走一と拓海のドラテクを学ぼうとした池谷は、2人のドラテクのレベルが違い過ぎて、池谷では習得できないと判断した時に、池谷をスピンさせた赤いEG6が現れた。
降りて来たのは庄司慎吾、彼とその連れの者達が来て、タバコを吸い始めた。
まるで分かって止めたかの様に。
それを見た池谷は突っかかる。
「野郎…! おい!お前だろう!!この間俺の車に当てやがったのは…!!」
「…誰?お前」
「忘れたとは言わせねぇぞ!! このツートンのS13だ!!」
池谷は自分のS13を示し、それに慎吾は見る。そのS13はこの間ぶつけたのに間違いない。
それを見た慎吾は納得する。
「ああ~、あれか?」
「おいなんだその態度は!? 謝れよ! 一歩間違えれば、大惨事になっていた所なんだぞ!!」
「全くだな、アンタそれでもドライバーかよ?」
道郎が池谷の横に付き、同じように言うが、それを慎吾がこう言った。
「は?冗談言うなよ、あれはお前が悪いんだろう」
「何!?」
「池谷先輩が悪いだと!?」
慎吾の言葉に池谷と道郎は驚き、それには彩音達も驚きを隠せず、走一は目を細める。
「まさか前を走っている奴が下手過ぎて、遅い突っ込みをしていたらついコツンっとな?」
「っ!! 何だと!!」
「ちょ!おいおい止せよ池谷!!」
「(あいつ…!!池谷先輩が切れるのを分かってやったのか?!)」
怒りが込み上がる池谷を健二が抑え、道郎は慎吾の行動がわざとだと気づき、それに怒りが込み上がる。
「ひでぇ…!なんて奴だ!池谷先輩のプライドがズタズタだよ…!」
イツキが慎吾のわざとらしい行動に少しばかり嫌気を感じていたが。その様子を見ていた走一が前に出る。
「…成程、アンタがそうか…ナイトキッズの№2、庄司慎吾…中里さんから聞いてるよ」
「ん?へぇ~…お前毅の事知ってるの?」
「ああ、今度俺とバトルする事になっている。…それよりも、アンタ随分と挑発染みた発言するけど…、一体何が目的なんだ? わざわざここに来たのは理由があるんだろ」
走一は此処に来た目的が必ずあると確信しながら問い、それに慎吾は言う。
「ああ…勿論さ、俺が此処に来たのはハチロクとバトルしに来たからだよ」
「ハチロクと…?」
「そうだ。あの毅が負けたハチロクを負かしゃ、俺の立場が逆転…ナイトキッズ最速は俺の物って事だ…。だがそれだけじゃつまらないからな、ちょっとしたルールでやろうって考えてるんだ」
「ルール?」
慎吾の言葉に走一達は少しばかり首を傾げて聞いていて、慎吾は口元を薄っすらと上げながら言う。
「…右手とステアリングをガムテープで縛り上げる。その状態でバトルする…、俺達はそれを【ガムテープデスマッチ】と呼んでいるんだ」
「ガムテープ、デスマッチ…?「おいちょっと待て!!」な?」
池谷は走一が突如怒鳴り声をあげて、それに振り向き、走一は少しばかり真剣な表情で怒声を上げる。
「あんたそれ冗談で言っているのか!? 正気の沙汰じゃないぞ!?」
走一は勿論、道郎や廉一郎もそのガムテープデスマッチの意味がどう言う訳か分かっていたらしく、少しばかり睨むように慎吾たちを見る。
玄はそれにはさっぱり分からないような感じを居ている。
慎吾はそれに辺前した表情で言う。
「別にお前とバトルしようなんて思っちゃいねぇよ、お前は毅とのバトルがあるんだろう? 俺がやりたいのはハチロクだ…。スピードスターズのハチロク…どんなガキか知らねぇが、そいつを出せよ?」
「(あいつ…拓海をバトルに誘い出すって事なのか? クソッ…これが中里さんが言っていた忠告か…。本当にイカれてるぜ!)」
走一がそう思う中、慎吾がこう言った。
「そのハチロクのガキに伝えて置け、次の土曜日の夜10時、秋名山頂上で待ってるってな、ガムテープデスマッチで決着だ…」
そう言って慎吾とその連れの者達は車に乗り込み、その場から走り去っていき、池谷が呟く。
「何だあいつ…、拓海への挑戦状って事か?」
「でも拓海の顔を知らなかったみたいだな? でも池谷…ガムテープデスマッチ…、右手とステアリングを縛った状態って」
「…な!そう言う事か走一!!」
それに気づいた池谷は走一の方を見ると、走一は頷く。
一方ジッとしていたイツキが怒りをあふれ出す。
「あの野郎…言いたい事ばかり言いやがって!!拓海!!受けろよ!ガムテープデスマッチでも何でも!! あんな奴ぶっちぎって土下座させればいいじゃないか!!」
「馬鹿野郎! イツキ、お前ガムテープデスマッチがどんだけ危険か分かって言ってるのか!?」
「何だよ走一!?お前なら分かるのかよ!?」
イツキは走一に少々怒鳴りながら振り向き、走一は真剣な表情をしたまま怒りが籠る声で言う。
