ボクは絶対にメス堕ちしない‼︎〜ソシャゲTS転生者が行く、メス堕ち道中〜   作:メガネズミ

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自覚と発覚〜後方腕組み師匠面シスターを添えて〜

 やぁ…皆…ボクだ。気がついたら医務室に運ばれてたボクだ。まさか事故とはいえあんな事が起こるとは…!ローブのおかげで性別はバレていなかったのに、流石に胸を触られてしまったのでは阻害効果が落ちてしまう。白いローブのボクこと、シロが女である事がバレてしまったのだ。困ったことに、騎士団員の殆どは男であり、高い位についている女性は現状ボクだけなのだ。年功序列では無く実力主義な騎士団である事が裏目に出た。

 

 つまり何が言いたいかというと…下手すれば団長だとバレた可能性があるのだ。最悪だ。ただでさえ怖がらせてしまっているのに、これでシロの正体がボクだとバレたらどうなるか。考えただけでも恐ろしい。

 

 それに、どんな顔して会いに行けば良いのだろうか。気まずい。ボクが何かしてしまった側なら謝るだけで済むのだが、よりによってされてしまった側だ。いっそ彼が全然気にしないような豪快なタイプだったら良かったのだが、カルム君は普通に多感な時期の男の子なのだ。絶対気まずい。

 

 かと言って団長として会いに行ったとしたら、逆に怪しいだろう。白いローブの人と文字通り入れ替わりで出てきたとなれば、多分バレる。どうしよう。

 

 ない知恵を絞って解決策を探していたところに、トリィがやって来た。良かった。なんとか相談して…と思ったのも束の間。あろう事かカルム君本人を連れて来たのだ。幸いベッドの上でもローブを着用していたから良かったものの、着てなかったらヤバかったよ⁉︎

 

 カルム君に見えないようにしつつトリィにアイコンタクトをするが、「なんのことかしら〜?」と言わんばかりの反応だ。絶対面白がっている。トリィは割と昔からこうやってボクを弄る事があるのだ。だが、ボク達の事を想ってしてくれたのも事実だ。このまま気まずい状態を続けていると、ボクもカルム君も稽古に身が入らなくなってしまう。そう考えたら、早く解決するに越した事は無いだろう。

 

 …さて。話をどう切り出したら良いのか分からず、こちらをジッと見てくるカルム君。こっちから話そうかな…と思っていたところで、口を開いた。

 

「…本当にごめん!まさか気絶させちゃうなんて…

体調は大丈夫?具合は悪くない?」

 

「だっ大丈夫だから!その…ボクがびっくりしちゃっただけで!」

 

「そ…そう?なら良いんだけど…」

 

「………」

 

「………」

 

 気まずい。話すことが無い。普通に謝ってそれでおしまいだから、特段話すような事がないのだ。見かねたトリィが少し会話を促してくれるみたいだ。よっぽど変な内容じゃなければ助かるけど…

 

「ねぇ、カルム〜?シロちゃんの感触はどうだったの〜?」

 

「なっ…⁉︎トットリィ‼︎なんでそんな事…っ!」

 

「あらぁ〜?でもしっかり覚えてるんじゃないのかしら?忘れるわけないでしょう〜?」

 

「そりゃあ…すごく…って何言わせるんだ!」

 

 …なんだこれ。さっきとは比べ物にならないような、更なる羞恥プレイだ。ボクの胸の感想とか必要か⁉︎ここからどう話を繋げろと…?アレか?聞けってことなのか⁉︎確かに不快だったりしないか不安だったけど…

 

「か…カルム…君?」

 

「はっはい!な…何かな?」

 

「その…嫌じゃ…なかった?ほら…訳あってローブは脱げないけど…ボクってその…トリィとかに比べたら貧相な方だし…」

 

「い…嫌なんてことはないから!むしろ良い感触だった…って何言ってるんだ僕は…!」

 

 おぉう…そっか。嫌じゃ無かった…むしろ良かった…か。いやいや正気に戻れボク!確かに褒められはしたけど!嬉しくなってちゃダメだろう!一応ボクの前世は男だぞ!もっとしっかり自分を持って…!

 

 でもダメだ…褒められると嬉しくなっちゃう…!よりによって推しに褒められるのはかなり効く。そりゃあ嫌な気分になりようがないだろう!何せ推しだ!前世も今世も含めた推しで、なおかつ仲間のために命を掛けている場面に遭遇もしてしまっている。既にボクはカルム君に半分くらいは脳を焼かれてるのだ。素のボクとしても、団長のボクとしてもだ。

 

 これまでカルム・ディアスを名乗った偽物は数多くいた。欲望に塗れたクズ。自分の利益の事だけを考えた、最低なヤツら。ちょっと睨んで威圧しただけでも泣いて逃げ出した贋物。ろくに努力もしないで上手い汁を吸おうとするそいつらを、王の隣で何度も見て来たボクとしては。仲間のために命を張れて、努力を怠らず、恐怖に打ち克とうとする彼の姿はかなり心に刺さっている。多分前世の記憶が無くても良い線行くと思う。

