走一と拓海、涼介と琢磨のバトルが間もなく始まる頃、秋名山の麓に一台の自転車がやって来た。それは茂木の自転車であった。
彼女が前に拓海とデートに行った際に、拓海がバトルすると聞いて、それを心配して見に来たらしい。
そして茂木が麓で人盛りが出来ているのを見て、茂木はそのまま進む。
場所は切り替わり、秋名山の頂上、頂上では走一と拓海がワンビアとハチロクの準備をしていて、その際に道郎と廉一郎が走一と拓海の所に行き、無線機を取り付ける。
「走一、拓海。お前等はこれを付けて互いに通信しろ」
「勿論涼介さんや琢磨さんの方にも渡すつもりだよ」
「ああ分かった。頼む」
走一は道郎達にそう言い、走一は無線機を付けて拓海に話す。
「拓海、聞こえるか?」
「ああ…、聞こえる」
「ん?拓海、緊張してるのか?」
拓海の緊張した声が聞こえ、拓海は少しばかり間を開けながら頷く。
「…ああ、こんな状況、初めてだよ…」
「無理もない、こんな賑やかな雰囲気はレースの時でもあったからな。拓海は初めてだから普段通りにやれ」
「無理言うなよ…」
走一の問いに少しばかり愚痴を言う拓海、走一はリラックスしながらバトルが始まるのを待つ。
そしてまた麓の方では茂木が辺りを見渡しながら進んでいると、ガラの悪い男達がわんさかいて、それに茂木が思わず怯えながら後ずさりをする。
「ねえ、こんな所で何をしているの?」
すると後ろから誰かが声を掛けて来て、茂木はそれに振り向くと、そこには4人の女子がそこに居たのだ。
それに茂木は彼女たちの方を向く。
「えっと…貴女達は」
「ああ~私? 私は【
「私は【
「アタシは【
「そして私は【
美琴たちの挨拶により、茂木は少しばかり安心感が出て来て、ちょっとホッとした。自分と同い年位の女の子が居るとは思わなかったからだ。
「え、ええ…そうです」
「なら私達と一緒にギャラリーしない? むさ苦しい男達の所だとちょっと嫌だからさ?」
「え?あ、はい!お願いします!」
茂木はその事に頷きながら、美琴たちと一緒にギャラリーする事になった。
そして実は彼女たちは春樹達の幼馴染であり、美琴が春樹の幼馴染、泉が将の幼馴染、ましろが勇夫の幼馴染、七瀬が幸三の幼馴染であるのだ。
本来、春樹達と一緒に行く予定ではあったのだが、美琴たちはあまり人の多い所と、ガラの悪い男達のいる所は遠慮したいとの事で麓に居たのだが、結果的にどこも一緒だった。
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そして頂上、レッドサンズのメンバーが無線機を使い、各メンバーへのチェックが行っている。
「各コーナー!状況を確認してくれ!」
『こちら第一コーナー! いつでもOKです!』
『スケートセンター前です!こちらのストレートも異常ありません!』
『17番のヘアピン、何時でもどうぞ!』
『6番の道です。今ギャラリーの車を移動、大丈夫ですよ!』
『こちら賢太です! 5連ヘアピンですが一般車通行はいません! 準備OK!』
各自のコーナーの状況を確認した後、メンバーが史浩の方を向いて頷き、それに史浩は車を誘導させる。
先頭の二台はハチロクとFC、そしてハチロクの後ろにはワンビア、FCの後ろにはS130が並ぶ。
ルールは4台同時のスタート、その内の一台がゴールにたどり着いたら勝ちとのシンプルなルール。
そんな中で各車に乗っている走一達はただバトルの始まりを待ち、拓海は1人だけ緊張感に包まれていた。
その様子をイツキは興奮していた。
「すっげぇ緊張感!! 俺喉カラカラ!! 心臓バックンバックンしてますよ~!!」
「峠全体が、重い深テンションに包まれてるな…」
「ああ、大丈夫かな?拓海と走一…」
「俺達が心配しているのは、走一じゃなく拓海ですよ」
池谷達がそう言う中で、道郎がその事を言い、それに池谷達は振り向く。
「どう言う事だ?」
「拓海は、この様な状況には慣れてない。しかも相手はキャリアの長い涼介さんだ。一体どのような戦法で来るか分からない、こればかりは俺達も分からない…。そして走一は…俺達の方でも全くだ」
そう言って、池谷達は走一と拓海の方を見る。
啓介と壮真たちの方も涼介と琢磨の方を見て考えていた。
「(兄貴が負ける筈がない…)」
「(だが…あのハチロクとワンビアが走る時、秋名の峠で何かが起きる…)」
「(そこが俺達の気がかりな所だ…)」
そしてレッドサンズのメンバーが最終チェックのゴール地点のメンバーに問う。
「こちらスタート地点、どうだゴールの様子は?」
『はい!準備出来ました、いつでもOKです!!』
その合図を聞いたメンバーが史浩に頷き、史浩は頷いて向く。
「よし!それじゃあそろそろ始めよう!!」
「待ってくれ!」
っと啓介が史浩を止めて、それに史浩が振り向くと、啓介が史浩の所に向かう。
「カウントは俺がやる、このバトルだけは俺がやりたいんだ、いいだろう?」
「ああ…」
それに史浩が了解し、啓介が位置に付く。
「(兄貴とハチロク…そしてワンビアと琢磨のバトルを…他の奴に任せれるか!)」
その様子を見ていた壮真と幸間、幸間が壮真に問う。
「おい兄貴、アイツに任せていいのかよ?」
「良いんだよ。なんだかあいつだけがやらなきゃいけない気がしてな…」
そう言って啓介の方を見る壮真。
そして啓介がカウントダウンを開始する。
「…カウント行くぞ!!!」
その合図と同時に各自ヘッドライトを点灯し、ワンビアとハチロク、FCのリトラクタブルヘッドライトが展開する。
エンジンの回転数を上げつつ、バトルの合図を待つ。
「5!4!3!2!1! Gooooooooooo!!!!!」
合図と同時に4台のタイヤが回り、スタートダッシュを決め、啓介の横を通り過ぎていく。
「「行け!!拓海ぃぃぃぃ!!走一ぃぃぃぃ!!」」
イツキと健二が叫び、走一と拓海はシフトアップし、涼介と琢磨もシフトアップをする。
その様子を見た池谷は興奮する。
「良いぞ!!立ち上がりは互角だ!!」
そしてハチロクとワンビアが前に出て、FCとS130がハチロクとワンビアの後ろに付く。
それを見た道郎達と春樹達は驚きを隠せない。
『『『なっ!!』』』
「おお~~!!ハチロクとワンビアが前に出たぞ!! 拓海!走一!そのまま行けーーー!!!」
池谷が興奮する中、道郎達と春樹達はあの場面を驚きを隠せなかった。
「走一が後ろを付こうとした所を、S130が後ろに付いてしまった…」
「アイツ…アクセルを踏んでなかった!」
「不味い!いつものパターンじゃない!!」
「こりゃあ…走一の奴、苦戦するな」
道郎達と春樹が呟き、その様子を見ていた啓介が思った。
「(へぇ…気づく奴もいるもんだな。あれは兄貴のいつものパターンだ、ここ一番のバトルではわざと先行させて勝負どころでぶち抜く、そうやって今まで勝ってきた兄貴の最速理論に…間違いはない)」
啓介はそう思い、このバトルを見守るのであった。