海に問いかけに行く。

 

「ねえ拓海君。池谷さんはいくつ目のコーナーで失神したの?」

 

すると拓海は指を3本立てて凛に見せ、それを思わず口抑える凛。

 

「え?3本目で?!」

 

「はっ?3つ…? うええええええっ!!?私は見たああああああっ!断末魔の絶叫がこだまする恐怖のダウンヒル!! 池谷先輩コーナー3つで…失神事件!!!!!

 

「やめんかーーーーっ!!!」

 

 

 

バコン!!!!

 

 

 

「あでぇ~~~……!」

 

お約束の真美のハンマーで叩かれたイツキは涙目になって黙り込む。

すると後ろから祐一が腕を組んで考え込む。

 

「どうやら本当らしいな…」

 

「うわっ!!あれ?祐一さん…?」

 

「どうしてこんな所に居るのですの?」

 

廉一郎と友梨佳が祐一が居る事に驚き、それには走一達も振り向く。

 

「あ、いや…ちょっと気になってな…。ははは…こりゃあお呼びでないか」

 

祐一は苦笑いをしながら呟く中、走一はワンビアのエンジンが温まったのを見て言う。

 

「よし、そろそろ俺もシェイクダウンを開始する。道郎、記録頼む」

 

「分かった。行って良いぞ!」

 

その言葉に走一はアクセルを踏み、加速させながら発進させる。

 

その後ろ姿を見て、イツキと健二は思わず見る。

 

「す、すっげぇ……!」

 

「あっという間に見えなくなった」

 

 

 

そして走一はワンビアの足回り性能を確認する為、第一コーナーをドリフトで侵入する。

 

以前乱れていたアンダーステアと若干格闘していた足回りだったが、その乱れがなくなり、走一の思う通りの動きをし、それを実感する走一。

 

「(良いぞ…、思う通りの動きをする。サスペンションのバネも良いし、ショックアブソーバーも効いてる。ブレーキも良い感じだし、軽く踏むだけで荷重も引き出せる!)」

 

そう思い、走一は次のコーナーへと侵入して、右コーナーをクリアしていく。

 

「(完璧だ…、足回りが効いてるからタイヤのグリップの感覚も伝わるし、馬力も足に伝わる…これなら今度の土曜のバトル…やれるな!)」

 

走一はそう思いながらドリフトを行い、スライドを抑えながら立ち上がる。

 

「(あの人も必ず練習に励んでいる筈だ。だがそれはこっちも同じ! 拓海が勝ったんだから俺も勝つ!)」

 

そう思いながら峠を下って行くのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

一方その頃、高橋兄弟の涼介は啓介と史浩にこの間の事を話して喫茶店にいた。

 

「そいつの事なら知ってるよ、ナイトキッズの中里っていや、妙義じゃ敵なしらしいぞ?」

 

「信用出来ねえな、32に乗っている奴の腕なんか。ただ車が速いだけだ」

 

「そうかな?」

 

「違うってのか?兄貴」

 

啓介は意外そうな表情で涼介の方を見る、啓介は大のGT-Rが嫌いで、話しをするだけでも嫌々な様子、当然これはラリーに活躍するランエボも同じである。

理由は単純、只車が速いだけの理由である。

 

「始まったな、啓介のGT-R嫌いが。…けどな涼介、中里に先を超されるのは不味い気がするけどな。俺達が勝てなかったハチロクにナイトキッズが勝つ様な事あって見ろ、俺達レッドサンズはナイトキッズよりレベルが低いって事になりかねないぞ。

噂ってのはそんなもんだからな、中里の狙いもその辺にあるんじゃないかな? それに啓介は今度の土曜…ワンビアとバトルするって事になってるんだろう?」

 

「そこは関係ねえよ、それに心配ねぇと思うよ、あのハチロクに勝てるような奴がナイトキッズにいる訳ねぇや」

 

そう断言する啓介、一度バトルを経験しているからこそ言える台詞である。

 

「秋名の下りを走る限り…どんな奴が来ても駄目だろう、兄貴以外の奴は手に負えねぇな。そのくらいあのハチロクは…桁違いに速くて上手い!」

 

「…分かんねぇな俺には、今の新しいハイパワーの車が何でハチロクに勝てないのかな?」

 

史浩はその事に頭を悩ませていると、涼介が口を開く。

 

「…時には、パワーがあり過ぎて、ダメな場合があるって事さ」

 

「え?」

 

史浩は涼介の言葉に思わず振り向き、涼介は言葉を語り続ける。

 

「ターボパワーって奴は直線では強力な味方だが、コーナーの立ち上がりでは車の挙動を乱す諸刃の剣なんだ、その点ハチロクなら…一度決めたら後はガンガン行けるからな。

ストレートの短いテクニカルコースでは、非力でも思い切って行ける車の方が速い事がある…」

 

「パワーアップした啓介のFDが…逆に仇になったって訳か…。ん?ちょっと待て涼介!ワンビアはどうなんだ?!ワンビアだってターボチャージャーを搭載した車だろう!?」

 

「奴のマシンはテクニカルコースを重視した馬力になっている、350馬力のFDとは違い、ワンビアの260馬力の安定したパワーの方がテクニカルコースでも十分対応できるんだ」

 

「なる程な…」

 

涼介の説明に史浩は納得するそぶりをする。

 

「確かに…秋名の下りだと、350馬力を全開に出来る時間なんて…トータルにしてほんの僅かだったよ。一瞬ドカンっと開けたと思ったら、もう次のブレーキングだし…パーシャルも長くてイライラするんだ」

 

啓介は秋名の下りを攻めた際、FDの本来のパワーが発揮できなかった事に悔しがっていた。

 

「まあそこはリアタイヤだけで路面に伝える、FRの宿命だろう」

 

「ふ~ん…、ん?おいちょっと待てよ?それじゃあ4WDのR32はどうなる!? 踏んでも安定してトラクションの掛かるアテーサET-Sなら、ターボパワーをいくらでも使えるじゃないか?! 中里の32なら…ハチロクに勝つんじゃ?」

 

「それはどうかな? 重大な事を1つ見落としているぜ」

 

「重大な事…?」

 

「ああ、ただこれに関しては…俺だけじゃなく、()()()も気付いていたんだけどな」

 

「あいつ?」

 

啓介は涼介の一言に思わず目線が行き、史浩はそれに問う。

 

「涼介、あいつって誰だ?」

 

「…この間秋名で会った、白のフェアレディZ S130を操る…如月琢磨にな」

 

「如月琢磨だって!!?」

 

史浩は涼介の言葉を聞いて驚き、それに啓介は問う。

 

「おい史浩、何だそんなに驚いて?」

 

「驚くのも無理はないぞ啓介! 如月琢磨って言えば! 涼介!!!()()()()()()()奴の事じゃないか!!」

 

「はあっ!!?」

 

その言葉を聞いた際、啓介は涼介の方を見て、涼介はただコーヒーを一口のむのであった…。

 

 

 

 

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