魔法少女と穢れを愛する者の学校生活   作:koth3

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第40話

 一体何が起きたのか、さっぱり分からない。

 肝試しでの帰り道を下っていた時、すずかのアクセサリーが千切れてしまい、拾おうとして道から私たちが僅かにそれたら、何かが変わった、と思う。はっきりとした事は分からないけど、確かに何かがさっきまでと違う。

 森の翳りで暗闇がより濃くなっている。まるで木々自体が成長し、太く高くなったかのように。聞こえてくるフクロウや虫の声が、酷く耳に障る。体全体がひしひしと何かを訴えかけてきていて、ここは危ない、早く逃げるべきだと告げてくる。

 それはすぐにすずかも気が付いたらしく、とっさに私たちはアクセサリーを拾う事もせず、山道まで戻ろうとした。だけど、舗装された道へ入ろうとしたとき、地面から空へ向けて見えない壁のようなものがあって、山道に戻る事が出来なかった。何度も道へ戻ろうと試したけど、どれだけ頑張っても私たちは道を踏むことはできなかった。つま先の先っぽ一つ道端を踏む事すら出来なかった。

 また魔法か何かの事件が起きたのだろうか。以前巻き込まれた魔法の事件が私の頭の中に浮かんできた。ならきっとなのはたちが助けに来てくれると心の中で強く呟く。そう思わないと不安で押しつぶされそうになってしまうから。たった二人でいることが、怖い。この頃はなのはたちと一緒にいたから、大勢でいることに慣れていて、そのぶり返しで怖く感じてしまう。

 ずっと止まっていると、嫌な考えが浮かんでくる。もしかしたらなのは達が気がつかなかったら、もしなのは達が私たちを見捨てたら。そんなことあるはずがないというのに、一度でも思うともう思考が止まらない。それを振り払うために動き出す。すずかと一緒に道に沿って、歩いていき下山した。可能性は少ないとは思っても、もう一度出れるかどうか試したが、やっぱりそこもダメだった。まるで屈強な境界があるような、私達ではどうしようもない固いそれが希望をぶつ切りにしてくる。私は無駄な事だと分かっているのに、それでも諦めきれずにどこか出れる場所はないかと歩き続ける。けど後ろからすずかが私をとめた。

 

「アリサちゃん。少し休もう? さっきから動き続けて、アリサちゃん顔色が悪いよ?」

「ゴメン、すずか。でも今は休んでいる場合じゃないわ」

 

 普通の事態だったら私も体力を温存するために休むけど、どう考えても今回は普通じゃない。何か行動していないと頭が可笑しくなりそうだし、私の行動がなのは達に伝わるかもしれない、そう思うと自分自分を止める事は出来なかった。

 

「アリサちゃん!!」

「っ! な、何よすずか」

 

 突然叫んだすずかに、私は思わず身をすくめた。近くから鳥たちが羽ばたく音が聞こえる。

 

「アリサちゃん、なのはちゃんたちがすぐ来てくれるから、一旦落ち着こう。ね?」

「う、うん」

 

 すずかの顔を見て、少し冷静さが戻ってきた。そうだ、心配する事なんてない。大丈夫。すずかも言った通り、なのはたちがすぐに来てくれる。私たちを見捨てることなんてなのはたちがする訳ない。

 その希望を胸に、私たちは一度あの場所まで戻った。あそこにはまだ取れなかった(・・・・・・)アクセサリーがあるんだから。目印くらいにはなるかもしれない。

 

 

 

 私たちがアクセサリーの近くで待っていたら、フェイトがすずかのアクセサリーに気が付いて、あのちょっと変わった服のまま、こちらに近づいてきた。良かった、これで助かった。安堵から肩が降りる。見えない壁に手をついて精一杯叫ぶ。

 

「フェイト! 助けて! 私たち、何でか知らないけどそっちに行けないの!!」

「フェイトちゃん。これも、魔法が原因なの?」

 

 私とすずかがフェイトに声をかけるけど、様子が可笑しい。これだけ叫んでいるというのにフェイトはこちらに目も向けなかった。まるで私たちの声が聞こえていないように。

 

「フェイト? フェイト!!」

 

 見えない壁に拳を叩きつけて、私たちがいることを伝えるけど、反応しない。そのうちになのはとはやても集まったけれど、それでも誰一人私たちに気が付くことない。幾ら壁をたたいても、誰も気がつかない。

 

「そんな。そんな」

「あ、アリサちゃん。きっと、きっと大丈夫だよ」

「大丈夫って、全然大丈夫じゃないでしょ!!」

 

 あっ。

 

「ご、ごめんね。アリサちゃん」

「……ううん。私の方こそゴメン」

 

 最低だ。イラつきのまま、すずかにあたっちゃった。これじゃ、小学生のころからなんも変わっていない。なのはが魔法で悩んでいた時に、相談してほしくて、怒った時と。

 居心地の悪いまま、私たちは近くの木に寄りかかって座った。何も話さないままの時間は長く感じられる。一体私たちはどうなるんだろう。

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