魔法少女と穢れを愛する者の学校生活   作:koth3

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試験期間前ですが何とか少しだけ書く事が出来たので投稿します。
良くある話に近づいてきましたが、この話のあとはできるだけオリジナルにしようと思います。


第10話

 今俺は床に座り込んでいる。温かさのない冷たい床に正座して。そのうえ、膝には錘が加わっている。

 

 「で、弁明はあるか? 幸」

 「ないです」

 

 目の前には怒気をまき散らしている禍津日の姿が。禍津日が怒っているのは俺が原因であるから文句が言えないのだが、それでも一言だけ言わせてくれ。

 

 「どいてくれ、フラン」

 「嫌」

 

 これだ。膝の上にはフランが座り、それを見た禍津日がさらに怒りを膨れあげさせるという悪循環に陥っている。そしてもしこれが悪意でフランがしているのなら俺はすぐさまフランを退かすが、フランは単純に俺を慕ってくれて膝の上に座っているのだ。だからこそ困るのだが

 

 「そうか、そんなに吸血鬼が良いか」

 「いや、違う。だから落ち着け! その膨大な量の穢れを如何するつもりだ!」

 

 俺と禍津日の間の空気が険悪になったのを感じてフランはすぐさま逃げ出しやがった。せめてこの状態を如何にかして欲しかった。

 

 「幸」

 「禍津日」

 「また、明日」

 

 その言葉を最後に俺は視界が黒く塗りつぶされて、次の瞬間には意識が途切れてしまった。

 ……俺の所為なの?

 

 

 

 目が覚めると床に転がされていた。

 昨日の出来事のそもそもの発端は俺がフランの尾行に気付けなかったというのが原因なのだが。考えに集中しすぎて後ろでフランが霧となってついていることに気付けなかったのだ。

 

 「おはよう、幸」

 「おはよう。だが、朝からそんな速度で抱き着こうとするな」

 

 その速度はもし人間が接触したら赤い染みとなるほどの速度。此れはフランのくせの一つだ。親しい人間や妖怪を見るとどんな状況でもどんな場所でも関係なく全力で抱き着こうとしてくる。

 そんなフランに呆れながら立ち上がりながら避けると、フランの後ろから禍津日が出てきた。

 

 「おはよう、幸。反省はしたか?」

 「もう、十分すぎるほどに」

 

 ぽきぽきと体中から響く音を無視して後ろからもう一度突進してきたフランを迎撃する。

 

 「痛い!!」

 

 後ろでうずくまっている一人は無視してとにかく朝食は済ませよう。

 禍津日にその旨を伝えるとすぐにリビングまで案内してくれた。

 

 「「「いただきます」」」

 

 三人で食べるのが、一つだけ問題がある。落ち着いて話をしたかったためにリビングまで来て朝食を摂っているのだが、それを口にするのは非常に面倒くさい。だがいつまでも見て見ぬふりをしているわけにもいかないのでフランに聞く。

 

 「フラン。いつ帰るんだ?」

 「帰らないよ。私もそうだけど、お姉さまが少し行儀を身に着けてきなさいって」

 

 聞かなければ良かった。フランはおそらく本当に帰らないだろう。それこそ、フランの姉であるレミリアが言った行儀を身に着けるまでは。そしてその期間は俺が禍津日から送られるこの視線を耐えなければならない期間になる。

 

 「幸?」

 「すまない、禍津日。けど、俺にも無理。一度こうなったらフランは頑として変えんぞ」

 

 一回だけだが似たことがあった。その時には紅魔館が比喩なしに揺れた。揺れ動きそれでもフランは頑なに自分の意見を変えなかった。それを考えればおそらくは今回も変えはしない。

 ああ、何故こんな事に……。

 

 

 

 全く幸は何考えている。未だにあの娘のことを気にしているなど。確かにあの娘は可愛そうだと思うし、何とかしてやりたいと思うこともある。だが、今は薄れているとはいえあの子の本質は狂気。495年間を幽閉されて暮らしていた結果がそれだ。さすがに危険すぎるこの地には。訳の分からない魔力に見た事もない人造生命体などが多く住むこの地には。これが幻想郷内なら私も文句は言わないが。

 しかし、なんだかんだとはいえ滞在を許す私も私だ。

 

 「ふ~ん、幸君と禍津日ちゃん親戚の子を預かっているの?」

 「そうだ。だからしばらくはお前たちの誘いを受けられない。幸も剣道部に参加できない旨を伝えている」

 「そっか。うん、仕方がないね」

 

 放課後、いつもの五人組が私に遊びに行かないかと誘ってきたのだがフランをそのままにしておくわけにはいかずに断るしかなかった。

 何とかこのままフランが帰るまで何もなく過ぎればいいと考えていた。しかし、それはかなうことがない願いだった。

 

 

 

 「ただいま」

 

 禍津日はフランの分の食材を買っているために先に家に帰るとフランが居なくなっていた。

 やれやれ、朝俺たちが出るときにこの家にいろと言っておいたのに。

 

 いや、そんなことを考えている場合じゃない!!