「当たり前だ!こいつはステアリングが切れないし、FR殺しのヤバいルールなんだぞ!?」
「え?ステアリングが切れない…?」
「FR殺しのルール?」
彩音と友梨佳がそれに呟きながら見て、凛もそれに息を飲みながら言う。
「まさか…そのルールがまだ生きていたなんて」
「へ?」
「凛ちゃんも知ってるのかい?」
健二がその事を聞き、凛はそれに頷く。
「はい…、イツキ君、それに納得いかなかったら自分の車に乗って見て、そうしたら分かるから」
「へぇ???」
今だに分からないイツキは凛の言葉にそのまま従い、自分のハチロクに乗ってステアリングを握る。そこに走一が側に来てイツキに言う。
「いいかイツキ、右手を離さずにステアリングを切れるところまで目一杯切るんだ」
「お、おう…。ふんにゅ~~~~~!」
イツキは右手をステアリングから離さずに目一杯切り、イツキは苦しそうにしながらも走一に言う。
「こ、これ以上は無理…!!」
「よし、ステアリングをそのままにして、車から降りて見てみな」
「う、うん……………………ぶぇえええええええええええ!!!??」
イツキはハチロクのタイヤを見てみると、タイヤがまったく曲がっておらず、少しだけ曲がっている状態だった。
それを見たイツキは有り得ない表情をする。
「全然切れてない…目一杯切ったのに…!」
「これが理由だよ…」
走一は驚くイツキを見ながら言い、イツキは走一に言う。
「これじゃあどうやってコーナーを曲がるんだよ? 峠なんて走れないよ!」
「ステアリングは切っ掛けとして使うのがメイン。兎に角リアをスライドさせて曲がるしかないんだ、すべてのコーナーをな…」
「ぶぇ!? あ、でも拓海はドリフト得意だから、何とかなるんじゃないか?」
っとイツキはいつものふざけた感じで言うと、今度は池谷が割って入る。
「そんなイージーじゃないぞイツキ、カウンター当てられないからドリフトのコントロールがもの凄く難しい。ちょっとでもオーバーステアになったら即座にスピン、だからと言って入り口でアンダーを出したらそれこそ一貫の終わりだ…」
「そんなに!? でもどうしてあの人はこれを提案してきたの?」
まだ分からない彩音はそれを聞くと、道郎がそれを説明する。
「それはな、駆動方式が関係しているからなんだよ。FFは文字通り前輪駆動…
「うん、だからあの危険なガムテープデスマッチを仕掛けて来たんだと僕は思うね…、自分が有利に勝つために」
「あぁ……あ!」
っと走一は何かを思い出し、拓海の方を向く。
「(不味い! 拓海は相手が速いと思えば思う程、逆にやる気になるって祐一さんから聞いてたんだ!)」
走一は拓海が挑発すればするほどやる気になるって事を聞き、拓海の方を心配する。
彩音は拓海の方を見て、彩音が聞く。
「ねえ拓海君。大丈夫?」
「…え? 何が」
「だって、これ危険だよ? どうするの?」
「っ!俺しない! 全く関係ないから…!」
っといつもの様にやる気がないと言い、それに走一達はホッとする。
「ああ、それが良い。こんな危険なバトルする必要はない。ただイツキ、あんまり拓海を走らせるような事はするなよ?いいな」
「ぬぅ!!だってあんな奴土下座させて、ぎゃふんと言わせたいじゃんか!!」
「だからと言って拓海をこんな危険なバトル、させるつもりも一切ないだろう! 良いな?絶対にやらすんじゃないぞ?」
そう念入りにイツキに言う走一達、そしてもう遅いと言い、今日は皆自宅へと帰るのだった。
そして翌日、走一達は勿論、拓海達はこの事を祐一に話す事として、それを聞いた祐一は驚く。
「ガムテープデスマッチ!?それはいくら何でも無謀だ!」
「でしょう? だから拓海には受けるなって言っておいたんです」
「ああ、それがいい。…俺も若い頃、小道具使ったり制限をしたりと、色んなバトルをしてきたが、ガムテープデスマッチはその中でも一番危険なバトルだからな…」
それを聞いた皆はやはりガムテープデスマッチは受けない方がいいと思い、少しばかりホッとした時に、健二の180SXがやって来る。
健二は急ぎ車から降りて皆に言う。
「おい皆! 何だかヤバい事になってるぞ!」
「ヤバい事? 何だよ」
「どうもあの庄司慎吾って奴が、妙な噂を立てているんだ。“スピードスターズは怯えて慎吾の挑戦逃げまくってる”ってさ! しかもガムテープデスマッチの事は伏せてだ」
「それじゃあ、俺達のメンツ丸つぶれじゃないか!」
それを感じた走一は慎吾が拓海を何としてもバトルに引っ張り出そうとしている事に感じる。
「(…アイツ、一体何が狙いで拓海をバトルに誘い出そうとしているんだ? これは警戒を強めなきゃな)」
そう感じる走一だった。