ボクは絶対にメス堕ちしない‼︎〜ソシャゲTS転生者が行く、メス堕ち道中〜 作:メガネズミ
「ここ…は…?」
「良かった!目が覚めたんだね、シー!」
やぁ、いつの間にか気絶していたボクだ。例の怪物が倒されたのは覚えているけど、そこからの記憶が一切ない。どうやらあの時に気を失ってしまったようだ。
鼠公には逃げられてしまったものの、経営していた宿なんかはそのまま放置していったため、一応戦力を削ぐことにはなったのかもしれない。律儀に『廃墟はご自由にお使い下さい』なんて書き置きがされていたのだから驚きだ。魔力回りで何か仕掛けが無いか探してみたが、一切が解除されていた。例の自動で掃除するサービスは使えないものの、それ以外は健在ということで。地域の人が運営する事で続けていくらしい。
なんというか…今回の件であいつに対するイメージが変化した気がする。と言っても、相変わらず敵として見ているのは間違いないけれど。あの真面目さを信じても良い…のかもしれない。
アイツのおかげでカルにも浴衣姿を見せる事が出来たし。顔が赤くなって恥ずかしそうに、嬉しそうにしているカルはとても良かったです。はい。
さて、少し困った事が起きてしまった。というのも、とある人が付き纏ってきて…端的に言うと面倒なのだ。
あの時ボク達を助けに来てくれた助っ人であり、次なる旅の目的地である『セカン帝国』の騎士団副団長。名を『シュヴァル・ルード』と言い、パーティメンバーのクロの実兄。なぜこの人が面倒かと言うと…
「なぁ?お前団長の妹なんだろ?今度姉さんに決闘の申し込みをだな…」
「今のバカ兄貴じゃ勝てないんだから諦めたらどうだ?」
「あぁ?逃げたチビが何言っても聞こえねぇな!」
「なんだと…?」
「やるか?ん?片手で相手してやるぜ?」
…顔をつき合わせる度にクロエと揉める上、団長のボクと戦いたがっているからなのだ。単に戦いたいだけだったら、戦ってやればいいだけなのだが。生憎と今のボクはとても弱体化しており、とても彼に勝てるだけの強さは無い。
それに、目が覚めた時にすぐにボクが団長だと明かしたのだけれど、「お前が団長?嘘つけ!こんなに弱い奴が団長な訳あるか!」とか「確かに団長には似てる…妹か!」とか。聞く耳を持たない上に勘違いして突っ走る悪癖が出たのか、勘違いしたまま付き纏っていると言う訳だ。
「そういえば、君はどうしてここに?この前助けてくれた理由も聞いてないし…」
「……ここに来たのは任務だぜ?助けたのは…気が乗ったからだけどな!」
不思議そうに尋ねるカルに、少しタメを持って話し出したシュヴァル。彼の性格から考えると何か隠し事がありそうだったけど…まぁ良いか。
「ふん!バカ兄貴が居なくたって私でも…」
「無理だな!あれっぽっちの炎じゃあの怪物は倒せなかった。オレが居なきゃ到底焼き斬れなかったな!」
「なんだと…!私だってあれくらい…なんとか…」
「まぁまぁその辺に…シュヴァルさんがきてくれて助かりましたし、もちろんクロエが頑張ってくれたおかげでもあるから!ね?」
シュヴァルに言われて半泣きになっているクロエを慰める形で、間にカルが入って止めたけど。確かに威力不足かもしれない。まぁボクとまではいかなくても、シュヴァルは間違いなく天才の部類だ。彼とクロエを比較すること自体が厳しいのだが…クロエはそうは思っていないらしい。
クロエから聞いた話だが、彼女は元々セカン帝国出身らしい。良いとこの家系であり、兄と同じくして騎士を目指していたものの、兄との才能の差や成績不振などで家族内で揉めてしまい、勘当を言い渡されたらしい。
「あれから少しは強くなったと思ってみればそんなもんか?期待はずれも良いとこだぜ…」
「う…うぅ…」
「…ちょっと言い過ぎでは?」
流石にカルも怒ったか。確かに言い過ぎかもしれない。あそこまで追い詰めるように何度も言わなくても…とは思うが。
…なぜボクが怒らないのか。それは…このシュヴァルという男。こんな態度を取ってはいるが、とんでもないシスコンだからである。