 

 「どこだ! どこにいるフラン!!」

 

 玄関から飛び出してフランを探す。妖力の残り香から探せるがそれでも急いで探さなければ見つけられなくなってしまうかもしれない。

 慌ててその妖力の残り香を追いかけていると俺の瞳にある事が映った。

 

 「まじかよ」

 

 俺の目の前でぐったりとして、恐らく眠らされている月村すずかが見知らぬ男たちに拉致されていたのだから。

 そのまま男たちはすずかを車に乗せて走り出す。それを見ていた俺も慌ててその車を追いかける。

 

 「フランも気にかかるが後回しだ。フランなら何とかなるだろう。大概の危険は」

 

 追いかけ続けていると三十分もしないうちに車はとある廃墟に止まった。廃墟は街の中心から離れているようで言えなどが見当たらず、男たちがロープで雁字搦めに縛り付けたすずかを廃墟の中に連れて入っていく。

 

 「さて、どうするか。このままこの場所を警察に通報するのもなしではないがさすがに時間がかかるし、救出は絶対に成功するわけではないしな」

 

 こんなことを言っているけど俺がするしかないんだろうなぁ。そう思うとため息が思わず出てくる。前世の不運がこの頃出てきたか。そう思わずにはいられない。

 

 廃墟の中に俺も侵入して様子を探る。どうやら、こいつらは荒事に慣れている専門家というわけではなく、街角に見えるチンピラのようだ。信じられない事に見張りの一人も用意していない。

 

 「で、夜の一族っつたっけ? こいつを一人捕まえるだけですっげ金が手に入るんだから楽なもんだよな」

 「でもよ、大丈夫なのか?誘拐つーたら犯罪じゃないか」

 「何今更ビビってんだよ。あの時全員でこの計画に参加したんだから今更怖気づくなよ」

 「でもよ、あの時は皆可笑しかったじゃないか。なんていうか泥酔したような熱に浮かれていたような。あの男の瞳を見てから何かボーっとしちまったし」

 

 計画に参加した? こいつらは共犯か? なら主犯は? それに話を聞いていると何かの術を使われたのか?

 それを探るためにさらに聞き耳を立てるがそれ以上役に立つ内容が会話に出てこなかった。そのため、諦めて部屋に侵入する。

 

 「誰だ!!?」

 

 さすがにばれるが問題はない。こいつらが五人程度戦闘にすらならない。男たちに近づくと同時に天羽々斬を呼ぶ。主である俺の命に答えて一瞬で俺の手まで転移した天羽々斬を鞘から抜かずに使う。長剣であるために少々部屋の中では使いづらいが問題はない。

 

 「捕まえろ!! 顔を見られたぞ!!」

 

 男の一人、鼻にピアスをつけてジャラジャラと金属のアクセサリーをいくつもつけている男の叫びに全員が俺に向かってくるが、俺の間合いにはいるたびに鞘付きの天羽々斬で殴打していてく。

 

 「げぉ!」

 「っう!」

 

 最初の二人は鳩尾に入れて動けなくする。次の二人は顎を掠めるように振って顎を揺らして脳震盪を起こさせる。

 

 「アレ?」

 「な、なんで?」

 

 急に倒れた二人は困惑の声を上げるがそれを無視して最後の一人に近づく。

 

 「な、なんだよお前!! 夜の一族とやらのガキ一人さらうだけの簡単な事じゃなかったのかよ! あの野郎嘘をつきやがったな!!」

 「そんなものどうでも良いが、人を攫ったんだ。お前たちにとっては金儲けの延長線かも知れないがな、それは犯罪だ。そのことを反省をするんだな」

 

 それだけ言い、突き付けていた天羽々斬を振り上げ、目の前に振り下ろす。ただそれだけで男は恐怖から失神してしまった。

 やれやれ、これであとはこいつらを縛り上げて警察に―

 

 「! っふ!」

 

 短い呼気とともに剣を後ろから迫りくる二刀の迎撃に使う。

 

 「防がれた!? お前は何者だ!」

 

 本当に俺の運は悪くなっていないか? 少女を救ったっていうだけなのに訳の分からない小太刀を二本構えている奴が現れて敵意をまき散らしてくるなんて。  

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