頭文字D マキシマムブースト   作:ライダーGX

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第32話 華麗なお仕置き

秋名山を下るイツキのハチロク、その運転手は拓海が操り、イツキのハチロクを馬鹿にした走り屋たちを追っていた。

そんな中でハチロクの助手席でイツキは涙目になりながら拓海に向かって叫ぶ。

 

「拓海!もうよそうよ!!」

 

そうイツキは叫ぶも、拓海は今その事に気にしておらず、ひたすら真っ直ぐ前だけを見ていた。

 

イツキはそれにただ言葉が止まる。

 

そしてその後ろで走一達が後を追いかけ、走一は拓海がイツキのハチロクを運転している様子にただ目を見張る。

 

「…拓海の奴、イツキのハチロクをどこまで操れるかだ…」

 

「あ?どういう事だよ?」

 

「玄、忘れたのか? イツキのハチロクはどノーマルだぞ」

 

「うん。あのハチロクを何処まで操れるのか、ちょっと心配だね」

 

そう走一達は話していると、あの走り屋たちが後ろから追いかけて来た車にS13の助手席にいる男が気づき、それにドライバーに言う。

 

「おい、後ろから誰か煽って来てるぜ?」

 

「へっ! どうせ秋名の小僧だ。これに勝負を挑むなんぞ、10年早いぜ!」

 

そう言って彼はクラクションを鳴らし、前方の180SXのドライバーに伝え、それにそのドライバーは気づく。

 

「ん?ああ~そう言う事か。へっ、軽くぶっちぎりだぜ!」

 

そう言ってそのドライバーはアクセルを踏み、スピードを上げて、後方S13もそれに付いて行く。

拓海がそれに追いかけて行き、走一達も拓海の後を追いかける。

 

走り屋たちはコーナーを曲がると、拓海もドリフトでコーナーに進入していき、それにイツキは驚愕する。

 

「勘弁してくれ!!!拓海ーーーーーーーッ!!!!!」

 

イツキが叫ぶ中で、拓海はドリフトで曲がろうとするも、タイヤが全く食いつかない事に気づき、それに少しばかりガッカリした様子。

そしてガードレールが近づき、それにイツキはまたしても叫びながら怯えた。

 

「ギャアアアアアアアアアアア!!!」

 

っと拓海はクラッチを上手く使い、リアタイヤのグリップを何とかついつかせ、そのまま立ち上がっていく。

 

上手くコーナーをくぐり抜けた後、イツキはもう失神寸前になっている状態だった。

 

「し…信じられねぇ…、本当に…俺の…ハチロクかよ?」

 

イツキがその言葉は走一達も同じ事を思っていた。

拓海がどノーマルのハチロクを手足の様にコントロールしている事に、ただ目が釘付けとなっていた。

 

「すげぇ…、あのハチロクをいとも簡単に…」

 

「拓海の奴…、完全にあの車の限界性能をギリギリまで引き出してやがる」

 

走一と道郎は拓海の驚くべきドライビングテクニックに只々目を奪われがちだった。

そんな中でS13と180SXの走り屋たちは食いつかれている事に焦っていた。

 

「くぅ!!」

 

「結構やるぜ!後ろの車!!」

 

だがその時、助手席の男はある車に気づく。

 

「っ! もしかして…、さっきのハチロクじゃないか?さっき頂上に居たハチロク!?」

 

「そんなバカな! あんな車が俺に付いて来れる訳がねぇ!!」

 

そしてコーナーを曲がる際に後ろを見た時に、ハチロクのレビンが真後ろにくっついていた事に驚く。

 

「どはぁ!!本当だ!!! さっきのハチロク!!!」

 

「あいつらまさか本気で抜く気じゃないよな!!?」

 

そう言うとS13が思わずリアをガードレールにぶつけてしまって、バランスを崩し、それを見た拓海はそこだと決める。

 

「(よし!ゴーだ!!)」

 

拓海はアクセルを踏むが、思う様に加速せず、逆にS13が立ち上がっていき、その事に思わず愕然とする。

 

「(何これ…? 下りなのにあんまり加速しない…)」

 

イツキのハチロクのパワー不足に拓海は少しばかり愕然とする中で、横眼でイツキが完全に倒れているのを見る。

そしてコーナーに進入する際に、拓海はまたしてもがっかりする。

 

