とはいえ、完成したので投稿します。
あ、あれ、ここどこだ?
目が覚めたらいきなり知らない場所って。小説じゃないんだから。でも、体中を蝕む痛みがこれは真実って伝えてくれる。だとしたら一体ここは?
「スゥ……スゥ……」
「ミール?」
よくよく辺りを寝ぼけ眼で見てみると、今僕が眠っていたのは病院で使われるようなベッドだ。只、ベッドが一つだけで、他の物はない。ここにはベッド一つだけしかないのだろうか。いやでもむしろベッドを何もない部屋に移したという方が納得いくような。
はっきり言って、今何が起きているかわからない。ベッドから起き上がろうとして、体中を痛みが奔った。体の天辺から足先までを、しびれるような痛みが襲ってきた。
「ぐぁあああああ!!?」
か、体中が!! 筋肉痛なんてもんじゃない! 今まで味わった事のないような痛みが襲ってきたぞ!?
「だ、大丈夫!?」
心配されるような声が聞こえたので、そちらに首を傾けるとそこにはミールが立っていた。その目は赤く腫れて、泣きはらしたみたいになっている。心配して泣いてくれたのかな? だとしたら、うれしいな。いや、何変なことを考えているんだよ。僕!
かぶりを振って、余計な事を忘れる。でないと、また変なことを考えてしまいそうだし。
「大丈夫だよ、ミール。ところでここは?」
「ここは管理局が所有している次元潜航艦の中。一時的に用意された部屋だよ。多分すぐに、管理局の人も来るわ」
「えっと」
如何しよう。殆ど何を言っているのか分からない。ミールが以前言っていたっけ? 管理局は世界を守っている組織って。だけどなぁ。さっきの事……!
「み、ミール! テスタロッサは!!!?」
「テスタロッサ? ああ、執務官ね。大丈夫だって。ギリギリだったけど一命は取り留めたみたい」
「そっか」
ハァ。安堵の息がこぼれた。良かった。助かったのか。
だけど、多分あの子は辛い目にあうだろう。神剣で切り裂かれて、貫かれたんだ。治療で来たと言っても、恐らくは完全にではなく少しだけ回復した程度だと思う。神の怒りは、人が想像するよりも、はるかに強いんだから。
……あれ? 何でそんな事を知っているんだ、僕は?
「失礼します」
扉が開く音が聞こえて、そちらの方に目を向けると、そこには硬い表情の一人の女性と青年が立っていた。
ベッドからまだ立てそうにないので、失礼だろうけど臥した状態で話を始めさせてもらった。
緑色というか、エメラルドグリーンというのか。そんな髪色の女性は、リンディ・ハラオウンと言い、さらに黒髪の青年はクロノ・ハラオウンと言うらしい。
彼女たち曰く、僕が所有するロストロギアを渡してほしいという事だ。
「残念ですが、僕は貴方達を信用できません。さっきだって、貴方達が事情も分からないのに出てきて、場をかき乱してしまい、しかも今だって自分たちの考えを押し付けて強制しようとしている。そんな相手を如何やって信用しろと?
それに、貴方達の言うロストロギアは、僕たちの一族が古くから祭ってきたもの。渡せと言われてハイ、どうぞで済むようなものではありません」
「貴方の言うことはわかります。しかし、管理外の世界の人間がロストロギアを知らずに持ち、暴発させてしまうという事はよくあるのです。あれ程の力を持ったロストロギアを私たちも見過ごすわけにはいかないのです」
先ほどから、僕も向こうの主張も平行線のままだ。向うは建御雷之神のご神体をよこせと言い続けている。正直言ってそれは無理だ。そもそもリンディと言う人から聞いたけど、管理局の魔法はプログラム式で、現実を科学の力で操作するらしい。この時点で僕は彼女たちにご神体を渡さない事は決めた。何せ、僕の手にしているご神体は、現実を大きく凌駕する力を持っている。その力は間違っても人、或いは人が作り出した科学程度で操作できるものではない。奉って下手下手に出て、漸く動いてもらう力。
彼女たちでは荷が重すぎる。そもそも僕たちの一族自身も完全に制御できてはいない。そのはずだ。何となくだけど、あの時から僕の中に何かが入り込んできているのを自覚し始めている。その何かは記憶だったり経験だったりする。だから、分かる。彼女たちの考えでは失敗する。
自分たちが自然を支配できる。そう心のどこかで考えている彼女たちには。自分たちが絶対的な力を持って、他者を
「これが最後です。貴方達には建御雷之神を預けられると到底思えません。そもそもあのお方は天津神。本来がこの地に在らせられているのが正しい存在。よその人間に渡して良いものではありません。特に、良くも知りもしない相手には」
かなり強めに僕は相手に告げる。これに関しては譲れる点はないと。
「本来ならそういう訳にはいきません。ですが、現状目を瞑るしかないでしょう。しかし、そうであるなら私たちは貴方に要請しなければなりません。私たちが貴方の行動を監視する事を。ロストロギアの所持に、本当に危険がないか。それらを調べなければなりませんから」
「分かりました」
かなり無理やりだけど、譲歩させた。
というのも管理局は僕たちに手を出せない。力尽くも僕たちには意味をなさない。だからある程度こちらが最初から有利だった。ご神体を最初は回収しようとしたようだけど、そもそもが僕の手から離れず、どんな封印魔法も効果を受け継け無かったらしい。これは、ご神体から流れてきたもので確認できている。だから、最初からある程度強く出れた。
それに、管理局も恐ろしいのだろう。テスタロッサは、僕よりもずっと強い。だけど、そのテスタロッサが赤子の手を捻るより簡単に殺されかけたんだ。恐れて無意識に離れようとするのは当然だ。
結局、僕は管理局にしばらく監視され、ミールは一度故郷へ転移させてもらう手筈となった。
次回は、クロノの心の内を少しだけ書いて、次々回くらいには終了させたいなぁと思っています。