レッドサンズの中村賢太からダウンヒルバトルの挑戦を叩きつけられた走一と拓海、2人はそのバトルの挑戦を受ける事にし、ハチロクとワンビアを持ってくる事にする。
その際イツキを連れて来た拓海、イツキは助手席に座ろうとする。
「じ、じゃあ、横に乗るぞ俺?」
「待った。悪いんだけどさイツキ、後ろに乗ってくれ」
「え?」
拓海に言われるがままにイツキは後部座席に座り、それにイツキは問う。
「…なんか意味あんのか?これ…」
「…多分」
「多分ってなんだよ!? ドリフトの時、どうやって身体を支えるんだよ?!」
「まあ、何とかなるだろうさ、その時は我慢してくれ」
そう言って拓海はハチロクを動かし、スタートの位置に持って行き、走一もワンビアを動かそうとした時に彩音がやって来る。
「ねえ走一。私も一緒の乗ってもいい?」
「いや、今回すぐに帰る事は無いから、麓で待ってるから彩音は亜里沙のロードスターに乗せてもらえよ」
「うん、分かった」
そう言って走一はハチロク同様、ワンビアをスタートラインに持って行かせる。
そんな中で中里が無線で状況を確認していた。
「よし!対向車は来ない、始めるぞ!」
そんな様子を池谷と健二は静かに見守っていた。
「大変な事になったな…」
「ああ、でもこうなったらもうどうしようもねぇ」
そしてハチロクとワンビアがスタートラインに着き、イツキが拓海に問う。
「なあ拓海、お前大丈夫なのか?雨のバトル…?」
「どうかな?雨じゃとばせないから、俺は普通に走るよ。速いかは遅いかは…俺にもよく分かんねぇんだ。マジで無理しねぇよ、車ぶつけたら親父にグーで殴られっからな」
「そっか~…(あっ!じゃあ負けたら、来週の高橋涼介のバトル…どうなるんだ!?)」
そんな事を考えるイツキを他所に、啓介がカウントを始める。
「カウント行くぜ! 5!4!3!2!1! GO!!!!」
スタートと同時にS14が前に出て、若干遅れるハチロクはS14の背後に着く。
ワンビアはハチロクの後ろに付いて、ハチロクの後を付いて行く。
その様子を見た池谷は言葉をこぼす。
「やはりスタートダッシュはS14か!」
「ノンターボとはいえ、2リッターもありやがるからな」
健二も池谷の言葉に頷く様にいい、それに中里はそれを付け加えるかのように言う。
「単純に排気量の差だけじゃない。濡れた路面に上手くクラッチを繋いだ、自分が雨が得意と言うだけはあるな」
「…でも俺が気になる所が1つある」
雅人がその事に呟き、慎太郎がそれに振り向く。
「気になる所ってなんだ?」
「走一のワンビアだ、走一のワンビアのSR20ターボエンジンはS14と同じ排気量は2リッターだ。それなのにハチロクの後ろに付いたって事は…」
「ああ、ハチロクとワンビアのスタートダッシュには余裕があった。走り出してしまえば、いつでも追いつける感じだし、抜こうと思えばいつでも抜かせるって奴だな」
啓介も雅人と同じ考えであり、全くと言っていい程余裕がある感じと見えたのだ。
そんな中でハチロクの後部座席に座るイツキはその様子を見て驚いていた。
「(あっけなく前に行かれた!? 不味いよ!このままじゃパワーの差が出て、どんどん置いて行かれるぜ!?)」
イツキが心配する中で、走一と拓海は全くと言っていい程落ち着いていて、S14がどんどん離されて行く中で、最初のコーナーに入る頃にはもうかなりの差が広がっていた。
ハチロクとワンビアが最初のコーナーを抜いて行った際、ギャラリー達がそれを見て言う。
「随分差が付いたな! やっぱりハチロクに上りはキツイか!」
「だけどここからは麓まで永遠と下りコーナーの連続だからな。下りになれば、無敵のダウンヒラ―と呼ばれるあいつのスーパーテクニックが出る!このままやられっぱなしって事はねぇだろう!」
「でもパワーのあるワンビアは何でハチロクの後ろに付いているんだ? いつでも前に出れるのに?」
