秋名山に走りに来た際に百合華と翔と美咲の三人と出会った走一達、特に走一は少しばかり翔の圧に押され気味だった。
何より走一のワンビアを見た途端、走一の所に走って来ては、その手を取って自己紹介をするのだからだ。
そして目をキラキラさせていたからだ。
その様子を見ていた美咲は翔を引き離す。
「いい加減にしなさいって、相手が引いてるでしょ?」
「分かってるけどさ! あの【稲妻のワンビア】がここにいるんだぞ!? もしかしたら【秋名のハチロク】のドライバーもここに居たりして!?」
っとその事を聞いた走一と拓海は思わず顔を合わせ、それに真美は問う。
「走一君は分かるけど、どうして拓海君も? 何か用があって来たの?」
「え?誰その人?」
「貴方がさっき秋名のハチロクがここに居るかもって言ったでしょ? その拓海君が秋名のハチロクのドライバーよ。今日は持って来てないけど」
凛がそう拓海に示しながら言い、それに納得した様子で。
「ええーーー!!この人が秋名のハチロクのドライバーですか!? 光栄だよ!」
「おぉ…!」
拓海も翔の圧力を見て驚きを隠せず、走一君と同じように引いてしまう。
それを美咲が翔に注意する。
「もう翔…、いい加減にしたらどう? 相手が引いてるわよ」
「わかってるけどさ! 俺同じ年頃の走り屋がこの秋名で名を広げてるって聞いてうずうずしてしまうんだよ!」
っとその事を聞いた走一達は思わず耳を傾く。
「同じ年頃?」
「ひょっとして貴方…18歳?」
「ああ! 美咲17歳だけど同じ学年だ」
「生まれが2月あたりだから。それだけ」
美咲はそう言うと同時に、下からまた別の車が上がって来た。
それは【日産 S14シルビア K`s】が二台であった。
それに走一達は振り向く。
「あ、またまた珍しい車」
彩音がそう言う中で、道郎がある事に気づく。
「おい走一、あの車のナンバープレート…」
「ん?」
道郎の問いに走一は見ると、二台のS14のナンバープレートは『品川』と書いてあり、それに走一は目を細める。
「あの二台…東京から来たのか?」
「え?東京?」
「随分と遠い所から来たもんだな」
走一達がそう言っていると、二台のS14がS15の側に止まり、その二台から二人の男が降りてくる。
「おいおい…S15だぜ」
「こいつを見ると…こいつはspecSだな。ターボが付いてないなんて、とんだ貧乏な奴が乗ってるんだな」
「ああ、今はターボが主流な時代が波に乗るのが常識だぜ! こいつなんか俺達のS14に比べたら遅い遅い!!」
っとS15を馬鹿にするかの様に高笑う2人の男、それを聞いていた翔はイラっとして、その男達の所に走って行く。
それを見た美咲は叫ぶ。
「ちょっと翔!」
「おいお前等!!」
「あ?なんだよ?」
男達は翔の方を向き、翔は怒りをこみ上げながら怒鳴る。
「人の車を見て、何好き放題言ってんだよ!? 別にターボが入ってないからって車はそれだけじゃ速いって訳じゃないんだぞ!?」
っと翔の言葉を聞いた瞬間、男達は突如笑い出して、それに翔はイラつきが高まって行く。
「何かおかしいんだよ!?」
「お前本気言ってんのかよ!? 今の時代はターボが速いに決まってんだろうが!」
「俺達の車がいい証拠だ! お前の車はターボが付いてないんじゃ、ただの遅い車だよ!」
そう言って男2人はまた高笑いし、それに翔は怒りが爆発して、こんな事を言い出した。
「言ってくれるじゃんか!? だったら俺の車がアンタ等の車を負かしてやる!!」
「ほう?言ってくれるじゃねぇか」
「その話しなら受けて立つぜ。お前の様なヘタレ野郎に負けるかよ!」
っと突如バトルの展開へとなって行き、それを見た美咲は驚く。
「ちょっと!もう~!なんでこうなるのよ!?」
「…自分の車を馬鹿にされたら、ああなるさ」
走一はその様子を見ながらそう言い、翔は車に乗り込む際に言う。
「俺が先だ!ぶっちぎってやる!」
「いいぜ!格の違いを見せてやる!」
「抜き去ってやるよ!」
そう言ってS15が走り出し、S14二台がその後ろを追いかけるように走り去っていく。
その様子を見た美咲が心配そうに見ていた所、走一と拓海が見て、拓海がイツキに問う。
「イツキ、この車…運転させてくれ」
「え?拓海?」
「それじゃあ行くか、拓海」
「ああ」
「あ!走一待って! 私も乗せて!」
彩音もそう言ってすぐにワンビアに乗り込み、走一と拓海はワンビアとレビンのエンジンを入れて、三台の後を追っていく。その様子を見た玄たちは頷き、同じようにセリカGT-FOURたちのエンジンを入れて走って行く。
その様子を見た美咲は唖然とするが、百合華が微笑みながら見る。
「いいわね、面白くなりそう。私達も追いかけましょう、乗って」
「え?は、はい」
美咲は百合華に言われるままにエリーゼに乗り込み、翔たちや走一達の後を追いかけるのだった。
