秋名山頂上、秋名の道路わきには多くのギャラリーがごった返していた。それもその筈、今回はこの秋名山で朝倉走一のワンビアと高橋啓介のFD3Sがバトルする事になっている。
そのスタートラインで走一と啓介が自分たちの車をスタートラインに並べていて、2人は一度顔を合わせながら見る。
「…遂にこの日が来たぜ、お前とガチでバトルするのとなると腕が鳴る」
「俺もですよ。言っておきますが…俺をそれら辺の連中と一緒にされてはこっちが困りますからね。あまり舐めてますとそっちがしっぺ返しを食らいますよ」
「うるせぇ!その言葉…そのまま返してやる」
軽い口喧嘩な感じ挑発アピールを言う2人、そしてバトル開始に前に2人は自己紹介する。
「改めて挨拶する。高橋啓介だ」
「朝倉走一です、こっちは勝ちに行きます」
「それはこっちも同じだ…始めるぞ!」
っとその言葉に回るはすぐに動き出し、カメラを持った者達が写真を撮り始めた。
それを見ていた彩音達はそれに苦笑いしながら見ていた。
「え、ええ~~~………写真まで取るの?」
「流石にやりすぎでしょう」
「そんな事ねえよ!!!走り屋ってのはこういう風に取られるのも当たり前なんだよ!!!くぅ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!俺も早く取られてみたいぜ~~~~!!!!!」
ドガァァァァァァァァァン!!!!
そうイツキが言っていると、真美から強烈なハンマーを貰ってしまい、ドでかいたんこぶを作りながらイツキは涙目で黙り込んでしまった。
そんな中で彩音達に誘われた拓海が回りのギャラリーを見て、道郎と凛に問う。
「なあ…どうしてこんなにギャラリーが集まってんだ?」
「あ、拓海…お前もしかしてギャラリーの噂を甘く見たな? 走り屋っての噂を流す事で爆発的に増え、それに集まってくるんだよ」
「それだけじゃないよ。走り屋関係のカーショップの方でもかなりの噂が流れ込んでくるから、それに集まってくる走り屋も多いの」
それに拓海は「へぇー」と答えるであり、車に乗り込んだ走一と啓介の方を見るのだった。
走一のワンビアは日産のFRスポーツカー、シルビアのボディと180SXのフロントマスクを取り付けた車。馬力は260馬力のままで、足回り関係のチューニングによって足の食いつきが良くなった。
対する啓介のFD3SはマツダのFRスポーツカー、排気量1300㏄でありながらターボパワーによって350馬力のパワーを発揮する車。
そして2台が並んだ時、史浩が合図を送る。
「それじゃあカウントを始めるぞ!! スタート10秒前!!!」
史浩の言葉と同時に走一と啓介の車はアクセルを踏みふかし、タコメーターを徐々に上げていった。
同時に彩音たちは息を飲む様に見守り、拓海やイツキと池谷達は勿論の事、このバトルを見に来た涼介も見ていた。
そして史浩が…。
「5秒前!! 4!3!2!1! GOーーーーーーーーーーーーー!!!!」
合図と同時にワンビアとFDのリアタイヤが高速で回り、同時にスタートラインから飛び出していった。
2台同時に飛び出したことに、頭はだれが取るのか、っと思われたその時、走一のワンビアがFDの後ろに付いて、それを見た啓介が歯をかみしめる。
「くっ!やっぱりあいつ…実力を隠してやがったな! 上等だ!付いてこれるものなら付いてきやがれ!!そんで抜かせるもんなら抜かしてみろ!!」
啓介はアクセルを踏んで、走一から引き離してコーナーをドリフトで抜けていき。走一はそれに離されながらもその速度を維持したまま、最初のコーナーをドリフトで華麗に抜けていくのだった。
───────────────────────────────────────────
スタート地点では、皆がスタートしたの見て興奮している中、涼介が先ほどの様子を見て少しばかり考える。
「(ワンビア…、最初の時の足回りが若干変わっている。スタートダッシュの際に微妙なズレも無くなっている、更に足が安定したお陰か更に路面への食いつきが良くなっている…。ちょっと上がった程度ではそう簡単に差は生まれはしないが、それを操るのは朝倉のドラテクだ。身体にしみ込んだドラテクがワンビアの走りを更に向上させる…、この勝負…どうなるか分からんな)」
涼介は頭の中でそう分析していると、そこに1人の男がやって来る。
「よう、涼介」
「ん? お前か琢磨」
そこに現れたのは如月琢磨であった、琢磨は涼介の隣に立ち、タバコを吸いながら語る。
「お前の弟…前より良い走りをする様になったな、アクセルの踏み込みに無駄が少なくなった」
「そうか、だがまだまだだ、あいつは未だにパワーで押し切ろうとする所がある。それに加えタイヤの使い方もまだ荒い、その事に後半でどの様な結果になるか分からん…」
「…だな、その点あのワンビアは…かなり上手い。この勝負は目に見えてる」
「何?」
琢磨の言葉に涼介は思わず振り向き、琢磨はタバコを携帯灰皿に入れて潰す。
「あいつの走りに俺はすぐに確証が見えた。この勝負…恐らく、いや…確実にあのワンビアが勝つだろう」
「お前がそこまで言う程のなのか?」