「確かにな…?」
ギャラリー達がその事に首を傾げるのは言うまでも無かった。
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そして啓介が雨を避けるためにFDの所に戻って行く中、啓介の携帯に着信が入る。
「もしもし…、あ、兄貴?」
電話の相手が涼介だった、啓介は涼介に今回のバトルの事を話し、それに自宅にいる涼介は聞いていた。
「ハチロクとワンビアと賢太が、レインバトルか」
『そうなんだよ。賢太の奴、ハチロクとワンビア相手に自信満々なんだけど、雨は甘くないぜ、兄貴』
「そうだな、低いスピードでタイヤを滑らせて楽しむ分にはどうって事ないが、バトルとなれば話しは別だ」
『ああ、命一杯アクセルを踏んでいくとなると、とんでもなく難しくなるぜ』
啓介は雨のバトルがどれだけ危険な事かは知っていたらしく、それを涼介も同じように言う。
「ドライならタイヤのグリップで誤魔化してしまう事も、雨となるとシビアに挙動に現れる」
『キッチリ荷重移動しないと、車は全く言う事を聞かないからな、ちょっとミスれば…いきなりドッカンだぜ!』
「雨の本当の難しさと怖さを、
そう言って通話を切った涼介、啓介も携帯をしまい、タバコを取り出す。
「ヘッ、2人か…、その2人ってのは…
そう啓介は呟きながらライターを取り出そうとした時に、横からタバコを取り上げられ、それに啓介は振り向くと、そこには雅人達が居た。
「なんだよ、お前等か」
「タバコは車内で吸ってろ、雨だと湿って吸えなくなるぞ」
「フッ、そうだな…。ところでお前等はやはりハチロクとワンビアが勝つと思うか?」
「まあな、俺は…」
「俺は少しばかり微妙だ」
っと慎太郎が少しばかり奇妙な表情をする。
それに聞いていた陽毬が問う。
「どうして?」
「ターボは雨だとあまりパワーが路面に伝わりにくく、パワーの出が半分になる。もしかしたらあの賢太って奴が一部勝機があるんじゃないかなって思ってな」
「…お前さんはやたらターボが嫌いだと見えるぜ」
啓介は慎太郎の考え方が少しづつ見えて来て、それに笑みを浮かべながら言う。
「お前はあのワンビア…朝倉がどう言う奴なのか、分かって無い様だな」
「と言うと…」
「あいつは、お前が思っている程、やわな奴じゃないって事さ」
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そんな中、ハチロクに居るイツキは問いうと…。
「うわああああああああああああああああああ!!!! 助けて!俺はまだ!死にたくねぇよぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」
後部座席には当然シートベルトがなく、体を固定する所がないため、彼方此方振り回され、更には夜と雨で見えない恐怖にさらされていた。
更に雨が強まってくる様子に彩音達は車に移動し、玄達と不藤達は池谷達と一緒にいた。
「クソッ…、また強くなって来たな?」
「相手は赤城の走り屋だ。どっちも地元じゃないのは条件は互角だが、問題はこの雨だ…」
「拓海と走一…、雨でも走れるのかな?」
っと健二がその事を言うと、池谷は思わず気づいて振り向き、健二もその事に気づいてしまった。
「…走れるんじゃないか? だって、アイツ毎日やってるんだろう?豆腐の配達。雨の日だって数えきれないほど…」
「そうだよ!絶対そうだ!」
「だとしたら、拓海のドライビングテクニックは…雨でも通用するって事になる! でも走一は…」
「あいつは走れるよ」
池谷の言葉に不藤がそれを遮るかのように言って来て、それに池谷は振り向く。
「え?なんで分かるんだ?」