「(それにこのタイヤ信じらんねー…、ちっとも食いつかねぇ)」

 

「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

ガードレールが迫るのをイツキはまたしても叫び、拓海はギリギリの所で立ち上がる。

当然それらを見た走り屋たちは驚く。

 

「どひぇえええええええええええ!!!滅茶苦茶はえええええええええ!!!??」

 

「(死ぬほどおせぇ…)」

 

拓海からしたらイツキのハチロクはそんなに速くない、その様子を後ろで見ている走一は思う。

 

「(ノーマルのハチロクは良い感じでも130馬力はある、でも拓海のハチロクは違う…150馬力がある方でも足回りがしっかりしていないとその加速を生かすことは出来ない。本当にあの車は足回りがしっかりしているんだな…)」

 

っとそう思っている走一をよそに、拓海はある事を決断する。

 

「(仕方ねぇ、やるか…あれ!)」

 

そう思って拓海は次のコーナーで溝落としをし、S13を抜き去って行く。

 

「「どひぇえええ~~~!!!??」」

 

そして次の車、180SXを抜こうとする際に、そのドライバーが何としてもブロックをしていた。

 

「何が何でも抜かせるものか!」

 

だがそのブロックは虚しく、コーナーに進入した際にアウトに膨らみ、その隙間を溝落としで進入していき、それに驚くドライバー。

 

「何ーーーーッ!?」

 

そしてそのままハチロクは抜き去って行き、走り屋たちは唖然としていた。その時に走一達の車が横から割り込んできて、華麗にコーナーに進入していき、そしてハチロクを追いかけて行ったのであった。

S13と180SXはその場で止まって、走り屋たちは一度外に出て呆然とするのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして自販機の所で走一達は拓海達と合流し、イツキに飲み物を渡す。

 

「はぁ…」

 

「大丈夫か?」

 

走一はイツキの様子を見て問い、それにイツキは頷く。

 

「うん、俺…池谷先輩が言った意味がやっと分かったよ。拓海のダウンヒルは異常だって」

 

「そうか?そうでもないと思うんだけどな…」

 

「おいおい拓海、それはお前の感想だぞ? 普通の人はあのダウンヒルを経験したら誰だってそう思うよ」

 

走一が呆れながらそう言い、道郎達もその事に頷く。

 

するとイツキがこう言ってきた。

 

「俺…人生観が変わった、もの凄い衝撃的だった」

 

「え?そんなに怖かったか?ゴメン…」

 

「謝る事ないよ拓海、俺…嬉しくて嬉しくてしょうがないんだからさ」

 

その事に拓海だけじゃなく、走一達もイツキの方を見る。

 

「「「「「???」」」」」

 

「俺…ハチロクを買ったけど、車は性能じゃないってよーく分かった。ドラテクさえ磨けば、俺のハチロクはあんな凄い走りが出来るんだなって」

 

イツキは自分のハチロクを見て、更に膨大な夢が出来たと語る。それに走一達はイツキのハチロクを見続ける。

 

「皆!これ大事に乗り続けるよ! 明日から目一杯練習するんだ! 誰に笑われたってちっとも気になんねぇや、やっぱり最高だよ!!俺のハチロク!!!」

 

イツキは目を輝かせながらハチロクを見続け、それに拓海は頷きながら言う。

 

「ああ、()()()()()()()だもんな」

 

「だろう!?くぅ~~~~!!楽しみだぜ~~!!」

 

そう言って立ち上がりながら、お決まりのポーズを取るイツキ、その様子を見て走一は拓海に言う。

 

「拓海はイツキの夢を叶えさせたな…」

 

「え? …ああ」

 

その事に拓海は一瞬唖然とした表情をするが、

 

「あっ!そうだ!!今度みんなで女の子と一緒にドライブに行こうぜ!! それと拓海!今度こそ抜け駆けは無しだぞ!?」

 

「わ、分かったよ…」

 

イツキの無茶ぶりに拓海は苦笑いをし、それに釣られる様に走一達も苦笑いをするのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして翌日、ガソリンスタンドで池谷が何やら嬉しがっていた。

 

「うぅ~~~~~しゃああああああっ!!!」

 

そう…この日、道郎の父親の和真の修理工場から池谷のS13が帰ってきたのだ。それに池谷が嬉しそうな表情で見る。

 

