走一達が拓海達のガソリンスタンドに立ち寄った、当然それはワンビア達の給油である。
「こんにちは、ってあれ?」
走一達は何やらイツキの中心に集まっていて、イツキが何やら愕然とした様子で両膝を付いていた。
それに走一たちは見て、走一たちは拓海達の所にやって来る。
「よう拓海、一体何があったんだ?」
「あ、走一。…実は」
拓海が走一たちにイツキの事を話す、実は昨日…拓海と池谷が居ない間にナイトキッズの中里がこのスタンドに来たらしい、拓海とのバトルがしたい為そこへイツキに問い、スピードスターズのメンバーである事を勘違いし、調子に乗って拓海とのバトルを受けてしまったらしい。
当然何も知らなかった拓海達だった為、今日健二が慌ててやって来て問いかけて来た為、イツキが観念して話したと言う事らしい。
それを知った走一達はそれに頭を抱える。
「マジか…イツキの奴、やらしてしまったのかよ」
「もう!!!だから調子に乗らないって言ってるのに!!!」
真美はドでかいハンマーを持って、イツキに襲い掛かろうとするが、それを凛と廉一郎に止められる。
イツキはそれを見て怯える。
「ヒィ~~~!ごめんなさい!! 俺…どうしてもスピードスターズのメンバーだと言われて嬉しくてつい…、つい拓海のバトルを引き受けてしまったんですよ~…!」
「ついじゃないわよ!! 全くあんたって人は!!!」
「真美、その位にしておけって」
真美が更に叱ろうとした際に、走一が止めて、それに真美は走一の方を向く。
「走一君!!あなたこの馬鹿の肩を持つの!?」
「過ぎてしまった事で怒鳴っても仕方ないだろう、それにタイミングの悪さは今に始まった事じゃない」
「そうだな…、だがバトルの挑戦状は拓海だ。それを拓海は受けるかどうか…」
「悪いけど、俺受けないよ」
っとその言葉に走一以外の彩音達は勿論の事、池谷達も驚きを隠せない。
「ええっ!? 何で!?」
「俺…挑戦を受けられたら受けるなんて、そう言うの嫌いだから」
そう言って拓海はスタンドの店内に入っていき、それにイツキは余計に頭を抱え。池谷達も頭を抱えてしまう。
「だぁ~~~!参ったぞ!? このままじゃ大恥をかいてしまう~!!」
「イツキ!お前が変に対応なんかするから!」
「すいませ~~~~~ん!!」
池谷と健二に叱られるイツキ、そんな様子を走一は少しばかり拓海の様子を見て、店内に入っていく。
それを彩音と凛、道郎と廉一郎に友梨佳が見て、その後を追いかけるのだった。
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拓海は店内の掃除をしようとする際、走一が拓海の下にやって来て、拓海は走一の方を見る。
「…なんだよ?」
「拓海、このバトルは一応経験した方が良いと俺は思うぜ。車の楽しみさを知るにはいい機会だ」
「楽しみって…、別に俺はそんな風に思ってる訳じゃ」
「この前海に行った際、楽しくなって来たって言ってたじゃんか」
「それはそれで、これはこれだよ。全く関係ないじゃないか」
そう言って拓海はその場から去って、それに走一は少しばかり頭をかく。
「う~ん…まだ楽しみの半分って所か、もうちょっとか…」
「走一」
彩音達が走一の下に来て、走一が彩音たちの方に振り向き、頭をかきながら言う。
「う~ん…拓海に車の楽しみさをもっと感じて貰おうと思ってたけど、なかなか上手く行かないな…」
「そうなの?」
「でも拓海なら走一の言葉を絶対に聞いて貰える筈…」
「それは難しいと思うぞ」
っとそこに祐一が走一達の所にやって来て、走一達が祐一の方を向く。
「店長、どう言う事です?」
「拓海の様なああ言うタイプは、一度言い出したら頑固で聞き分けが効かないからな。いくら仲の良いきみ等でも難しいと思うな」
「ええ~…、拓海君折角の走るチャンスなのに勿体ない」
「仕方ないよ。拓海君は元々走り屋って言うタイプじゃないんだし」
彩音は走らない拓海に少しばかり残念そうに言い、凛がそれを少しばかり考えながら言った。
それには廉一郎と友梨佳は何も言えず、走一は拓海の事を少しばかり考えていたのだった。
そしてバイトが終わり、走一達は一度話し合う為、近くの喫茶店に来てたが、何処も満員だった為、廉一郎が自分の自宅へと案内させた。
廉一郎の家は豪邸で、かなりの部屋数があるが、その中でも広い部屋を招き、走一達は考えていた。
「どうする…? 今度のバトルはよう?」
玄がそれを走一に問い、走一はそれに考えながら答える。
「…どうするも、俺達もチームに入っているんだ。噂が噂でこれだけ広まれば、池谷先輩達のメンツが立たなくなる、それは俺達も言える事だけどな」