 

 とまぁ要するに。ボクにとって推しとしても人としても、カルム・ディアスという男に対する評価は高いのだ。そんな男の賛辞が嫌なはずはないだろう。それに、なぜか嬉しい、というか安心感があった。

 

「そっか…それは良かった…!」

 

「よ…良かったの?まぁシロが良いならそれで良いかな…?」

 

 何やらトリィがニヤニヤこちらを見ているが、無視だ無視。トリィがこういう顔をしている時は大体碌な事がない。前世で言う後方腕組み師匠面とでも言うのだろうか。何やら満足げに頷いている。

 

 ……何か今恥ずかしい事を口走っていた気がする。さっきの会話の流れを思い返してみようか。ボクは出来る団長だ。少し前の会話の流れを思い出すなんて簡単だ。仕事柄慣れてるし。えーっと?

 

 カルム君が謝って来て?トリィが口出し、なぜかボクの胸の話になる、カルム君が良かったって感想を話す、それに対してボクが『良かった』って返したのか。

 

 ん?なんで良かったんだ?褒められたから嬉しい…とかそういう感じかな?それもあるけど…なんだろう。さっきのを聞いたことでなぜか安心したのも変だし。

 

 それになんでトリィと比較なんてしたんだろうか。そもそも比較する必要なんてないし、そんな事を言う必要があるのは…そう、カルム君に好かれたい人のする事だ。それも、友人的な意味じゃ無く、女として。

ん?おかしいな。それじゃあまるでボクが…っ⁉︎

 

 待て待て。一旦落ち着こう。つまり何だ?ボクは…ボクは‼︎カルム君に好かれたいって事なのか⁉︎そっちの意味で⁉︎嘘だ!まだ会ってから数日しか経ってないんだぞ!一緒に冒険したわけでもないし!それに…ボクは元だとしても男だ!断じて!断じてそういうのはない!オタクとしての好きな気持ちはあれど、それは推しとしてだ!

 

「シロ、大丈夫?」

 

 突如として頭を抱えて唸り出したボクを見て、カルム君が心配そうに近づいてくる。トリィはニヤニヤしているようだ。もしかして気づいているんじゃないだろうか。

 

 なんとか冷静にならなければ。ボクは元男、ボクは元男!それにカルム君はカッコいいけど!それでもだ‼︎

 

 変な考えを頭から追い出そうとするが、その度にカルム君の姿がフラッシュバックする。自分の命を顧みずに頑張る姿、ボクの圧にも負けずに抗う姿、王様に対しても誠実に対応する姿、訓練所の騎士よりも遥かに厳しいメニューをこなし、それでもなおトレーニングを続けるひたむきな姿。ソシャゲとしてじゃない、前世の◾️◾️◾️◾️としてじゃない、シーア・フロールとして見た、彼の姿。

 

 なけなしの矜持で保っていた元男としての防波堤も、胸を揉まれたという強烈なインパクトが。押しつぶすように顔を押し付けられた感覚が。ローブ越しに感じさせられた、ボクが『女』であるという事実が。強さという壁で堰き止めていた薄っぺらい矜持を。あっさりと打ち砕き、押し流していった。

 

 …そうだ。確かに前世がどうであれ、ボクは今、『女』なのだ。強さで上回っていようとも、その事実は覆らない。そう思うと、途端に顔が赤くなり、熱を持っていく。

 

 頭が混乱し、立ちあがろうとしてローブに足を引っ掛けてしまう。近くに来ていたカルム君を巻き込んで、しまう。

 

「うわっ!ってごめん!こうするつもりじゃ無くて

 

……え?」

 

 ボクの進路上にカルム君がいた関係上、まるで押し倒されるかのようにベッドに倒れ込んでしまう。胸を触るどころか押し倒される。故意じゃないにせよ、いきなりすっ飛び過ぎて、普段なら気絶していたかもしれない。けど、今はそんな事を気にする場合じゃない。足が引っ掛かった事と押し倒された勢いで、はらりとローブが地面に落ちた。認識阻害の効果を持つ、白いローブ。これが剥がれたということ…つまりは。

 

「シロ…?いえ…貴方は…‼︎」

 

「あ…あぁ…!」

 

「シーア…騎士団長…?」

 

 ボクの、シロの正体が。カルム君にバレてしまったということだ。

 

 

Tips:

カルム・ディアスの偽物達

 

 冒険王の息子を名乗ることで国からの支援を受けられると考えた者達は非常に多いです。そのどれもが欲望を隠しきれずに騎士団長や王によって見破られています。中には催眠魔法を用いて無理やり押し通ろうとする不届者も居ましたが、魔力の耐性を持っている騎士団長には効かず、追い返されています。




掲示板形式って良いですよね…次回はある程度時系列ごとに分割しようかな?とか思ってます

二章以降の掲示板回をいつやるか

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