ボクは絶対にメス堕ちしない‼︎〜ソシャゲTS転生者が行く、メス堕ち道中〜 作:メガネズミ
やぁ…この前はやらかしたボクだ。そろそろ旅に出発するという状況なのだが、気まずい。ちょっとアレはやらかし過ぎた。引きずるものでは無いと思っていても、中々切り替えられないのだ。あまりの恥ずかしさに、カルム君を見かけたら即逃げてしまっっている。
連絡自体はトリィ達を介して普通にしているが、直接のやり取りをするのは恥ずかしくてとても無理だ。向こうは特に気にしていないようだが、それでもメイドからの膝枕コンボはダメだろう。流石に。なんとかのらりくらりと躱して来ていたのだが、流石に出発の日が近づいて来た事でそうも言ってられなくなって来た。
悶々とするボクを見かねたのか、トリィが気分転換に出かけようと言ってくれた。それが罠だと気付かなかったボクは、この前買ってもらった服に意気揚々と着替えて集合場所に辿り着き。なぜかカルム君と2人ぼっちで居ます。何故だ。
心の中でトリィを恨むものの。こうなってしまってはどうしようもないので、観念してその場に立ち尽くすのだった。
————————————————————————
目の前で可愛らしい服に身を包んだシーア団長が呆然としている。色々あって僕に会わないように逃げていた団長だったが、トリィが何かしたのだろう。彼女の好意を無駄にしないためにも、どうにかして団長との関係を戻さなければ。
「えーっと、シーア団長?この前の事だけど…」
「ごめん…ごめんね…!流石に暴走し過ぎてたよ…!あんなキラキラしたメイド服を見てたら…つい…」
「大丈夫だから!僕はそんなに気にしてないし…正直…良かったし…」
「…?」
今のはセーフだろうか?どうやらしっかり聞こえていなかったようで、こてんと首を傾げている。危ない。つい『良かった』なんて言ってしまった。あんなに厳格そうな雰囲気を出しながらも、一人称を素にする事で出てくる素朴な感じとか、普段のかっこいい感じも上手く残したようなメイド服のデザインとか。正直凄く好みだった。その上で、あれだけの強さがあるのにも関わらず柔らかくて心地のいい膝枕だ。良いに決まってるだろう。ふわりと鼻をくすぐる女の子っぽい香りも嫌な感じはなく、むしろ落ち着く匂いで。
実はあの時、最初の方はフリーズしたフリをしてちょっと堪能していた、と聞いたらシーア団長は怒るだろうか?一応その後許容量を超えてフリーズしているから、事実ではあるのだけど。まぁ僕だけの内緒にしておくつもりだ。
…さてと。
「ねぇシーア団長、この後時間ある?」
「あるよ?本当だったらトリィと遊ぶ約束になってたんだけど…多分この場を作るための口実だったんだろうし、この後は暇かな?」
「そっか!せっかくだしさ、このまま街を見て回らない?もうすぐこの街も見納めだし。」
「良いね!じゃあ行こっか!」
わざわざ普段着ない服まで着てここに来てくれている事だし、時間があるなら遊んでしまおうと思う。僕達の呼び方もまだ少し距離があるように感じるし、この機に距離を詰めておきたい。旅に出る以上は信頼関係が大事だし、用心に越した事はないだろう。
そんなこんなで2人で最初に向かったのは、何故か武具屋だった。団長はこういうのを眺めるのが好きらしい。その気持ちは僕もよく分かる。なんというか、買わなくても眺めているのは楽しい。
「見て見てカルム君!これ、魔力を込めると回転する剣だって!」
「すごいなぁ…どうやって使うんだろ?貫く感じかな?それとも攻撃を弾いたり…?弾く方向を予測するのが難しそう…でも面白そうじゃないかな!」
「うーん…ボクだったら鍔迫り合いの時に隙を使うのに使うかも!あとは削り斬ったりとか!色々出来そう!」
こういう武器談義というのも楽しい。クロエはまだ出来る方だけど、そこまで武器について話したりしない気がする。彼女はクロー以外に興味が無いらしい。ウィズはもちろん、トリィもあまり剣を使いたがらないから、こういうことを話せるのは久しぶりだ。
武具屋にあった面白そうな武器は大体話し尽くしたので、次の場所を求めてフラフラしていると魔道具を売っている怪しげなおじさんに出会った。色々見ては見たものの、一つを除いてめぼしいものは無かった。その一つというのがこれ、『魔法のブラシ』だ。名前は特に無いらしく、魔力がこもっている事以外はなんの変哲もないブラシに見える。
しかし、このブラシで髪をとけばある程度の髪型なら自由自在に出来るらしい。僕が手に取ったブラシを見て一瞬物欲しそうな顔をシーア団長がしていたから、団長の分も買っておく。後で渡そう。
