ボクは絶対にメス堕ちしない‼︎〜ソシャゲTS転生者が行く、メス堕ち道中〜 作:メガネズミ
「おやおや…誰かと思えば!カルム・ディアス!奇遇ですなぁ?」
「お前…よくもそんな事が言えるな!」
「はてなんの事やら…?」
わざと呆けて見せるこいつの顔面に一発打ち込んでやろうとも思ったが、下手に逆上させてしまってはこちらが危険かもしれない。
「それにしても…この度は当店にお越しいただき、誠にありがとうございます、ですなぁ?」
「まさか!この宿…ここら一体の施設はお前が⁉︎」
「えぇ!えぇ‼︎何を隠そう、建設から運営まで全てこのワタクシが行っておりますとも!従業員に至るまで、全てワタクシの操る傀儡!ヒトではございません!」
…最悪だ。最近出来たという施設、それらは全てこいつがやった事だという。
「大変でしたぞ…なんとか呪詛で団長殿を弱らせたは良いものの!そこで呪力…いえ、魔力をほとんど使い切ってしまい転移の距離が足らず!仕方なく徒歩で帰る最中、気づいてしまったのです!」
「…何に?」
「よくぞ聞いてくれました!実は団長殿にかけた呪詛、あれは一度放てばそれきりのものだったのですが…なぜか常にワタクシから魔力を吸い上げて発動する仕組みになってしまっていたのです‼︎おそらく当てた相手との力量差を埋めるためにあのような形になってしまったのでしょうなぁ…」
「バカじゃないのか⁉︎計画性どうなってるんだ…」
「まぁそこはワタクシですので。リカバリーがしっかりしております故。なんとか辿り着いたここ、ワンハ王国にて観光事業を立ち上げる事で地位と金と魔力を手にする事と相成ったのですぞ!
大変でしたなぁ…疲れ切っていてふと入りたくなり、偶々作った温泉に勝手に糞餓鬼共が入って行った腹立たしい事例を元に。温泉の需要を理解し、必要な宿と言った建物を我が呪法をもって建設・食事や各種サービスに至るまでの手配…‼︎地道な広告活動に加え、一切の妥協を許さぬための魔力の先行投資!自動で修復・洗浄される壁や床!」
…絶句した。確かにこいつが作ったという事は理解したけれど、まさかここまでとは。こいつは経営が天職なんじゃないか。そういえば…
「地位はともかく、魔力?ここら辺に流脈なんて無かった筈だけど?」
龍脈という、魔力の流れの大本のようなものがあるわけでもないのに、そんなに魔力を集められるものだろうか。
「それに関しましては!ワタクシの頭脳が光りました故に!『温泉で魔力を吸い上げる』という画期的な方法があります故に‼︎」
「なっ⁉︎」
「驚いたでしょう!こうする事で程よく疲れさせる事ができ!温泉が持つ効能の一つである、疲労の分だけ早く床につき、休みやすくなるというメリットをさらに良くできます!魔法を扱えぬ一般人でも、僅かな魔力は持っています…であれば!浸かっていればいるほどに吸い上げれば、微々たる量だとしてもいずれは塵も積もり、山となるのです‼︎」
なんて奴だ。まさか自分の魔力を回復させるという目的のために、わざわざ温泉で吸い上げるという非常に地道なやり方を選んでいるとは…ってそうじゃない。思わず突っ込んでしまいそうだった。
だが、これは笑い事ではない。このままでは、こいつを止められなくなってしまう。
「あぁ、ご安心を!『今は』手を出すつもりはございませんからなぁ!」
「本当か?」
「えぇ。店もかなり軌道に乗ってきておりましてな?現時点ではこちらは邪魔して欲しく無いのです!それに現時点ではまだ魔力を集めきれておりませんし!想像以上に管理費用がわりの魔力消費が多く、正直どちらかと言えば厳しい状況ですので!
…ごほん。少し話が逸れてしまいましたが…続けますぞ!