「しかし拓海があの様子じゃあ不味いぞ。少しは自分が招いている事に自覚を持って貰わないと」
道郎の言う通り、拓海は走り屋じゃないと言えど、一度走ってしまったら他人から見たら走り屋。それはどうしても避ける事は出来ない。
しかし肝心の拓海はそれを自覚しておらず、更には嫌がっている様子であり、それに関しては走一達はどうすることも出来ない為困っていた。
すると彩音がこんな事を言い出した。
「ねえ、今度走一ってあの中里さんって人とバトルするって約束だったんだよね? 代わりに走るってのはどう?」
その言葉に皆が走一の方を見て、走一は少しばかり考える。
「…そうだな。その方が良いかも知れない。だがあくまでこれは一時的な事、中里の本命は拓海だ。それは違いはないと思うな」
「ええ~…そうなの? 走一が走ったら面白いのに…」
「彩音…アンタね」
彩音の一言に呆れていて、凛は苦笑いし、友梨佳はそれに笑っていた。
「だが走一、お前があの中里と走るのは決まっているのは分かったが、拓海はもう秋名のハチロクとして名が広まっているんだ。今更逃げ出す事なんて出来ないぞ?」
「…分かってる。ちょっと行ってみるか、早朝の秋名に…」
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早朝、秋名山の峠。
頂上では秋名の下りを全開で下りるハチロクが居て、その運転席に座る拓海は少しばかり考えていた…。
それは豆腐の配達に行く際、高橋啓介が早朝の時間に現れて、今回のバトルについて聞かれた、しかし拓海はそれには受ける気は全くなく、それに対し啓介がキレてこう言った。
『嫌々走ってて、あんな凄い技身に付く訳ねえだろう! お前自分では気づいてねーかも知れないが、本心では車の運転が好きに決まってんだ!! これ機に自覚しておいた方が良いぜ!車を走らせることが好きならそれだけで十分走り屋なんだよ!! 走り屋なら自分で身に付けた技術にプライドを持てよな!!』
その事に拓海は納得行かない感じでいた。
「(自分が気付いていないだけで、本当は走るのが好き…!? 心に響いたぜ…!!畜生…!その通りかも知んねーけど、売られたバトルを買わなきゃいけねーって事にはなんねーだろ! やっぱり納得出来ねーぜ!!)」
拓海自身は走り屋でもなければ、レーサーでもない。自身ではそう思っているが、啓介から言われた言葉にイライラが収まらなかった。
どうすればいいかと思っていた時に、拓海の目にあるものが見えて、それに思わずハチロクを止める。
目の前にいたのは、路肩に車を止めていた走一達だった。
それに思わず拓海は外に出る。
「…皆」
「よう、おはようさん拓海」
「朝からの配達、ご苦労様。はいこれブラックコーヒー」
彩音が拓海にブラックの缶コーヒーを渡して、それに拓海は受け取る。
「あ、ああ…ありがとう」
「…拓海、お前何かあったか?」
「え?」
走一の言葉に拓海は思わず振り向き、走一はワンビアにもたれながら言う。
「お前の表情…なんだか引っ掛かりを感じている様に見えるんだ。…此処に来る前なんかあった?」
「別に…「拓海君!嫌な事は友達に話した方が気が楽な時があるよ!話してみてよ!」ぅ…青野って時々強引だよな?」
そう拓海が言いつつ、配達の行きの際に啓介と会って、キツイ言葉を言われた事に走一達は若干納得するような感じだった。
「…成程な。まあ啓介さんの言う通りかもしれない」
「おいおい!お前等もそう言うのかよ!?」
「当たり前だろう。俺達は走るのが好きだから走り屋になった。そしていつかレースの世界に出て活躍したいって思ってるんだ」
道郎の言葉に拓海は思わず口が止まってしまう、それを見て凛は拓海に言う。
「ねえ拓海君。拓海君はもっと自分を見て、そして正直になって周りの言葉を気にした方が良いと思う」
「え…?」
「自分では気づいてると思っても、実際は他人に言われないと気づかない所もあって、それに初めて気づく場合があるの。だからもっと自分に正直になっても良いと思う」
凛の言葉に拓海は少しばかり言葉を無くし、少々俯く状態になる。
そして顔を上げて、缶コーヒーを一気に飲み干した後、自分の車に戻る。
ドアを開く際に走一達の方を向く。
「…やっぱり俺、納得出来ない事には納得出来ない。気にした方がいいってどうやればいいか、さっぱり分かんねぇよ!!」
そう言って拓海はハチロクに乗り込み、そのままハチロクを走らせて自宅へと帰っていく、その様子に走一達はただ拓海の後ろ姿を見るしかなかったのであった。