「ああ…、だからすぐに結果は来るはずだ…」
琢磨が言ったその予言は的中していた。場所は中盤に入ったが走一のワンビアが啓介のFDの背後をピッタリと張り付いて、動作をしっかりと観察していた。
その中で啓介はかなり焦っていた。
「(くそっ!!一向に離れようとしねえ!! それどころかさっきからぴったりと張り付いてきやがる!!)」
「(動きがかなり良くなっている、相当練習したんだなあの人…でもそれはこっちも同じ!!隙があれば抜きに行く!!!)」
走一はそう思いながら減速して、ヒール&トゥーでギアチェンジをする。
華麗にコーナーをドリフトでくぐり抜け、FDの背後を確実に取る。
啓介はそれに苦痛の表情をしながらも、FDを更に加速させてワンビアから逃げる。
しかしここで啓介のFDのタイヤが滑り始め、それに啓介は驚く表情をする。
「(っ!タイヤがタレ始めやがった! くそっ!パワーを使い過ぎたか! だがタイヤがタレ始めたからと言ってそう簡単に抜かせはしない!!)」
FDのタイヤの乱れはじめには走一は見逃さなかった。
「(FDのタイヤが乱れ始めてきた。相手のタイヤのグリップ力が弱まって来たんだな、でもそれはこっちも同じだ、拓海のハチロクよりパワーがある分、その影響はタイヤにダイレクトに来るからな! その隙を狙う!!)」
走一のワンビアが追いつく様に走り、コーナーに差し掛かろうとした時に、後輪が若干滑り始める。
彼のタイヤも熱ダレによってグリップ力が弱まってきたのだ、だが走一はそれを逆に使い、ワンビアの限界性を高めた。
そして5連続ヘアピンでは中里がギャラリーに来ていた。
「(スキール音が聞こえてきたぞ…、あいつがあの高橋啓介とバトル…絶対に逃すはずはないぜ!!)」
中里がそう思う中で、5連続ヘアピンにFDとワンビアがやって来た、そしてFDが5連続ヘアピンの第1ヘアピンに入った際、フロントタイヤがタレて来て、アウト気味になってしまった。
啓介が歯をかみしめる中で、それを走一は見逃さなかった。
「(今だ!!!)」
走一はそのインに向けて入り、FDをコーナーで抜いた。
それを見た啓介と、ギャラリーで見ている中里は目を大きく見開いた。
「何!?くそっ!!!」
「抜いた!!」
そしてワンビアが先頭に出て、そのまま逃げ始める。
FDもその後を追いかけるが、もうフロントとリアのタイヤが限界に近い為、ワンビアを追いかけるのは無理に近かった。
その光景を見た中里は心臓が撃たれた感じの衝撃を受けた。あの啓介を負かす者がハチロク…拓海以外にも他にいたとはと信じられずにいたからだ。
「(…あの高橋啓介を抜かすか…、フッ、どうやらこの勝負…決まったな。楽しみがまた一つ増えたぜ…。秋名のハチロクと同様、あのワンビアを仕留めるのはこの俺!妙義ナイトキッズの中里 毅だ!!)」
ゴール地点、レッドサンズのメンバーが待っている中でエキゾースト音が聞こえて来て、皆が見る。
「来たぞ!!どっちだ!?」
そしてライトが見えて、先頭に出ているワンビアが現れる。
「ワンビアだ!!ワンビアが先頭だ!!」
「その後方にFDだ!!!」
そしてワンビアがゴールして、その後にFDがゴールし、その結果を頂上に報告する。
『今ゴールした!!勝ったのはワンビアだ!!』
「「「っ!!やった~~~~~~!!!」」」
イツキ達がそれを聞いて大喜びし、拓海はそれにぽかんとした状態…いつものボケた顔でいた。
彩音たちは走一が勝ったと聞いて、喜んでいた。
「やった!走一が勝った!」
「すげぇぜ!走一!」
「まあ走一ならこうだね」
「ああ、走一ならな!」
「凄いわね走一君!」
「またメンテナスしてあげなくちゃ」
「はい、そうですわね」
っと歓声を言う中で、涼介と琢磨がその結果を聞いて、予想出来ていた感じであった。
「言っただろう涼介、あいつが勝つと…」
「…ああ、あのワンビア…朝倉が勝つとはな、本当に予想していた様だな琢磨」
「ああ、それにあいつはもっと速くなるぞ…。今後が楽しみだ」
琢磨はそう言ってフェアレディZS130に乗り込み、その場を去って行った。
それを涼介は見届け、その後史浩が来る。
「涼介…今回の敗戦もキツいぞ、なんせ秋名のハチロクに続いてワンビアにも負けたとなれば、レッドサンズの名もかなりヤバい」
「…この決着は近い内に付けるさ、俺のFCでな。だがワンビアは琢磨の獲物だ、同じ時期で同時にやるさ」
「え!?」
その言葉を聞いた史浩が驚いて涼介を見て、涼介はFCに乗り込み、峠を下るのだった。
そして秋名山の麓。そこでバトルを終えた走一と啓介がそこに立ち、今回のバトルに啓介は負けを認めていた。
「…悔しいが今回は認めるぜ、これの技術がまだまだ未熟って事がな」
「でもいいバトルでしたよ。お陰でこっちも楽しめました」
「へっ! …ハチロクと同じ様に負けんじゃねえぞ、お前を負かすのはこの俺だからな」
「勿論負けるつもりはありません。リベンジならいつでも受けますよ」
「ちっ!減らず口が…、今日は楽しかったぜ。じゃあな」
そう言って啓介はFDに乗り込み、その場を去って行き、走一はそれを見届けるのであった。