頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

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第20話 涼介の過去 迫るバトル

喫茶店で中里の話しをしていた涼介達、その際涼介が秋名であった琢磨の話しをし、それを聞いた史浩が驚きながら啓介に涼介が琢磨に負けた事を話して、それに驚きを隠せない啓介。

 

「おいちょっと待てよ兄貴!! 兄貴が負けただと!?そんなことある訳ねえよ!!」

 

「…これは俺がまだレッドサンズを結成する前の話しだ。俺は一匹狼だった頃…赤城に1人の走り屋が来たんだ、その走り屋は赤城の走り屋と一度走りたいと言った。俺は別に構わないと思い、その走り屋と走る事になった。

まあよそ者相手に負ける訳にはいかないと、俺は軽く抜き去ろうとしたが、その走り屋は俺の想像を遥かに超えるドラテクを持つ者だった…。その走り屋こそ、俺が先ほど話した如月琢磨だったんだ…」

 

「嘘だろうおい!! そんなの信じねえぞ!兄貴がそう簡単に負ける訳がない!!」

 

啓介はあくまでもその話しを信じる事が出来ず、涼介が負ける事はない信じている。だがそれを史浩がさらに追い打ちを話す。

 

「残念だが啓介、その話しは紛れもなく事実だ。そのバトルには俺もそこに居たんだ」

 

「何だと!?」

 

「静かにしろ啓介、店の迷惑だ。まあ…琢磨の腕は俺の想像を超えている…。さらにあいつは俺にこう言ったんだ。【もっと世界を見ると言い、そうすればお前の最速理論が必ず見つかる】とな…」

 

涼介がそう言った事に、啓介は拳を握りしめながら言う。

 

「クソッたれが…! そいつ調子に乗ってんじゃねえのか!?兄貴に勝ったぐらいでよ!」

 

「いや、あいつは俺の特徴やドラテクの腕をよく観察した後に俺を抜き去って行ったからな、奴の腕前は俺より遥かに上だ」

 

「くっ!俺は信じねぇぞ…! 兄貴より上の奴がいるなんて!」

 

「啓介」

 

史浩は苛立ちを隠せない啓介を抑え、啓介は史浩の方を見る。

 

「世界は広いんだ。涼介より上の奴が居ても不思議じゃない。それはお前も分かってるだろう?」

 

「っ…!」

 

その言葉に啓介は黙り込んでしまい、涼介はただ静かにコーヒーを飲むのであった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして次の日、走一はワンビアで野田修理工場に足を運び、今回仕上げてくれた和真に礼を言いに来た。

 

「和真さん、ワンビアを仕上げてくれてありがとうございます。代金は溜まり次第お渡ししますので」

 

「良いってことよ、それにしてもやっぱりお前さんは泰三の息子だ。レストアしたばかりの部分がもうへタッてきたからな、まあ~その分楽しくチューン出来たから良いけどよ」

 

「そういえば父さんの車もここでチューニングしたんですよね?」

 

「そうだ。だがあの車…元々お前さんの為に用意した車だって前に言ってたぞ?」

 

「え?あの車が…?」

 

和真の言葉を聞いて思わず驚く表情をする、まさかこの前借りたあのスープラが元々自分の為の車だって事に驚く。

 

「まさか…、あの重そうな車が俺の相棒になるものだったなんて」

 

「でもまあ今のお前さんにはワンビアがあるんだ、それを使って思う存分暴れろ」

 

そう言って和真は手を振りながらその場を去って、自分の仕事に戻っていく。

走一はワンビアに乗ってもうじき始まるバトルの事を考える。

 

「(おそらく啓介さんは全力で勝ちに来る気だろうな、それは俺も同じ、さあ…土曜日が待ち遠しいぜ)」

 

そう思いながらも走一はワンビアを走らせる、その際に先ほど聞かされた話しを思い出す。

 

「それにしてもあの親父のスープラが元々俺に用意されたものとは、思いもしなかったな。普通はあんなバカ重い車を選ぶのは相当勇気がいる奴だ、上りならともかく下り専門とする俺ではちょっとな…」