ボクが団長として普通に活動していた頃の話だ。ちょうどカルが動き始めたあたりだっただろうか?調査任務とか模擬戦とかにかこつけて、何度も何度もファスト王国を訪れてはクロエはどうしているかと聞いて来るのだ。ボクに。当然冷徹な団長モードで接していたから良かったものの、素のボクだったら間違いなく引いていた。ドン引きである。だってボクに聞くだけじゃ飽き足らず、こっちにきた時は大体ダンジョンの近くまでストーカーしたりしてたし。
シロとしてカル達を助けた後が酷かった。文字通り血涙を流しながら「オレが助けられれば良かったのに!」「なんであの時だけ間に合わなかったんだオレは!」「クロエに怪我をさせたゴミ屑は許せねぇ…!」とか言ってきたし。なぜかボクに。知るかそんなもん。
さっきの暴言だって、真意を抜き取ればこうだ。「お前は弱いんだから、お兄ちゃんが守ってやるから安心しろ」…ってところだろう。もっと素直に言えば良いだろうに。男のツンデレとか需要ないぞ今時。
まぁ実際、クロエが今の立場で居られるのもこいつの庇護下に居るからというのも事実。こいつ自身の名前で守っていなければ、今頃どうなっていたか。勘当された良家の娘とか、いくらでも食い物に出来る悪い大人がいただろうに。カルに拾われるまでの間無事だったのは間違いなくこいつの功績だろう。だがこいつはシスコンストーカーだ。この事実は揺るがない。
しかも面倒なのがこの男、シスコンというだけに飽き足らず。団長としてのボクにも気があるっぽいのだ。勘弁してほしい。発端はクロエストーカーとして色々やっていた時の話だ。
何度もクロエについてしつこく聞いて来るシュヴァルにブチギレたボクは、軽い模擬戦ではなく本気の決闘を行うことにした。ファスト王国とセカン帝国。両国の威信を賭けた戦いであり、普通の賭け事に飽きた王と女帝の戯れとして行った御前試合だ。
あの時のボクはストレスでどうにかなっていたのかもしれない。徹底的に向こうの剣を捌き切った上、本来決闘では使わない、魔法の力まで使わせた上でボッコボコにしたのだ。火焔を纏った剣で万物を斬り伏せるとして『焔剣』と謳われていた、間違いなく調子に乗っていた時のシュヴァルをブチのめし、力尽きて倒れ伏した彼の耳元にだけ聞こえるよう、「犬の癖に猫に手も足も出ないんだな?仔犬クン?」と煽った事が原因だろう。
あれ以来、クロエが心配という事もあってこっちに来ているものの、それはそれとしてボクに会うためにも来ているというような状態が続いていたのだ。最も、ボクが旅に出ているという話を聞いて王城には来なくなったらしいが。
とりあえず、シュヴァルが面倒な理由を端的にまとめると…シスコンストーカー兼団長狙い(恋愛的な意味でも、戦闘的な意味でも)という事だ。改めて文字にすると酷いなコイツ。
目の前でじっとクロエを見つめるシスコンストーカーは無視するとして。…さて、明日でこのワンハ公国とはおさらばなのだが、まだやれてない事があるので少し残っていたのだ。それは…ズバリ、ビーチでのスポーツ、『ビーチラリー』だ。
砂浜、ビーチで行う競技であり、大体は水着を着てやる場合が多い。ルールはビーチバレーと卓球を混ぜたような感じであり、魔力の塊である球体を相手コートに落とせば勝ちというものだ。バレーや卓球で言う球が魔力塊であり、それを打ち返し合うという一見すれば同じようなルールなのだが…明確に違う部分が一つある。
それは、魔力塊は魔力を込めた何かでないと弾けないという点だ。どの部位で弾いても良いし、あらかじめ用意した武器なんかを使っても良いけれど、そこに自身の魔力が込められていないとすり抜ける仕様になっている。込める魔力の調節をミスってしまえばそもそも魔力塊そのものがダメになってしまうし、あらぬ方向へ飛んでいく事もしばしば。そのため、スポーツでありながら魔力のトレーニングとして採用される事もある特殊なものなのだ。
