ボクは絶対にメス堕ちしない‼︎〜ソシャゲTS転生者が行く、メス堕ち道中〜 作:メガネズミ
TS転生王国騎士団長 シーア・フロール
厳かな雰囲気を漂わせる、王城の内部。王の間。厳重な警備を以て固く守られたそこは、ファスト王国で最も堅牢な場所だろう。
大広間を思わせるような広い空間には、二人の人間。荘厳な玉座に座っているのは、少し太った体に貫禄の代わりに愛嬌を持たせたヒゲ、煌めく黄金の冠を被り、煌びやかな衣装に身を包んだ男。ファスト王国国王、その人だ。
王の隣に凛と佇むのは、薄紫の髪があまりに美しい女。時折ぴょこりと動く猫耳が愛らしく、ゆらゆらと揺れる尻尾は妖艶だ。だが、彼女を一目見たものはその美しさ以上に、強さに惹かれる事だろう。16歳という若さで王国騎士団長に任命された、傑物。
最近の王国で話題の男、『カルム・ディアス』について王と話したのち、それまでの態度とは比べ物にならぬような圧力を発し、足早に王城を去っていく彼女の姿を見た騎士団員達は気絶するものが大半だった。
一体何が彼女をそこまで駆り立てたのか。その真意を知るものは本人以外には居ないだろう。
名を、シーア・フロール。俗に言う、TS転生者であった。
——————————————————————————
【時間は少々前に遡る】
どうも、自他共に認めるすっごい騎士団長ことシーア・フロールです。えっへん。
大人気スマートフォンゲーム、『ダンジョンズ・デザイア』。『ダンデザ』と略されることも多いこのゲームは、ガチャが更新されるたびにセールスランキングで一位を取るほどの人気を誇る、夢と希望と冒険が詰まった素晴らしいゲームだ。
なぜボクがこのゲームについて語っているのか。それは…どうやらボクが転生したのは、『ダンデザ』の世界らしいからだ。物心がついた頃には両親の会話から聞き馴染みのある国名や地名を聞いていたから、まさかとは思っていたけれども。
5歳ほどになった頃に連れて行かれた国のパレードで王様を見た時に確信した。間違いない。ここは『ダンデザ』の世界だと。正直国名や地名だけだと怪しかったけど、ゲームの画面越しに見たことのある王様の、少し若い姿を見てしまったら疑う余地はないだろう。
『ダンデザ』の世界に転生したと分かったボクは、なんとしてでもあの物語を間近で見たくなった。だってそうだろう?推しが生きる世界に生まれたんだ。せっかくなら見ておきたい。あわよくば一緒に冒険したいというのがボクというオタクだ。前世は男だったけど、今世は女。あっメス堕ちとかそういうのは結構です。主人公に迫られる…とかはボクに限ってあり得ないので。絶対です絶対。
薄れゆく原作知識と擦り合わせたところ、どうやら今は原作が開始される10年くらい前らしい。ボクは原作主人公と同年代という訳だ。つまり、一緒に冒険ができる!ボクはメチャクチャ喜んだ。なんとかポーカーフェイスを維持しようとしていたが、果たして出来たかどうか。両親が不審に思わなかったのは幸運だった。
『ダンデザ』のおおまかなストーリーはこうだ。主人公である『カルム・ディアス』君。彼のお父さんは有名な冒険者で、世界中で新たなダンジョンを発見し踏破し『冒険王』と呼ばれるほどの凄い人だった。
しかし、ある時なんの痕跡も残さずに失踪してしまう。なんの変哲もないごく普通のダンジョンに出かけたっきり、居なくなってしまったのだ。多くの国を挙げて捜索が行われたが、結局見つけることは出来なかった。失踪した父を探すため、また冒険者として父を超えるため、彼は冒険の旅に出るのだった。
彼の父親が失踪するのは、原作開始12年前。つまり、すでに失踪してしまっている。そもそも、今が10年前と推測出来たのも『冒険王、突如として失踪!』という情報を聞いたからだ。仮に失踪前に気づいていたとしても、せいぜい3歳のボクにはどうする事も出来なかっただろう。だが、これからは違う。一緒に冒険出来るというのであれば、可能な限り原作で起こる悲劇を減らしたいと考えている。だが、年々原作知識は薄れていく上に、ボクという異物が乱入することでどう変化するかが分からないのだ。
