秋名スピードスターズと赤城レッドサンズの交流戦が決まって早々、スピードスターズはレッドサンズの実力の差を思い知らされた。
それでも諦めない秋名スピードスターズは一度解散をして、拓海達も帰って行った。
走一達はもう一度秋名山を走る為残り、彩音達を乗せて一度走る事にした。
因みに彩音達は走一達の走りには怖がってる様子もない為、全開に走っても問題ない。
「先頭は誰が行く?」
「走一がいつも通りいいよ? 僕達は付いて行くから」
「おうよ!油断したら俺がぶち抜いてやるぞ!」
「止めておきなさいって」
バコンッ!
真美が玄に対しどデカいハンマーを取り出して、黙らせる。
「お前がやるとまたややこしくなるんだよ」
「マジか!いやー照れるぜ!」
「褒めてねぇよ!」
玄のズレた所にツッコミを入れる走一、彩音はクスクスと笑い、凛はやや苦笑いをしていた。
そして走一が先頭となり、ワンビア達はギアを1速にして走り出す。
走一達が走り出した際、レッドサンズの車がまだ数台秋名山を走っていた為、走一達はそれを抜き去るかのようにアウトから進入していった。
それを見たレッドサンズのメンバーは驚く。
「うわっ! 何だあれ!?」
「ワンビアだ!それにセリカのGT-FOURにFTO! それとNSXだ!」
「確かあれ、スピードスターズの連中と一緒にいた奴等だよな?」
「だがステッカーが見当たらない。って事はメンバーじゃないって事じゃないか?!」
「あれだけの腕前を持ってるなんて、なんて奴等だ!」
レッドサンズのメンバーたちがそう驚く中で、走一のワンビアが先頭である車を見つける。
それはレッドサンズの№2、高橋啓介が操る黄色のRX-7…FDであった。
当然啓介も後ろから来るワンビア達の存在に気付く。
「ん?あれは…、確か頂上にいたスピードスターズのメンバーの連中か? まさかこの俺に対して相手をしようって事か?」
それを見た啓介は口角を上げながら言った。
「へっ!さっきみたいなヘボな運転じゃ俺について来れないだろうな! 付いて来れるものならついて来な!!」
啓介はそう言ってアクセルを踏み、速度を上げてワンビアを引き離し始めた。
それを見た走一は思わず笑みを浮かばせる。
「あれれ…? もしかしてこれってバトルを申し込まれた? いいぜ…!ちょっくら麓までのドライブと行こうぜ!!」
「ちょっと!あまり無理はしちゃダメだよ!?」
「分かってるよ!取り合えず彩音はしっかりと掴まってろよ! いくぜ!!」
走一はアクセルを踏んで速度を上げ、ワンビアが速度を上げたのを見た玄達は見る。
「おお? 走一の奴速度を上げたぞ?」
「玄、よく見て? 走一君前の車を追いかけ始めたよ?」
真美の言葉を聞いた玄は思わず前を見る。
「何!!おおっ!!ありゃあFDじゃねえか!? て事は高橋啓介とバトルをするって事か!?」
玄が驚く中で後ろの道郎と廉一郎もそれに気付く。
「走一、どうやらバトルを始める気だ」
「え?そうなの?」
「まあ走一のドラテクなら問題ないだろうけど…、ワンビアが何処までもつかな? レストアばかりのパーツだからそんなにもつとは思えないけど」
「まあ!走一さんが大変ですわ」
そんな事を言われている事も知らず、走一は啓介のFDとバトルをし始めた。
啓介のFDがコーナーに入り、ドリフトで進入していく中、走一のワンビアもコーナーに入る手前で減速し、ヒール&トゥーで4速→3速→2速の順でシフトギアをして行き、ドリフトでコーナーに進入していく。
しかも走一のワンビアの方がコーナーの速度が速く、FDに近づきつつある。
それに啓介は思わず後ろを見る。
「何!? コーナーが速い…やるな!」
啓介はそう言うと同時にコーナーを出ると、アクセルを踏み込み速度を上げて、ワンビアを引き離していく。
当然それを見た走一は呟く。
「ストレートが速いな…! ちょっとの差があると一気に差が開く…。あっちの車はパワーがかなり出てるな」
「そうなの?」
走一の言葉に彩音は呟く、それもその筈、啓介のFDは対GT-R用としてチューニングしてある為、FDのパワーが350馬力ある。対して走一のワンビアは峠仕様と下り専用としてパワーは260馬力である。
