真子とのデートからの翌日、ガソリンスタンドではいつもの様に健二が遊びに来ていたが、今日は池谷が居ない事に驚いた。
「ええ!?休んでる~!?」
「はい、そうなんですよ」
健二が聞いた事にイツキは頷きながら言い、それにあり得ない健二。
「あの仕事真面目の池谷がか? 信じられねぇな」
「あれから一言も口聞きませんでしたからね。パーキングエリアでトイレに行った際も放心状態でしたし、中々声を掛けられなかったっすから」
「どうも嫌な予感がしてたんだ~、あの池谷の彼女にしちゃあ可愛すぎだよ」
「所詮自分には女はいらないっすよ、“ロンリードライバーイツキ”、それが俺のキャッチフレーズです」
「(それってイツキが悪いって事だろう…、走一達が言ってた事だけど)」
拓海は以前走一達がフラれた理由はイツキにも原因があるとの事で、拓海は内心納得出来ない所ではあったが、一応言わない事にしておいた。
「ショックが長引きゃなきゃいいけどな…」
健二が心配する池谷の事を思う中、ガソリンスタンドに一台の車がやって来る。それに拓海達は見ると、それは三菱 GTOだったカラーリングはランプグラックで、リアウイングはGTウイングに交換されている物。
それにイツキは興奮する。
「いらっしゃいませー! うわぁ!GTOだ!珍しいな~!」
「GTO…?」
「三菱が開発した4WDの車、道郎のFTOの兄貴分の車でこっちが先に開発された奴なんだよ」
「へぇー、そうなんだ」
拓海はそう呟き、すぐに駆け寄ると、GTOの運転席からある男性が降りてくる。それは走一や拓海達と同じ18歳の少年で、帽子を後ろ向きにしていて、彼は拓海達の方を向く。
「…なあ、1つ聞きたい事があるんだけど…」
「え?何でしょうか?」
「この秋名に稲妻のワンビアが居るって聞いたんだけど、何処に居るか分かる?」
「え?」
その少年の言葉に拓海達は一瞬驚きの目をし、拓海はその少年の名を聞いた。
「あの…失礼ですが、貴方は?」
「俺? 俺は…【
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そして彩音達はある駐車場で待ち合わせをしていた。
彩音が時計を見ながらまだ来ない事に、若干焦りを感じていた。
「まだ来ないよ…、道に迷ったのかな?」
「天然の彩音じゃあるまいし、そんな事ないわよ」
「ええ~!? 私!天然なの~!?」
「あはははは…」
真美の言葉に彩音は驚きを隠せず、その様子には凛は苦笑いするしかなかった。すると一台の車が彩音達の所にやって来て、彩音達はその車を見る。
その車はブルーのシルエイティで、シルエイティから真子が降りて来たのだ。
真美は真子と向き合いながら言う。
「今日はすみません、わざわざ来ていただいて…」
「良いのよ、でも流石の私も驚いたわ。まさかいきなり家に電話が掛かって来るから…、住所も何も教えていないのに」
「そこは秘密と言う事で…」
友梨佳は目を閉じたままそう言い、それには真子は若干引いた。
それもその筈…、友梨佳が柳原財閥の力を使って、真子の住所を探し出して、真子に連絡を取ったのだ。
それには流石の凛もやりすぎと考えたが、それは言わない事にした。
「それで、私に用って?」
「…私達、あの時碓氷峠の帰りに貴女が乗るシルエイティを見ました。あんな凄いドラテクを持っているなんて、池谷先輩に何て言うんですか? あの人貴女だと知ってショックを受けてますよ?」
真美の説明を聞いた真子は少しばかり申し訳なさそうな表情をし、顔をうつむいたまま言う。
「…それについては、池谷さんに謝らないと行けないと思ってるわ。それに騙すつもりもなかったの」
「騙すつもりがないって、言えなかったって事ですか?」
「それって…何か事情があるからですか?」
