魔法少女と穢れを愛する者の学校生活   作:koth3

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第11話

 薄暗い廃墟の一室で対峙する俺と目の前の男。お互いがお互いの間合いと呼気をはかり、隙を探しあう。目の前の男は若いながらも才に溢れてかなりの修練を経て形作られた本物の剣だ。それを相手にするのはしばしば気が滅入る。

 とはいえ、目の前の男は簡単にこちらを帰そうとは思っていないようだが。天羽々斬を静かに構える。あちらは深く腰を落として小太刀をこちらに向けてくる。

 

 「っし!」

 「っふ」

 

 鋭い呼気とともに上方から振るわれる片方の小太刀を天羽々斬で受け止めて、左から来たもう片方の小太刀を刀の柄で流す。

 返す刀で手首を狙う。しかし、それは投げられたワイヤーのようなもので邪魔をされて一旦引くしかなかった。

 

 「悪いが、気絶させようと思っていたがそれは俺には無理なようだ」

 「……」

 「だから君には悪いが、腕の一本や二本は覚悟してほしい」

 

 此奴はダメだ。今の状況が分かっていない。凶器を手にした人間そんなことを言っている暇があったのなら一つでも多く振れば良いというのに。それすらしない此奴は剣士というものが分かっていない。間合い、実力などでうかつに手を出すわけにはいかなくとも今回は違う。なのに、此奴は対話を選んだ。

 

 「温いな」

 「何?」

 「お前は俺を侮った。目の前にいるのは中学生くらいの子供だと。そして、覚悟ができていない。殺すことすら視野に入れる覚悟だ。大切なものを守るためには時として他者を殺す覚悟も必要になる」

 「何を?」

 「まあ、簡単に言うとだ。

 何もかも温いんだよ、テメエは」

 

 一気に男の眼前まで跳躍する。そのまま剣を振り下ろす。

 

 「っが!!?」

 

 叩きつけた鞘と小太刀。どちらが脆いかなど一目瞭然だ。男の持っていた小太刀は砕け散り、今手に持つ武器は一切なくなった。

 

 「な!?」

 「おっと、追撃はしないよ。お前が先ほど投げたワイヤーの事を忘れていないからな」

 

 その砕けた小太刀の破片を隠れ蓑にワイヤーが俺の目の前に投げられていた。だが、この程度の速度では完璧に不意を突かない限り俺には当たらない。

 

 「そこまでがお前だ。確かにお前の剣は人を切れる。だが、お前自身は人を切れない。先ほどの時に俺を殺そうとしなかったのがその証拠だ。そんな鈍の剣じゃ俺は切れない」

 

 投合されたワイヤーを弾き、眼前に突き付ける。

 

 「それにお前は勘違いをしている。俺はただ月村を助けに来ただけだ」

 「何?」

 「俺が信用できないならお前が月村を解放してやれば良い。俺は一切邪魔しない」

 「……分かった。ただし、この件について話を聞かせてもらいたい事があるからついてきてくれ」

 

 フランを探しに行きたいがどうやら不可能そうだな。

 

 「仕方がない。さっさと月村の縄をほどいてやれ」

 

 俺の催促に従って男は月村の縄をほどき始める。それにしても、どこかで見たような気がする。いや、雰囲気が知っている人物に近いか? この雰囲気は誰だ? ……今考えていても仕方がないか。

 

 「こっちは終わった。これから彼女の家に行くがついてきてくれ」

 「分かった」

 

 表には一台のバンが止められており、そこに

 

 「美由紀さん?」

 「あれ? 幸君? 幸君も捕まっていたの?」

 

 何故こんな所に?

 

 「美由紀知っているのか?」

 「うん。恭ちゃんは知らないだろうけど、なのはのクラスメイトだよ」

 

 そうか。誰かと思えば高町の家族にそっくりの雰囲気だったんだ。しかし、この男があれほどの実力となると彼女もやはりなかなかの実力を持っていると考えても良いか。

 

 「話の最中悪いが、俺もこれからしなければならない事が有ってね。さっさとその用件を済ませてもらえないか?」

 

 男にはいまだ警戒の目で見られながらバンに乗り込み、月村の家に向かう。さっさと終わってくっれないかなと思いながらも経験から長くかかりそうだという嫌な感覚を持ちながら。

 

 

 

 

 う、うう。頭が痛い。私確か後ろから口をふさがれて眠っちゃって、それから……。でも、此処は私の家だよね。なんでだろう?

 そんなことを考えていると、応接間の方から凄い音が響いてきた。その音にビックリして、けれど気になってしまってその扉を開けてしまった。

 

 「お姉ちゃん!!?」

 「いけません!! すずかお嬢様!!」

 

 扉を開いた目の前には幸君が黒い刀身の剣をお姉ちゃんに突き付けていた姿だった。

 

 「侮るなよ、吸血鬼擬きが。その程度の魔眼で俺を如何にかできるとでも? 」

 

 その瞳が恐ろしくて私は動けなかった。鋭利な刃物を思わせるほどに引締められたその瞳が、屈強な剣を思わせる雰囲気が。幸君のすべてが恐ろしくて体が動かなかった。

 

 「交渉は決裂だ。貴様らは一方的な事情でこちらの信用を裏切った。もう二度とこちらはお前たちと交渉のテーブルにつくことはない」

 

 冷たい声。学校では一度も効いたこともない口調でお姉ちゃんを責める。温厚な性格の幸君がここまで怒るなんて何があったの?分からない。分からないことだらけ。誰か何があったのか教えてよ。

 




因みにすずかや他の少女とはフラグは立ちません。フランも同様ですが。
 
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