「俺の…S13、すっかり元通りに、ハンサムな顔に帰って来た、涙出そうだ俺…」

 

「大げさだぞ」

 

っと和真がそう言い、続けて和真は池谷に言う。

 

「一応タイヤはそのままの状態だ、いつでもドリフト練習が可能にしてある。それと足回りの方だが、感じやすいソフトの状態にしてある。その方がやり易いと見てな」

 

「本当ですか!?よーし!! 今夜から早速練習開始だ!!」

 

「俺もやりますよ池谷先輩!!」

 

っとイツキが自信満々で言って来て、それに池谷達が振り向く。

 

「え?」

 

「えへへ!ジャーン!!見て下さーい!このステッカー!」

 

イツキはボンネットに秋名スピードスターズのステッカーを張った、だがそのステッカーは何とも汚いもので、それを見た池谷達は呆れてしまった。

 

「先輩いーっすよね?」

 

「ああ~…うん、まあ~…いいか」

 

何ともぎこちない返答だったが、イツキはそれを聞いて気持ちが昂る。

 

「くぅ~~~~!!俺も今日から正式にスピードスターズの仲間入りだ!! やるぞ~!昨日体験した拓海のダウンヒルの感触を忘れないうちにドリフトを覚えなきゃな!」

 

「「「何!?」」」

 

その言葉に池谷達は振り向く。

 

「「乗ったのか!?拓海のハチロクに!?」」

 

「乗りましたよ~♪ ハチロクはハチロクでも、拓海のハチロクじゃないっすけどね~♪」

 

何やら面白がるような表情で言うイツキ、それに池谷達は疑問を感じる。

 

「なんだ?その意味ありげなスケベ笑いは?」

 

「詳しく教えなさいイツキ君」

 

「ええ~?どうしようっかな~♪」

 

「軽油でも飲むかイツキ!!!!」

 

「ヒィ~~!分かりました!分かりましたよ~!」

 

少々意地悪な感じに言うイツキに池谷が軽油を飲まそうとし、それに慌てるイツキ。そしてイツキは全てを語る。

昨日の夜、秋名山に行った際ガラの悪い走り屋たちに絡まれ、馬鹿にされた事を言い、そして拓海がイツキのハチロクでそのガラの悪い走り屋たちを抜き去って行った事を全て話した。

 

池谷は納得する一方、それに信じられない表情をする祐一と和真。

 

「お前のハチロクでドリフトだって?」

 

「馬鹿な…LSDも入れていない状態で?」

 

「ホントっすよ! 俺スカッとしたんすから!」

 

「店長、社長さんも何か疑問があるんですか?」

 

池谷が祐一と和真にそう聞き、祐一と和真はイツキのハチロクを見る。

 

「う~ん…あのハチロクをそこまで乗れるとなると…」

 

「拓海君のドラテクは、俺達が思っている以上にレベルの高いものかも知れないな」

 

「え?ハチロク同士ですし、操縦性が似てるんじゃないんですか?」

 

池谷がそう聞くも、祐一と和真はそれを真っ向から否定する。

 

「いやそれは無い」

 

「ああ、ノーマルのハチロクと、文太が俺やもう1人の走り屋仲間の政志との協力で、長年掛けて熟成させたハチロクの足回りでは、月と鼈…いや、銀河と鼈!まるで別物なんだ!」

 

「ギ・ン・ガ!!??」

 

その事を聞いたイツキは思いっきりショックを受け、魂が抜けた状態になってしまう。

 

勿論それを聞いた池谷は生唾を飲み込みながら言う。

 

「…じゃあ、拓海はどんな車もすぐに乗りこなしてしまう。って事ですか?」

 

「ああ、少なくともFRレイアウトなら、そのポテンシャルをギリギリまで引き出せるんじゃないかな?」

 

「もしくは、FFやMR…4WDの車も乗りこなせると俺は思う…。ハチロクは誤魔化しが効かない車だ」

 

「基本がしっかりしてないと乗りこなせないだろう。“ハチロクがドライバーを育てる”文太はいつもそう言ってたよ」

 

祐一と和真の話しに、池谷とイツキはただただ唖然とさせられてしまう。それだけ拓海のドラテクは凄いものだと言う事であった。

 




イツキの衝撃的な所、ちょっと面白くしてみました。

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