拓海の進化を目の当たりをした走一達、だがそれは走一も同じだった。
彩音の提案によって走一もガムテープデスマッチのステアリングをなるべく離さない様にして、その曲がりをやって見た所、そのコツを掴んで、ゼロカウンタードリフトを習得したのだ。
だがそれは全く関係ない。今回は拓海のバトルなのだ。
走一達は万が一拓海が事故を起こした際に対応出来るよう、拓海達のバトルを見守っているのだ。
慎吾は全く事故らない上に、ますます走りに鋭さが増す拓海の走りにイライラと驚きを隠せないでいた。
「(クッ! 何故だ!プレッシャー掛けても乱れない! それどころか走りにどんどん鋭さが増して行きやがる…!!)」
その様子を慎吾だけじゃなく、走一もそれを見て細めで見ていた。
「(やるな拓海の奴…、ガムテープで縛られているのに、最小限のカウンターでコーナーをクリアしていく…。このバトルの中で進化しているのか拓海は…?)」
そう走一が思っている中で、慎吾は何かを考えていた。
「(くっそ…。とんでもねぇ食わせもんだぜ…あそこまでやられちゃあまぐれじゃねぇ…、でも俺は毅の様に甘くはねぇぜ? 余は勝ちゃいいんだよ…どんな手を使ってでもな!)」
そう不適の笑みを浮かべる慎吾に全く気付かない拓海、そのまま秋名の下りを攻める中、慎吾は笑みを浮かばせる。
「(悪く思うなよ? 秋名のハチロクが解体の鉄くずに変わるだけさ…!)」
慎吾はそう思い、拓海がコーナーで減速し、シフトダウンをしてコーナーを曲がった瞬間、EG6がハチロクのリアバンパーを強烈にプッシュし、ハチロクをスピンさせる。
それを見た走一達は驚く。
「「「「なっ!!?」」」」
「「「「きゃあああああああ!!!」」」」
彩音達はそれを見て悲鳴を上げ、拓海も一瞬の事に驚きながらも、すぐさまハンドルを逆に切り、1速にシフトダウンした後、360度スピンターンした後に2速から3速に切り替えて、何事も無かったかのように加速していく。
それを見た走一はホッとする。
「ほぅ…」
「良かった~!」
『マジで拓海の奴すげぇ!!』
『あの状態からよく立ち直したわね!?』
『僕も冷っとしたよ…!』
『ん?おい、何だか様子が可笑しいぞ?』
道郎からの通信に走一達は前を見ると、何やらハチロクの挙動が可笑しな感じに見える。
それを見た走一達は何やら分からずにいた。
『拓海君、どうしたんだろう…?』
『何処かお怪我でもされたのでしょうか?』
心配する走一達に対し、拓海は慎吾がわざとぶつけて来た事に怒りが込み上がっていた。
「(ムカついた…!! わざとやりやがったな!? てめぇみたいなカスには…絶対に負けないからな!)」
そう意気込みながらハチロクを加速させていく拓海、そしてハチロクを追いかける走一達。
だがハチロクはコーナーをクリアするかと思いきや、ガードレールに若干ぶつかりながらもそのまま走り抜け、そして若干コースから外れて片方のタイヤを草むらに突っ込ませながら走っていく。
それを見た走一達は拓海の行動を見て驚きを隠せなかった。
「おいおい拓海!?」
『あいつらしくない動きだぞ!?』
『もしかしてキレたの?!』
『不味いな、あのままじゃいずれクラッシュするぞ!?』
「でもそんな感じには見えないよ?」
っと彩音がその事を言い、それには走一は彩音の言葉に耳を傾げ、凛はそれを問う。
『どうしてそう思うの?』
「だって拓海君。なんだかぶつけながらも凄い速さでシビックに追いつこうとしているもん」
彩音の言葉に走一は前を見る。
確かにガードレールに少しぶつけながらもスピードは落ちる所か徐々にスピードが上がっていく…。本当にアイツキレてるのに早くなってるのか?
