ボクは絶対にメス堕ちしない‼︎〜ソシャゲTS転生者が行く、メス堕ち道中〜 作:メガネズミ
「う……ここ…は…?」
目を開けると、医務室の天井が見える。前後の記憶が変だ。確か…黒炎に飲み込まれて…?
「シーア…団長?良かった!トリィ!シーア団長が…!」
「えぇ!分かってるわ…!」
何が起きているのだろう。右手をカルム君に、左手をトリィに握られている。下を見れば、簡素な服に変えられていた。となると…ボクはあの後気絶したのだろうか?
「意識ははっきりしてる?記憶は?」
「うん…ちゃんとはっきりしてる。記憶は…黒炎に飲まれてからはないかな…」
「そっか…それなら大丈夫そうだね…!」
話を聞いたところ、あの後意識を失ったボクはカルム君によって医務室に運び込まれ、1週間もの間意識が戻らなかったらしい。というのもあの炎はどうやらただの攻撃ではなかったようで、強力な呪詛によって体が蝕まれていたらしいのだ。何とか命は助かったものの。未だにボクの体は呪詛に侵されているため、オーガトロール相手に無双出来るほどの強さはもはや見る影もない。結構ショックだ。しかもちょうどお腹の辺りに呪詛の紋様が刻まれてしまった。しかも呪詛が強まった時に光るというオプション付き。ふざけるな。あの鼠野郎今度会ったらぶちのめしてやる。
まぁそれは置いておいて。あの後の顛末としては、正気を取り戻した騎士や王様が鼠公の足取りを追ったものの、結局見つけることは出来なかったらしい。まぁこれまで探しても見つからなかったのだから、どうにもならないだろう。
そういえば…例の事件の直前に、カルム君が何か言おうとしていたのを思い出した。アレは結局何だったのかと聞いてみたところ、もし良ければ仲間にならないか?という誘いだった。普段は騎士団長として活動をするが、有事の際は来てくれると嬉しい…という、何とも彼らしい控えめな誘いだ。ノータイムでyesと答えようとすると、タイミングよく王の伝令係がやってきた。騎士ではない、伝令に特化した役職だ。
回復したことを聞きつけた王様だが、ぜひ顔が見たいとの事。カルム君も一緒にとの事だったので、不思議に思いながら王の間へと歩き出す。
「ねぇシーア団長?体は…その…大丈夫そう?」
「万全かと言われたら嘘になっちゃうなぁ…正直結構厳しいと思う。強さで言ったら…大体1割くらいかな?」
「そっか…呪詛、解けると良いね…」
とまぁそんな感じでちょっとシリアスになりつつ、目的地に辿り着く。出来ればこの空気を変えたいんだよなぁ…と思ったのも束の間。またシリアスそうな顔をしている王様を見て気持ちを切り替える。
「……シーア団長や?」
「はっ!何でしょうか?」
「今日は無礼講とする、普段のお主で構わん!
お主の呪詛について調べたんじゃが…なにぶん資料もないような呪詛でな、ワシらでは解く事が出来んようじゃ…」
「そう…ですか…」
ちょっとしょんぼりだ。耳がペターンと垂れ、尻尾も下がってしまう。これが治らないとなると、とてもではないけれど戦力にならない。前のようにカルム君達に稽古をつけることも出来ず、お助けキャラのように動くことも出来ないだろう。
「…そこでじゃ。シーア騎士団長、お主には特殊な任務に就いてもらう事にした!」
「特殊な任務…ですか?」
「うむ。鼠公と名乗った男を追い、捕らえて見せよ!」
「…っ⁉︎」
無茶だ。今のボクではそんなこと、とても出来っこない。弱体化したのは何も身体能力だけじゃない。魔力量も、魔力の耐性も。技によっては扱えないものもあるだろう。そんな状態で奴を追ったとしても、簡単に敗北してしまうだろう。
「王様、それはあまりに…」
「無茶です!王も知っておいででしょう⁉︎今のシーア団長が弱っていることくらい!そんな状態でこなせる程簡単な任務ではないでしょう!」
「カルム…君…」
ボクが言い切る前に、カルム君が王に反対した。うぉ、ちょっとかっこいい。少し恥ずかしくなって、顔を下にそらす。
「そうじゃな。じゃが、頭の固い貴族達が騎士団を非難する声が多く上がっておってのう。そもそも王城に侵入を許し、あまつさえワシの命を危険に晒した事を槍玉に挙げて騒いでおるんじゃよ。今回の件はワシの顔に免じて処分を無しにはしたものの、何かしらの形で功績をあげねば騎士団の立場が悪くなるのじゃ…」
「ですが…今の彼女では‼︎」
…確かに王様の言っていることは納得だ。実際のところ王様の命が危なくなったのは事実。失態も失態、大失態だ。ボクが懲戒解雇とかでもおかしくないレベルの。それをなんとか踏みとどまらせた王様の手腕はさすがと言える。正直厳しいけど…何とかするしかないだろう。
「王様、その任務…ボクは受けます!」
「シーア団長!でも…その体じゃ!」