 

走一のワンビアは下り専門、上りは玄と廉一郎が適任である。彼らのセリカとNSXは馬力もある為上りがかなり有利な車、しかし廉一郎のNSXはどノーマルである為、馬力を上げるにはECUの交換が必要である。

その後馬力調整で馬力を上げる、それがあのNSXの馬力アップの方法、C30Aはそれだけ設定が難しいエンジンなのだ。

 

「…まあ、あの車に乗るのはワンビアがアップグレードする為預けるか、こいつを手放す時期が来るかどうかだ…」

 

その事を願わない事祈る為、走一はワンビアを大切に扱うことを誓いながら実家に戻るのだった。

 

 

 

 

 

そして夜、秋名山では走り屋が乗るインテグラが秋名山を下っている最中に一台の車が背後に迫ってきた。

 

当然その助手席に座る男が後ろからのヘッドライトの明かりに気づいて、後ろを見る。

 

「何だ…?」

 

その男が後ろを見ると、後ろには中里が操るR32 GT-Rがやって来て、後ろからやたら煽ってきている。

 

「黒の32…! 最近よく見かける奴だ!」

 

「くそっ!煽ってきてやがる!」

 

「パスさせねぇで、頑張ってみろや!」

 

「ああ、下りだと車のパワーが小さくなる。FDに勝つハチロクが居るくらいだからな!」

 

そう言ってインテグラのドライバーはアクセルを踏み、スピードを上げる。

R32もそれに釣られてスピードを上げて、そのインテグラを追いかけ始めた。インテグラはコーナーに入り、出口よりで体制を崩すも何とか立ち上がって突き進む。

 

しかしそれを後ろから見ている中里はイラついていた。

 

「(邪魔くせ…このザコが!)」

 

そう思いながら中里はアウトから大胆に出て、そのインテグラを抜き去って行く。

 

それを見たインテグラの男たちは驚きを隠せなかった。

 

「なっ!!アウトから一気に行かれたァ!!」

 

そしてR32はそのまま凄まじいスピードでその場を去って行き、それにはインテグラは止まってしまう。

 

「ゾッとするぜ!桁違いの立ち上がりの加速…!!」

 

「やっぱりな…パワーのない車で、大排気量の車に勝つなんて、現実では出来っこねえんだよ…」

 

2人がそう言っていると、後ろから何かが抜き去って行って、それにその男たちは思わず見るのだった。

 

そしてインテグラを抜き去った中里は笑みを浮かばせながらR32を走らせる。

 

「(すごいマシンだぜこいつは…、こいつに乗り換えた時からそれまでライバルだった奴等がライバルでなくなった。俺を本気にさせる相手が居なくなっちまったんだ。近頃の目立つだけのドリフト遊びは俺の趣味じゃねえ…

下りでガンガン攻めて、頭の中が真っ白になるくらいギリギリのバトルでなきゃ、俺はだめだ! 出て来い…秋名のハチロク!!一目で直観したぜ、お前なら相手にとって不足はない!!)」

 

そう思っていると、後ろからヘッドライトの光が照らされ、それに中里は気づいた。

 

「ん?何だ…?」

 

バックミラーでその様子を見た、すると後ろから180SXのヘッドライトが迫って来て、それを見た中里は鼻で笑う。

 

「何だ…この俺に挑もうって言う訳か、秋名のザコが…」

 

そう言って中里はアクセルを踏んでスピードを上げる。すると後ろの車も同じようにスピードを上げていく。

R32がグリップ走行でコーナーに入った瞬間、後ろの車がドリフトをしながら猛スピードで突っ込んでいく、その際中里はバックミラーでその車を見ると、それは青のワンビアである事に気が付く。

 

「ワンビアだと!? よく見たらあのワンビアは以前高橋啓介とハチロクのバトルの際に居たやつか!?」

 

