頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

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第26話 タイムアップ寸前 後編

秋名山がお祭り騒ぎになっている頃、自宅にいる拓海は何やらかなり焦っていた様子だった。

 

「(何でだ…死ぬほどイライラする。秋名山に行きたくてたまんねぇや)」

 

拓海が猛烈に秋名山に行きたがっていた。行きたがっている理由は先ほどバイト先で、店長の祐一からある話しを聞いたのだ。

 

 

 

『悪い事は言わん…GT-Rにだけは止めとけ。FRと四駆のいいとこだけ合わせたような駆動システムだからな、なんたってスタビリティが高いから下りでもかなり速いんだ。ハチロクとGT-Rじゃ格が違い過ぎる』

 

 

っとその事を言われて、拓海は思わずこう言ったのだ。

 

 

 

『俺、GT-Rなんて別に怖くないですよ!!店長!』

 

 

 

そう言って拓海は自宅に帰って、ハチロクで秋名山に行こうと思った時だった。

自宅にはハチロクが無く、それには拓海は愕然としてしまったのだ。

 

「(走る事がそんなに好きかどうか自分でも分かんねーけど、5年間…雨の日も雪の日も1人で走り続けて…他の誰よりも多く秋名を走ってるんだ。それが…何処まで通用するのか試してみたい、皆が速い速いって言うGT-Rに俺が今出来る全てをぶつけてみたい…。車が無いのに諦めがつかない…逆に走りたい気持ちが強くなる…。こんな気分になったの…初めてだ)」

 

拓海は祐一にそそのかされ、走りる気持ちが高ぶらせていた。しかしこれは祐一の作戦だったのだ。

 

それは拓海にGT-Rの凄さを教え、逆にハチロクでは無謀だと言う事を教えて、その反動で走らせると言う作戦だったのだ。

 

しかもそれが見事に上手くいき、祐一はこう言った。

 

 

 

──父親の性格と全く一緒だな

 

 

そう祐一は語っていた…。

 

そして拓海は自室でベッドに寝転びながら、文太の帰りを待っていた。

 

「くそっ…馬鹿親父! 何処ほっつき歩いてんだよ?」

 

そう思っていると、エンジン音が聞こえ、それに拓海は起き上がって外を見ると、家の前に健二の180SXが居て、助手席から池谷が降りてくる。

 

「拓海!!」

 

「池谷先輩」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

秋名山、走一が一度中里達の方を見て、ある決心をしてイツキの方を向いて首根っこを掴む。それにイツキは驚く。

 

「え?!何急に!?」

 

「来いイツキ、今回の事を中里さんに言うんだ」

 

「ええ~~!!でももうちょっと…」

 

「今回の騒ぎはお前が招いたんだから、しっかりと事情を説明するんだ。俺も一緒に行ってやるから」

 

そう言って走一はイツキを連れて中里の所に向かっていった。

 

その様子を見ていた琢磨は隣にいる涼介に問う。

 

「彼がそうか?」

 

「ああ、朝倉走一。ワンビアのドライバーだ」

 

「…ふん、やはりな…なかなか良いオーラを身に纏っている。以前は少ししか見なかったが、今この場でしっかり見てよくわかる…。かなり速いぞ彼は」

 

「そうか?俺にはさっぱりだがな」

 

壮真は走一を見ながら首を傾げていて。幸間もそれに頷いていた。

 

「俺にはとても速そうには見えねえがな、あいつよりも俺はあの筋肉野郎の方が面白いと思うぜ? あいつ馬鹿そうに見えて結構速そうだ、あのFTOに乗る奴もな…」

 

「ほう?幸間はそっちに気づくか。俺はあのNSXに乗ってるやろうが面白そうだ

 

「こいつ等…」

 

啓介は走一の事をまるで見下すかのように言う壮真と幸間、相手を侮辱する事に若干苛立ちを露わにするが、それを琢磨は止める。

 

「止めろお前達。いつもの見下す態度はやめろと何時も言ってるだろう」

 

「何でだよ兄貴? 別にいいじゃねぇか」

 

「駄目だ。そうやってお前達は何度も相手に抜かされる羽目になっている事、忘れたのか?」

 

「へっ!その時はまた追い返すだけってんだよ」

 

「その通りだぜ!」

 

壮真と幸間はそう言って拳をぶつけて笑う、その様子を啓介は言おうとしたが、それを涼介は止める。

 

「止めろ啓介」

 

「何でだよ兄貴!? あいつ等堂々と言いやがって!」

 

「彼らの言葉は少しばかり気に入らないが、ドラテクは間違いなく本物だ。琢磨と同じプロのレーサーだ」

 

「っ!?こいつ等が…!?」

 

啓介は涼介の言葉を聞いて驚き、思わず壮真と幸間を見る。態度はかなり乱暴な2人が実はプロレーサーであることに驚き、啓介は歯を噛みしめる。

 

「こいつ等がプロだって…? 何かの悪い冗談だ!」

 

「(だが世界は広い…、ああ言うレーサーもいるって事だ)」

 

そう涼介が思う中、走一はイツキを連れて中里達に今回の騒動の事を説明した。

 

「…じゃあ何か? 今回はそいつの思い違いでこういう事態になったと?」

 

「はい、ほら…イツキ」

 

「…本当に!申し訳ありませんでした!!」

 