それにそちらは丸腰、加えて一般人も人質になっておりますからなぁ…この条件、呑んで下さるでしょう?」
「それは…くっ!」
「ではまた、今日の夜あたりにここで落ち合いましょうぞ!男女の風呂の入れ替えに関しましては、ワタクシが行っています故、安心して来てくだされば。」
…とまぁこんな感じで。こいつに呼び出されていたのだが。場所に集まった時点では、お互いに武器を用意して戦闘準備もしていた状況で。なんとシーが入って来てしまったのだ。思わずこいつと一緒に奥の方に隠れ、魔法と呪法を駆使して隠れているという状況だ。
「誰も入ってこないんじゃ無かったのか⁉︎」
「おかしいですな…立ち入り出来ないようになっているはずなのですが…
…あっ!」
「どうした?」
「貴様が入ってくる事を想定し、今回だけは外していたところでしたなぁ…‼︎しかも男女の入り口の変更もワタクシの仕事‼︎」
「管理が杜撰過ぎるだろ⁉︎」
「なにぶんイレギュラーなこと故に!」
最悪だ。このまま何事もなければ良いけれど、何かあったら終わりだ。僕はシーからの信頼が。こいつはここの温泉街の経営者としての地位が。信頼に関してはまだ良いけど、今のシーは丸腰だ。しかも、気付いてはないけど温泉で魔力を二度も吸われている。こんな状況でこいつと2対1になったところで、勝ち目はないかもしれない。ただ、鼠公側としてもまずい状況ではあるはずだ。
そこそこ名前のある僕達一行を迎え入れたのにも関わらず、そこで問題が起こったとなれば観光業はとんでもないことになってしまうだろう。お互いにかなりピンチだ。ここは一旦協力して身を潜め、シーが出ていくまで待つしかない。
「それにしても…ワタクシの呪印がよく似合っている様子。ちょうど良いアクセントになっておりますなぁ?」
「は?ふざけるなよ…!あんなもののどこが…‼︎シーが苦しんでる事も分からないのか⁉︎」
「いえいえ、ああして苦しんでいる様子もまた良い…という意味ですので!」
わざとだ。こちらが手出しできないのをいいことに、煽るような事を言っている。だが、耐えなければいけない。こいつの挑発に乗っても、良いことは何もない。
「…鼠公‼︎」
…けど。一発だけは、一発だけは。どうしても我慢ならなかった。思い切り拳を振り抜き、こいつの横っ面を殴り飛ばす。が、ダメだ。まるで応えていない。それどころか、ニヤニヤとしている。さらにこちらを挑発しようとして…一瞬で本気の顔になった。遠くの水音に気づいたのだろう。
それが聞こえた瞬間、僕も本気になって隠蔽を行う。危ない。今一瞬、シーがガチの魔力探知を行っていた。残りの魔力が少なかったことと、2人分の隠蔽だったことでなんとか乗り切れた。鼠公に見せるわけにはいかないのであいつの目はなんとか目を塞いだが。その際、咄嗟にシーを見てしまった。とても、綺麗だった。
シーはググっと伸びをした後、ちゃぱちゃぱと音を立てながら大浴場を出て、そのまま部屋に戻ったようだった。思わず力が抜けてへたり込んだ。鼠公の方も同じようで、ガクッと膝を折っていた。集中力という観点で見れば、多分人生で二番目くらいに発揮していたと思う。
「…興が削がれてしまいました故、この決着はまた次回にて!」
「あっ待て!」
「ははは!ワタクシに追い付ける筈が…っ⁉︎がぼぼぼぼ!!!」
一瞬の隙を突いて鼠公が逃げ出そうとして足を滑らせ、湯船に落ちた。ブクブクと口から泡を吐いているうちに転移したが、多分想定以上に焦っていたんだと思う。
「………どうしよう」
なんというか。色々ありすぎてどうしたら良いのか分からなくなったけれど。とりあえず明日になったらここを出よう。そして、どうにかしてあの鼠野郎を倒し、何も無かったことにしよう。そう決心したのだった。
今回の挿絵も多分セーフ‼︎多分。
二章以降の掲示板回をいつやるか
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一章のように間に挟んでほしい!
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イベントのように章終わってから見たい!