全く…あいつのヤバさは凄まじいな…。
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そして秋名の半分のコーナーを過ぎて、ハチロクが背後に迫ってくる様子に慎吾は焦っていた。
「(マジかよ…! ハチロクがすぐ後ろにまで迫ってくる!? どうなってるんだ!?)」
慎吾はこの時まだ状況が読み込めてなかった。怒らせてしまったのはとんでもない相手である事を…。
そして中里がギャラリーしている所では、ギャラリーが危険なドライブをするハチロクを見て、驚きの声を隠せないでいた。
「死ぬ気かよ!?」
「キレてるぜあのハチロクのドライバー!?」
そう言う中で、中里は冷静に見ていた。
「(並みのドライバーなら、キレたら最後、ミスを繰り返すばかりで速く走れない。だがあいつは違う…身体に染み込んだドライビングセンスが、紙一重でハチロクをコントロールしている…。キレたら切れるだけ速い! 勝負が見えたな…慎吾)」
そう中里が言うと同時に走一達のワンビア達がそのコーナーを通り過ぎて行き、中里はそれを細めで見つめる。
そして慎吾はかなり焦っていた。もうEG6を限界領域まで攻め込んでいる筈が、逆に煽られ、更には張り付かれた事に驚きを隠せない。
「(嘘だろう!? 張り付かれた!? 軽量クラス最強のEG6がハチロクに追い詰められるなんて…速いとか遅いとかのレベルじゃない! あのハチロクは化け物だ…けどよ…食いつかれたからって追い抜かれなきゃ良いだけの話しだ!)」
慎吾は後ろをちらちらと見ながらも、コーナーを左足ブレーキでクリアしていく。
拓海もコーナーをクリアしていく中で、走一達がその後ろを見る。
「拓海め…、このデスマッチのコツを掴んだらこんなにも速くなるとは…」
「でもそれは走一だってそうじゃない」
彩音の言葉に走一が苦笑いした際に、拓海のハチロクがコーナーに入る直前インに付く。それを見た慎吾がイラつく。
「(くそっ!インを取ろうだなんてそうはいかねぇぞ!!)」
慎吾もアクセルを踏もうとしてインに入ろうとした際、拓海はEG6に接近して、それに慎吾は驚く。
「(まさか!さっきぶつけた仕返しにやり返す気か!?)」
とっさにブレーキを踏んだ際、アンダーが出てしまい、外側にふくらんでいくEG6。
拓海はそれを機に溝落としをしてインを取り、そのまま前へと行く。
慎吾は抜かれた事に衝撃を隠せなかった。
「(な!何…!? 抜かれただと…!? 今のは何だ!? どう見てもインべたですこーんと行きやがった!? あり得ねぇ…、この俺が…この俺が抜かれるなんて)」
慎吾はステアリングを握りしめて…。
「理解出来ねぇんだよ!!!!」
力一杯叫びながらハチロクを追いかける。
その様子を後ろから見ている走一達はその様子を見て、ガッツポーズを取る。
『よし!拓海が前に出たぞ!!』
『逆転だぜ!!』
皆が喜んでいる中で、走一は笑みを浮かばせながら、内心心配事がある。
「(さて…、あの野郎はこの後どうする? このままでは済まないとは思うが…)」
そう思っていると、秋名山で最も長いストレートに出ると、慎吾のEG6が前に出始めた。
「(へ!へへへへへへ! こっちから仕掛けたガムテープデスマッチだ。このまま負けたらチームの中じゃ笑い者だ。だが引き分けになったとしても俺のメンツは保って見せるぜ…)」
EG6が何かの行動をし始めたのを走一は見て言う。
「…おいおい、アイツ何する気だ?」
そして慎吾のEG6が並んだ時に、慎吾は笑みを浮かばせる。
「(へへへ…、このストレートならこのB16Aのパワーなら並ぶ事が出来る…、お前の逃げ道はねぇ…、このバトルの結果は…ダブルクラッシュと行こうぜ!!)」
EG6がハチロクと並んだ瞬間、慎吾がステアリングをハチロクに向かって切る。だがハチロクは右へと曲がった際、空振りへと終わり、そしてそのままガードレールにぶつかる。
それを目の当たりにした走一達は驚き、EG6はそのまま後ろに向いたままガードレールにぶつかって止まる。
走一達は慌てて止まり、そのEG6に駆け寄る。慎吾は外に出て来て、右手を抑える。
「おい!平気か!?」
「大丈夫かよ!」
「ちょっとアンタ!! まさか拓海君にぶつけようとしたの!?ふざけんじゃないわよ!!」
道郎と玄が心配する中、真美が怒り任せに平手打ちをしようとしたが、それを走一は止める。
真美は走一の行動に驚きを隠せない。
「ちょっと!!何すんのよ!? こいつ許せないわ!?」
「黙ってろ「っ!?」…」
走一は真美に冷たい言葉を言った後、慎吾の様子を見る。右手を抑える様子からして、今のキックバックで右手を痛めてしまった様だ。
それを見て走一は一度目を閉じて考え、目を開けて廉一郎の方を向く。
「廉一郎、確かお前の所で確かキャリアカーがあったよな? すぐに連絡して欲しい。道郎…悪いがお前の親父さんの工場にEG6を運んでもいいか?」
「え?うん…」
「走一、別に構わないが。彼をどうする気だ?」
「…俺は彼を病院に連れて行く」
その言葉に慎吾は振り向き、驚いた様子で見る。
「お前…」
「…
「…すまねぇ」
走一の優しさに慎吾はただうずくまりながらも、礼を言う。クラッシュをしようとしたとは言え、それを走一は見ぬフリをする事にしたのだ。何せ怪我人をそのままにしておく必要はないからだ。
そして夜空を見る慎吾はこう言う。
「…すげぇなあのハチロク、一体何者なんだ…?」
「…アイツは、この秋名のダウンヒルスペシャリストさ」
走一は慎吾の問いに答えるかのように夜空を見て言う。そして今回のバトルはハチロクの勝利となった。
リクエストキャラの募集を活動報告に書いてありますので、どうぞ見て下さい。