止めようとしてくれているカルム君には悪いけど、ボクはやらなければならない。体格差的に見上げる感じにはなるけど、カルム君の両肩に手をついて、目線を合わせて話す。
「良いんだよカルム君。王様がせっかく頑張ってチャンスを作ってくれたんだ…挽回しなくちゃね!」
「……」
「それに、ボクはこの国最強の騎士だよ?元ではあるけど…それでも君より強い!だから、安心して?」
「でも…‼︎」
うーん。思ったよりもカルム君が食い下がる。けど、これはどうしようもない事なのだ。失態があった以上は、挽回しないといけない。たとえそれが、無茶だとしても。
「あー。おっほん。そこ、イチャイチャせんでくれるかのう?ワシもおるんじゃが…」
別にイチャイチャじゃないが⁉︎確かにボクもカルム君も少し顔は赤くなってるけど。至近距離で見つめ合うのは中々恥ずかしいけど、至って真面目だ。
「…ともかくじゃ。シーア団長には任務をこなして貰わなければならんのじゃが…何も1人でやれという訳ではないぞ?ちょうどカルムら一行への援助についても疑問視する声が上がっておるからのう、どうじゃ?共に旅をして奴を追うというのは。ん?」
「シーア団長が…僕達と一緒に?」
「うむ。それに期限も特に指定されておらんからのぅ…形だけ見せておけば納得する、馬鹿な貴族ども…おっと失敬。貴族達に『鼠公を追っている』アピールさえ出来ればそれで良いのじゃよ…もちろん捕えるに越したことはないがの?お主らは普通に旅を続け、ダンジョンを攻略しておれば良いのじゃよ。奴の親玉がダンジョンで悪巧みをしておる以上、自然とぶつかる形になるしのう?」
「王様、それはつまり…任務としてカルム君達に同行しろ、と…?」
「どう受け取ったかはお主次第じゃ。ワシはあくまで鼠公を追え、という任務を与えただけじゃからの!」
流石王様だ。カルム君達の援助に更なる理由も付けつつ、期間を無期限の任務にする事で実質ボクの休暇も兼ねている。ダンジョンさえ攻略していれば良い状況に持っていくやり方は流石に想像出来なかったが。
…っていうことはアレか?ボクが…カルム君達と一緒に冒険出来るって事…⁉︎
「分かりました。カルム・ディアス、必ずや…」
「あぁ、そういうのは無しじゃ無し。堅苦しいのは嫌いじゃしな?そういう訳じゃシーア団長、お主のやりたいようにすると良い。では、これにて解散じゃ。」
あっというまに話が進んでいったが、まだ時間が湧いていない。それと、帰る直前に王様にウィンクをされたのが印象的だ。まさか、ボクの望みを見通していたとは。まるで今回の件が王様の自作自演かと思えるくらいには、上手く場を利用していた。やっぱり王様には敵わない。
王の間から出て少ししたところで、カルム君が喋り出す。
「その…王様もああ言ってたしさ?1人だと鼠公を追うのも大変でしょ?いくら僕より強くても、弱体化してるのは間違いないんだし…」
何とも湾曲的だ。もっと、ビシッと言って欲しい。中々こういう時にはっきり言わず、相手の意思を尊重したがるのがカルム君の美徳だが…せっかくだしはっきり言ってもらうとしよう。
「それで?」
「えーっと…その…な…なか…!」
「なんて言ってるの?ボクには聞こえないなぁ?」
あえてイジワルに、焦らすように聞く。向こうもそれを分かっているようで、少し唸って恥ずかしそうにしたのち、ボクの肩をがっしりと掴んで、視線を合わせた。うぉ。顔が近い。まっすぐな瞳に見つめられて、どきりとする。心臓の鼓動が速くなり、バクバクという音が嫌に大きく聞こえる。
「シーア・フロール!僕の…仲間になって下さい!」
………はっ!一瞬意識が飛んでいた。改めて面と向かって言われると、こう…すごく…すごい。なんていうか…言葉にならない。すごいとしか言えない。良い感じにカッコいい返答を考えていたのに。やる事がなくて暇だった医務室で、かっこいい名乗りとかも考えていたのに。咄嗟に口から出た言葉は。
「………はい」
肯定の、一言だった。
Tips:
呪詛の紋様
シーア・フロールにかけられた呪詛は非常に強力であり、現時点では解除は不可能。ちょうど腹部に紋様が刻まれたこともあり、本人はかなり気にしている様子。本人曰く「そういうファッションをする人だと思われたくない」そうだ。だが、水着等の腹部が露出するようなファッションを躊躇う様子はない。その真意は、果たして。
ようやく冒険に合流&弱体化!
二章以降の掲示板回をいつやるか
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一章のように間に挟んでほしい!
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イベントのように章終わってから見たい!