当然ながらストレートでは走一のワンビアは、啓介のFDにパワー負けしてしまう。
なので走一は唯一勝てるコーナーでFDに差を埋めるしか勝つ方法がない。
走一は得意とするコーナーワークで勝負を仕掛け、何度もストレートで離されてもコーナーで差を詰める。
何度もコーナーで追い詰められる啓介はようやく相手がスピードスターズのメンバーじゃない事に気付く。
「こいつ…スピードスターズじゃないな!? しかもよく見るとあれはワンビアじゃねえか! クソッたれが!このレッドサンズの№2が余所者に負ける訳には行かねえ!」
啓介は闘争心を燃やしながら逃げようとするも、既に麓に辿り着いてしまった。啓介は舌打ちをしながらもアクセルを緩めて、駐車場へと入る。
それを見た走一は速度を落として、同じように駐車場へと入って行き、FDの近くに止めた。
後から来た玄達も同じように駐車場に止める。
「よう、お前中々速かったじゃねぇか」
啓介が降りて来て、同じように車から降りて来た走一も啓介と対面する。
同時に彩音達も車から降りて来て、走一の元に行く。
「どうも、俺は朝倉走一と言います」
「高橋啓介だ。そう言えばお前スピードスターズと一緒にいたよな? あいつ等のチームじゃないのか?」
「はい、俺…俺達はスピードスターズのメンバーじゃありません。今日は友人のお誘いで来たんです」
「なる程な…、もしお前が秋名代表だったらまたしても面白くなるんだけどな」
「申し訳ありませんが出来ません。これはあくまでスピードスターズとレッドサンズの交流戦。メンバーでもない俺が出る訳には行きません…」
「チッ! 詰まらねぇな」
走一は頭を下げつつ謝り、啓介は舌打ちをしながらも、別の事に切り替えた。
「お前…あの走りは中々出来る芸当じゃねぇ。どこであの走りを覚えた?」
「俺はカート上がりです。運転はそこで10年間覚えました、後免許は先月取ったばかりです」
「何!?(カート上がりだと!?それだけであれだけのドラテクを持っているって言うのか?! 絶対にそれだけじゃねえな…)」
啓介は走一の話を聞いて驚きつつ、すぐに別の事を聞いた。
「ならその車? お前のなのか?」
「はい、今日手に入れたばかりの車です。後玄達も同じです」
走一は玄達の方にも向けて話し、玄達は思わず啓介の方を見る。
それに啓介は玄達を見た後、玄達の車を見る。
「(セリカのGT-FOURにFTO…、そしてNSX…! ワンビアや他の2台はともかく、なんでこんなバカ高い車を持ってるんだ!?降りてきた野郎はあのお坊ちゃんみたいな奴だが…)なる程な…」
啓介はポケットから煙草を取り出し、火を付けて走一達を見る。
「それだけ走れるならお前等は立派な走り屋だな。だが俺はこんな中途半端な終わりは納得しちゃあいないぜ、交流戦後俺はお前に挑戦状を叩きつける!」
「っ!」
走一は突然の宣言を聞かされ驚きを隠せない。
「そうでなきゃ俺の気が収まらねぇ、場所は此処…スピードスターズの本拠地である秋名山だ! どうだ…受けるか?」
啓介からの挑戦状を叩きつけられた走一、すると走一は口角を上げながら言う。
「良いでしょう…。その挑戦受けます!」
「いいぜ…、対戦日はスピードスターズの交流戦後の1週間後だ。楽しみの待ってるぜ」
そう言って啓介はFDに乗り込み、エンジンを吹かして秋名山を再び上り始めた。
それに走一達は唖然とし、彩音は走一に聞く。
「走一…、凄い事になったね?」
「ああ、だが挑戦状を貰ったからには逃げるつもりはない。受けて立つさ」
「おうよ!それでこそ走一だ!!」
「全く、お前はそうだよな」
「うん、カートの時から変わらないよね」
皆がそう言いつつ、車に乗って自分達の家に帰り、その経路で走一達は彩音達を送るのであった。
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そして夜の4時過ぎ、夜と言うより夜明け前に近い所。
秋名山ではまだレッドサンズのメンバーが数人走っていて、啓介もその中に入っていた。