「カルム君?それで一体何を…?」
「普通に髪をとくだけじゃない?だから皆の分もと思って…」
一瞬かなり驚いた顔をした団長を不思議に思いながら、いくつか良さそうな色を選ぶ。値段も安かったので、トリィ達へのお土産にはちょうど良いだろう。
「あぁ…普通に髪を…なるほど…」
「どうかした?団長の場合は髪以外だと耳と尻尾とかはあるだろうけど…」
「べべ別になんでもないよ⁉︎それに前も言ったけど、獣人の耳と尻尾はかなり敏感だから!そういうのは『まだ』早いって言うか…」
「???」
耳や尻尾が敏感な事と、このブラシに一体どんな関係があるのだろう?それに『まだ』とは?よく分からなかったので聞いてみたけど、誤魔化されてしまった。とりあえず買い物を済ませてぶらぶらと歩いていると、デカデカと割引中と書かれたレストランが目に入った。そういえば、あの店は最近開店したんだっけか。
思っていたよりも買い物にお金を使ってしまっていた今、あまりお金に余裕がない僕達としては、かなり助かる。一応割引に裏が無いか張り紙を見に行くと、案の定あった。一応できなくはないが、これは…
「か…カップル…割…⁉︎」
無茶な割引の条件を見た団長が素っ頓狂な声をあげる。正直僕もかなり驚いているけど、めちゃくちゃ驚いている団長を見て逆に冷静になった。
「大分思い切った割引の仕方だね…どうする?割引無しでもちょっと頼むくらいなら残金でもどうにかなるけど…」
「流石にハードルが高いし…こっ今回は普通に…」
言い掛けた団長だったが、『グゥ…』という可愛らしいお腹の音が鳴った事で黙り込んでしまう。あれは恥ずかしさと食欲の狭間で揺れている顔だ。ここはこっちがリードしてあげないと。そう思ってフォローを入れようとした僕だったが、こっちの方もお腹がなってしまった。思わず、お互いに顔を見合わせて吹き出した。
「あっははは!やっぱりカルム君だってお腹空いてるじゃん!」
「そういう団長だって!」
そうやって少しの間2人で笑い合ったのち、意を決して入店する。カランカラン、と入店を知らせる鈴が鳴り、店員さんとの間に緊張が走る。割引はあくまで、入店前に伝えないといけない決まりになっている。僕達のようにカップルと偽って入る者を防ぐためだ。果たして、上手くいくのか。
「いらっしゃいませー!二名様ですね?」
「はっはい!か、カップル割でお願いします!」
そう言った瞬間、店員さんの見る目が変わる。こちらを見定めるような目。緊張して体がガチガチになってきた。団長の方を見ても、明らかに緊張している。永久にも感じるような時間が過ぎ、店員さんの視線が外れる。
「はい!カップル割ですね!店長〜!カップル割です!あっ!お客さんは…そこの席にお座りください!メニューが決まったらお呼びくださいね!」
…良かった。どうやら乗り切れたようだ。緊張が解けた事で一瞬フラつきかけたが、咄嗟に抱き止めてくれた団長のおかげで違和感なく踏みとどまれた。
バレないうちに注文してしまおうと、メニューを開く。なかなか種類は豊富のようで、かなり悩む。さまざまなメニューを検討した結果、団長は巨大オムライスで僕はハンバーグセットだ。待っている間、小声だが団長に聞いておきたいことがあったので聞いてみる。
「ねぇシーア団長?その…本当に良かったの?割引のためとはいえ、僕とカップルだなんて…」
「むしろボクの方こそ!ボクなんかで良いのかなって…。だってさ?カルム君のパーティって魅力的な女性が3人もいるじゃん?それに他にも言い寄ってくる人だっているだろうし…
…ボクみたいなのが嘘とはいえ恋人だなんてさ?嫌じゃないのかなって…」
「そんなことない!シーア団長だって皆に負けてないよ!それに…嘘だったとしても団長相手だったら恋人でも嫌じゃないし!」
「うぇっ⁉︎そ…そこまで…⁉︎なら…良いのかなぁ…うん…」
「それに、団長だって嫌じゃないんでしょ?嘘だとしても、僕が恋人なのは。」
「うん…嫌じゃ…ない…」
良かった。僕からしたら団長が恋人だなんて幸せだろうけど、向こうが嫌だったら少し、いや、かなりへこむだろう。一時的とはいえこの関係が嫌なものじゃない事が確認出来て良かった。ちょうど話が終わった辺りで料理が到着したので、頂く事にした。
「美味しい…!美味しいねカルム君!卵とケチャップの相性が抜群!これを食べられないのは損だなぁ…」
「そう?こっちのハンバーグは肉汁が口の中で溢れて最高だよ?」
「む…!そっちのも食べたいけど注文するには高いし…一口ちょうだい!」
