夏休み、皆と一緒に遊びたいけど、今日は魔導師としての仕事が有るから休むわけにはいかず、泣く泣く仕事を頑張った。とはいえ、書類が少し残ってしまったので、家でゆっくりと片づけることにした。お兄ちゃんに手伝ってもらおうかな? そんな風に軽い気持ちで考えて家でくつろいでいたら、突然母さんから通信が来た。慌てて通信を開くと、そこには慌てた顔を晒す母さんがいた。
『フェイト、大変なことが起きたわ!』
「大変な事? 母さん、それって?」
かなり慌てているのだろう。通信が開くと同時に、母さんが私に叫ぶように何かを伝えようとしている。
『少し前にこちらで魔力反応を感知したわ。しかも、その魔力は指名手配されている魔導師よ。そんな危険人物が海鳴市に今いるわ』
「そんな!」
『なのはさんとはやてさんは、それぞれ家族旅行に出かけているから連絡がついても、遅すぎるのよ。二人とも、転移魔法はほとんど使えないから、今からでは遅すぎるわ』
確かに二人とも海鳴に居ないのだとしたら、今からでは遅い。恐らく魔導師も、管理局に捕捉されるのが時間の問題ということはわかっているはず。ならば、きっとすぐに逃げようとするはずだ。ならば、今から急いで指名手配犯を捕まえないと。
『指名手配されている魔導師の名前は、クリス・ハワード。ミッド式のかなりの実力を持った魔導師よ。基本的には遺跡の考古物を違法に盗み出したり、調査隊を襲撃して裏のルートへ流す売人でもあるわ』
「分かった、母さん」
バリアジャケットを展開した後、飛行魔法を使い、送られてきた座標へ急行していく。速く、速く! そう焦りながらも、座標軸の場所へ向かっている最中に、凄まじい何かのエネルギー反応がその場所から放出された。
「なっ!」
『フェイト! 気を付けて! ロストロギアクラスのエネルギー反応が確認されたわ!』
一直線に飛んでいた状態から、空中でホバーリングする。母さんから、その情報を詳しく聞く。
「母さん、ロストロギアのクラスは!?」
『一寸待て! エイミィ!』
『少し待ってください! ……A級!? いえそれ以上です!!』
「そんな!!」
ロストロギアには、数種類の区別がある。その中でもA級は、『文明を滅ぼしきって、他の世界にも何らかの影響を与える力があるロストロギア』の事を指す。もし、それほどのロストロギアがここに有るのなら、それは拙すぎる。
「っく!」
速度をさらに上げる。魔力を使って、空気をかき分けて目的地へ。
その現場に着いた時、私は魔力が殆ど無い事に驚いた。確かに魔導師二名分の魔力はあるけど、それだけ。ロストロギア級の魔力なんてない。だけど、だからと言って警戒しなくても良いってい訳じゃない。
それに、先ほどから目の前の建物、なのはの家にもある道場から、青い光が迸っている。恐らくは、その光こそがロストロギアだろう。
扉を開いて、中にいた人達に大声で告げる。
「時空管理局です!」
三人の人間が倒れている。一人はバリアジャケットを着て、もう一人はユーノのような服を着ている。さらに最後の一人は一番可笑しい。ボロボロの体に、魔力もない。だけど、その手にはロストロギアらしき剣を持っている。
マルチタスクを利用して、状況を把握しながらも、彼らに告げる。
「ロストロギアの不法所持で逮捕させていただきます」
「ちょ、一寸待ってくれ! そもそも行き成り来て何を言っているんだ!?」
恐らくは、ロストロギアを持っている人は、それが何か知らないのだろう。実際、管理局と聞いても、隣の女性と比べて反応は薄かった。なのはと同じように、偶々魔法文化と関わることになってしまった人だ。
そう考えて、私はさらに続ける。
「貴方が持っているその剣は、管理局の規定によってロストロギアとして扱われます。ですので、封印しなければなりません。。貴方が抵抗しなければ、それは未必の行為となり、罪はなくなります。いきなりこのようなことを言われて混乱しているかもしれませんが、協力してください」
私としても、別に目の前の人を捕まえようとは思わない。状況から見て、身を守ろうとしてロストロギアが使用された形跡がある。つまり、彼は被害者であって、加害者じゃない。
そのため、私は彼に抵抗しないでほしいと伝える。ここで抵抗しなければ、ロストロギアは不法所持ではなく、知らずに持っていたと未必になる。そうなれば、彼は罪を問われることもない。
――我を、神剣たる存在と火の神の血で生まれた我を、高々人間が扱うだと?
突然、声が響いた。
厳かな、神秘的な声。だけど、この場にいる人間の声じゃない? 声は若いとは言えず、どちらかというと年月を経た重みのある声。
っ! まさか!
「なっ!? 意識を持っている! 自立行動型ロストロギア!?」
――そのようなくだらない言葉で我を縛ろうとするな! 小娘が
自立行動型! 意識を持っているがゆえに、封印されることを望まない。厄介なロストロギア。その力は殆ど、他のロストロギアを超える力を保有することが多い。闇の書と同タイプ。
そこまで考えた時、目の前の光景が急に変わった。
道場内を、蒼い光が奔っていく。剣が、保有者に攻撃して、形が変わっていく。人型に変わっていく。鋼が骨のようになり、雷が肉となってその形を形成している。
「今までに見たこともない魔法術式! バルディッシュ!」
『イエス、マスター!」
バルディッシュを構えて、私は目の前のロストロギアと対峙する。
フェイト参戦の話です。