レッドサンズのメンバーが啓介の居る場所に止まり、降りて来て啓介の方に向かう。
「あれ? 涼介さんは?」
「ああ、兄貴ならとっくに帰ったよ。残ってるのは俺等だけだ」
「そうですか。もうすぐ夜明けですね…」
「よーし、俺達もぼちぼち引き上げるか」
啓介はそう言ってFDに乗り込み、秋名山を後にするかのように走り出し始める。
秋名山の下りをドリフトして行きながら下り、啓介がバックミラーを見るも誰も啓介について行けてなかった。
それを見た啓介は笑みを浮かべる。
「本気で飛ばすと付いて来れねえかよ、まだまだだなあいつ等も…」
そう言って啓介はアクセルを緩めて、仲間が追いつくのを待つ。
そして後ろからヘッドライトが見えて、それに啓介は気づく。
「やっと来たか…」
徐々に近づいてくる車、しかしその車はレッドサンズのメンバーの車じゃない事に啓介は気づく。
「ん?内のチームじゃない…ヘッドライトからしてリトラクタブル・ヘッドライトか、って事はMR2か180SXか? まさかあいつのワンビア…?いやあいつのじゃない。エキゾースト音が違う…何だ?」
啓介は後ろに張り付いてくる車にイラつきながらも速度を上げて逃げるも、後ろの車は啓介のFDを追い抜こうとして、それを見た啓介はキレた。
「上等じゃねえか!!コーナー2個も抜けりゃあバックミラーから消してやるぜ!!!」
啓介はFDのスピードを上げて、後ろの車は引き離そうとした。
だが既に次のコーナーが迫っていて、それに啓介は舌打ちをしながらも減速して、ドリフトをしながら曲がって行く。
しかし後ろの車も同じようにドリフトをしながら曲がり、更にはFDに迫っていた。
咄嗟に啓介は後ろを振り向くと、その後ろの車の車種に驚いた。
「なっ!!
啓介はその車に驚きを隠せなかった。
その車は…【AE86 スプリンタートレノ GT-APEX 3door (1984年式 前期型) 通称ハチロク】だったのだ。
ハチロクを見た啓介は怒りが込み上がって来た。
「ふざけんじゃねえぞ!!」
啓介はアクセルを上げながらコーナーを抜け、更に立ち上がりで引き離していく。
更にコーナーを抜けようとするも、ハチロクの方がコーナーがとても速く。何度も啓介のFDの背後に張り付いていた。
「旧式のハチロクごときにこのFDがちぎれないだと!? 悪い夢でも見ているのか!?クソッたれが!! 俺は赤城レッドサンズの№2だぞ!!?」
右のコーナーに入ろうとFDは減速した際、ハチロクはそのまま突っ込んでいく。
それを見た啓介は思わず見る。
「こいつ先を知らないのか? この緩い右の後はキツイ左だ。減速しねえと谷底に真っ逆さまだぞ?!」
啓介の言う通り、緩やかな右の後にきつい左のコーナーがすぐ目の前にあり、ハチロクがその右を通った際リアタイヤが滑り出した。
「言わんこっちゃねえ! スピードが乗り過ぎてるぜ!立て直して減速するスペースはもうねえ!!」
その事を言った途端、ハチロクは驚きの光景を見せる。
突如ハチロクは右から左への姿勢を変えて、左のコーナーへと進入してドリフトをして行く。
それを見た啓介は驚きを隠せなかった。
「なっ!? 慣性ドリフト!?」
啓介はその衝撃的な光景を見てしまった際、ドリフトをする際スピードが乗り過ぎてしまって、逆にスピンしてしまった。
ハチロクはそのまま走り去って行った。
一方啓介は思わず茫然としていた。
「(信じられん…、俺は…この峠で死んだ走り屋の幽霊でも見たのか? 一つ目の右カウンターは次の左姿勢作りのフェイントだった…。この秋名の峠を知り尽くした…腹の立つくらい完璧なスーパードリフトじゃないか!!)」
そう思いながら啓介はFDから降りて、同時に追いついて来たレッドサンズのメンバーが駆け寄る。
「啓介さん!見ましたか!? 今のハチロク!?」
「ああ…(俺のプライドがズタズタだぜ…!只でさえ朝倉…ワンビアに張り付かれた事にちっとは根に持ってるに、峠仕様の最新型のFDで…10年以上前のボロハチロクに負けたなんて…。あのハチロク…何者だ!!?)」
啓介の目にはプライドをへし折られ、リベンジに燃える闘士があったのであった…。