なんでビーチ限定かって?『建前は砂浜という不安定な場所で行う事で足腰を鍛えるのにも繋がる』とかで、本音は『水着!!!!!!』らしい。一応ビーチじゃない版もあるらしいが、そっちは邪道扱いされている。普通逆だろうと思ったけど、まぁ突っ込まないでおこう。
とまぁそんな感じのスポーツ、ビーチラリーをやりたいのだが…目の前のストーカーを振り切らない事には話は始まらない。どうしようかと考えていると、そういえばそうだったと思い出す。鼠公だ。アイツをダシにどっか行かせよう。
「ねぇシュヴァル?この前カル達を襲った奴についてなんだけど…」
かくかくしかじか。要は鼠公が例の色々の元凶だって話だ。嘘は言ってないし。今回の温泉の件も発端はアイツだし。ちなみにボクが弱体化した事に関しては伏せた。もういっそボクを妹と思い込んでくれてる方が楽な気がするし。わざわざこいつの前で団長モードになる必要も無いだろう。弱体化の呪詛については、セカン帝国の騎士団長と女帝クラスが知っていればそれで良いし。ボクの弱体化については基本伏せているが、これはボク自身がカル達と旅がしやすくなるように、というのもある。いちいち素と団長モードを切り替えるのが面倒だというのが大半だが。
とりあえず、『鼠公が全部悪い(意訳)』と伝えてやれば、直ぐにでも鼠公を追ってくれるようだ。やっぱ任務とかなかったんだろうなって。絶対クロエ目当てでここに来てたよね…シュヴァルは。
とにかく邪魔者を排除できた事もあり、ビーチに向かったボク達はビーチラリーを楽しむ事となった。色々とハプニングが起こったのは、まぁ必然だったんだろう。まだ万全とは言い難いボクと、まだまだ砂浜に慣れていないカル。砂に足を取られてもみくちゃになってしまった。両胸をがっしりと揉まれたのは、正体バレの時以来だったろうか。顔を赤くしたカルがさらに足を滑らせ、顔を埋める事になったのもまぁ仕方ないだろう。それにボクの意識が耐えられなかったのも…まぁ仕方ないってことで。
あとは…トリィのでっかいアレがすっごくばるんばるんしてたのは印象深い。ボール…もとい魔力塊が3つあって初見の時はかなり混乱した。兄への鬱憤を晴らすように暴れるクロエは中々強く、かなり苦戦させられることとなったものの、的確に魔力を扱うウィズがまさかの活躍を見せ、試合は白熱したのだった。
良い感じに汗をかき、そのまま宿屋で休む事となった。最新タイプの寝間着を用意してもらったものの、ボクの現代知識からするとどう見てもただのパジャマだ。ある意味最新かもしれないけど。一応浴衣っぽい方も用意して貰った。理由は…カルに見せたいからというものだけど。
真夜中。ボクはカルを呼び出していた。皆が居るところでも良かったけど、せっかくなら2人きりが良かったから。若干寝ぼけているカルには、月明かりを浴びたボクの姿が見えているのだろうか。
「……綺麗だ」
ポロっと本音が溢れたかのように、カルが口を開いた。…やっぱり最高だ。なんというか、身体中がむずむずするようで、それでいて多幸感に包まれる感じ。幸せだ。もっとカルに褒めてもらいたい。他の誰かじゃない、カルだけに。
「ねぇ、シー?」
「何?」
「えっと…その…ごめん、なんでもない…」
む。一体なんだろう。何度か追求してみたものの、頑なに口を開こうとしない。やれ空気にあてられていただの、言い訳?らしきものは話してくれるのに、肝心の内容はさっぱりだ。なんだというのか。
床に着いた時に少しモヤッとしたものはありつつも、まぁでも褒められたしいっか!という嬉しさの方が勝っていたのだった。
次回は掲示板!お楽しみに!
二章以降の掲示板回をいつやるか
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一章のように間に挟んでほしい!
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イベントのように章終わってから見たい!