力一杯頭を下げて謝るイツキ、その様子を見ていたナイトキッズのメンバーは中里に問う。

 

「どうします中里さん。ハチロクが来なかったら?」

 

「フッ、そん時はこいつとやるだけだ。この際だ…ハチロクが来なかったらお前とのバトルをする、お前もハチロクと同じ高橋啓介を負かしたんだ。ここで更に名を明かしてやる」

 

中里は走一の方を見て、この前の話しを持ち出し、走一とのバトルを申す。

それに対し走一は頷きながら言う。

 

「ええ、その為に念のためワンビアをチェックしたんですから、ハチロクが来なかった場合は俺が相手になりますよ」

 

「フッ!そう来なくっちゃな…。相手が誰だろうと俺は負けねえ!それを証明して見せるぜ!」

 

そう言って走一はイツキを連れて戻り、彩音が走一の方に気づいて振り向く。

 

「走一!どうだった?」

 

「ああ、拓海が来なかったら俺が走る事になった。さて…拓海は来るかな?」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

ブォオオオオオオン!!!

 

ハチロクのエンジン音を響かせ、運転席に座る拓海は文太の方を向く。

 

「それじゃあ車借りるぜ!親父」

 

「急げよ拓海、もう時間がない!」

 

健二が180SXに乗りながら言い、池谷が文太に言う。

 

「すいません!拓海を借りていきます。その代わり戻ったら厚揚げ10枚買いますから!」

 

「が、がんもどき!」

 

そう言って池谷が180SXに乗り込んだ瞬間、拓海がハチロクを発進させて、秋名山へと向かう。

それに慌てて健二が追いかけていく。

 

その様子を文太は何やら見つめながら見ていた。

 

「(拓海の奴、いつもの目つきが違ってたな。どうなってるんだ? まあいっか…“あの足”ながら良い勝負してくるだろうよ)」

 

そう思う文太。

 

実は文太が店に戻る前、拓海は池谷達に秋名山に行くと言って、それに驚いた池谷と健二、しかし肝心の車がない事に愕然としていて、それに同時に悔しがっていた池谷と健二。

そして同時に文太が乗るハチロクのエキゾースト音が聞こえ、それに拓海は気づいて、文太が帰ってくると言った。

 

その後は見ての通りであった。

 

 

そして秋名山頂上、走一の下に涼介がやって来る。

 

「随分と名が広まったな」

 

「涼介さん。まあね…自分で言うのもあれですが」

 

「それよりもお前は気づいたか? あの三人を…」

 

涼介は一度琢磨達の方を見て、それに走一は頷きながら言う。

 

「ええ、ただ名前が思い出せなくて。顔はよく知ってるんです、レースの世界はよく…」

 

「あまり表には出たがらない奴等だからな。…あいつらの名は如月三兄弟。レース界は名を轟かせている奴等だ」

 

っとその言葉を聞いた走一と近くにいた道郎と廉一郎は目を見開いた。

 

「如月三兄弟!!そうか…!ようやく思い出した!」

 

「如月!? そうだったか!何処かで見た顔だと思ったら!」

 

「レース界ではコースレコードを塗り替え、様々なタイトルを獲得した兄弟がいるって聞いた事あるって…。まさかあの如月三兄弟があの人達だったなんて」

 

走一達はそれを聞いて驚きながら琢磨達を見る。一方玄はそれに首を傾げた。

 

「お?それって凄いのかよ?」

 

「お前な…」

 

道郎は呆れながらも玄を見ていて、それに真美はハンマーを出そうとしたがここはあえて抑えた。

 

それはあまり知り合い以外の人に見られるのを抑える為であった。

 

そんな中で涼介は走一にある頼みを言う。

 

「朝倉、お前に少し頼みがある」

 

「はい?頼みですか?」

 

「ああ、それは…」

 

涼介は走一にある頼みを行った際、その場を離れると同時だった。

 

下から4A-Gのエキゾースト音が聞こえ、それに走一達とイツキは思わず振り向く。下からパンダトレノのハチロクがやって来て、それを見た走一達が駆け寄る。

 

『『『拓海!/君!』』』

 

「よう皆、集まってどうしたんだよ?」

 

「どうしたって、お前…よく来る決心がしたな?あんだけ嫌がってたのに」

 

「別に理由はなんだっていいだろう?只…」

 

拓海の言葉に走一達は覗き込み、拓海は少しばかり考えた後こう言う。

 

「只…()()()は車で挑戦されたら、受けて立たなきゃいけないんだろ?ただそれだけ」

 

『『『……』』』

 

拓海の言葉に走一達は思わず固まった、ついこの間まで車を走らせるのが好きじゃなかった拓海がそんな言葉を言うのは予想もしてなかったからだ。

 

だが走一はすぐに笑みを浮かばせる。

 

「ああ。まあ~そんなにすぐに馴染む事はない、お前のペースでやればいい」

 

「…はぁ?」

 

走一の言葉に拓海は首を傾げるが、そん時だった。

 

 

「拓海ーーーーーーーッ!!!!」

 

 

イツキは溜まり続けていた不満がついにあふれ出しては号泣し、拓海に抱き着きながら泣いた。それには拓海は若干慌てるが、それを見た走一達は若干笑みを浮かばせていて、後から追いついた池谷達はそれを見て笑みを浮かばせた。

 

 

そしてバトルの時間となり、拓海は中里と向かい合うのであった。

 

 

 

 

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