そこでボクが選んだのは…鍛えることだった。毎日毎日剣を振り続けた。流石に真剣ではなく木剣だったが。少し上の年の子達に混ざってはチャンバラごっこをし、ケンカ慣れをしようと頑張った。強さがあれば原作にない事が起きても対処できると考えたからだ。
幸いボクには剣の才があったらしく、みるみるうちに強くなった。原作が始まる頃には、ボクが住んでいるファスト王国、その騎士団長に任命されるほど。でも、強くなったのは良いけれど、大きな誤算が発生した。
若くして団長の座につけるほどの強さを得た代わりに、団長であることに縛られるようになってしまったのだ。出来れば原作での主人公と他パーティメンバーとの邂逅や、様々な名シーンを見たかった。しかし、団長という立場上気軽に出歩くことは出来ないため、泣く泣く見逃すハメになってしまった。10年以上も人生を剣に捧げてきたのに、この結果はあんまりだと思う。
「ハァ…」
「む…?どうかしたのか、シーア団長?」
「いえ、なんでもございません国王様」
危ない危ない。今は国王様の護衛任務をしているところだ。ため息をついてしまうとは、気が緩み過ぎていた。かなりフレンドリーに接してくれる王様とは言え、礼を欠くのは違う。反省しなければ。
「お主も気になるのではないか?あのカルム・ディアスと名乗る小僧の事が…」
「気にならないと言えば嘘になりますが…何かありましたでしょうか?」
「特段何かがあったという訳ではないが…どうじゃ?お主から見て、あの小僧は本物か?」
本物か、つまり本当にあの『冒険王』の息子なのか。これまでも息子や親族を名乗るものが現れてはいたが、その誰もが偽物だった。そう言えば王様が協力してくれるだろうと踏んだのだろう。簡単にバレたが。普段はゆるふわな雰囲気の王様だが、決める時はきっちり決める有能な王様なのだ。人を見抜く目を持ち、人の上に立つ力を持った名君に嘘は通じない。
王様自らの判断は本物だと考えている。だが、万が一という事も考えているのだろうか。あえてボクに話題を振ってきたのには驚いたが、カルム君を知らない体で話すしかない。原作知識で知っているとは言え、実際に会えていない騎士団長の立場としては、分からないと言わざるを得ない。
「どうでしょうか。私は直接お会いした事が無いので分かりかねますね。」
「ふむ…確かに会う機会は無かったの?普段のお主は執務室に篭りっきりじゃからな…よし!
ファスト王国騎士団長シーアに命ずる!カルム・ディアスと名乗るものを見極めるのじゃ!」
「……は?」
え?なんて?任務としてカルム君に会って良いってこと?生で活躍を見てきても良いって事⁉︎ボクにとってあまりの都合の良い任務に頭が真っ白になる。
「お主が疑うのも当然じゃ…じゃがな?ワシはあの少年に可能性を感じたのじゃ。」
「……」
「あの少年は間違いなく本物じゃ。それを確かめてくると良い。本物だと確証が取れる前に肩入れしすぎると諸国がうるさいからのう。公に司令を出す事は出来んから秘密裏にやってくれんかの?」
「分かり…ました…」
…はっ!今一瞬意識飛んでた⁉︎えっと…良いんですか?仕事で?カルム君達の冒険を?見に行って良いんですよね⁉︎やったー!!!!!嬉しい!!!!!
「では行くが良い!くれぐれも、正体を明かさぬようにな?」
「心得ております、では!」
やったああああ!!!!!ようやく!ようやくこの目でカルム君達の活躍を見れる!!!!!この時をどれほど待ちわびたか…!!!!!そんな風に、今までにないほど気合が入ったボクを見た王様は。
「もし手合わせするにしても加減をの…?」
…とよく分からない事を言ってる王様は謎だったけど。とにかく今のボクはテンションぶち上がってるからどうでも良いや!早く行こう!気持ち急ぎながら王城を後にするボクを見て団員達がビビってたけど…なんでだろう?
Tips:
騎士団長シーアのしごきは地獄
若くして騎士団の頂点に立った彼女のしごきは厳しく、新兵ではついていくのがやっとのセットを100セット行うことで有名な鬼畜教官である。なお本人は「これでもかなり加減してるよね!」と思っているよう
二章以降の掲示板回をいつやるか
-
一章のように間に挟んでほしい!
-
イベントのように章終わってから見たい!