群馬の喫茶店で、涼介達と賢太がアイスコーヒーやホットコーヒーを飲んでいた所に史浩がやって来て、涼介にある事を報告する。
「涼介! またお前にプロのオファーが来たぞ」
「へぇー!またか!凄いな~!」
「次は何処だ?」
賢太が興奮する中で、啓介が史浩にそのチームの名を問う。
「○○レーシングチームだ。近年若手の有力ドライバーを集めているらしい。向こうは直ぐにでも話しがしたいらしい」
「涼介さんならプロでも間違いなしですよ! 考えただけでもわくわくしますよ!!」
「どうすんだよ、兄貴」
啓介達がそれを問うも、涼介はコーヒーを一口飲んだ際、カップを置いて言う。
「断ってくれ」
「「「!?」」」
涼介の言葉を聞いた啓介達は驚きを隠せず、涼介は言う。
「前にも言ったろう。俺はプロになる気は無い」
「勿体ないぜ! せめて向こうの話しだけでも聞いて見たらどうだ?」
「そうですよ涼介さん!」
啓介達は少しでも話しを聞く様にと涼介を説得するが、涼介は首を横に振る。
「俺はレースの世界には興味はない。どんな奴でも自由に思う存分に走れるストリートの方が魅力的だ。俺にとってはジムカーナやサーキットを走る事も全て、ストリートを極める為のプロセスに過ぎない。ただ俺の関心はただ一つ…土曜日のハチロクだけだ!」
「フフフ、相変わらずだな」
すると別の方から、誰かの声がしてそれに皆が振り向く。
涼介の後ろの方にいつの間にか琢磨と一緒にいる蓮華の姿が居て、蓮華が涼介達に手を振る。
「やっほー、元気?」
「何でお前等が此処に居るんだ!?」
「俺達もここでコーヒーを飲んでいるからさ」
「私は琢磨とデートだよ♪」
「違うぞ」
その言葉を即答で返す琢磨、その事に少しばかり頬を膨らます蓮華。
そんな様子に琢磨は振り向かないまま涼介に言う。
「涼介、お前はそれでいい。お前はお前の進む道を行け…」
「…お前に言われるまでもないさ」
涼介と琢磨との会話を、啓介は何かと気に入らない様子だと言う事は言うまでも無かった。
そんな中、蓮華が啓介達にあることを聞く。
「ねえ、秋名のハチロクのドライバーと稲妻のワンビアのドライバーなんだけど、何処に行けば会えるかな?」
「秋名のハチロクと稲妻のワンビアの所か?」
「その二台のドライバーなら、渋川の秋名山に行けば会えると思うが、どうしてだ?」
史浩がそれを蓮華に問い、蓮華は少しばかり可愛らしい笑みを見せながら言う。
「ちょっとね、同じハチロク同士の交流を深めようと考えや、色に関してはあれだけど、ワンビアのドライバーに色んな事を聞きたくてね♪」
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そして別の喫茶店、そこに走一達が居て、今回は珍しく翔と美咲が居る。
この喫茶店は美咲の実家のカフェであり、翔が走一達を呼びたいと頼んだ所、美咲が来てもいいと言って、走一達を呼んだのだ。
そんな中で走一は少しばかり不機嫌な感じであり、その様子を見ていた翔は隣にいる彩音に問う。
「あの…どうしたんすか走一さん…? ずっと不機嫌そうっすけど」
「ああ~…実はね?」
彩音がその事を説明すると、走一はその事に答える。
「ワンビアがねえんだ…」
「はい?」
「だ・か・ら、ワンビアがねぇんだよ! 今日学校から帰って来たら、ワンビアが無かったんだ! だから今日仕方なく親父のスープラで乗って来てるけどよ…」
「え、ええええええ~~~!!? ないんすか!?」
「翔、静かにする」
っと驚く翔に言う美咲。それには真美と凛と亜里沙は若干苦笑いする。
「アハハハ、アンタ…慣れてるわね」
「いつもの事だからね」
真美に言う美咲を他所に、道郎は走一に問う。
「走一、心当たりはないか?」
「心当たりって言うが…、別に変った所は………ん? そう言えば親父見かけなかったな? サーキット場も今日は閉めてたし…」
「お父さんが乗って行ったって事?」
廉一郎の問いに走一は少しばかり考え、その事に疑問を持つ。
「(親父の奴…俺のワンビアを一体どうするつもりなんだよ? 俺のワンビアを壊したら只じゃおかないぞ…!)」
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そして秋名山の方では、走一のワンビアを泰三が運転していて、秋名山の頂上では和真達が待っていた。勿論圭子も居ては、甚平の奥さんである【合田 春江(はるえ)】と和真の奥さんの【野田 清美(きよみ)】、そして智晴の奥さんの【大原 純子(じゅんこ)】の姿もあった。
ワンビアが頂上に到着し、泰三がワンビアを止めて降りて来て、和真達が駆け寄る。
「どうだ泰三?」
「良い感じだな。
「泰三、君の息子の対戦相手も相当な相手だね…、如月琢磨…レーシング界では名を轟かせる相手だ。その相手にその足にしたのかい?」
智晴の問いに泰三は頷く。
「ああ、走一はテクや知識はあっても、まだチューニングの事に関してはまだ青い、和真に任せていれば良いものなんだが、自分の車は自分でどうにかしたいって言う感じがどうしても出てくるんだよな…」
「仕方ないわアナタ、走一は貴方の血を引いてるもの。どうしてもそうしたい感じがあるから」
圭子たちが泰三たちの下に近寄りながら言い、それに泰三は頭を抱える。
「(全く…アイツは)」
そう思っていると、下から4A-Gのエンジン音がして、それに泰三たちは振り向く。
下からハチロクが上がって来て、泰三たちの前に止まる。
ハチロクから文太と祐一が降りてくる。
「なんだなんだ? お前等こんな所で何しているんだ?」
「文太、お前こそこんな所に何しに来たんだ?」
「そういや文太、今日ハチロクを持って来なかったな? 何処に持って行ってた?」
和真がその事を文太に問い、それに文太は言う。
「正志の所だ、お前の所でも良かったが、アイツの所に持って行かないと、寂しがるからな」
「ハハハ、成程な」
「それで、お前は何しに来たんだよ?」
甚平は文太が此処に来た理由を聞き、それに文太は答える。
「ハチロクの足をまた変えたから、軽く流そうと思ってな」
「嫌なんだよな…。こいつのそう言う台詞」
「ははは、こいつが軽く流すって言うのは思いっきりだからな」
「うるせぇ」
ぶっきらぼうな文太が少しばかり甚平に文句を言う。この2人は若干衝突する所があるが、それでも走り屋仲間である為、基本仲が良い。
「それじゃあ祐一、助手席に乗れ」
「…頼むから無茶はするなよ?」
そう言って助手席に座る祐一に、文太はそれに気にもしないまま運転席に座り、ハチロクを走らせていく。
泰三たちは下って行くハチロクの背を見て、智晴は泰三に問う。
「文太、素直に聞くと思うかい?」
「ないな、アイツの事だ」
泰三の言う通り、秋名山に祐一の悲鳴がこだまするのが数秒後である事に、泰三たちは後に聞くのであった。