エンペラーの連勝をなんとナイトキッズの中里が阻止しても侵攻を続けるエンペラー、池谷が拓海にバトルを申し込まれたら止める様に言うも、拓海はやりたがっていた。
それに勝てる勝律がないと感じる池谷達。そんな中で祐一が聞いていて、夜文太の所にやって来てその事を言う。
「ハチロクのパワーアップ? なんだ祐一…藪から棒に?」
「お前だってそれなりに考えてるんだろ? 拓海もあれだけの腕になっちまうとな…、次のレベルアップと言うか…、走一達と共に走れるぐらいにハチロクの戦闘力をアップさせてもいいぐらいじゃないかなって思ってさ」
祐一の問いに文太はちょっとばかり睨みを効かせ、それに祐一は止める。
「いいや、何も俺はお前に指図しようとは思っちゃいないよ。ただ…お前の計画が知りたいんだ」
その事に文太は睨みを止めて言う。
「…そりゃあ、今のエンジンも大分使い込んでるし…、そろそろオーバーホールの時期なんだよな…」
「ほぅ…」
文太はハチロクを見ながらそう言い、祐一も納得するような眼でハチロクを見る。長い間ずっと走り続けて来たハチロク、このままいけば確実に壊れると思い、オーバーホールをしなければならないと考えていた。
だが次の言葉で祐一は驚くのでった。
「実はな」
「?」
「…もうあるんだよ」
「ええ!? それは本当か!!」
祐一が驚く中で、文太は腕を組みながら言う。
「ああ、思っても見なかった所から、凄いやつが転がり込んできた」
「凄いやつ…??」
「よし、見せてやるから、助手席に乗れ。…痺れるぜ」
笑みを浮かばせながら言う文太に祐一は言われるままハチロクの助手席に乗り、とある修理工場へと向かった。
そこは【鈴木自動車工場】と呼ばれる和真と同じ自動車修理工場である。そこに到着すると、工場内にこの工場の責任者である『政志』と、泰三たちが居た事に祐一は見る。
「泰三?何でお前等がここに居るんだ?」
「実は、和真の所に運ばれる筈のエンジンがこんな所に流れてしまう不始末な事が起きてな、まあ丁度いい時に泰三たちが見に来たんだよ」
「は?エンジン??」
祐一がその事に首を傾げるも、文太が見せるエンジンが先だと思い、そのエンジンを見る事とする。
布で覆いかぶされている物を上げると、それを見た祐一が驚く。
「なっ!すげぇなおい!こう来るかよ!?」
それに文太は笑みを浮かばせる。
「どうだ、痺れたろう?」
「痺れたもんじゃない!ぶっ飛んだよ!! よくこんなもんが手に入ったな! これがハチロクに載ると思うとゾクゾクするな!!」
「俺もだ、久々に血が騒ぐよ、拓海には勿体ないぐらいの代物だ」
文太もその事に同意し、甚平たちもそのエンジンを見る。
「凄いもんだぜ、やっぱアイツの所だろうな」
「そうだね、彼の所なら納得がいく」
「そうだ、泰三が言っていたエンジンを見せてくれよ、折角だし!」
「いいぞ」
そう言って泰三は許可を出し、それに祐一が手配したエンジンを見る。
「なっ!?これは…嘘だろう!?」
「フフフ…、祐一…どうだ? ブツを見て同じようにぶっとんだろう?」
「ああ!勿論だよ! まさかこんなエンジンを手に入れるなんて! だがこれを誰に渡すんだ?」
「…走一にだよ」
「走一に? どうしてだ?」
祐一はその事に問いかけ、泰三は少しばかり言う。
「…実は、走一のエンジンがそろそろ限界に近い状態でな、アイツはエンジンをよく見ている様だが、エンジン内部の異音を俺が聞き逃さなかった。これは不味いと思って、アイツの為に手配したんだ」
「ま、マジかよ!? それでこんなエンジンを手にしたのか?! これはハチロク同様、ワンビアに載ると思うとゾクゾクするぞ!!」
「まあ…そうなんだけどな」
泰三は少しばかり考える中、文太が政志と来ている和真に言う。
