「ドキドキするッス」
私、今日からギルドに登録する新米ギルダーッス。
ここに来るまでいろいろと大変なことがたくさんあったッスねー、森の中をサバイバルしてここを目指したり、乗り物に吹っ飛ばされて死にかけたり。
うん、忘れよう。思い出すとロクなことしか出てこないッス。
特にうっかり毒キノコを食べようとして止められたのはゼッタイッス。
今日は優しいパーティの人たちがギルダーのやることをいろいろと教えてくれるらしいッス。
ギルダーは粗暴な人が多いらしいッスからね、優しい人を紹介してくれるのは本当に助かるッス!
いやー、本当にゆ…
「誰がガキじゃあい!」
…鼻先を何かが掠めたッスね。
きっと気のせいッスね!まさか大人が凍りながら飛んでいくなんてありえないありえない…そうありえる訳。
「…首だけ出して凍ってるーーー!?」
「ライブテメェ!」
「キエアー!?シャベッター!?」
「ガキ扱いする方が悪いんでしょうが!ベーだ!」
「コッチモシャベッター!?」
お、落ち着くッス!素数を数えて落ち着くッス!
素数は1と自身でしか割れない孤独な数字、私を落ち着かせてくれるッス。
2、3、5、7、9、11、13、17
57!57!57!ヨシ!(?)
「おいライブ、ガキ扱いされたぐらいで人凍らすなよ。今日は新人教育請け負ってんだからよ」
「さっさと融かせテメ…ェ…なんだか眠く…」
「ほい、融けろー。だってアストも見てたでしょ。やめろって言ったのに3回も僕の頭を撫でて…」
「わぁったわぁった。おい、大丈夫か?」
「アストも僕を子供扱いするし…」
「うぅ、さみー。テメェ躊躇なく氷魔法パなすなよ」
あ、嵐でも来たみたいだったッス。
それにしても新人って一人じゃなかったんすね。あんな幼そうな相手に教育受けるなんて、大変そうッス。
でも私は優しい人が教えてくれるらしいッスからね、よかったよかった…。
「おい、聞こえてるか?」
「…へ?」
「聞こえてないみたいだな。お前さんの教育を請け負うことになったアストだ、よろしく頼むぜ」
「あー…ライブ・マージと申します…」
さっき大人の人を凍らせてた子…。
「頭抱えちゃった…」
「おいさっきの見られてたじゃねえか第一印象最悪だぞ」
前途…多難…ッスね。
「えっと、改めて自己紹介だ。俺はアスト。姓はねえ、ただのアスト。盾使いをしてる」
初対面で人凍らせるところを見られちゃった…やらかした…。
いっつもアストがすぐキレるなって言ってたのちゃんと忠告聞いとけば良かったね。次から頑張ろう賢いライブくん、うん。
「ライブ・マージ、えっと…さっき見たと思うけど魔法使いだよ」
「あー…」
警戒されてるー、そりゃそうだよ初めて見たところが凍らせる瞬間だもん。
え?魔族とでも疑われる?それともなにその氷魔法が先?シンプルに「人に魔法を打つなんて信じられない!」とか?
「魔法使い、の人なんスね。私は織井灯子っていうッス」
「なるほど、トーコさんね。よろしくお願いしま…」
「ボソ…(名前の方で呼ぶんスね…)」
「へ?トーコが苗字じゃないの?」
「…あ」
姓が前で名が後ろ…?確か2000年前に召喚されたっていう勇者が同じ感じだったはず。
てことは…。
「もしかして勇者…」
「あ、いや私はえっと…」
「…の末裔の人!?凄い偶然だな、いやーまさか勇者の末裔と一緒に冒険できるなんて」
「苗字が前ってなんかおかしいのか?」
「もちろん!遙か昔、二ホンからやってきたっていうサナダって名乗る勇者とその一族以外はみんな性を後ろ、名を前にしてるからね」
「そ、そうッス!」
「でも分家に織井なんて居たっけな…まあその辺りは知識不足なのかなー。たぶん末端の方?」
「いやーそうなんスよね!大変ッス大変ッス!あっはっは!」
「どうだかねー」
なんか…挙動不審だけどまあいっか!
そういえばひとつ聞いてないことがあったな。
「そういえばだけど、得物を聞いても良いかな」
「そうッスね。私の武器は剣ッス」
「剣か、となると…」
「ますます勇者っぽい」
「ちげぇ、前衛が俺しか居ないから負担がデカいかもって話だ」
「僕が前出れば良いでしょ」
「セオリーガン無視天才がよぉ…」
「褒められちゃった」
「〇ね」
シンプルに暴言吐かないで欲しいな…。
「まずは依頼を取るところだが、今日は事前に見繕っておいた。薬草採取から始める」
「地味なところから行くね」
「野草の種類の見分けに周囲の警戒を並行するんだぞ、地味だが難しい依頼だからな」
「大丈夫ッスかね。そんな難しい依頼、私できるかちょっと自信が」
不安そうだな、良い兆候だ。リスクの見れるギルダーはバカ魔法使いと違ってよく育つ。
「大丈夫だ。今回は俺が横で野草の種類を教えるし、警戒はコイツにさせる」
「任せて!」
「…すまんやっぱりダメかもしれん」
「ちょっと!?」
「プッ」
「あー笑った!」
「良いだろそれくらい」
ギルダーは緊張しすぎても、緩み過ぎてもダメだ。
緊張すれば判断が遅れ、緩みは油断に直結する。どちらも行先はあの世だ。
まあこの嬢ちゃんなら問題なさそうだな。
後は向き不向きの問題になるが、それは追い追いわかるだろ。
「早速採取に向かうぞ」
「あの、準備はどうすれば」
「道具は俺の貸してやる。お前の分は終わった後に買いに行くぞ」
ギルダーは薬草採取で躓いてゴロツキになる、いや戻るのが大半だ。
嬢ちゃんは実家に帰ることになるかそれとも俺たちギルダーの仲間入りをするか、どうかな。
「あ、僕の植物図鑑だ」
「そうなんスか?」
「ボロボロでしょ、図鑑見るの楽しくて毎日2時間くらい読んでたらボロボロになっちゃったんだよね」
「こわい」
「まあ3か月で飽きたんだけど」
「なにそれもこわい」
「因みに僕の好きな草がこの草」
「へー隣の野草と似てるッスね」
「そうなんだよね。実は毒草なんだけど、見た目で騙して草食獣に食べられるためにこの見た目なんだ」
「え?」
「この草を食べて体の動かなくなった動物を肉食の虫が食べて、拠点を増やすために虫が草の種を運んで…」
「こわいこわいこわい」
「自然の調和を感じて好きなんだよね!毒があるから鳥も迂闊に近付かないし」
「おいあんまり新人を怖がらすな」
俺が一番不安になって来たよ…。
~1年前~
「それでこれは毒草だけど上手く調合すると凄い薬になって…」
「お前本当に毒草好きだな」
何も…何も変わっていない!!!
どうも、失踪常習犯の最弱です。
初一次創作ですが、まあきっとモチベは続くはず…ていうか続いて?
ボケを入れないと死ぬ病(面白いとは言っていない)なのでシリアスパートがどれだけ書けるか。なんとかなるはず。
続きは早めに投稿しようと思います。
なんで3人主人公で行こうと思ったんだろうなこのバカは…。