凛と彩音がそれを聞くと、真子はそれに頷きながら言う。
「ええ、私は…こう見えて性格が地味なの」
「地味?貴女がですか?」
彩音達がそれを聞いて首を傾げ、それに真子は頷く。
「私…ハンドルを握るとちょっとばかし性格が変わっちゃうの。そう言う所…あるのよ私」
「(そうなんだ…、あんまりそうは見えないんだけど…)」
真美は真子の話しを聞いて、そんな感じになり、真子は空を見上げながら言う。
「私…いくら速く走れても、男の人は恋愛の様な目では見てくない…。だからそろそろ私は終わりにしようと考えて、池谷さんにお話しとあるお願いをしようと考えてるの」
「お話しと…お願い?」
友梨佳がそれを聞いて、真子は頷く。
「ええ、私…今年の最後に走り屋を辞めるの。そして…最後の夏の思い出に秋名のハチロクと稲妻のワンビアに碓氷峠でバトルをお願いするの」
「「「「えっ!?」」」」
彩音達は真子の話しを聞いた際に驚きを隠せない。真子は池谷にその取り引きの様なお願いをすると同じだからである。
勿論この事は真美が黙っていなかった。
「ちょっと待ってください! それだけの為に池谷先輩に近づいたって事ですか!?」
「いいえ!そうじゃないわ! 池谷さんは本当に優しい人…そんな人にこんな事を頼むのも可笑しいって分かってる。だから…」
「(真子さん…何を考えてるのよ…!)」
真子の理解出来ない頭について行けない真美、だがそんな中で彩音が口を開く。
「…真子さん、走一とバトルをしたいんですか?」
「? ええ…そうよ」
真子は彩音の問いにそう答えると、彩音は頷きながら真子に言う。
「…分かりました、走一に話しを通してみます。それに走一ならバトルの申し出なら多分受けると思いますし」
「彩音!?あんた何言ってるのよ!? 普段走るのとぶっつけ本番じゃ違うのよ!?」
「真美、走一君の考えは理解してるでしょう?」
「え?」
凛の問いに真美は振り向き、凛は思い出しながら語る。
「私達…走一君達とは5年前から知ってるじゃない。カートをやっていた時から…、走一君は他の人から頼まれてもやると言うだけだし、むしろやる気になるって言うのがあるし…、それに走一君は碓氷峠を一度見たらある程度は走れるって言うだろうし」
「そ、それは…」
「走一君は…きっと走るよ。だから真子さん、走一君はOKしてくれると思います」
「…皆」
真子は彩音達の言葉を聞いて、少しばかり唖然とするのだった。
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一方走一は、ワンビアを受け取りに工場に行っていて、和真がワンビアの馬力調整を終えて一服していた。
「ふぅ~…、ん?おおー来てくれたか」
「どうも、どうですか?」
「丁度終えた所だ。ワンビアの馬力は希望通りの300馬力にしてある。本当なら280馬力にしたいが、新しいタービンがそこまで下げさせてくれないから、勘弁してくれよ」
「構いません。これなら行けそうですね」
走一はワンビアを撫でながらそう言い、和真はワンビアのキーを渡す。
「直線の加速は前と同じだけど、馬力を減らした事によって、コーナリングのキレが若干戻る筈だ。君の腕前が生かせるはずだ」
「はい【プルルルルルル!】ん? ちょっと失礼」
走一は携帯電話を取り、それに出て対応する。
「はい。ああ彩音か…どうした? …え? そうなのか? ……OK、勿論受けるって言っておいてくれ。後は拓海だ、最後のはアイツの判断だ、じゃあな」
「どうかしたのかい?」
「…和真さん、今度碓氷峠でバトルする事になりました。今最速と呼ばれるシルエイティに拓海とタッグを組んで」
「ほう?」
その事に和真は思わず声が出る。
そして凛の考えていた通り、走一はシルエイティのバトルを受ける事になった。
果たしてどうなる事やら…。