「だが、あれを載せて終わりって訳じゃないからな、彼方此方補強をして、足回りをいじる事にあるから、俺が自分でテストして、ベストなセッティングを出す。その時は頼むぞ、政志…和真」
「分かった」
「良いけどよ、しつこいからな文太は…絶対妥協しねぇからな」
「ハハハ!昔を思い出すな!」
「そうだな!」
祐一と甚平はそう言う中で、文太と泰三は少しばかり言う。
「だがな…、拓海があの車でやり残した事が、まだ一つあるんだ」
「走一もだ、ワンビアでやり残しがあるんだよ…」
「ええ?? どう言う事だそれは?」
祐一達がそれを問うも、2人は何故か口が籠る様な言い草をする。
「…別に言っても良いんだが、絶対拓海には話さないって約束できるか?」
「俺からもだ、頼めるか?」
「??? 言わないよ。一体なんだよ?」
その事を了解する祐一達、それに文太と泰三は口を開く。
「…それじゃあ言うぞ、拓海がやり残した事は…。………
「走一のやり残し…、それはだな…………
っとその事を聞いた祐一達は驚きを隠せず、それに問い詰める祐一達。
「どう言う事だよ文太!泰三! 拓海はこれまで誰にも負けずに来てるのに! それに走一のエンジンを壊すって何故だ!?」
「…そこが気に入らないんだ。勝ち続けている内はどうしてもエンジンのパワーを上げる本当のありがたみが分からない。今の戦闘力でマシンをとことんギリギリまで追い込み、最後の一滴絞り尽くして、それでも勝てない悔しさを感じて、初めて分かる事がある」
「そうだな…、たが走一はその点問題はない、カート時代でトコトン味わってるからな。だがあいつの場合は違う、エンジンは元々車と共に解体場から見つけ、それをリビルドして載せているやつだからな。エンジンブロックは目に見えない所で必ず劣化し、傷が付いている所があるから、そこをあいつは見落としている所がある。そんな状態で今のエンジンを使い続けていたら、必ず壊れる、そこを俺は目に着けた。
あいつは今、エンジンに遠慮している所があるから、そこを限界ギリギリまで追い込み、それでもダメだと感じて、エンジンが壊れるのを待つ、その時を俺は待っているんだ」
その話しに祐一達はただ唖然としたまま聞いていて、文太と泰三はタバコの灰を落としながら言う。
「…拓海が負けるまで、ハチロクをいじる訳には行かないんだ」
「俺もだ、走一がエンジンを壊すまで、あのエンジンを渡す訳には行かない」
その言葉に祐一達は掛ける言葉が見つからなかったのだった。
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そして別の場所、涼介と啓介の実家で、涼介が自室でパソコンを打ち込んでいる所に、啓介が入る。
「兄貴、入るぜ」
「ああ」
涼介の自室に入る啓介は、ベッドに腰を下ろし、涼介に問う。
「…兄貴、中里がエンペラーに勝った事、どう思う?」
「…正直意外だったな。あの中里が京一が率いるエンペラーに勝利した事にな。相手をしたのは京一と一緒に居た岩城清次と言う男らしいが、俺が見る限り奴は自信過剰な所があり、相手を見下す所を油断した所があったのだろう。中里はそこを突き、勝利したと言える…」
「…まあ、今回ばかりは中里に勝って貰いたかったからな。あのランエボの下品なウイングは見ているだけでイラつくんだ!」
「本来中里の長所は思いっきりの良さと勢いでアクセルを踏み込んでいく豪快なドライビングにある、ツボにハマると早いがプレッシャーに弱くキレやすい。そう言う所があったのだが、今回はそれが全くなく、冷静でタイヤマネジメントをする様になり、アクセルワークの良さも出来ていると聞く。もう俺達の知っている中里ははるか遠く居る様だな」
涼介はそう言ってコーヒーを飲み、再びパソコンに打ち込むのであった。
走一のエンジンは後に公開する事にします、その方が盛り上がると思いまして。