中里はそのワンビアが走一が操るワンビアだと気づき、コーナーを抜けた際、R32はワンビアをわざと行かせ、後ろから追いかけ始めた。

 

「丁度いい…あの高橋啓介とハチロクを追いかけたその実力、とことん拝見させて貰うぜ!!」

 

中里はそう言ってワンビアを追いかけ、それに対しワンビアに乗る走一は後ろを見る。

 

「(いきなりR32が道を譲ったと思ったら、俺を追いかけ始めた…? どうやら俺とバトルしたいらしいな。まあいいか、それならちょっとだけ付き合ってやるよ!)」

 

そう思いながら走一はアクセルを踏んで、スピードを上げていく。

 

秋名のタイトなヘアピンにドリフトで突っ込んでいき、R32はグリップ走行でコーナーに侵入していく。

小回りの利かないR32が軽々とコーナーをクリアしていく様子を、走一はバックミラーで見ていた。

 

「(あのR32…、上手く荷重を生かしながらアンダーを潰して走ってる。GT-Rのパワーを上手く生かしてる、一体どんな奴なんだ?こんな勾配のキツイ秋名で走る奴は度胸が居るぞ?)」

 

っとそう思いながら走一は走らせ、馬力のあるR32はすぐに走一の後ろの張り付く。

走一はそれに慌てる事無く、コーナーで一気に差を開けて走らせる、それには中里は若干歯を嚙みしめながら見る。

 

「(なんて奴だ…、あんなパワーのないワンビアであそこまで走らせるとは、相当な腕だ、それにあのワンビアは相当足回りをチューンしている!)」

 

中里はそう思いながらワンビアを追いかけるも、丁度麓に到着し、ワンビアはアクセルを緩めて駐車場に入り、R32も駐車場に入っていく。

 

そしてワンビアから降りる走一は、R32から降りてくる中里を見る。

中里は走一を見ながら問う。

 

「お前、地元の人間か?」

 

「はい、俺は朝倉走一、この秋名の地元の人です」

 

「朝倉か…、俺は中里 毅。ナイトキッズと言う妙義山のチームリーダーだ」

 

「(ナイトキッズの中里? そんな奴がどうして此処に…?)」

 

そう思いながら走一は中里の方を見る。

 

「それにしても、その重たい32でよく秋名を攻めましたね」

 

「フッ、こいつは重たくても荷重を上手く生かせばどんな下りでも最強だ。お前ももし乗り換えるならもっとパワーの車に乗り換える事を進めるぜ」

 

「遠慮します。俺の相棒はこいつです、ただあんまり下りを攻めすぎると逆効果になりますよ。そいつの()()()に…」

 

「っ!!!」

 

その言葉に中里は目を大きく開かせる。そして中里は目を閉じながら言う。

 

「…んな事は分かってる、それで…お前はいつからここを走っている? 見る限りじゃまだ若いが?」

 

「つい最近です。まだ免許取りたての若造です」

 

「(何!?それであれ程の腕前なのか!?)…大した腕前じゃねぇか、以前何かやっていたのか?」

 

「カートしていたんですよ、10年間ずっとね」

 

「10年だと!? 通りで上手いわけだ…。だが所詮FR共の誤魔化しだ、大排気量の4WDには勝つにはまだほど遠いぜ」

 

その言葉に走一は目を細めながら言う。

 

「その言葉、そのままお返ししますよ。FRが勝てないと言う見込みもない。FFもRRもMRもドライバーの技術だけで途轍もないポテンシャルを発揮します、あまり侮らない事です」

 

「フッ、覚えておくぜ…。しかしお前…何故こんな時間に走っているんだ?」

 

「それはバトルが近いからですよ、啓介さんとの」

 

「何!?高橋啓介とだと!?」

 

「ええ、今度の土曜です。もし興味があれば見に来ればいいですよ」

 

っとそう言って走一はワンビアに乗ってその場から去って行き、中里はそれにただ茫然としながら走り去るワンビアの後姿を見るのであった。

 

 

 

 

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