頼んだ料理自慢をしようとした団長だったけど、こっちの自慢をしたら直ぐにねだり始めた。こういう所も可愛い。向こうはスプーンしかないので、こっちのフォークを使って口に運んであげる。
「はいどうぞ、どう?美味しい?」
「うーん…最高!ねぇ、せっかくだしカルム君もどう?ほら、口開けて?」
団長から口に運ばれたオムライスはやけに甘かったけど、しつこ過ぎるわけでもなく、むしろ良い感じで。料理とは違うポカポカとした感じが心地よかった。味だけじゃなく量もしっかりあったおかげで、お腹いっぱいになれた。だが、ここで思わぬ出来事が起こった。会計のタイミングで、レジ打ちをしていた店員さんが話しかけてきたのだ。
「ねぇお客さん、カップルっていうのは…嘘ですよね?」
「「っ⁉︎」」
いつバレたのだろうか。冷や汗を流す僕を知ってか知らずか、こちらに語りかけてくる店員さん。
「すみませんね?さっき会話を聞いちゃって…お二人がそうじゃないことは分かっちゃったんです。」
なんて事だ。バレたからと言って犯罪沙汰にはならないが、料金が足りない。正直に事情を話し、最悪皿洗いでもして…と伝えるが、予想外の言葉をかけられる。
「偽っていた事は良くない事です。でもまぁ…店長がokと言ったので良いんです!今回はカップル割を適用しますから!」
「えっ…?だって別に僕達は…」
「それに、私自身も良いと思ってますよ?お客さんの認識ではカップルじゃないかもしれないですけど…距離感は近いし、咄嗟とはいえ抱きしめるくらいだし、当然のようにあーんもするし。側から見たら十分カップルですので。さっさと付き合って、今度は恋人として来てくださいね?」
「え…?そんな風に見えてたんですか⁉︎確かに言われてみれば…でもそんな…」
「ボクとカルム君が…カップルに見える…⁉︎」
「はいはい、そういうのはお二人だけでどうぞ。さぁ行った行った!またのご来店、お待ちしておりまーす!」
半ば追い出されるような形で外に出された僕と団長は互いに視線を一瞬合わせたのち、恥ずかしくなって勢いよく逸らす。そのままとぼとぼと歩きながら近くのベンチに座ってぼーっとしていると、団長が声をかけてきた。
「ねぇ、カルム君?その…さっき店員さんに言われたことは気にしないでいこう?ボク達は…その…今まで通りでいいと思うし…」
「そう…だね…!カップルみたいって言われたからって、いきなり態度を変えるのは難しいし…」
正直あんなことを言われるとは思って居なかったが、僕も団長も今の関係を維持したいという事で良さそうだ。確かに距離は近いかもしれないけど、これが僕達なのだから。そういえば…少し気になっていたことがある。せっかくだし、ここで言ってみよう。
「ねぇ団長、そろそろ…『カルム君』じゃなくて、『カルム』って呼んでくれない?なんていうか…君付けだとまだ疎外感があるみたいでさ…」
「うーん…ボクは君付けしたいな…。あっいや別にね?距離を置きたいとかじゃなくて!カルム君のパーティってさ?皆が呼び捨てで呼んでるから…
その…ボクだけの特別感が欲しかったっていうか…なんていうか言葉にすると恥ずかしいけど…!」
…まさかそんな理由だったとは。特別感…か。なるほど。僕のシーア団長呼びは『団長』ってイメージが強かったからだけど、そんな理由で呼び捨てしないこともあるのか。団長が僕の特別でありたいと思ってくれていることは嬉しいけど、やっぱりどうしても距離感を感じてしまう。よし。
「ねぇ団長?今日がいい機会だと思ってさ?こんな感じに…」
「うぇっ⁉︎そ…それは‼︎
分かった…そうしよっか…!」
それから少しして、2人で帰路に着く頃には日が暮れていた。夕焼けが眩しい。分かれ道に差し掛かったところで、団長がこちらを向いて笑う。恥ずかしそうに。夕焼けで赤くなっているだけじゃない、彼女自身の熱を顔に持ちながら。
「じゃあまた明日ね!カル!」
「うん!また明日!シー!」
お互いに決めた愛称を呼び合って、別れたのだった。
Tips:
愛称設定
今回のストーリー以降、シーア・フロールに対して愛称を付けることができます。また、シーア・フロール側からプレイヤーに呼びかける際の愛称を設定することもできます。ただし、そのままの名前や「団長」「シーア団長」という愛称にすることは出来ません。これはプレイヤー自身の愛称も同じであり、プレイヤーネームをそのまま使用することは出来ません。
水着イベントに悩んでいる今日この頃
最終集計だと温泉がトップってマジ?水着イベントぞ…?
二章以降の掲示板回をいつやるか
-
一章のように間に挟んでほしい!
-
イベントのように章終わってから見たい!