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秋名山を全開で下るS15とS14二台。その後ろをワンビア達が付いて行っていて、その様子を後ろから見ていた。
すると走一はすぐに翔の特性に気づいた。
「…あの翔って奴、タイヤの使い方が上手いな」
「え?」
『ああ、コーナーを曲がる際にタイヤの路面を上手く使い、タイヤが食いつくと同時に減らせない様な走り方をしている。あいつはタイヤマネジメントが相当上手いな』
『何処で覚えたんだろうねあれ』
走一達は翔のタイヤの使い方が非常に上手い事に関心し、同時に二台のS14の方を見る。
直線は速いものの、タイヤの使い方が荒く、コーナーを曲がる際にはアンダー気味で走っていて、それには走一達は少しばかり呆れていた。
「なんだなんだ…、直線が速いだけで、コーナーは素人と言っていい程の腕じゃないか。あれじゃタイヤが即もたない」
『恐らくあれは首都高でのバトルを想定している走りだな。高速ならどうって事ないが、峠じゃあそのやり方は通用しない。即スピンするな』
と道郎が言った所で、S14二台の後輪が滑り始め、それにより男2人が慌てる。
「「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」」
S14二台がスピンして、その場で止まると、走一達はそれをかわして進んでいき、後からやって来るエリーゼがそれをかわして、美咲がそれを見た後ホッとする。
麓の方ではS15が止まり、翔が降りて勝ち誇っていると、走一達のワンビア達がやって来て、走一達が降りてくる。
「よう、お前中々良い走りをするじゃないか。タイヤマネジメントが出来る奴なんて、なかなか出来たもんじゃない」
「あ!ありがとうございます! 俺!タイヤを掴む所だけは何故か分かるんですよ! 感覚的に!」
「へぇ?感覚で分かるのか? ならそれは1つの才って奴だな」
っと言っている所に百合華のエリーゼがやって来て、美咲が駆け寄る。
「翔!もうー心配させないの!」
「悪い悪い! でもあいつ等を蹴散らしたからスカッとしたぜ!!」
「あいつ等の足回りは首都高専用だ、足回りが直線特化しているのがいい例だ。あの足回りじゃあこの峠では全く通用しない、しなやかで粘りがある足が無いとまず行く事は出来ない」
道郎がその事を言い、翔がそれに納得した様子になる。すると先ほどのS14二台が降りて来て、そのまま秋名山を去って行く様子が見れる。
それに翔は高笑う。
「かっかっか!!俺に負けて悔しいんだあいつ等! なさけねぇ!」
「こら、調子に乗らない」
美咲は翔を落ち着かせ、その様子に真美と凛は若干微笑みながら見ている、まるで彼女が彼氏を落ち着かせる様な感じに見えるからだ。
そしてその様子を見た後、百合華は走一達に言う。
「それじゃあ私はお暇する事にするね、またこの峠に来るから、その時は沢山お話ししましょう」
「はい!その時はラーメンの事をお聞かせくださいね?」
友梨佳がその事を百合華に言い、それには走一達はズッコケそうになる。どうやら友梨佳は彼女のラーメン巡りの話題に興味を示したようだ。
「ええ、それじゃあまたね」
そう言って百合華はエリーゼと共に秋名山を去り、それに彩音達が手を振る。
そんな中で翔が走一と拓海に駆け寄り、ある事を言う。
「あの!俺今後この秋名山でホームコースとしたいんで、また一緒に走っても良いっすか!?2人の走る所が見たいんで!」
「…ああ、その事なら別に構わない。俺達は歓迎するぞ、それに敬語で話さず、ため口でいいぞ」
「え?ホント!? じゃあ今後よろしく頼むよ!」
そう言って翔は美咲を連れて帰路に向かい、その様子を走一達は見送る。
そしてイツキはこう言った。
「いや~でも安心したよ拓海! お前の女ボケがまた再発したと思った」
「はっ!?女ボケ!?」
拓海がその事に驚いて振り向くと同時だった。
バコン!!!
真美のハンマーがイツキの頭に直撃し、それにイツキは涙目となって倒れる。
「あでぇぇぇ~~……」
「まだ言うかアンタは…!!」
真美はイツキを見下ろしながらいい、それに拓海は頭を掻きながら言う。
「たくぅ…、俺は女ボケになんかなってねぇよ」
「…涼介さんの事を考えてたんだろう?」
走一の発言に拓海は振り向き、それに拓海は頷く。
「ああ、あの人とのバトルして…その先一体何があるか分からないんだ。俺…」
「そっか…、でもあんまり深く考えない方が良いんじゃない? 今は目の前のバトルに集中した方が良いと思うし」
彩音の言葉に拓海は少しばかり考え、それに頷く拓海。
当然その事は走一も同じだった。如月琢磨とのバトルまで数日、緊張はあるものの、それまで自身の腕を磨く事にすると思うのであった。
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