拓海が勝利し、エンペラーの皆は秋名から撤収を始めた。その様子を見た走一達。
「あいつ等が引き上げていく」
「拓海が勝ったことで諦めたか…、今度は俺だと思っていたけど」
走一がそう呟き、池谷達はそれに思わず振り向く。
「え?俺達じゃなく?」
「すみませんが池谷先輩達じゃ無理です。相手はランエボですし、池谷先輩達じゃ歯が立たないのは目に見えてます」
その言葉に池谷達は思うわずうなだれてしまう。その様子に彩音達は苦笑いする。
すると下から二台の車が上がってくる。
その内の一台は健二と同じ180SXであるが、もう一台は【三菱・ランサーエボリューションⅤ GF-CP9A】であった。
その二台が走一達の所に止まり、それに走一達は見る。
「なんだ?」
「エボⅤに健二先輩と同じ180だ。何故俺達の所に止まるんだ?」
っとそう言っていると、エボⅤと180SXから賢一郎と舞人が降りて来た。
「よう、久しぶりだな」
「元気してたか?」
「賢一郎と舞人? 何でお前等が此処に?」
「おいおい、久々の顔を見る奴がいるじゃないか」
走一と春樹はその2人を見て意外な顔をし、それに池谷は問う。
「知ってるのか?」
「ええ。同じカート時代に走った同期です。それよりもお前等何でこんな所に居るんだよ?」
「エンペラーがこの秋名山で秋名のハチロクとバトルするって情報が入ったからな、俺達は今日ギャラリーしに来たんだ」
「それと稲妻のワンビアもいるって言うから誰か調べたら、そしたら稲妻のワンビアがお前だって言うから驚いたよ」
そう言っているとまた下から一台の車が上がってくる。
その車はGT-R R34 VスペックⅡだった。そのR34を見た走一達は振り向く。
「なんだ? あのR34…」
「この辺じゃ見かけない…」
「(っ!あのR34は…)」
走一達が首を傾げる中、琢磨だけはそのR34を見て、目を細める。
そしてそのR34から1人の男、零士が降りてくる。
走一達がそれに見る中で、零士は走一達の所に向かう。
「スピードスターズ…ですか?」
「そうだけど…君は?」
「俺は園崎零士、レーサーであり投資家でもある者です。ここに稲妻のワンビアがいると聞きますが…誰です?」
っとその言葉に彩音は勿論、玄達や春樹達は走一の方を見て、走一はそれに一歩前に出て言う。
「…俺が、そうですが?」
「…へぇ、お前が。さっきエンペラーは秋名のハチロクとバトルしてたみたいだけど、あいつ等は相手を見下した所があった、その罰が当たったんだが…お前が走らないのがちょっと勿体ない気もした。でもいい機会だから、俺と今度、バトルしてくれないか? 赤城山で」
「え?」
「「「「ッ!!!」」」」
零士の言葉に彩音達に衝撃が走った、勿論走一もその事に驚いていた。
まさかこの秋名ではなく、赤城山で勝負を挑まれるとは思いも寄らなかった、この秋名でなく。
「お前ならこの秋名では無敵に近いだろう。だが他の峠なら慣れてない、それなら互角の勝負が出来る」
「赤城山はアンタのホームコースじゃないと?」
「そいつは“神奈川”側の人間だ、群馬の出身じゃない」
っと琢磨の言葉に走一達は振り向き、零士は琢磨の方を向くと、琢磨が居た事に驚きつつも挨拶する。
「琢磨さん、どうもお久しぶりです。アナタがここに居るとは思いませんでした」
「ああ、まさかお前が此処に来るなんてな。思いも寄らなかったぞ」
「琢磨さん。知ってるんですか?」
彩音が零士の事を琢磨に問い、それに頷きながら言う。
「ああ、そいつはプロで、俺の後輩の後輩にあたる奴だ。腕はかなりの物だ」
「ええ~!?」
「そうなんですか!?」
その言葉を聞いた彩音と凛は驚きを隠せず、真美と友梨佳も驚きを隠せないでいた。
玄達や春樹達もその事に驚きつつ、走一の方を見る。
その人物が走一に挑戦を挑んで来たのだ。それを聞いた春樹が少し前に出てくる。
「おい、走一とバトルするのはこの俺だ。こいつとやりたきゃ俺に通しな」
「へぇー、彼の前にお前が相手になるって言うの? 良いよ。なら先にお前から勝負を受けてやる、明日ならどうだ?」
「いいぜ。俺は何時でもやれるさ!」
その言葉を聞いた零士は再び走一の方を見る。
「彼の後に俺はお前に挑戦をする。尤も稲妻のワンビアの腕前がどれほどか…見ものだぜ」
「…」
そう言って零士はR34に乗り込み、そのまま秋名山を下って行く。その様子を彩音達は見て、走一と春樹はそれにただR34を見つめるのであった。
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そして翌日、拓海達と登校する走一達、イツキは何故か興奮気味だった。
「いや~昨日は良い気分だったよな~! 今まであれ程スカッとした事ないよ!」
「全く、呑気な奴だ。俺は走一の方が気になるんだけどな…」
「え?走一が? 何で?」
事情を知らない拓海は道郎が言った言葉に首を傾げ、それに真美が言う。
「実はね、昨日走一君に挑戦を仕掛けて来たプロの人がいたのよ。あのバトルの後にね。走一君は受けるつもりだけど、その前に不藤君が先に受ける事になっちゃって…」
「不藤君は走一君を先に負かされるのが嫌なんだって」
「へぇ…」
凛の言葉に拓海は少し理解し、そのまま歩き続ける。
その様子に走一は見て問う。
「どうした拓海? 何やら考え事の様な感じだが」
「…俺、秋名で勝った気がしなくって。実は俺…ちょっと前から漠然と考えてたんだけどさ…、昨日のバトルでハッキリ思った。秋名でやるのは嫌なんだ、もう秋名でバトルしねぇ」
「秋名でバトルしない…?」
「またまた~!お前が考えるとろくな事ねぇんだから。秋名の何処が悪いんだよ」
彩音がその事に首を傾げ、イツキがそれに問う。
「昨日のバトルは勝った気がしないし、俺…気分的には俺の負けだよ…」
「(拓海…、お前もしかして)」
走一は拓海の微妙な異変に気付いた様子で見て、拓海は走一達に言う。
「俺…皆に宣言してもしょうがねぇと思ってるけど。…もう秋名じゃもうバトルしない、負けてもいいから…秋名じゃない所でバトルをやる」
そう言って先に向かう拓海、それにイツキは慌てる。
「お!おい!拓海!!」
「拓海君、どうしたんだろう」
彩音そう呟くと、走一が確信を得る。
「…成程な、ようやく拓海は理解したって事か」
「え?どういう事?」
真美が走一が言ったその事に問い、走一は皆に言う。
「拓海は狭いステージにもう飽き飽きしているんだ、以前バトルした碓氷や妙義の件でもそうだど、涼介さんと琢磨さんのバトルのきっかけもあるかも知れない。拓海は徐々に広いステージへと羽ばたこうとしている、秋名じゃもう勝った感じになれない…そう言う事だよ」
っと走一のその言葉に彩音達は拓海の方見て、その様子にただ見つめるのであった。
そして今日の夜、運命の日が訪れるのであった…。
次回からいよいよ走一と拓海の運命の時が訪れます。
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