「俺はアイツと…、カートで何度も雨のレースをして来たからな。あいつは雨にも関わらずそれを順応していった、まるで自分の手足の様に馴染んでいってな…、それには俺も思わず目を疑ったよ。あんなイカれた走りをするなんてな…」
「あいつもかよ…、って事は池谷!」
「ああ! 走一のドライビングテクニックもこの雨に通用するって事だな!」
その事に確信を得る池谷と健二だった。
そしてバトルの中でS14に乗る賢太は絶対的な自信を持っていた。
「(絶対に追いつかせるもんか! このマージンどんどん広げてやる!雨さえ降れば、俺のQ`sはターボ車だってちぎれるんだ!!)」
雨の路面に何とかアクセルワークを繋ぎ、コーナーでケツを振りながらコーナーを抜けて行った。
「おぉー!ケツ振ってる!」
「あのS14、雨の中でいい走りをしてるぜ!!」
「FRって雨だと本当に難しいからな」
「ああ、踏んでも横向くだけで前に進まねーもんな」
ギャラリー達は賢太が雨でも走れる事に圧巻していた中、少しだけ離されているハチロクとワンビアがやって来たのが見え、それにギャラリー達が見る。
「来た!ハチロクだ!」
「ワンビアもいるぜ!!」
ギャラリー達が注目する中、ハチロクとワンビアが限界スピードを維持しつつ、慣性ドリフトして、雨の中のツインドリフトをしながらコーナーを抜け切りて、出口よりで車体を立て直し突き進んでいく。
「うっぉ!!信じられねぇ…!! 雨の中であんなドリフトが!?」
「しかもツインドリフトしてたぜ!?」
「何だったんだ…今の?」
「ゾッとしたぜあの突っ込み…」
「俺、鳥肌が立った…」
雨が降っている状況にも関わらず、拓海と走一の超絶的なドライビングテクニックに度肝を抜かれたのか、ギャラリー達は走り去っていったハチロクとワンビアに圧巻されていったのだった。
そしてそれはハチロクの後部座席に座っていたイツキも同じ感じだった。
「(こ、これが…ついさっきまで女ボケしてた奴の走りか!? 無理しねえとかなんとかぬかしやがった癖に、こんな走りが拓海にとっちゃ普通なのかよ!? それに後ろには走一のワンビアも堂々と付いて来れてるし、こいつ等にとっちゃ雨はどうって事ないのか!? しかも雨の夜でなにも見えねえ…。どうやって走ってるっていうんだよ? 真っ暗で道路なんかどこにあるのかマジでわかんねーじゃねえか!?)」
イツキは拓海の驚異的で超絶的なドライビングの高さと、雨の夜の様子に恐怖を覚え、ハチロクに乗った事を後悔していた。
そしてハチロクのキンコンの音が車内で鳴り響き、それに更に恐怖を高ぶらせていく。
「(キンコン言わすなァ!!正気の沙汰じゃねえよこのスピードォ!!)」
拓海はイツキが怖がっている事に目も向けず、拓海は走一は堂々とコーナーをドリフトでして行き、それには後部座席でこけるイツキは目を疑った。
「(こ、こいつ…!!走一もそうだけど、人間じゃねえよ…バケモン共だあ!!)っ!!うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
そして更にドリフトして行き、イツキの断末魔がこの峠の谷に響き渡る感じがするのであった。
そして賢太の方では、内心勝気に高ぶっていた。
「(乗れている…乗れてる! 今日の俺は絶好調だぜ!!秋名のハチロクと稲妻のワンビアの不敗神話も今日で終わりだ!!啓介さんでもない、涼介さんでもない。この俺が秋名のハチロクと稲妻のワンビアを倒す! っ?)」
そう意気込んでいた時に、バックミラーにヘッドライトの光が近づいて来るのを気づいた賢太が後ろを振り向くと、ハチロクとワンビアがすぐ後ろにいた事に気づいた。
「(何ぃぃ!? ハチロクとワンビアがすぐ後ろにいる!? いつの間に…嘘だろう、何が起こりやがったんだ!? まだ本格的な下りに突入して数えられるほどしかコーナーを抜けてないんだ! この俺がこんなあっさりと雨のバトルで追い詰められるなんて…)…いや、まだ負けた訳じゃない!」
