魔法少女と穢れを愛する者の学校生活   作:koth3

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第38話

 最悪な事態だ。キャンプ場で行った肝試しの最中、すずかとアリサが行方不明になった。行方不明になる原因なんてなかったはずなのに。山道は迷うほどのものではなかったし、ライトの明かりだって薄暗くはあったけど、足元から数メートルは照らせるだけの光量はあった。事故が起きるなんてことはないだろう。だから残された可能性は、自分から行方不明になるか誰かにさらわれるかのどちらか。けど、最初の可能性はない。あの二人がそんな事をする必要性は薄い。ならば誰かにさらわれたという事か。

 そこまで考えて、ふと私は自分がどうしようもないほどに嫌になった。何だこの考えは。友達が消えたのに、何で私はここまで冷静に、管理局所属の魔導師としての思考をしているのだろうか。普通はなのはみたいに心配するものではないか。

 下唇を痛いほど噛みしめる。いけない。自分でもわかるほど、精神が安定していない。

 

『どないしたん、フェイトちゃん』

『ううん。何でもない、はやて』

 

 様子が可笑しいのが伝わったのか、はやてから念話が来た。しっかりしないと。今はそんな猶予はないんだから。一刻も早く二人を探さないと。一度活を入れる。腑抜けていたら、二人を助けられないかもしれない。

 なのはと私で肝試しで使った山道を中心に、円周状に探す。なのはが空高く広い視野で、私が低空から高速型の速力を生かして探す。それをはやてがさらに上空から念話でサポートする。このフォメーションで探索を開始してから既に十分は経過している。あの三人が、私たちがいないのを気づくまでの間に探し出さないと。もしばれたら、大変な騒ぎになっちゃう。

 

「うん?」

『なんや、フェイトちゃん?』

『少し待って、はやて』

 

 今確かこのあたりに。

 神社からでて、後半の道の途中で何か光った? 気になって低空どころか、光ったであろう場所の近くに降り立ってみると、そこに可愛らしいキャラクターを象った携帯のアクセサリーが転がっていた。紐はぷっつりと切れていて、キレ口が余り汚れていない事から、落ちてからそう時間が立っていない事がわかる。

 

「どう思う、バルディッシュ」

『……まだこれだけの情報ではわかりません。しかし、これが何らかの証拠、あるいは手がかりとなる可能性は高いでしょう』

 

 バルディッシュの言葉に同意した私は、念話をなのはにもつなげる。

 

『はのは、聞こえる?』

『うん、聞こえるよ』

 

 どうやらきちんとつながったみたい。なのははもしかしたら繋がらないかもしれないと思ったから、良かった。ある程度の冷静さは取り戻したんだ。

 

『今私がいる場所に、すずかの携帯のアクセサリーがあったの。私とバルディッシュだけじゃわからないから、二人とも考えるのを手伝ってくれない?』

 

 二人から帰ってきたのは了解の声だった。

 

 

 

 わたしがフェイトちゃんの所につくころには、はやてちゃんが既に到着していた。二人の隣に砂ぼこりが絶たないよう気を付けて降りると、二人は指をさしてアクセサリーの場所を教えてくれた。

 山道から少しだけ、ほんの少しだけずれて落ちているそのアクセサリーは、昔私たちが大好きだったアニメのキャラクターのものだった。今も私たち全員が持っていて、使っている。間違いなくすずかちゃんかアリサちゃん、どちらかの持ち物だ。

 傷もほとんどないし、切り口は自然に切れた形だから、乱暴された形跡はない。それだけは安心だ。でも、そうすると二人はどこに行ったのだろう。

 

「どう見る、なのはにはやて」

「正直分からんわ。これだけ見ると、只単に落としたのに気が付かなかっただけやと」

「私もそう思う」

「だよね」

 

 少し暗い表情をしたフェイトちゃんは何かを考え込んでいた。

 

「一応、山道全体ははやてが来て、なのはが来る前に調べたんだけど、他に何か手がかりになりそうなものはこれ以上見つかりそうにないみたい。なのはどうだった?」

 

 大人しく首を振るしかなかった。どこを探しても、二人につながるものは見つからなかったのだから。押し黙る私達の空気がが息苦しい。

 

『sir少しお話が』

「バルディッシュ? 何か見つかったの?」

 

 突然バルディッシュがフェイトちゃんに話しかけた。私達には分からなくとも、デバイスなら分かる事が有ったのかな?

 

『yes.しかし同時に不明な事がわかりました』

 

 わかったのに不明な事?

 

『ここら一体に、魔力と違う何らかのエネルギー反応が検出されました。魔力ではないので、魔導師には検出することは不可能でしょう。それにこのパターンは時空管理局でもここ最近まで検出されませんでした』

 

 何だろう、バルディッシュの声が少し怒っているような気がする。

 

『少し前の事件で竹見和地氏が使った未知の魔法パターンと同じ系統だと推測されます』

「っ!?」

 

 その件は私たちも知っている。だからこそ、驚愕した。

 彼が使った力は下手なロストロギアよりもよっぽど危険だったのだから。実際、フェイトちゃんは死にかけた。雷の魔力変換資質を持っているために、電撃の効果が殆ど無いフェイトちゃんが雷で殺されそうになった。それがどれだけ異常な事か。

 もしそうだとすると、ここら一体にはロストロギアの効力範囲内という事になる。だとすると二人は何らかの、管理局でも確認のとれていない未知のロストロギアに巻き込まれた?

 

「フェイトちゃん」

「うん、大丈夫」

 

 顔色が悪いフェイトちゃんが心配だけど、今はどうにもできない。今考えられるのは、すぐにリンディさんに報告して、対処法を探るしかない。まさかこんな場所にロストロギアがあるなんて。早く、早く二人を見つけないと。

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