賢太は何としても勝ちたい余りにアクセルを踏んで、ハチロクとワンビアを引き離そうとするも、ハチロクとワンビアはそれを平然と追いつく様にへばりつく。
そしてコーナーを何度もせめて、賢太のS14を逆に追い詰めようとする。
それには賢太は歯を食いしばっては何とか耐え、そして次のコーナーではS14がコーナーを出てはアンダーを出したのは見て、拓海と走一はすぐさまイン側については抜きに掛かる。
「見ろ!ハチロクとワンビアが抜きに行くぞ!!」
ハチロクとワンビアがS14を抜かす瞬間を見逃さないとギャラリーも必死に観ていて、コーナーのイン側のラインを抑えたハチロクとワンビアは躊躇なく賢太のS14を抜き去り、それには賢太は驚愕してしまった。
イツキもそれを見て驚愕してしまい、そのまま走り去っていく。
ギャラリー達もそれを見て圧巻されていた。
「あっけなく抜いちまったぁ…」
「嘘…だろ」
「ずぶ濡れなって待ってた価値あったァ」
そして賢太は必死に食らいつこうとしたが、逆にどんどん引き離されて行く事に驚きを隠せない。
「(付いて行けない!コーナー1つ抜ける度に確実に差が開く!! 同じスピードで飛び込めない…俺とあいつ等の何が違うって言うんだ!? 雨は俺の味方じゃなかったのか!?)」
賢太はその事を胸に抱きつつ、このバトルはあっけなく終わってしまったのだった。
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そして頂上では、バトルが終わった事を聞いた彩音達はすぐさま動こうとする。
「それじゃあ彩音ちゃん、麓まで送るね?」
「うん、お願い亜里沙ちゃん」
亜里沙のロードスターが麓に向かい、玄達も不藤達もその後を追いかけて行く。それを見ていた中里と海斗達は今回の雨のバトルについて語る。
「…ハチロクとワンビアが雨でも速いって事が1つ分かったな」
「ああ、雨のバトルは難しいのに、彼等はそれを諸共しなかったって所が凄かったよ」
「バトルを仕掛けて来た彼は、どんな思いかな?」
陽毬は啓介の方を向きながら聞き、それには啓介はこういう。
「分かっていた事だ、ハチロクとワンビアを倒すのに…天気は関係ねぇ…」
バトルが終わって麓の方。
走一と拓海は麓の駐車場にハチロクとワンビアを止めて、走一はS14の方を向く。
賢太はS14から降りて来て、走一と拓海を若干睨むように見てくる。
そして賢太は走一達に歩み寄る。
「俺に勝ったぐらいで、いい気になるんじゃないぞ!! 今回はたまたま運が悪かっただけだ!俺のQ`sは───」
「アンタ、誰かの仇を討とうとしていたのか?」
走一の言葉に賢太は思わず言葉が止まる。走一は賢太の方を見ながら言う。
「アンタの後ろを走っていて少し伝わって来たモノがあった。それは尊敬する人が負け続けだのを許せない事だ。それがアンタから伝わって来た。もしかしてアンタ…、啓介さんのリベンジを代わりに果たそうとしていたのか?」
「っ!!!」
その事を突かれた賢太は思わず息を飲み、それに走一はため息を吐く。
「ハァ…、言っておくがな。啓介さんはそんな事、頼む人だと思ってるのか? あの人はリベンジを果たしに来るんだったら、俺に直接言ってくる。それに…雨のバトルに自信があったみたいだが、荷重が全くなってないぞ」
「なっ!」
「雨の状況、俺はカート時代に何度も経験しているからな。ハッキリ言ったら雨のキャリアはアンタ以上にあるよ。…あんまり俺を舐めるなよ?」
その言葉に賢太は言葉を無くし、ただ拳を握りしめるしかなく、俯くだけであった。
そしてその後彩音達がやって来て、走一と拓海は彩音達と帰り、妙義山を後にするのであった。
賢太のバトルに走一の忠告…いや、逆に言えば警告ですね。下手に噛みつけば痛い目に合うって事を…。